ASIA Indicators

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ASIA Indicators
定例経済指標レポート
インドネシア中銀、追加利下げに含み(Asia Weekly (5/14/~5/20))
~マレーシア中銀、総裁は代われどスタンスは不変の模様~
発表日:2016 年 5 月 20 日(金)
第一生命経済研究所 経済調査部
主席エコノミスト 西濵 徹(03-5221-4522)
○経済指標の振り返り
発表日
指標、イベントなど
結果
コンセンサス
前回
5/14(土) (中国)4 月鉱工業生産(前年比)
+6.0%
+6.5%
+6.8%
4 月小売売上高(前年比)
+10.1%
+10.6%
+10.5%
1-4 月固定資産投資(前年比)
+10.5%
+11.0%
+10.7%
+3.2%
+2.8%
+2.8%
(インドネシア)4 月輸出(前年比)
▲12.64%
▲10.90%
▲13.38%
4 月輸入(前年比)
▲14.62%
▲8.67%
▲10.37%
(フィリピン)3 月海外送金(前年比)
+1.5%
+1.1%
+9.1%
(インド)4 月卸売物価(前年比)
+0.34%
▲0.23%
▲0.85%
▲7.9%
▲8.4%
▲15.7%
(香港)4 月失業率(季調済)
3.4%
3.4%
3.4%
5/19(木) (豪州)4 月失業率(季調済)
5.7%
5.8%
5.8%
(フィリピン)1-3 月期実質 GDP(前年比)
+6.9%
+6.9%
+6.5%
(マレーシア)金融政策委員会(政策金利)
3.25%
3.25%
3.25%
(インドネシア)金融政策委員会(BI レート)
6.75%
6.75%
6.75%
5.50%
5.50%
5.50%
+2.1%
+2.1%
+2.6%
5/16(月) (タイ)1-3 月期実質 GDP(前年比)
5/17(火) (シンガポール)4 月非石油輸出(前年比)
(7 日物リバースレポ金利)
5/20(金) (マレーシア)4 月消費者物価(前年比)
(注)コンセンサスは Bloomberg 及び THOMSON REUTERS 調査。灰色で囲んでいる指標は本レポートで解説を行っています。
[インドネシア] ~マクロ経済の安定を理由に、中銀は先行きの追加利下げの可能性に含みを持たせる~
16 日に発表された4月の輸出額は前年同月比▲12.64%と 19 ヶ月連続で前年を下回る伸びとなったものの、
前月(同▲13.38%)からわずかにマイナス幅は縮小している。当研究所が試算した季節調整値に基づく前月
比は2ヶ月ぶりに拡大に転じているものの、世界経済を巡る不透明感や国際商品市況の低迷長期化などが重石
となり、一進一退の展開が続いている。原油相場の頭打ちなどを背景に原油並びに天然ガス関連の輸出額に下
押し圧力が掛かったほか、商品市況の低迷長期化は鉱物資源全般の輸出額の足かせになっている一方、製造業
関連の輸出額に底打ちの動きが出ており、これが全体の底入れを促している。一方の輸入額は前年同月比▲
14.62%と 19 ヶ月連続で前年を下回る伸びとなり、前月(同▲10.37%)からマイナス幅も拡大している。前
月比も3ヶ月ぶりに減少に転じている上、過去2ヶ月の拡大幅に比べて大幅に減少するなど下押し圧力の根強
さを物語っている。原油相場の頭打ちは原油並びに天然ガス関連の輸入額を下押ししたほか、実質的な輸入規
制策はその他の輸入の足かせになっている。結果、貿易収支は+6.67 億ドルと前月(+5.08 億ドル)から黒
字幅が拡大している。
19 日、インドネシア銀行は定例の金融政策委員会を開催し、政策金利であるBIレート並びに翌日物預金
ファシリティー金利(FASBI)
、翌日物貸出ファシリティー金利を2会合連続でそれぞれ 6.75%、4.75%、
7.25%に据え置く決定を行った。また、8月から政策金利に適用される7日物リバースレポ金利も 5.50%に
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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据え置かれている。会合後に発表された声明文では、海外経済についてはこれまで同様に「緩やかな拡大が続
く」との見方を据え置いており、同国経済についても「第1四半期は予想に反して減速したが、先行きについ
てはインフラ投資の加速などを通じて回復する」とし、今年の経済成長率を「5.2~5.6%」とする見方を据え
置いている。また、貿易収支の改善を受けて経常赤字幅の圧縮が進み、通貨ルピア相場も落ち着きを取り戻す
なか、先行きのインフレ率は「4±1%の目標域に収まる」との見方を示している。その上で、先行きの政策
スタンスについて「マクロ経済の安定が続けば、新たな政策金利導入に向けた移行期間においても追加緩和の
余地が生まれる」との見方を示しており、追加利下げに含みを持たせる考えをみせている。
