(Asia Weekly (1/9~1/15)) ~資源安が続くも

1/5
ASIA Indicators
定例経済指標レポート
インドネシア中銀、インフレ低下を好感し利下げ(Asia Weekly (1/9~1/15))
~資源安が続くも、豪州ではサービス業を中心に雇用拡大が続く~
発表日:2016 年 1 月 15 日(金)
第一生命経済研究所 経済調査部
主席エコノミスト 西濵 徹(03-5221-4522)
○経済指標の振り返り
発表日
結果
コンセンサス
前回
(中国)12 月消費者物価(前年比)
+1.6%
+1.6%
+1.5%
12 月生産者物価(前年比)
▲5.9%
▲5.8%
▲5.9%
1/11(月) (マレーシア)11 月鉱工業生産(前年比)
+1.8%
+4.1%
+4.2%
1/12(火) (インド)12 月消費者物価(前年比)
+5.61%
+5.53%
+5.41%
11 月鉱工業生産(前年比)
▲3.2%
+2.0%
+9.9%
3.4%
3.5%
3.5%
(中国)12 月輸出(前年比)
▲1.4%
▲8.0%
▲6.8%
12 月輸入(前年比)
▲7.6%
▲11.0%
▲8.7%
5.8%
5.9%
5.8%
(韓国)金融政策委員会(政策金利)
1.50%
1.50%
1.50%
(インドネシア)金融政策委員会(BI レート)
7.25%
7.25%
7.50%
▲0.73%
▲1.15%
▲1.99%
+4.7%
+3.4%
+2.7%
+3.2%
+3.5%
+0.2%
1/9(土)
指標、イベントなど
1/13(水) (韓国)12 月失業率(季調済)
1/14(木) (豪州)12 月失業率(季調済)
(インド)12 月卸売物価(前年比)
1/15(金) (シンガポール)11 月小売売上高(前年比)
(フィリピン)11 月海外送金(前年比)
(注)コンセンサスは Bloomberg 及び THOMSON REUTERS 調査。灰色で囲んでいる指標は本レポートで解説を行っています。
[インドネシア] ~外部環境の不透明感はあるが、景気維持のためにインフレ低下を理由に利下げを決断~
14 日、
インドネシア銀行は定例の金融政策委員会を開催し、政策金利であるBIレートを 12 会合ぶりに 25bp
引き下げて 7.25%とする決定を行った。これと併せて翌日物預金ファシリティー金利(FASBI)と翌日
物貸付ファシリティー金利も 25bp 引き下げており、それぞれ 5.25%と 7.75%としている。前回会合において
同行は、昨年末にかけてインフレ率が大きく低下すると見込まれるなか、マクロ経済の安定に伴い利下げ余地
が生じるとの見方を示しており、その考えに沿ったものと考えられる。世界経済について同行は回復力に乏し
い状況が続くと見込んでおり、同国経済についても財政支出やマクロプルデンス政策の緩和による景気下支え
にも拘らず目立った回復はしていないとの見方を示している。また、昨年末にかけては海外資金の堅調な流入
を背景に対外収支が改善したほか、国際金融市場の混乱一服を受けて通貨ルピア相場も落ち着き、インフレ率
も低下するなど利下げ実施の環境が整ったことも今回の決定を後押しした。なお、国内金融市場については銀
行システムの強靭さや金融市場環境の安定が続いているとの見方を示す一方、年明け以降の中国金融市場の動
揺は少なからず打撃を与えているとみられる。同行は先行きについても、景気の動向を重視する一方でマクロ
経済や金融システムの安定を注視するとの考えをみせているが、足下の市場環境でも利下げに踏み切ったこと
を勘案すれば、利下げサイクルが始まったと捉えることも出来よう。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
2/5
図 1 ID 政策金利(BI レート)の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[豪州]
図 2 ID インフレ率の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
~雇用拡大に一服感が出ている模様だが、基調としての雇用環境は改善が続いていることを確認~
14 日に発表された 12 月の失業率(季調済)は 5.8%となり、前月(5.8%)から横這いで推移している。失
業者数は前月比▲1.1 万人と5ヶ月連続で減少している上、前月(同▲0.3 万人)から減少ペースは加速する
など改善は進んでいる。一方の雇用者数は前月比▲0.1 万人と前月(同+7.5 万人)から3ヶ月ぶりに減少に
転じており、うち正規雇用者数は同+1.8 万人と3ヶ月連続で拡大したものの、非正規雇用者数が同▲1.9 万
人と6ヶ月ぶりに減少に転じたことが全体の足を引っ張った。労働力人口は前月比▲1.2 万人と3ヶ月ぶりに
減少に転じており、男性を中心に求職意欲は強い一方、これまで拡大基調が続いた女性の求職者数が一服した
ことが下押し圧力となり、労働参加率の低下に繋がっている。なお、業種別では鉱業や製造業で雇用調整圧力
が強まる一方、農林漁業や建設業、小売のほか金融やIT関連などを中心とするサービス業で雇用拡大の動き
