結節性硬化症の患者さんを 対象とした第III相試験にお

ノバルティス ファーマ株式会社
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MEDIA RELEASE • COMMUNIQUE AUX MEDIA • MEDIENMITTEILUNG
2016年4月22日
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2016年4月20日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳
(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については英語が優先されます。
英語版はhttp://www.novartis.comをご参照ください。
ノバルティスの「アフィニトール®」、結節性硬化症の患者さんを
対象とした第III相試験において、てんかん発作を大幅に軽減
•
エベロリムスは、前向き無作為化第 III 相試験において結節性硬化症(TSC:
tuberous sclerosis complex)に伴うてんかん発作のある患者さんに対し、臨床的
に有意な発作コントロールを示した最初の併用治療薬 1
•
てんかん発作は TSC 関連の神経学的症状で最も多い症状だが、患者さんの約
60%が現在用いられている抗てんかん薬で発作コントロールを実現できてい
ない 2
•
米国神経学会での発表結果に基づき、世界各国で保健当局との承認申請のため
の協議を行う予定
2016年4月20日、スイス・バーゼル発 – ノバルティスは、「アフィニトール®*(一般名:
エベロリムス)」を併用治療薬として使用した場合、結節性硬化症(TSC)に伴う薬剤抵
抗性のてんかん発作が、プラセボと比較して有意に軽減されることを示す第III相試験の結
果を発表しました 1 。治験に参加したすべての患者さんは、1~3種類の抗てんかん薬
(AED:Anti-Epileptic Drug)を服用していました1。EXIST-3(EXamining everolimus In a
Study of TSC)試験の結果は、米国神経学会(AAN:American Academy of Neurology)
の第68回年次総会の全体会において発表されています(抄録 #32430、午前9:00~11:00
(太平洋標準時))1。
本試験の治験責任医師を務めた、米国ニューヨーク大学ランゴンメディカルセンター神経
科のジャクリーン・A・フレンチ医学博士(Jacqueline A. French, MD, department of
neurology, NYU Langone Medical Center)は次のように述べています。「TSCの患者さん
の約85%が生涯のいずれかの時点でてんかんを発症しますが、そのうち約3分の2が現在用
いられている治療薬で発作コントロールを実現できておらず、神経精神学的異常、認知障
害、社会適応障害または学習障害などの深刻な症状がもたらされる可能性があります。本
試験は薬剤抵抗性のてんかん発作に苦しむTSCの患者さんに対する特異的効果を実証する
最初の臨床試験であり、これは大変有望な結果です」
本試験では、薬剤抵抗性の発作が認められるTSC患者366名を、エベロリムスを開始用量
から低トラフ濃度(LE群、3~7 ng/mL、n=117)または高トラフ濃度(HE群、9~15 ng/mL、
n=130)まで増量する投与群、プラセボ群(n=119)に無作為に割付けました。ベースラ
インからの発作減少率(中央値)は、LE群(29.3%、P=0.003;信頼区間[CI]=95%)およ
びHE群(39.6%、P<0.001;CI=95%)の方がプラセボ群(14.9%;CI=95%)より有意に
高くなりました。発作頻度が50%以上減少した患者さんの割合)もLE群(28.2%、P=0.008;
CI=95%)およびHE群(40.0%、P<0.001;CI=95%)の方がプラセボ群(15.1%;CI=95%)
*欧州連合(EU)およびスイスにおいて、 Votubia® (エベロリムス)は結節性硬化症(TSC)に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫(SEGA)
および腎血管筋脂肪腫の治療薬として知られています
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より有意に高くなりました。LE/HE群とプラセボ群で最も発現頻度の高かった(≥20%)
有害事象は、口内炎(28.2%/30.8% vs 3.4%)、口腔内潰瘍形成(23.9%/21.5 % vs 4.2%)、
下痢(17.1%/21.5% vs 5.0%)でした。報告された重篤な有害事象は13.7%/13.8% vs 2.5%
でした。
ノバルティス オンコロジー事業部グローバル開発およびメディカルアフェアーズ責任者
であるアレッサンドロ・リバ(Alessandro Riva, MD, Global Head, Novartis Oncology
