関東地域経済の動向 (平成 28 年 1-3 月期調査) 平 成 2 8 年 4 月 関 東 経 済 産 業 局 (1)全体の動向 関東地域の経済は、緩やかに改善している。 ○生産は一進一退で推移している。輸送機械は国内の軽を含む乗用車で販売が低調なものの、 海外向けでは北米向けが好調に推移。工作機械は国内需要は堅調を持続するとの見方が強い ものの、中国・アジア方面での需要は低迷している。なお、北米向けは自動車用を中心に堅 調。素材産業のうち、鉄鋼業は国内外の鋼材需要が低迷しており、引き続き生産調整が続い ている。 ○設備投資は持ち直している。製造業では、設備の維持修繕を行うという声が中心であるが、生 産能力の増強を目的とした設備投資を次期以降にも計画しているという声も目立った。一方、 近年の積極的な設備投資の結果、次期以降の投資は控えるという声も一部で聞かれた。非製造 業では、情報サービス業を中心に積極的な設備投資を行うとの声が聞かれた。小売業において は、新規店舗出店の声が聞かれる一方、人件費や建設コストの上昇に伴い予定通りに出店を進 められないという声も聞かれた。 ○雇用情勢は改善している。製造業では、人材の不足感がみられ、新卒者や経験者などの積極的 な採用の動きがみられる。一方で、雇用情勢の改善に伴い、中小企業を中心に人材の確保が難し い状況にある。また、女性活用の動きもみられる。非製造業では、技術者や、小売業での店舗販 売員等に不足感があり、今後も継続するとの見方が強い。 ○個人消費は一部に弱い動きがみられるものの持ち直している。百貨店では、暖冬により冬物衣 料が不振であるが、高額商品やインバウンドの売上は堅調に推移している。乗用車販売は一部 で新車販売効果があるものの、軽乗用車を中心に不振が続いている。コンビニエンスストアは リニューアル商品等が好調なことなどから売上は好調。国内旅行は引き続き好調であり、訪日 外国人客は増加傾向。今後については、消費マインドの低下を指摘する声がある。 (2)個別の動向 ○生産は一進一退で推移している(→)。輸送機械は国内の軽を含む乗用車で販売が低調なも のの、海外向けでは北米向けが好調に推移。工作機械は国内需要は堅調を持続するとの見 方が強いものの、中国・アジア方面での需要は低迷している。なお、北米向けは自動車用 を中心に堅調。素材産業のうち、鉄鋼業は国内外の鋼材需要が低迷しており、引き続き生 産調整が続いている。 (各論) ・輸送機械関連産業では、軽乗用車において、軽自動車税増税の余波で国内市場の低迷が続き、 国内向け海外向けともに生産が低調に推移している。乗用車は、海外向け販売が引き続き好調 で、生産が増加している。特に、北米が堅調であることから、一部の企業ではフル生産が続い ており、海外生産の一部不足分を国内生産で補完している。トラックは、国内向け及び海外(北 米)向け生産が引き続き堅調に推移する一方、新興国向け販売は厳しい状況である。関連産業 では、北米向けが好調に推移する一方、中国経済の減速の影響により中国向け受注の減少が見 られる。 ・電子部品・電気機械・一般機械では、電子部品は、中国、東南アジア向けはスマートフォン 用を中心に受注が減少しているものの、北米向けは自動車関係用が堅調。一般機械は、土木建 設用機械で、国内のショベル系掘削機械等の排ガス規制に伴う駆け込み需要の反動減があるも のの、北米や欧州向け輸出が好調である。工作機械は、国内向けで需要が堅調に持続との見方 が強いものの、中国経済の減速の影響により中国・アジア方面での需要が低迷している。なお、 北米向けは自動車関係を中心に引き続き堅調に推移している。 ・素材産業(鉄鋼・化学)では、鉄鋼業は、国内が依然として低調に推移している。海外につ いては、中国を始めとする新興国経済の減速による自国需要の減少から高水準な鋼材輸出が続 き、東南アジアを中心に供給過剰が続き、世界的な需給緩和が更に進んでいる。このため、鉄 鋼業は国内外の鋼材需要が低迷しており、引き続き生産調整が続いている。化学では、国内メ ーカーにおいて、原油価格の下落による基礎原料(ナフサ価格)の低下分を化学製品の価格に 1 反映したことから売上は減少したものの、アジアの市況が高止まっていることから、収益は引 き続き好調に推移している。海外は輸出が引き続き好調に推移しているが、今後については中 国を始めとする新興国の経済減速の影響を懸念する声も一部にある。 ○設備投資は持ち直している。(→)製造業では設備の維持修繕を行うという声が中心であるが、 生産能力の増強を目的とした設備投資を次期以降にも計画しているという声も目立った。