が広がっており、底堅い内需が雇用を下支えしている様子がうかがえる。基調を示す中位平均ベースでも、労
働参加率は上昇しているにも拘らず失業率は低下するなど改善の動きが確認されており、足下の雇用環境は着
実に改善していると判断出来よう。
図 3 AU 雇用環境の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[インド]
~企業部門の設備投資意欲の低迷を反映して、資本財を中心に生産に下押し圧力が掛かる~
12 日に発表された 11 月の鉱工業生産は前年同月比▲3.2%となり、前月(同+9.9%)から 13 ヶ月ぶりに
前年を下回る伸びに転じた。当研究所が試算した季節調整値に基づく前月比では3ヶ月連続で減少している上、
過去2ヶ月に比べて減少ペースが加速するなど、生産に対して急速に下押し圧力が掛かっている。分野別では
鉱業部門の生産は依然として底堅いものの、製造業の生産に大幅な調整圧力が掛かったことが生産全体の鈍化
に繋がっている。消費財の生産が減少基調を強めていることに加え、設備投資意欲の後退に伴って資本財の生
産も大きく落ち込むなど、先行きに対して不透明感が高まる可能性も懸念される。
同日に発表された 12 月の消費者物価は前年同月比+5.61%となり、前月(同+5.41%)から加速した。し
かしながら、前月比は▲0.39%と前月(同+0.40%)から 12 ヶ月ぶりに下落に転じており、生鮮品を中心と
する食料品価格が大幅に下落したことが影響したほか、原油をはじめとする国際商品市況の調整を反映してエ
ネルギー価格も落ち着いた推移が続くなど、生活必需品を中心に物価は安定している。さらに、景気の不透明
感を反映してサービス物価は落ち着いている一方、通貨ルピー安による輸入物価への押し上げ圧力を反映して
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
3/5
消費財全般では物価は底堅く推移しており、食料品とエネルギーを除いたコアインフレ率は前年比ベースでわ
ずかに加速している。なお、インフレ率は依然として準備銀と政府が合意しているインフレ目標(2~6%)
の範囲内に収まっている。
14 日に発表された 12 月の卸売物価は前年同月比▲0.73%と 14 ヶ月連続でマイナスとなったものの、前月
(同▲1.99%)からマイナス幅は縮小している。ただし、前月比は▲0.11%と前月(同+0.40%)から4ヶ月
ぶりに下落に転じており、原油を始とする国際商品市況の調整を反映して鉱物関連やエネルギー価格が下落し
たことが物価全体の下押しに繋がっている。一方、食料品価格は昨年のモンスーン(雨季)の少雨などの影響
が徐々に顕在化するなかで物価上昇圧力が少しずつ高まる動きが確認されている。川上の物価は引き続き安定
していることから、消費者物価についても比較的安定した推移が見込まれる一方、穀物をはじめとする食料品
価格の動向についてはその影響力の高さも含めて注意する必要があろう。
図 4 IN 鉱工業生産の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[韓国]
図 5 IN インフレ率の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
~年明け以降の金融市場の動揺への懸念はあるが、現行の金融政策スタンスの維持を確認~
13 日に発表された 12 月の失業率(季調済)は 3.4%となり、前月(3.5%)から 0.1p 改善した。失業者数
は前月比▲0.6 万人と前月(同+1.5 万人)から2ヶ月ぶりに減少に転じており、40~50 代を中心に失業者数
が増加している一方、20~30 代の働き盛り世代や 60 代以上の高齢層を中心に減少したことが影響している。
一方の雇用者数は2ヶ月連続で増加している上、前月比+24.1 万人と前月(同+3.4 万人)から大幅に増加ペ
ースが加速しており、20~30 代の働き盛り世代に加え、50~60 代の比較的高齢層を中心に大幅に雇用が拡大
したことが全体的な押し上げに繋がっている。雇用形態別では、働き盛り世代や高齢層を問わず、非正規雇用
者が増加している可能性が考えられる。なお、足下における雇用増加は高齢層が主導しており、この年代の労
働参加率が上昇基調を強めていることにも現れている。
14 日、韓国銀行は定例の金融政策委員会を開催し、政策金利を7会合連続で過去最低水準である 1.50%に
据え置く決定を行った。韓国銀行は昨年末に 2017 年から毎月実施してきた定例会合を年8回に縮小する方針
を明らかにしている。会合後に発表された声明文によると、足下及び先行きの海外経済に対する見方は前回会
合からほぼ変わっていないものの、リスク要因として「米国の金融政策の正常化プロセスと中国金融市場を巡
る状況、国際原油市況の動向」を挙げている。その上、国内経済についても「底堅い個人消費が景気を下支え
する一方、輸出の低迷は企業マインドの重石になる」との従来の見方を維持し、内外需を巡る跛行色は今後も
続くとの考えを堅持している。インフレ動向については原油安が足かせとなるなか、