Development and Medical Affairs)は次のように述べています。「長年にわたり、TSCの患
者さんの薬剤抵抗性のてんかん発作をコントロールする治療法を探す必要性がありました。
EXIST-3の試験の結果によりエベロリムスにその可能性があることが示されたことは大変
勇気づけられることです。過去10年にわたり、ノバルティスはTSCコミュニティのために
取り組んできました。患者さんの治療を向上させ、私たちが望む研究を実施することによ
り、最も身体を衰弱させるTSC症状の治療の実現に向けて前進していきます」
結節性硬化症は稀な遺伝性疾患であり、患者数は世界で最大100万人です。エベロリムス
は、TSCの患者さんの良性の脳腫瘍および腎臓腫瘍の治療を適応とする唯一の非外科的治
療選択肢です3,4,5。EXIST-3試験の結果、エベロリムスはTSCの患者さんにおいて臨床的に
有意な発作コントロールを示す最初の併用治療薬となりうることを示唆しており、この結
果は世界各国の保健当局との協議のベースとなります1。
エベロリムスは、複数の細胞機能を調節するタンパク質である哺乳類ラパマイシン標的タ
ンパク質(mTOR)を阻害することによって作用します。TSCは、TSC1遺伝子またはTSC2
遺伝子の変異によって引き起こされ、mTOR経路のシグナル伝達が異常に活発になり、細
胞の成長および増殖の増大、神経細胞の興奮性亢進、皮質構造およびネットワーク機能の
異常、およびシナプス可塑性の異常へとつながります6,7。前臨床試験では、異常に活発な
mTOR 活性が、脳でのてんかんを発症プロセスに寄与するてんかん原生の種々のメカニ
ズムに影響を与える可能性があることが示唆されています8。
EXIST-3試験の詳細
EXIST-3試験は、薬剤抵抗性のてんかん発作(2種類のAEDを服用しているにもかかわらず
継続する発作として定義)が認められたTSC患者を対象に、併用治療薬としての高用量お
よび低用量のエベロリムスの有効性および安全性を検討する、無作為化二重盲検プラセボ
対照三群比較第III相試験です。本試験では、無作為化前の2カ月の評価期間に少なくとも4
週間前から1~3種類のAEDを固定用量にて継続して服用していた、TSCと診断された男女
の患者(2.2~56.3歳)を組み入れました1。
本試験の主要目的は、1~3種類のAEDを服用しているTSC患者の発作回数の減少を指標と
して、併用薬としてのエベロリムスの有効性をプラセボと比較検討し評価することでした。
副次目的には、治療期間に発作が消失した患者さんの割合や発作頻度の変化を評価するこ
とが含まれています。
エベロリムスLE/HE群とプラセボ群で最も多く認められた(発現率10%以上)全グレード
の有害事象は、
口内炎
(28.2%/30.8% vs 3.4%)、口腔内潰瘍形成(23.9%/21.5% vs 4.2%)、
下痢(17.1%/21.5% vs 5.0%)、鼻咽頭炎(13.7%/16.2% vs 16.0%)、上気道感染(12.8%
/15.4% vs 12.6%)、アフタ性潰瘍(4.3%/14.6% vs 1.7%)、発熱(19.7%/13.8% vs 5.0%)、
嘔吐(12.0%/10.0% vs 9.2%)、咳(11.1%/10.0% vs 3.4%)および発疹(6.0%/10.0%
vs 2.5%)でした1。
結節性硬化症について
結節性硬化症(TSC:Tuberous sclerosis complex)により、脳、腎臓、心臓、肺および皮
膚などの重要な器官に良性の腫瘍が形成されるほか、てんかん、自閉症、認知障害、行動
障害および精神障害などの症状が生じる場合があります。TSCの多くの患者さんが、生後1
年で疾患の兆候を示しますが、その兆候は人によって異なり、発症するまで数年かかる場
合があるため、多くの子どもたちが後年、発作、皮膚病変、発育遅延などの重大な症状が
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認められて初めて診断されます。TSCは生涯にわたっての疾患であるため、2012年に発行
された最新の専門的診断ガイドラインでは、腫瘍の増大や新しい症状を早期に特定するた
め、この疾患について経験を有する医師が患者さんを観察するよう提言しています6,9。
エベロリムスについて
欧州連合(EU)において、エベロリムスは、合併症のリスク(腫瘍の大きさや動脈瘤の有
無、多発性または両側性腫瘍の有無などの因子に基づく)はあるが早急に手術を必要とし
ない結節性硬化症(TSC)に伴う腎血管筋脂肪腫の成人患者さんの治療薬Votubia®として
承認されています。この根拠は、腎血管筋脂肪腫容積の合計の分析に基づいています。ま
たEUにおいてVotubiaは、治療的介入を必要とするが手術に適していない、TSCに伴う上
衣下巨細胞性星細胞腫の患者さんの治療も適応としています。この根拠は、SEGA容積の
変化の分析に基づいています。疾患関連の症状の改善など、その他の臨床的ベネフィット
