NEWS RELEASE 2016年05月23日 【格付変更】 ブラジル連邦共和国 外貨建発行体格付: BBB → BBB- [格付の方向性:ネガティブ] 格付投資情報センター(R&I)は上記の格付を公表しました。 【格付理由】 経済は歴史的に最も深刻な不況にあり、財政状況が急速に悪化している。R&Iでは必要な政策的手当と ともに財政を健全化するには時間がかかるとみており、政府債務比率は当面の間、上昇が続くと予想さ れる。このため、外貨建発行体格付をBBB-へ格下げした。現実味を帯びてきたルセフ大統領の罷免に政 治的混乱の局面打開を期待する向きもあるが、財政健全化及び中長期的な成長力回復のための機動的な 政策形成が可能となるにはなお時間がかかろう。国内外要因ともに当面、不透明な状況が続くことに鑑 み、格付の方向性はネガティブとしている。 政府にとって資金調達面での懐は深い。金融システムも全体的な安定感を保っている。金利コストは 非常に大きくなっているものの、R&Iでは今のところ国債消化に大きな懸念はないと判断している。経常 収支赤字は縮小に転じ、外貨準備の水準を踏まえれば短期的な外貨流動性の懸念は乏しい。資源ブーム を後ろ盾に消費喚起を続けてきた労働者党政権の経済政策の発想を転換し、投資・生産・輸出の活性化 を図れれば、ブラジル経済の高い潜在力は安定成長の大きな助けとなろう。ただ現実的な問題として、 経済成長の回復がさらに遅れると、債務見通しは今以上に悪化し、やがては資金調達の安定性にも影響 が及ぼう。そうした事態に陥る公算が大きくなれば、もう一段の格下げもやむを得ないと考えている。 経済は2015年に続いて2016年も大幅なマイナス成長となる公算が大きく、国際通貨基金(IMF)の予測 では、有意なプラス成長に戻るのは早くとも2018年だ。この経済状況は税収を直撃し、長年黒字を保っ てきた基礎的財政収支(PB)は2014年に赤字化した。また、債務残高の増加と変動金利の割合が大きい 債務ポートフォリオの影響で利払い費が急増し、名目の財政赤字は国内総生産(GDP)比10%を超えた。 刻々と悪化する経済状況と議会の反対を前に、政府の財政健全化努力の代名詞であったレヴィ財務大 臣は辞任、ルセフ大統領自身の弾劾を巡る問題で議会は紛糾するなど、ブラジルの政策運営環境は著し く悪化している。経済規模が伸び悩み、PB赤字の削減に有効な政策が採られない中、IMFでは一般政府債 務比率がGDP比90%を超える水準まで上昇していく予測を立てる。 経常収支赤字のGDP比は2015年に縮小に転じ、向こう1-2年も縮小が予想される。鉄鉱石など主力輸出 品の価格下落は痛手だが、為替の下落を通じて輸出数量は持ち直している。海外直接投資(FDI)を中心 に比較的、堅調な資金流入を保っており、外貨準備も安定している。対外面は大きなリスク要因ではな いとみているが、大事なのはこうした安定感の持続だ。FDIに限らないが、投資環境の整備は今後一層、 重要な政策となろう。 経済の不振はじわりと金融機関にもストレスとなっており、不良債権比率も高まりつつある。ただ、 2015年末時点で商業銀行の自己資本比率は平均で16.4%、Tier1比率は12.7%と各規制値を超え比較的健 全な水準にある。中央銀行のストレステストの想定シナリオは、市中金融機関などのコンセンサス予測 を下敷きに、さらに長期の下方ストレスを想定した厳しいものだ。景気回復が視野に入るまでは注意を 怠れないが、R&Iでは銀行部門全体のリスク耐久力に大きな不安は無いとみている。 ブラジルの政治情勢は大きく動き、ルセフ大統領の弾劾成立は現実味を帯びてきた。そうなった場 合、テメル大統領代行による暫定政権、及び2018年10月の選挙を経て、2019年1月に発足する予定の新政 権がどれだけ財政再建及び中長期的な成長基盤の整備に資する、実効性の高い政策を打ち出すかが今後 の注目点となる。R&Iでは、政権交代が現実となれば、よりオーソドックスな経済政策が採用される可能 性が高く、その点は信用力にプラスに働くとみている。ただ、現時点では反ルセフ大統領で結束してい る勢力もやがては平時モードに戻っていく。政策運営環境を安定的なものにするためには、総選挙で しっかりとした政治基盤を持った政権ができることが重要となろう。 ■お問合せ先 :インベスターズ・サービス管理部 TEL.03-3276-3511 E-mail [email protected] ■報道関係のお問合せ先 :経営企画室(広報担当) TEL.03-3276-3438 株式 会社 格付投資情報センター 〒103-0027東京都中央区日本橋1-4-1 日本橋一丁目三井ビルディング http://www.r-i.co.jp 信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に 際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。 