関東地域経済の動向

関東地域経済の動向
(平成 28 年 4-6 月期調査)
平 成 2 8 年 7 月
関 東 経 済 産 業 局
(1)全体の動向
関東地域の経済は、一部に弱い動きがみられるものの、緩やかに改善している。
○生産は弱含みで推移している。輸送機械は海外向けが好調であるものの、軽を含む乗用車の国内
向け販売が低調であることから、生産はやや低調に推移している。電子部品はスマートフォン向
けで需要が鈍化傾向にあり、アジアや新興国を中心に市況が悪化している。一方、一般機械では、
自動車向けや液晶パネル向けの工作機械の需要が堅調に推移している。鉄鋼業は国内外の鋼材需
要が低迷しており、引き続き生産調整が続いている。また、円高による今後の影響を懸念する声
が聞かれた。
○設備投資は持ち直している。製造業においては、大手企業を中心に生産能力の増強など積極的
な投資を行うという声がある一方で、中小企業を中心に今年度の設備投資は控えるという声が聞
かれた。非製造業においては、情報通信業や大手小売業を中心に設備の増強や新規出店などへ積
極的に投資を行うという声が聞かれた。また、製造業、非製造業共に生産性向上のための機械化
や省力化を進めるとの声が聞かれた。
○雇用情勢は改善している。製造業では、人材の不足感がみられ、技術職や経験者などの積極的
な採用の動きがみられる。一方で、雇用情勢の改善に伴い、中小企業を中心に人材の確保が難し
い状況にある。非製造業では、技術者や、小売業での店舗販売員等に不足感があり、今後も継続
するとの見方が強い。また、製造業、非製造業ともに女性活用の動きもみられる。
○個人消費は一部に弱い動きがみられるものの、緩やかに持ち直している。百貨店では衣料品の
売上が低迷している。特にボリュームゾーンの中間層の売上げが低迷。スーパーでは、必要な商
品しか購入しないといった声が聞かれた。訪日外国人の客単価は減少。中国の関税引き上げもあ
り、高額品の免税売上の減少が大きい模様。乗用車販売は一部で新車効果がでているものの、燃
費不正問題等から軽乗用車では不振が続いている。家電量販店では、暑い日が続いたことから、
エアコンや扇風機等が好調。コンビニエンスストアはネット通販のコンビニ受取が順調。カウン
ター商材やお弁当類などが好調で、スーパーからお客が流れてきている。旅行・観光は、円高と
燃料サーチャージ0により、海外旅行の増加が期待される。訪日外国人数は増加傾向が続いてい
る。
(2)個別の動向
○生産は弱含みで推移している(↓)。輸送機械は海外向けが好調であるものの、軽を含む乗用
車の国内向け販売が低調であることから、生産はやや低調に推移している。電子部品はスマー
トフォン向けで需要が鈍化傾向にあり、アジアや新興国を中心に市況が悪化している。一方、
一般機械では、自動車向けや液晶パネル向けの工作機械の需要が堅調に推移している。鉄鋼業
は国内外の鋼材需要が低迷しており、引き続き生産調整が続いている。また、円高による今後
の影響を懸念する声が聞かれた。
(各論)
・輸送機械関連産業では、普通乗用車の海外向け販売が好調であるものの、軽乗用車の国内向
け販売が低調であることから、生産はやや低調に推移している。北米向けが好調なことから、
フル生産を続けている企業も見られる。その一方、熊本地震、燃費不正問題や部品メーカーの
爆発事故の影響から生産が減少した企業も少数であるが散見される。トラックは、中近東向け
を中心に出荷が減少した。また、円高による今後の影響を懸念する声が聞かれた。
・電子部品・電気機械・一般機械では、電子部品はスマートフォン向けで需要が鈍化傾向にあ
り、アジアや新興国を中心に市況が悪化している。一般機械は、中国経済の減速の影響や円高
による需要の減退感があるものの、自動車向けや液晶パネル向けの需要が堅調に推移してい
る。また、建設機械関連の動きが鈍いという声もあった。
・素材産業(鉄鋼・化学)では、鉄鋼業は国内向けで自動車、建設分野向けの需要が依然とし
て低調に推移している。海外については中国経済の減速による自国需要の減少で、輸出を拡大
していることから、
東南アジアを中心に供給過剰が続き、鋼材需給のバランスが悪化している。
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このため、鉄鋼業では引き続き生産調整が続いている。化学は国内外の石油化学関連製品の市
況が堅調に推移し、設備稼働率は高水準。しかし、円高の影響を受け、国内メーカーの収益に
大きな変動は見られない。
○設備投資は持ち直している。(→)製造業においては、大手企業を中心に生産能力の増強など
積極的な投資を行うという声がある一方で、中小企業を中心に今年度の設備投資は控えるとい
う声が聞かれた。非製造業においては、情報通信業や大手小売業を中心に設備の増強や新規出
店などへ積極的に投資を行うという声が聞かれた。また、製造業、非製造業共に生産性向上の
ための機械化や省力化を進めるとの声が聞かれた。
(各論)
製造業