また、 その一方で、近年の積極的な設備投資の結果、次期以降の投資は控えるという声も一部で聞か れた。非製造業では情報サービス業を中心に積極的な設備投資を行うとの声が聞かれた。また、 小売業においては新規店舗出店の声が聞かれる一方、人件費や建設コストの上昇に伴い予定通 りに出店を進められないという声も聞かれた。 (各論) 製造業 ・製造業は、大企業・中小企業とも設備の維持・更新などを中心に実施するという回答が引き続 き多かった。また、生産能力等の増強を今後も行うという声がある一方で、近年設備投資を積 極的に行った結果当面は投資を見送るという声も目立った。 ・今期に積極的な変更を行ったと回答した企業のうち、引き続き積極的な設備投資を予定してい る企業は一部であり、次期以降は設備投資を控えるという声が聞かれた。 ・大企業、中小企業とも業績の悪化や先行きの不透明感から消極的な設備投資の変更を行うとい う声が聞かれた。 非製造業 ・非製造業に関しては情報サービス業を中心に積極的な設備投資を行うとの声が聞かれた。また、 小売業においては新規店舗出店の声が聞かれる一方、人件費や建設コストの上昇に伴い予定通 りに出店を進められないという声も聞かれた。 ○雇用情勢は改善している。 (→)製造業では、人材の不足感がみられ、新卒者や経験者などの積 極的な採用の動きがみられる。一方で、雇用情勢の改善に伴い、中小企業を中心に人材の確保 が難しい状況にある。また、女性活用の動きもみられる。非製造業では、技術者や、小売業で の店舗販売員等に不足感があり、今後も継続するとの見方が強い。 (各論) 製造業 ・ 「輸送機械」では、技術職の積極的な採用の動きがみられ、また、期間従業員を継続して採用し ていくという声があった。 「輸送機械」以外では、人材の不足感があり、新卒者や経験者などの 積極的な採用の動きがみられる。一方で、雇用情勢の改善に伴い、中小企業を中心に人材の確 保が難しい状況にある。また、社内調整による人員補充や女性活用の動きもみられる。 非製造業 ・ 「工事業」 ・ 「企業向けサービス業」は引き続き、技術者を中心に不足感があり、新卒者や経験者 などの積極的な採用の動きがみられる。 「小売業」 ・ 「消費者向けサービス業」はパート従業員、アルバイトが不足の状況。人材の確保が 難しいという声が多く聞かれた。 ○個人消費は一部に弱い動きがみられるものの持ち直している。(↓)百貨店では、暖冬により 冬物衣料が不振であるが、高額商品やインバウンドの売上は堅調に推移している。乗用車販売 は一部で新車販売効果があるものの、軽乗用車を中心に不振が続いている。コンビニエンスス トアはリニューアル商品等が好調なことなどから売上は好調。国内旅行は引き続き好調であ り、訪日外国人客は増加傾向。今後については、消費マインドの低下を指摘する声がある。 (各論) ・百貨店では暖冬によりコート等の冬物衣料が不振、一方で高額商品やインバウンドの売上は堅 調に推移している。スーパーでは、健康によい商品は高価格帯でも売れる傾向があるものの、 消費者の目は厳しく、先行き不安に対する消費マインドの低下を懸念。 ・ホームセンター、大手雑貨店は、暖冬の影響を受け暖房用品等冬物商材の販売が低調。イン バウンド需要は堅調であるものの、一服感がでているとの声もある。 2 ・乗用車販売は、軽乗用車を中心に不振が続いている。 ・家電量販店は、冷蔵庫、洗濯機等の白物家電は好調。テレビは4Kの単価上昇により、全体 を押し上げた。理美容家電の売上にも動きが見られる。消費者の購入意欲は低いものの、今夏 は暑くなる予報なので、エアコン等の売上げの増加を期待する声がある。 ・コンビニエンスストアは、キャンペーンの効果や、リニューアル商品が好調なことなどから 売上は好調、付加価値の高い商品への需要も見られる。インバウンド需要も好調であるが、全 体に占める割合は低い。 ・外食チェーン店は、高価格業態が好調との声もあるが、アルコール離れや少子高齢化により マーケットが縮小している。 ・住宅販売は、東京都心のマンションが富裕層向けで好調であるが、マンション価格の高騰で、 郊外や駅から離れているマンションは不調。 ・観光は国内旅行は地域的な差異が見られるものの引き続き好調。訪日外国人客は増加、今期は 春節の時期と重なり中華圏からの訪日客が特に増加している。一方で、言葉の面等から外国人 の受け入れ体制に不安との声もある。海外旅行は政情不安から欧州方面を中心に引き続き不 調。次期はGWの並びが良いので、増加の見込み。 3
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