ⓒRating and Investment Information, Inc. NEWS RELEASE 【格付対象】 発行者:ブラジル連邦共和国 名称 格付 格付の方向性 外貨建発行体格付 BBB → BBB- ネガティブ ■お問合せ先 :インベスターズ・サービス管理部 TEL.03-3276-3511 E-mail [email protected] ■報道関係のお問合せ先 :経営企画室(広報担当) TEL.03-3276-3438 株式 会社 格付投資情報センター 〒103-0027東京都中央区日本橋1-4-1 日本橋一丁目三井ビルディング http://www.r-i.co.jp 信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に 際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。 ⓒRating and Investment Information, Inc. NEWS RELEASE 信用格付に関わる事項 信用格付業者 登録番号 株式会社格付投資情報センター 金融庁長官(格付)第6号 直近一年以内に講じられた監督上の措置は、ありません。 主任格付アナリスト 関口 健爾 信用格付の付与について 代表して責任を有する者 細田 弘 信用格付を付与した日 2016年05月16日 主要な格付方法 ソブリンの格付の考え方 [2012.03.16] 上記格付方法は、格付を行うにあたり考慮した他の格付方法とともに以下のウェブサイトに掲載して います。 http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/methodology/index.html 評価の前提は、以下のウェブサイトの格付付与方針に掲載しています。 http://www.r-i.co.jp/jpn/ratingpolicy/index.html 格付符号とその定義は、以下のウェブサイトに掲載しています。 http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/definition/index.html 格付関係者 ブラジル連邦共和国 注 格付関係者は、金融商品取引業等に関する内閣府令第三百七条に基づいて、R&Iが判断したものです。 利用した主要な情報 政府を含む公的機関が作成した財政・経済資料 品質確保のための措置 政府を含む公的機関が作成した、またはそれに準じた信頼性が確保さ れている資料であること。 情報提供者 - 信用格付の前提、意義及び限界 R&Iの信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定 通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見です。R&Iは信用格付によって、個々の債務等 の流動性リスク、市場価値リスク、価格変動リスク等、信用リスク以外のリスクについて、何ら意見 を表明するものではありません。信用格付は、いかなる意味においても、現在・過去・将来の事実の 表明ではありません。また、R&Iは、明示・黙示を問わず、提供する信用格付、又はその他の意見に ついての正確性、適時性、完全性、商品性、及び特定目的への適合性その他一切の事項について、い かなる保証もしていません。 R&Iは、信用格付を行うに際して用いた情報に対し、品質確保の措置を講じていますが、これらの 情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。R&Iは、必要と判断した場合に は、信用格付を変更することがあります。また、資料・情報の不足や、その他の状況により、信用格 付を保留したり、取り下げたりすることがあります。 利息・配当の繰り延べ、元本の返済猶予、債務免除等の条項がある債務等の格付は、その蓋然性が 高まったとR&Iが判断した場合、発行体格付又は保険金支払能力とのノッチ差を拡大することがあり ます。 信用格付に関わる留意事項 当該信用格付は、格付関係者からの依頼によるものではありません。 格付関係者から信用評価に重要な影響を及ぼす非公開情報は入手していません。 ■お問合せ先 :インベスターズ・サービス管理部 TEL.03-3276-3511 E-mail [email protected] ■報道関係のお問合せ先 :経営企画室(広報担当) TEL.03-3276-3438 株式 会社 格付投資情報センター 〒103-0027東京都中央区日本橋1-4-1 日本橋一丁目三井ビルディング http://www.r-i.co.jp 信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に 際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。 ⓒRating and Investment Information, Inc.
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