2015/11/10

2016 年 5 月 16 日
日医工(4541)
担当 織田真由美
レーティング:
NEUTRAL(2015/11/10)→
OUTPERFORM
GE促進背景に業績堅調。株価下落で割安感あり、OUTPERFORMに引き上げ。
売上高
(百万円)
伸び率
(%)
営業利益
(百万円)
伸び率
(%)
経常利益
(百万円)
伸び率
(%)
純利益
(百万円)
伸び率
(%)
連 13/3
93,926
連 14/3
103,622
+10.3
連 15/3
127,021
+22.6
連 16/3
143,513
+13.0
連 17/3(予)
159,000
+10.8
株価(2016/5/16)
期末発行済み株式数(16/3 末)
期末自己株式数(16/3 末)
時価総額
企業価値(EV)
ROE(16/3 実績)
予想配当利回り
予想 PER
BPS(16/3 実績)
PBR
CFPS(16/3 実績)
PCFR
EV/EBITDA(16/3 実績)
8,229
7,383
9,619
12,910
14,200
2,360
60,662
880
143,164
144,892
14.1
1.3
15.0
1,377.53
1.7
118.7
19.9
8.7
-10.3
+30.3
+34.2
+10.0
円
千株
千株
百万円
百万円
%
%
倍
円
倍
円
倍
倍
8,470
7,085
9,615
12,289
14,200
-16.3
+35.7
+27.8
+15.5
5,129
4,588
6,592
11,031
9,000
-10.5
+43.7
+67.3
-18.4
EPS
(円)
128.14
104.75
110.26
184.45
157.37
1 株配
(円)
32.00
28.30
26.60
30.00
30.00
株価チャート(週足)
出所:日医工、ブルームバーグ、今村証券
注)2012 年 3 月期に連結決算日を 3 月 31 日に変更しているため、2013 年 3 月期について対前年同期増減率は記載されてい
ない。
2013 年 12 月にコミットメント型ライツ・オファリング(上場型新株予約権の無償割当)を実施している。
2016 年 3 月期連結決算は増収増益。厚生労働省の後発医薬品(ジェネリック医薬品。以下「G
E」
。)の利用促進策によって売上高が前期比 13.0%増と大幅に拡大したことが要因だ。とはいえ、
同業の沢井製薬(17.1%増収)、東和薬品(14.9%増収)に比べると伸び悩んだ印象があるのは、
長期収載品(特許が切れた先発品)の減少が要因だ(資料1参照)
。製品区分別の売上高をみる
と、GEが 18.1%増と伸長した一方で、長期収載品は 13.1%減となった。長期収載品はGEが発
売されている先発品であるだけに、GEと相反する関係にある。同社は先発メーカーからの委託
を受けて積極的に長期収載品を扱ってきたが、GEが伸びた一方で、長期収載品が減少、結果と
して他社に比べて売上高が伸び悩んだ。
利益面では増収効果に加え、数量拡大による調達コストの改善、外注費削減などの原価改善
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によって営業利益が 34.2%増益と期初予想の 125 億円から 4 億円余り上ぶれた。経常利益につい
ては、為替差損が 5 億 38 百万円発生したことで 27.8%増益となり、最終利益では資本提携解消
に伴う韓国バイネックス社株式の売却益 36 億 78 百万円の計上があったことで 67.3%増益となっ
た。この結果、営業利益、経常利益、当期純利益それぞれが過去最高益となった(資料2参照)。
GE市場は拡大を続けている。40 兆円を超える国民医療費の抑制は日本の財政において重要
な課題で、GEのシェアが 80%に上がれば医療費ベースで年 1.3 兆円、国・地方の支出ベースで
年 5000 億円の削減効果があるとされることから、GEの普及促進が図られている。2013 年 4 月
に掲げられた「平成 30 年(2018 年)3 月末までにGEの数量シェア 60%以上」という目標は、
2015 年 6 月の骨太の方針で、さらに進んで「2017 年央に 70%以上とするとともに、2018 年度か
ら 2020 年度までの間のなるべく早い時期に 80%以上とする」と新たな目標が設定された。政府
のGE普及促進を背景に 2015 年 9 月のGEの数量シェアは 56.2%と着実に向上しており(資料
4参照)、政府目標の達成に向けて今後も拡大が見込まれる。
GEの市場が拡大する一方、課題となっているのが供給だ。国内のGE供給は現在 550 億錠
余りだが、政府目標を達成するためには 1000 億錠が必要とみられ、GEメーカー各社は増産投
資を急いでいる。日医工では 3 年間で 305 億円を投じ、現在 108 億錠の総供給可能数量を 2019
年 3 月期に 185 億錠に、2021 年 3 月期に 210 億錠に倍増させる計画だ(資料5参照)
。沢井製薬
も 640 億円を投じ 2020 年度までに 180 億錠体制に拡大する計画で、東和薬品でも供給能力をほ
ぼ倍増する計画を立てている。
GE普及の先を睨んで日医工が注力しているのがバイオシミラー(バイオ医薬品の後続品)