はまだ実証されていません。
米国において、エベロリムスは、早急に手術を必要としない腎血管筋脂肪腫およびTSCの
成人患者さんの治療薬「アフィニトール®」として承認されています。また米国では、「ア
フィニトール」錠およびAfinitor Disperz™ は、治療的介入を必要としているが根治切除不
能なTSCの小児患者さんおよび成人患者さんのSEGAの治療を適応としています。
「アフィニトール」は、欧米を含む99カ国で膵原発の局所進行、転移性または切除不能の
進行性神経内分泌腫瘍(NET)治療薬として、米国で消化管原発または肺原発の切除不能、
局所進行、または転移性の高分化型非機能性NET治療薬として承認されている他、血管内
皮増殖因子(VEGF)標的薬による治療中または治療後(米国ではスニチニブおよびソラ
フェニブによる治療後)に疾患が進行した進行性腎細胞がん治療薬としても米国やEUなど
120カ国以上で承認されています。また、「アフィニトール」は米国および欧州を含め102
カ国でHR陽性/HER2陰性の進行性乳がんにも、内分泌療法を受けた後のエキセメスタン
(exemestane)との併用療法として承認されています。
エベロリムスは、「アフィニトール」、Votubia®、サーティカン®、Zortress®などの製品
名で、がん患者さんや臓器移植患者さんの治療薬としてもノバルティスから販売されてお
り、また薬剤溶出性ステントの用途に関する独占的販売権がアボットに、サブライセンス
がボストン・サイエンティフィックに供与されています。
適応症は国によって異なり、すべての適応症がすべての国で承認されているわけではあり
ません。承認されている適応症以外では、エベロリムスの安全性と有効性のプロファイル
は確立されていません。臨床試験の結果は不確実であるため、エベロリムスが世界のどこ
かの国でさらなる適応症の治療薬として効能追加されるという保証はありません。
重要な安全性情報
「アフィニトール」/Votubiaは、肺・呼吸器障害、感染症(敗血症を含む)、腎不全など、
死亡の可能性のある重篤な副作用を引き起こすことがあります。ACE阻害剤を服用してい
る患者さんでは血管性浮腫のリスクが高まることがあります。よく見られる副作用には、
口腔内潰瘍および口内痛があります。「アフィニトール」/Votubiaは、血球数、腎・肝機
能、血糖・コレステロール・トリグリセリド値に影響を及ぼすことがあります。「アフィ
ニトール」/Votubiaは、妊娠中の女性に重大な害を及ぼすことがあります。「アフィニト
ール」/Votubiaを服用中または服用終了後8週間以内で、妊娠の可能性がある女性は、効果
の高い方法で避妊することが推奨されます。また、「アフィニトール」/Votubiaを服用中
の女性は授乳を避けてください。「アフィニトール」/Votubiaの服用によって、男性およ
び女性の妊孕性に影響が出ることが考えられます。
最もよく見られる副作用(発生率10%以上)は口腔内潰瘍、発疹、脱力感・疲労、下痢、
感染(上気道感染、のどの痛み、鼻汁、副鼻腔炎、中耳感染および肺炎を含む)、無月経、
コレステロール値の上昇、吐き気、食欲減退、赤血球減少、にきび、味覚異常、月経異常、
肺組織の炎症、四肢または他の部位の腫脹、血糖値の上昇、掻痒感、体重減少、鼻出血、
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せき、頭痛です。最もよく見られるグレード3~4の副作用(発生率2%以上)は口腔内潰
瘍、感染症(肺炎を含む)、赤血球減少、無月経、血糖値の上昇、脱力感・疲労、下痢、
白血球減少、肺組織の炎症、突発的な出血やあざです。B型肝炎ウィルスの再活性化、肺
または下肢の血栓、ニューモシスチス・イロベチー肺炎(PJP)が報告されています。血
液学的および生化学的な検査値異常も観察されています。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その
内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどに
より、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳細につきましては、
ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。革新的な新薬、アイケア(眼
科用医療機器、コンタクトレンズなど)、高品質かつ安価なジェネリック医薬品など、幅
広い分野の製品を提供しています。ノバルティス グループ全体の2015年の売上高は494
億米ドル、研究開発費は89億米ドル(減損・償却費用を除くと87億米ドル)でした。スイ
ス・バーゼル市に本拠を置くノバルティスは約119,000人の社員を擁しており、世界180
カ国以上で製品が使われています。詳細はホームページをご覧ください。
http://www.novartis.com
参考文献
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