みずほ総合研究所株式会社 コンサルティング部 03-3591-7211 Copyright©みずほ総合研究所 2016 無断転載を禁ず みずほ総研コンサルティングニュース 2016.5 Mizuho Research Institute Consulting News win-win へ導く総合 M&A 支援 ~中堅・中小企業 M&A の事業計画策定からクロージング支援まで~ 1. 中堅・中小企業M&Aの現状 大企業が M&A を行う場合、一般的には買い手と売り手 の双方がファイナンシャル・アドバイザー(以下、FA) を立てて交渉を進めます(図1)。一方、中堅・中小企 業の場合は、FA を立てずに直接交渉することがありま す。これは、買い手と売り手のトップ同士が親しい間柄 で M&A を実施する方向性はある程度話がまとまってい る、あるいは心情的・コスト的に双方が FA を立てたく ない、といったことが背景と考えられます。 しかし、そのようなケースでは失敗も多々あるようで す。買い手と売り手の情報の非対称性に起因し、買い手 が後でこんなはずではなかったと後悔し、結果的に両者 の良好な関係にヒビが入ったり、そもそも妥当な取引価 格や条件を見出せないことも、往々にしてあります。 このような状況に陥らないためには、両者が win-win な結果となるよう、買い手・売り手の双方の間に立ち、 偏らない立場で将来の事業戦略まで踏み込んだ対応を 行う総合的な M&A 支援が有効です(図2)。また、支援 では、①事業の深掘りと、②クロージングに向けた不安 の払拭――の2つがポイントとなります。 【図1. 一般的なM&A取引のイメージ】 A [買い手] FA FA 株式 収益性 財産 B [売り手] リスク 【図2. 本紙にて説明するM&A取引のイメージ】 A [買い手] 弊社 事業の深堀 買い手 の考え 収益性 株式 財産 売り手の 心情 B [売り手] リスク 2. 事業の深掘り 事業の深掘りでは、株式価値の算定根拠となるのは対 象企業の事業計画です。事業計画は、将来の話なので唯 一の正解はありませんが、そうかといって何の検討も行 わないまま直近期の数値だけを使って価値算定をすれ ば、買い手は「直近期はたまたま良かっただけで将来は もっと厳しい」と主張し、売り手は「たまたま悪かった だけで将来はもっと伸びるはず」と反論するなど、双方 から異論が出ることになるでしょう。 この直近期の数値が妥当かどうかを知るためには、事 業戦略策定と同じように、対象会社が置かれている外部 事業環境や対象会社の状況を丁寧に分析する必要があ ります。合わせて、通常の事業戦略策定と比べて非常に 短期間で、その要素を分解して全体像を明らかにするこ とが必要です。そのためにはコア・ノンコアの事項を的 確に見極めて影響度を分析し、事業計画に反映させます。 事業を深掘りして分析したデータを基礎とする事業計 画は、客観的な数値に基づくので、買い手・売り手から 見ても概ね納得できる計画になります。さらに、そこか らもう一歩踏み込んで、事業戦略としての意思を盛り込 み M&A 取引後の経営をより見据えた形にしていくケース も、実際に支援を行うなかでよくあります。例えば、M&A 取引後も売り手のオーナー経営者がしばらく経営を担う ことが想定されるケースでは、その経営者の将来計画が 少し強めであっても尊重し、その代わりにその事業計画 を経営者がコミットする数値として扱うといった取り決 めを行う場合もあります。 このように買い手・売り手の双方が概ね納得できるた めに、客観的なデータに加え、必要に応じてそれぞれの 意思も事業戦略という形で盛り込みながら事業計画を策 定していくことで、単に数値計画を作るだけでなく、契 約交渉で話し合えるポイントを明確にしていきます。 3. クロージングに向けた不安の払拭 クロージングに向けた条件交渉では、買い手・売り 手の双方が取引リスク、言い換えれば不安を和らげよ うと条件を思案します。 この条件交渉中の不安については、買い手と売り手 がともに、直接相手方へ伝え難いとか、確認し難いと いったことも多々あるように感じますが、第3者が介 在することで情報伝達や確認をスムーズに行うことが でき、結果として双方の不安の払拭につながります。 合わせて、私たちが客観的な第3者として交渉を支援 する中で見えてくることを伝えることが、双方の不安 払拭の材料になると考えます。 4. 弊社コンサルタントが介在する意義 企業の全社戦略・事業戦略の策定支援を専門的に行う 弊社が M&A の実行を支援することは、ビジネスを深掘り し、その構造・動き・リスク等を全体的に把握しながら 事業価値を適切な形で捉えることに寄与できると考えま す。また、法務や税務などの専門家と協業する一方、コ ンサルタントのノウハウに基づいて取引実行に係る工程 管理を実施することで総合的なサービスを提供します。 M&A は個別の事情があります。その事情に即した提案 をしていますので、お気軽にお問い合わせください。ま た、これから M&A を考えたいという場合も、ぜひご相談 ください。 みずほ総合研究所 コンサルティング部 主任コンサルタント 中村宏之 [email protected]
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