だ。今後 3 年間の開発投資総額 225 億円のうち 73 億円をバイオシミラーの開発に投じる。バイ
オシミラーは先発バイオ医薬品と同等・同質であることが要求され、開発コストが高いことから
他のGEメーカーは取り組んでいないが、日医工では開発を進めている。既に 2015 年 9 月にリ
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ウマチ薬の「インフリキシマブ」の製造販売承認を厚生労働省に申請しており、2018 年には米
国でも承認申請する予定だ。さらに乳がん治療薬の「トラスツズマブ」や抗がん剤の「リツキシ
マブ」の開発も進めている。今後、バイオ医薬品の主要特許切れが相次ぐ中で、バイオシミラー
が同社の次なる成長のけん引役となることが期待される。
業績は拡大基調が続くと見られる。増産投資によって今期、来期は 2 割程度の生産能力の拡
大が見込まれ、薬価改定を見込んでも 1 割程度の増収基調が続きそうだ。減価償却費の増加によ
って増益率は鈍化が見込まれるものの、来期の EPS は 180 円程度が期待できそうだ。
株価は 2015 年 8 月に 4,720 円の上場来高値をつけた後、下落基調を続け、足元の株価は年初
来安値圏にある。来期の EPS を 180 円程度とすると、足元の株価には割安感が出てきているとみ
られることから、投資判断をOUTPERFORMに引き上げる。
(参考)GE大手各社のバリュエーション(株価は 5 月 16 日終値)
直近株価
4541
日医工
2,360
4553
東和薬品
4,890
4555
沢井製薬
7,450
売上高 伸び率 営業利益 伸び率 経常利益 伸び率 純利益 伸び率
(百万円) (%) (百万円) (%) (百万円) (%) (百万円) (%)
EPS
(円)
配当金
(円)
BPS
(円)
143,513
13.0
12,910
34.2
12,289
27.8
11,031
67.3
184.45
30.00 1,377.53
159,000
10.8
14,200
10.0
14,200
15.5
9,000
-18.4
157.37
30.00
82,115
14.9
11,134
0.3
10,157
-34.2
7,684
-30.9
462.57
95.00 4,304.37
93,500
13.9
10,500
-5.7
10,350
1.9
7,450
-3.1
454.18
95.00
123,492
17.1
23,185
12.1
23,025
11.7
17,155
22.1
465.57
120.00 3,405.20
143,000
15.8
25,000
(上段は2016年3月期実績、下段は2017年3月期見通し)
7.8
24,700
7.3
18,500
7.8
502.05
130.00
予想
PER
(倍)
予想
配当
利回り
1.7
15.0
1.3%
10.8
1.9%
14.8
1.7%
1.1
2.2
---------------------------------------------------------------------------------------------------------アナリストによる証明
本資料に示された見解は、言及されている発行会社とその発行会社等の有価証券について、各アナリストの個人的見解
を正確に反映しており、さらに、アナリストは本資料に特定の推奨または見解を掲載したことに対して、いかなる報酬
も受け取っておらず、今後も受け取らないことを認めます。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------レーティングの定義
O U T P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超上回ると予想される。
N E U T R A L:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。
U N D E R P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超下回ると予想される。
トータルリターン:株価変動率+配当利回り
目標株価は 12 ヵ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------本資料に記載された意見及び予想は、記載された日付における今村証券の判断であり、これらは予告なく変更される場
合があります。今村証券は本資料の記載された日付以降に内容の変更・修正を行う義務を負いません。本資料はお客様
への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券売買に関する申込または勧誘を意図するものではなく、お
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とって適切であると表明するものでもありません。投資に関する最終決定はあくまでもお客様ご自身の判断でなさいま
すようお願い申し上げます。
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PBR
(倍)
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