図 1 ID 貿易動向の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[マレーシア]
図 2 ID 政策金利の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
~先行きの景気下振れリスクを意識する向きはあるが、金融政策のスタンスは不変の模様~
19 日、マレーシア中銀は定例の金融政策委員会を開催し、政策金利を 11 会合連続で 3.25%に据え置く決定
を行った。会合後に発表された声明文では、海外経済に対する見方は過去数回と概ね変わっていないなか、足
下では「国際金融市場のボラティリティは後退し、投資家心理も改善している」としたが、先行きについては
「充分な緩和状態が続いているものの、構造問題や地政学リスクが世界経済の制約要件になる」との見方を示
している。他方、足下の同国経済については「事前の予想通り鈍化した」としつつ、先行きは「外部環境の弱
さが外需を制約する一方、内需が経済成長のけん引役になる」とし、今年の経済成長率は「4.0~4.5%」にな
るとの見方を示している。また、先行きのインフレは「エネルギー価格や商品市況の低迷を受けて低調な推移
が続く」とし、国内金融市場についても「落ち着いた推移が続く」とした。なお、同行を巡っては 16 年に亘
って務めたゼティ前総裁の後任に、今月からムハンマド・イブラヒム前副総裁が就任したことで、政策スタン
スが変更される可能性が懸念されていたが、先行きの政策スタンスについては引き続き「世界経済や金融環境
を巡るリスクを注視しつつ、緩和的な政策を維持する」との見方が据え置かれており、しばらくは現行のスタ
ンスが据え置かれる可能性は高いと予想される。
20 日に発表された4月の消費者物価は前年同月比+2.1%となり、前月(同+2.6%)から減速した。しか
しながら、前月比は+0.44%と前月(同▲0.61%)から2ヶ月ぶりに上昇に転じており、物価を取り巻く状況
は一進一退の展開が続いている。天候不順を理由に野菜や果物などを中心に食料品物価に上昇圧力はくすぶる
ものの、食肉や魚類などでの物価下落により食料品全般では物価上昇圧力が相殺されているほか、このところ
の原油相場の上昇にも拘らずエネルギー価格は横這いでの推移が続いており、生活必需品を中心に物価は落ち
着いている。他方、年明け以降のガソリン価格の上昇を反映する形で輸送コストは上昇基調を強めているほか、
それに伴って消費財全般で物価上昇圧力が高まる動きがみられる。とはいえ、景気の先行き不透明感を反映す
る形でサービス物価は全般的に落ち着いている。こうした状況を反映して、当研究所が試算した食料品とエネ
ルギーを除いたコアインフレ率は一段と減速基調を強めており、物価上昇圧力が後退している。なお、インフ
レ率が減速している要因には、昨年4月に導入されたGSTの反動も影響している。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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図 3 MY 政策金利の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[フィリピン]
図 4 MY インフレ率の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
~旺盛な移民送金により個人消費は依然堅調だが、公共投資や外需が景気の足かせに~
16 日に発表された3月の海外在留労働者からの送金流入額は前年同月比+1.5%となり、前月(同+9.1%)
から減速した。当研究所が試算した季節調整値に基づく前月比では伸びこそ鈍化しているものの、2ヶ月連続
で拡大しており、底堅い流入が続いている。全体の4割を占める米国からの流入に底入れの動きが進んでいる
ほか、欧州からの流入も底堅さを維持するなか、原油相場の底入れを受けて中東からの流入が大幅に押し上げ
られる動きもみられる。さらに、中国景気を巡る不透明感はくすぶるものの、香港からの流入が大幅に加速し
ており、こうした動きに伴ってアジア新興国からの流入も堅調な動きをみせている。なお、金融市場における
ペソ高の進展はペソ建でみた送金流入額の目減りに繋がる懸念はあるものの、足下の水準はペソ建でみた送金
額に対する下押し圧力は限定的であり、引き続き個人消費をはじめ内需の押し上げに寄与すると期待される。
19 日に発表された1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+6.9%となり、前期(同+6.5%)から加速
した。ただし、前期比年率ベースでは+4.51%と前期(同+8.82%)に大幅に加速した反動も重なり減速して
おり、景気は一進一退の展開が続いている。原油安によるインフレ圧力の後退や旺盛な移民送金の流入などを
