香港の発行体格付AA+[安定的]、短期債務a-1+を維持

NEWS RELEASE
2016年05月16日
【格付維持】
香港
外貨建発行体格付: AA+ [格付の方向性:安定的]
自国通貨建発行体格付:AA+ [格付の方向性:安定的]
外貨建短期債務: a-1+
自国通貨建短期債務: a-1+
格付投資情報センター(R&I)は上記の格付を公表しました。
【格付理由】
高度なビジネスインフラを備え、中国経済を後背地に持つ東アジアの貿易・金融拠点として経済基盤
は強固。中国本土との間の一国二制度に大きな綻びはみられない。独自の金融政策がとれず物価はやや
振れやすいが、所得水準の高さや柔軟な市場経済構造、金融セクターの健全性、財政面の対応余力など
を踏まえると、外部環境の急変に際しても経済の耐性は高いと評価している。ここ数年、低調な経済成
長が続いているが、現時点では成長の基盤が劣化したとは判断していない。財政面には綻びはみられな
いほか、水準こそ低下したものの経常収支は黒字を維持するなど対外面での強みも保持されている。
これら諸点に鑑み、外貨建及び自国通貨建発行体格付を維持した。格付の方向性は安定的。ただ、香
港経済の主要な後ろ盾である中国は、緩やかに経済成長を減速させる意向だ。人民元市場の動静や住宅
市場の動向など、経済成長への下方リスクも燻る。こうした過渡期を乗り越え成長率が回復していくか
注目していく。
実質国内総生産(GDP)成長率は2012-2015年平均で2.4%にとどまっている。2016年の見通しも、世
界経済の不確実性の高まりを受けて、政府は予算時点での見通しを1-2%とした。保守的な見通しは財
政面などでは歓迎できるが、低調さそのものは気掛かりだ。世界経済の不透明感の払拭とともに、中国
経済の全体的なサービス化が進む中で事業機会を拡大させ、成長力を保持していけるか注目だ。
低金利環境の中で長らく上昇してきた住宅価格は、2015年10月以降、下落に転じている。価格調整局
面に入ることは需給両面から予想されていただけにサプライズではないが、パニック的な価格調整が起
きれば、消費者心理の冷え込みから唯一堅調さを保っている民間消費に影響が出かねない。金融部門
は、これまでの規制強化によって相当程度の価格調整に備えているが、実体経済にどのような影響が出
てくるか、一定の注意が必要だろう。
財政黒字が続いており、過去の黒字の積み立てである財政準備金が厚いバッファーとなっている。債
務負担も非常に低く、総じて財政面での強さは際立っている。2015年度(2015年4月-2016年3月)の黒
字額は、公営住宅供給増に向けた住宅準備金への繰り入れ原資を確保したため、久々に予算時点での見
込み値を下回ったもようだ。2016年度は若干の黒字予算を組んだが、経済見通しや不動産市場の不透明
感が増しているだけに、財政への影響には一定の目配りが必要だ。
リーマンショック以降、経常収支はかつてのような黒字幅ではなくなっているものの、財政が健全な
うえ、固定為替相場制にとって対外収支が均衡に近いことは一概に悪いことではないだろう。ストック
ベース(国際投資ポジション)ではGDPの3倍以上の対外純資産を持っており、金融環境の変化にも耐性
は高い。現時点で、対外面が香港経済のリスク要因となる懸念は小さい。
R&Iでは、北京の中央政府による政治的な主張の強まりに際して、香港の自治に関して市民が覚える不
透明感は少しずつ高まっているとみている。2017年に予定される行政長官選挙などを軸に、デモなどが
行われる可能性は相応にあり、留意は必要だ。ただ、香港経済の基礎を成す一国二制度に綻びがでるよ
うな事態に至る懸念は現時点では小さく、信用力に影響を及ぼす可能性は低いと判断している。
■お問合せ先 :インベスターズ・サービス管理部 TEL.03-3276-3511 E-mail [email protected]
■報道関係のお問合せ先 :経営企画室(広報担当) TEL.03-3276-3438
株式
会社
格付投資情報センター
〒103-0027東京都中央区日本橋1-4-1 日本橋一丁目三井ビルディング http://www.r-i.co.jp
信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ
ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に
際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ
き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。
ⓒRating and Investment Information, Inc.
NEWS RELEASE
【格付対象】
発行者:香港
名称
格付
格付の方向性
外貨建発行体格付
AA+(維持)
安定的
自国通貨建発行体格付
AA+(維持)
安定的
名称
格付
外貨建短期債務
a-1+(維持)
自国通貨建短期債務
a-1+(維持)
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際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ
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NEWS RELEASE
信用格付に関わる事項
信用格付業者
登録番号
株式会社格付投資情報センター
金融庁長官(格付)第6号
直近一年以内に講じられた監督上の措置は、ありません。
主任格付アナリスト
関口 健爾
信用格付の付与について
代表して責任を有する者
細田 弘
信用格付を付与した日
2016年05月09日
主要な格付方法
ソブリンの格付の考え方 [2012.03.16]
上記格付方法は、格付を行うにあたり考慮した他の格付方法とともに以下のウェブサイトに掲載して
います。
http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/methodology/index.html
評価の前提は、以下のウェブサイトの格付付与方針に掲載しています。
http://www.r-i.co.jp/jpn/ratingpolicy/index.html
格付符号とその定義は、以下のウェブサイトに掲載しています。
http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/definition/index.html
格付関係者
香港
注 格付関係者は、金融商品取引業等に関する内閣府令第三百七条に基づいて、R&Iが判断したものです。
利用した主要な情報 政府を含む公的機関が作成した財政・経済資料
品質確保のための措置 政府を含む公的機関が作成した、またはそれに準じた信頼性が確保さ
れている資料であること。
情報提供者 -
信用格付の前提、意義及び限界
R&Iの信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定
通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見です。R&Iは信用格付によって、個々の債務等
の流動性リスク、市場価値リスク、価格変動リスク等、信用リスク以外のリスクについて、何ら意見
を表明するものではありません。信用格付は、いかなる意味においても、現在・過去・将来の事実の
表明ではありません。また、R&Iは、明示・黙示を問わず、提供する信用格付、又はその他の意見に
ついての正確性、適時性、完全性、商品性、及び特定目的への適合性その他一切の事項について、い
かなる保証もしていません。
R&Iは、信用格付を行うに際して用いた情報に対し、品質確保の措置を講じていますが、これらの
情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。R&Iは、必要と判断した場合に
は、信用格付を変更することがあります。また、資料・情報の不足や、その他の状況により、信用格
付を保留したり、取り下げたりすることがあります。
利息・配当の繰り延べ、元本の返済猶予、債務免除等の条項がある債務等の格付は、その蓋然性が
高まったとR&Iが判断した場合、発行体格付又は保険金支払能力とのノッチ差を拡大することがあり
ます。
信用格付に関わる留意事項
当該信用格付は、格付関係者からの依頼によるものではありません。
格付関係者から信用評価に重要な影響を及ぼす非公開情報は入手していません。
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ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に
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