・前年度より設備投資額が増えるものの設備の維持・更新が中心であるという声がある一方で、
大企業を中心に生産能力の増強や研究開発・成長分野向けの投資を行うとの声が聞かれた。
・手作業を自動化するなど、省力化を進めるための設備投資を行うという声も一部で聞かれた。
・中小企業を中心に、前年度までの設備投資が一段落したことにより、今年度の設備投資額は減
少するとの声が聞かれた。
・生産性の向上や機械化を進めるための投資を行うという声も聞かれた。
非製造業
・投資が一巡したため本年度の設備投資は控えるという声がある一方で、情報通信業や大手小売
業を中心に新規出店や設備の増強などへ積極的に投資を行うという声が聞かれた。
・生産性の向上や機械化を進めるための投資を行うという声も聞かれた。
○雇用情勢は改善している。(→)製造業では、人材の不足感がみられ、技術職や経験者などの
積極的な採用の動きがみられる。一方で、雇用情勢の改善に伴い、中小企業を中心に人材の確
保が難しい状況にある。非製造業では、技術者や、小売業での店舗販売員等に不足感があり、
今後も継続するとの見方が強い。また、製造業、非製造業ともに女性活用の動きもみられる。
(各論)
製造業
・
「輸送機械」では、期間従業員や派遣労働者を採用する動きがみられた。
・
「輸送機械」以外では、人材の不足感があり、技術職や経験者などの積極的な採用の動きがみ
られる。
・雇用情勢の改善に伴い、中小企業を中心に人材の確保が難しい状況にある。また、社内調整に
よる人員補充や女性活用の動きもみられる。
非製造業
・
「工事業」
・
「企業向けサービス業」は引き続き、技術者を中心に不足感があり、新卒者の積極
的な採用の動きがみられる。
・
「小売業」
・
「消費者向けサービス業」はパート従業員、アルバイトが不足の状況。人材の確保
が難しいという声が多く聞かれた。また、女性活用の動きもみられる。
○個人消費は一部に弱い動きがみられるものの、緩やかに持ち直している。(↓)百貨店では衣
料品の売上が低迷している。特にボリュームゾーンの中間層の売上げが低迷。スーパーでは、
必要な商品しか購入しないといった声が聞かれた。訪日外国人の客単価は減少。中国の関税引
き上げもあり、高額品の免税売上の減少が大きい模様。乗用車販売は一部で新車効果がでてい
るものの、燃費不正問題等から軽乗用車では不振が続いている。家電量販店では、暑い日が続
いたことから、エアコンや扇風機等が好調。コンビニエンスストアはネット通販のコンビニ受
取が順調。カウンター商材やお弁当類などが好調で、スーパーからお客が流れてきている。旅
行・観光は、円高と燃料サーチャージ0により、海外旅行の増加が期待される。訪日外国人数
は増加傾向が続いている。
(各論)
・百貨店では衣料品の売上が低迷。ボリュームゾーンである中間層の売上の低迷が続いている。
訪日外国人の客単価は減少。中国の関税引き上げもあり、高級腕時計等の免税売上の減少が大
きい。
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スーパーでは、健康によい商品は高価格帯でも売れる傾向があるものの、必要な物しか買わな
いといったシビアな状況が続いている。
・ホームセンター、大手雑貨店は、近年流行のキャンプ・アウトドア関連商品の売上が前年を
下回っている。インバウンド需要は頭打ちになりつつあるとの声がある。
・乗用車販売は、一部で新車販売効果がでているものの、燃費不正問題等から軽乗用車は不振
が続いている。
・家電量販店は、当期間中に暑い日が続いたこともあり、エアコンや扇風機等の季節商材が好
調に推移している。消費マインドの低下から、家電製品は故障などでどうしても必要な場合の
買い換えが多いと思われる。一方で、高付加価値商品への購入意欲は高い。売れ筋はエアコン、
高級ドライヤー等の理美容器具等。インバウンド需要は、ひと頃の炊飯器爆買いから、ドライ
ヤー、マグボトル等へ対象商品が変わってきている。
・コンビニエンスストアは、ネット通販のコンビニ受取が順調。人気アニメとのコラボや、キ
ャンペーン等が好調。カウンター商材やお弁当類等を、コンビニ・ファーストフード・スーパ
ー等の小売業間でパイを奪い合っている状況になっており、スーパーやファーストフードから
客が流れてきているものの、逆に流出する可能性もある。
・外食チェーン店は、景気動向や世間の雰囲気が消費者心理に大きく影響を与えており、株価
の低迷などにより、節約志向、低価格志向の傾向が特に見られるようになったとの声がある。
アルコール離れや少子高齢化によりマーケットが縮小している。
・住宅販売は、新築マンションは、都心の一等地では好調であるが、その他の地域ではマンショ
ン価格の高騰により消費者が購入できない状況。マイナス金利の影響は小さい。
・観光は、円高や燃料サーチャージ0が好材料となっている。訪日外国人客の増加傾向は続いて
いる。
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