背景に個人消費は引き続き堅調な動きをみせているほか、一時に比べて一服感が出ているものの、企業部門に
よる設備投資の底堅さは固定資本投資の押し上げに繋がっている。一方、インフラをはじめとする公共投資が
鈍化したほか、政府消費も減少基調が強まるなど、公的部門の需要に下押し圧力が掛かったことが景気の足を
引っ張っている。さらに、中国経済の減速などをきっかけに世界経済に下押し圧力が掛かったことで輸出は減
速する一方、内需の底堅さを背景に輸入は拡大基調が続いたことで、純輸出の成長率寄与度が大幅マイナスと
なったことも成長率の押し下げを招いている。なお、在庫積み上げの動きは過去2四半期に反する形で成長率
の押し上げに繋がっており、先行きについてはこの調整が景気の下押し圧力となる可能性には要注意である。
図 5 PH 海外送金の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[タイ]
図 6 PH 実質 GDP 成長率(前期比年率)の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
~観光関連や公共投資の拡充が景気をけん引するも、企業の設備投資意欲は依然弱いままの展開~
16 日に発表された1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+3.2%となり、前期(同+2.8%)から加速
して 12 四半期ぶりに3%を上回る伸びとなった。前期比年率ベースでも+3.77%と前期(同+3.42%)から
加速しており、長期に亘って泣かず飛ばずの景気模様が続いてきたタイ経済にも底入れの兆しが出つつある。
分野別では、エルニーニョ現象に伴う少雨の影響による干ばつが問題化しており、農業生産が落ち込んでいる
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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ほか、輸出の低調な推移を反映して製造業の生産も低迷するなど、従来からの経済成長のけん引役は軒並み勢
いの乏しい展開が続いている。他方、来訪者数の順調な拡大を追い風にGDPの1割強を占める観光関連で軒
並み大幅な伸びが確認されたほか、小売及び卸売関連でも伸びが確認された。さらに、ソムキット副首相の下
で景気刺激を目的に公共投資が大幅に積み増される動きが出ており、これに伴う公共投資の促進は建設関連の
押し上げに繋がっている。なお、需要項目別では 2011 年の大洪水の復興に伴う需要先喰いの影響で長期に亘
って低迷が続いてきた個人消費が底入れしているほか、公共投資の拡充を追い風に政府消費や固定資本投資は
拡大基調が続いており、全般的に内需を取り巻く環境は底堅い。また、観光関連の活況を背景にサービスを中
心に輸出が大きく拡大している一方、企業の設備投資意欲の弱さを背景に輸入には下押し圧力が掛かっており、
結果的に純輸出の成長率寄与度は大幅に拡大している。足下のインフレ率は依然低水準での推移が続くなど家
計部門の実質購買力の押し上げに繋がると見込まれる一方、家計部門が抱える債務残高はGDP比で8割を上
回るなど過剰債務が消費のボトルネックとなる状況が続いており、民間需要が自立的に回復するためのハード
ルは依然高い。さらに、中国経済を巡る不透明感やそれに伴う世界経済の勢いの乏しさは外需の足かせとなり、
企業の設備投資意欲の足かせとなる展開が見込まれるなかでは、民間主導による景気回復は期待しにくく、公
共投資の動向が景気を左右する状況が続くと予想される。
図 7 TH 実質 GDP 成長率(前期比年率)の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[豪州]
~自発的失業増が失業率低下に繋がっている可能性もあり、基調としての雇用環境は厳しい展開~
19 日に発表された4月の失業率(季調済)は 5.7%となり、前月(5.8%)から 0.1pt 改善した。失業者数
は前月比+0.0 万人と前月(同▲0.7 万人)まで2ヶ月連続での減少局面が一服しており、正規雇用に対する
求職者数がわずかに減少している一方、非正規雇用に対する求職者数のわずかな増加が相殺しあう格好となっ
た。一方、雇用者数は前月比+1.1 万人と前月(同+2.6 万人)に比べてペースこそ鈍化したものの、2ヶ月
連続で拡大しており、正規雇用者は同▲0.9 万人と2ヶ月連続で減少しているものの、非正規雇用者が同+2.0
万人と2ヶ月連続で拡大基調が続いたことで押し上げられた。地域別では、南部ビクトリア州で底堅い動きが
みられる一方、最大都市シドニーを擁するニュー・サウス・ウェールズ州やクイーンズランド州、ウェスト・
オーストラリア州など幅広い地域で頭打ちの状況が続いている様子もうかがえる。また、労働参加率は 64.8%
