調 査 速 報 神奈川県の新設住宅着工戸数(2016年2月)

調 査 速 報
浜銀総合研究所
調査部
産業調査室
2016.4.5
神奈川県の新設住宅着工戸数(2016年2月)
県内の住宅着工の持ち直しにブレーキ
○2016 年2月の神奈川県の新設住宅着工戸数は急減
・ 3月 31 日に発表された 2016 年2月の神奈川県の新設住宅着工戸数(季調済年率換算)は
前月比 17.6%減の 6.1 万戸となり、大幅に落ち込んだ。15 年 11 月から3か月続いた持ち
直しの動きに再度ブレーキがかかる結果となり、先行き不透明感が再び高まっている。こ
の1年あまりの変動パターンをみると、今回の落ち込みが昨年5月や 10 月のような一過
性のものにとどまる可能性もあるが、昨年半ば以降の趨勢は一進一退を繰り返しながら
徐々に弱含む展開となっており、楽観的な見通しはしにくい状況である。
・ 利用関係別にみると、まず持家系の住宅に関しては、分譲マンションの着工戸数が前月比
12.7%増となり、ようやく底入れ感が出てきたが、一方で、昨年終盤以降に持ち直しの動
きがみられていた持家(注文住宅)と分譲一戸建(建売住宅)の着工戸数は当月に急減し
た。また貸家着工戸数についても、2月は前月比 34.4%減と大幅減となり、1月まで2か
月続いた持ち直しの動きが一服した格好となった。
図表1 県内の住宅着工の基調は持ち直しにブレーキ
県内の新設住宅着工戸数(総計)の推移
季調済年率換算、千戸
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
前年同月比、%
140
120
100
80
60
40
20
0
‐20
‐40
‐60
季節調整済年率換算戸数(左軸)
原数値の前年同月比(右軸)
10年
11
12
13
14
注1:季節調整は浜銀総合研究所が実施。
注2:太赤線は3か月後方移動平均値。
出所:国土交通省「住宅着工統計」
1
15
16
図表2 同月は持家、建売住宅、貸家の着工が急減した
分譲一戸建(建売住宅)の着工戸数の推移
持家(注文住宅)の着工戸数の推移
季調済年率換算、千戸
季調済年率換算、千戸
24
24
22
22
20
20
18
18
16
16
14
14
12
12
10
10
10年
11
12
13
14
15
10年
16
11
12
13
14
15
16
15
16
貸家の着工戸数の推移
分譲マンションの着工戸数の推移
季調済年率換算、千戸
季調済年率換算、千戸
45
50
45
40
40
35
30
35
30
25
20
25
15
10
5
20
15
0
10年
11
12
13
14
15
10年
16
11
12
13
14
注1:季節調整は浜銀総合研究所が実施。利用関係別の着工戸数をそれぞれに季節調整しているため、
表面の着工戸数合計の季節調整値とは必ずしも変動が整合しない。
注2:太赤線は3か月後方移動平均値。
出所:国土交通省「住宅着工統計」
2
○2016 年1月の県内住宅地価は前年比+0.1%にとどまる
・ 3月 22 日に国土交通省より「地価公示」が公表された。2016 年1月1日時点の神奈川県
の住宅地価の平均変動率(全対象地点の前年比変動率の平均)は前年比+0.1%(前年は
同+0.4%)となった。3年連続のプラスではあるが、年々上昇ペースが落ちており、頭
打ち感が強まっている。ちなみに、他の用途については、商業地が同+1.4%(前年は同
+1.4%)
、工業地が同+2.4%(前年は同+1.0%)であった。
・ 住宅地価を市区別にみると、横浜・川崎エリアでは全ての区で地価の上昇傾向が続いたが、
上昇ペースを強めたのは、みなとみらいでのマンション販売が好調であった横浜市西区の
ほか、川崎市の幸区、川崎区の3区のみであった。一方、横浜・川崎以外のエリアでは、
県西・三浦半島エリアを中心に地価の下落ペースが強まるエリアがほとんどとなった。地
価が上昇したのは相模原市各区と、鎌倉、藤沢、茅ヶ崎、大和、海老名市のみであり、そ
の中で上昇ペースを強めたのは、将来のリニア中央新幹線開通を見据えて土地利用需要の
増加期待が高まっている相模原市緑区と、海老名駅周辺の再開発が進展している海老名市
のみであった。
・ 人口減少エリアはもとより、横浜・川崎エリアにおいても住宅地価の伸び悩みが続いた背
景には、2015 年の県内住宅市場が予想以上に拡大しなかったことがあると考えられる。
図表3 住宅地価の上昇ペースはほとんどの市区でペースダウン
2015 年→2016 年の住宅地の平均変動率の変化
横浜・川崎以外のエリアの住宅地の平均変動率の変化
横浜・川崎エリアの住宅地の平均変動率の変化
海老名市
中央区
緑区
茅ケ崎市
今年の平均変動率、%
今年の平均変動率、%
3.0
1.0
中区
2.5
神奈川区
西区
鶴見区
0.5
旭区
0.0
0.0
0.5
1.5
小田原市
逗子市
綾瀬市
秦野市
‐3.0
南足柄市
‐4.0
‐5.0
麻生区
金沢区
保土ケ谷区
1.0
厚木市
横須賀市
‐2.0
港北区
青葉区
南区
栄区 多摩区
神奈川県 瀬谷区
宮前区
川崎区
緑区
港南区
磯子区
1.0
南区
平塚市
‐1.0
都筑区
2.0
高津区
戸塚区
泉区 幸区
藤沢市
伊勢原市
0.0
大和市
中原区
1.5
鎌倉市
座間市
三浦市
‐6.0
2.0
2.5
‐6.0
3.0
前年の平均変動率、%
‐5.0
‐4.0
‐3.0
‐2.0
‐1.0
0.0
1.0
前年の平均変動率、%
注1:町村は図表に示していない。
「横浜・川崎以外のエリア」の緑区、中央区、南区は相模原市。
注2:2016 年の平均変動率がプラスかつ、前年よりも上昇幅が拡大している市区は赤マーカーでハイライト。
出所:国土交通省「地価公示」
担当:調査部 産業調査室 森翔太郎
TEL 045−225−2375
E-mail: [email protected]
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