「しばらくはインフレ目
標(2%)に到達しない」との見方を示し、上昇基調が続いてきた首都ソウルを中心とする不動産価格も足下
で頭打ちするなど、物価動向に対する不透明感は残る。また、国際金融市場の動揺に伴って通貨ウォン相場を
はじめとする金融市場にも動揺が広がっており、現行の政策スタンスを維持することが必要との認識があらた
めて示された。なお、今回会合では北朝鮮による核実験はリスク要因として触れられておらず、足下において
はこれによる同国経済への影響は軽微と捉えているものと考えられる。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
4/5
図 6 KR 雇用環境の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
図 7 KR 政策金利の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[シンガポール] ~日用品のみならず、宝飾品需要に底入れの動きが出るなど消費に底堅さがうかがえる~
15 日に発表された 11 月の小売売上高は前年同月比+4.7%となり、前月(同+2.7%)から加速した。前月
比も+1.4%と前月(同+1.0%)から2ヶ月連続で拡大しており、月ごとの変動幅が大きい上に小売売上全体
への影響が大きい自動車販売は同▲0.6%と前月(同+7.9%)から4ヶ月ぶりに減少に転じたものの、服飾関
連や家財などの日用品のほか、宝飾品などの高額消費の堅調さが全体の押し上げに繋がった。このことは、自
動車を除いたベースでも前月比+1.9%と前月(同▲0.4%)から3ヶ月ぶりに拡大に転じたことにも現れてい
る。中国の景気減速などを背景に世界経済には不透明感がくすぶるものの、足下の雇用環境は依然底堅く推移
していることに加え、原油安などを背景にインフレ圧力が後退しており、家計部門の実質購買力にとってプラ
スに作用していることも小売売上高の堅調さに繋がっているとみられる。
図 8 SG 小売売上高の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[フィリピン]
~移民送金に力強さはないが、ペソ安の進展でペソ建でみた流入額の押し上げに期待~
15 日に発表された 11 月の海外移民労働者からの送金流入額は前年同月比+3.2%となり、前月(同+0.2%)
から加速した。当研究所が試算した季節調整値に基づく前月比は、前月に大きく減少した反動も重なり2ヶ月
ぶりに拡大に転じているものの、力強さに乏しい展開が続いている。全体の3割強を占める米国からの流入は、
米国内における雇用環境の改善などを背景に堅調な推移をみせる一方、欧州や日本などその他の先進国からの
流入は足踏みしているほか、原油をはじめとする国際商品市況の調整は中東からの流入の頭打ちに繋がってい
る。さらに、中国経済の減速がアジア新興国の景気の重石となるなか、香港やシンガポールなどアジアからの
流入にも下押し圧力が掛かっている。なお、昨年末にかけては米国の金融政策の正常化に向けた思惑などを反
映して国際金融市場が動揺した結果、通貨ペソの対ドル為替レートは一段と下落基調を強めた結果、ペソ建で
みた送金額の押し上げに繋がっており、これは内需を下支えする一助になると見込まれる。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
5/5
図 9 PH 海外送金の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[マレーシア]
図 10 PH ペソ相場(対ドル)の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
~輸出を巡る先行き不透明感を反映する形で、幅広い分野で生産に下押し圧力が掛かる~
11 日に発表された 11 月の鉱工業生産は前年同月比+1.8%となり、前月(同+4.2%)から減速した。前月
比も▲1.1%と2ヶ月連続で減少している上、前月(同▲0.4%)から減少ペースは加速しており、底入れが進
んできた生産に足踏み感が出ている。分野別では、原油をはじめとする国際商品市況の調整を反映して鉱業部
門の生産に下押し圧力が掛かっているほか、輸出の先行き不透明感などに伴い製造業など幅広い分野で生産が
鈍化している。足下では、昨年来の通貨リンギ安による輸出競争力の向上を受けて中国をはじめとするアジア
新興国向け輸出は堅調な推移が続く一方、米国やEUなど先進国向け輸出が鈍化するなど跛行色も鮮明になる
なか、輸出の鈍化が生産の足かせとなる可能性はくすぶると考えられる。
図 11 MY 鉱工業生産の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
図 12 MY 実質輸出の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
以
上
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。