と前月(64.9%)から 0.1pt 低下するなど、自発的失業の増加が失業者数の縮小や失業率の低下に繋がってい
る可能性があり、基調としての雇用環境は依然として厳しさを増していると考えられよう。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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図 8 AU 雇用環境の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[インド]
~原油相場の上昇に異常気象に伴う食料品価格の上昇が重なり、川上で物価上昇圧力が高まる~
16 日に発表された4月の卸売物価は前年同月比+0.34%となり、前月(同▲0.85%)から 18 ヶ月ぶりにプ
ラスに転じた。前月比も+1.37%と2ヶ月連続で上昇している上、前月(同+0.29%)から上昇ペースは加速
しており物価上昇圧力が高まっている。原油をはじめとする国際商品市況の上昇を受けてエネルギー関連で物
価上昇圧力が高まっているほか、エルニーニョ現象に伴う異常高温と干ばつの影響で生鮮品を中心に食料品価
格に上昇圧力が高まるなど、生活必需品を中心とする物価上昇が影響している。なお、エネルギー価格の上昇
による輸送コストの上昇圧力に加え、原材料価格の上昇は加工品に対する物価上昇圧力となっており、先行き
については川下の消費者段階における物価上昇圧力に繋がることが懸念されよう。
図 9 IN 卸売物価の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[香港]
~中国本土景気を巡る不透明感はくすぶるものの、雇用を取り巻く環境には底入れの兆候も~
17 日に発表された4月の失業率(季調済)は 3.4%となり、前月(3.4%)から2ヶ月連続の横這いで推移
している。なお、失業者数は前年同月比+0.6 万人と2ヶ月連続で増加基調にある上、前月(同+0.3 万人)
からそのペースは加速しており、雇用調整圧力が強まりつつある。一方の雇用者数は前年同月比+1.4 万人と
こちらも増加しており、前月(同+1.1 万人)から拡大ペースが加速しており、雇用を取り巻く環境は一進一
退の展開が続いているとみられる。分野別では、建設関連やビジネスサービス関連で調整圧力が高まる一方、
娯楽関連やIT関連などでは雇用拡大の動きがみられるなど、業種ごとに跛行色が強まっている。ただし、年
明け直後にかけて拡大ペースの鈍化基調が強まっていた労働力人口に底入れの動きが出ており、中国本土経済
を巡る不透明感はくすぶるものの、本土景気の底打ち期待を反映して雇用環境にも底入れの動きが出つつある
様子がうかがえる。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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図 10 HK 雇用環境の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[シンガポール] ~このところの原油相場の上昇は輸出・輸入双方にとって押し上げに繋がっている模様~
17 日に発表された4月の非石油輸出額は前年同月比▲7.9%と2ヶ月連続で前年を下回る伸びとなったも
のの、前月(同▲15.7%)からマイナス幅は縮小している。前月比も+4.47%と2ヶ月連続で拡大している上、
前月(同+0.13%)から拡大ペースは加速しており、主力の電子機器や電気機械をはじめとする機械製品関連
の輸出は頭打ちしている一方、化学製品をはじめとする中間財を中心に底入れが進んだことで輸出全体の押し
上げに繋がっている。なお、原油関連を含む総輸出額は前年同月比▲8.0%と 13 ヶ月連続で前年を下回る伸び
に留まっているものの、前月(同▲14.3%)からマイナス幅は縮小している。前月比も+6.8%と前月(同▲
3.6%)から6ヶ月ぶりに拡大に転じており、上述のように非石油関連で底入れの動きが出ているほか、原油
相場の上昇を背景に原油関連の輸出額が押し上げられたことも影響している。一方、輸入額は前年同月比▲
12.0%と2ヶ月連続で前年を下回る伸びとなり、前月(同▲9.0%)からマイナス幅も拡大している。ただし、
前月比は+0.7%と前月(同▲3.4%)から2ヶ月ぶりに拡大に転じており、主力の機械関連の輸出が頭打ちす
るなかで機械を中心とする資本財の輸入には下押し圧力が掛かっているものの、原油相場の上昇は輸入額の押
し上げに繋がっている。結果、貿易収支は+62.72 億SGドルと前月(+49.51 億SGドル)から黒字幅が拡
大している。
図 11 SG 貿易動向の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
以
上
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。