ノバルティス ファーマ株式会社 〒105-6333 東京都港区虎ノ門 1 丁目 23 番 1 号 虎ノ門ヒルズ森タワー https://www.novartis.co.jp MEDIA RELEASE • COMMUNIQUE AUX MEDIAS • MEDIENMITTEILUNG 2017 年 2 月 16 日 報道関係各位 ノバルティス ファーマ株式会社 この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が 2017 年 1 月 31 日(現地時間)に発表したものを日 本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については 英語が優先されます。英語版は https://www.novartis.com をご参照ください。 ノバルティスの「アフィニトール®」、結節性硬化症(TSC)に伴う 難治性てんかん患者の部分発作の治療薬として EU の承認を取得 「アフィニトール」(欧州では「Votubia®」)は、結節性硬化症(TSC)に伴う 小児・成人の難治性てんかん患者さんの部分発作に対する初めての併用療法とし て EU の承認を取得 てんかん発作に苦しむ TSC 患者さんの 60%が抗てんかん薬でのコントロールが 難しく、今回の承認はこのような患者さんのアンメットニーズに応えるものであ る1 上衣下巨細胞性星細胞腫(SEGA)および腎血管筋脂肪腫(腎 AML)に対する承 認に続き、EU において 3 つめの TSC 関連の適応となる 2 2017年1月31日、スイス・バーゼル発 – ノバルティスは本日、「アフィニトール」 (欧州ではVotubia®、一般名:エベロリムス)分散錠*が、2歳以上の結節性硬化症 (TSC)に伴う難治性てんかん患者さんの部分発作(二次性全般化発作を含む)に 対する併用療法として、欧州委員会から承認を受けたことを発表しました。「アフ ィニトール」は今後、欧州連合(EU)の全加盟国28カ国とアイスランド、ノルウェ ーにおいて、結節性硬化症(TSC)に伴う難治性てんかん患者の部分発作に特化し た適応で初めて承認された薬物治療となります2。 ノバルティス・オンコロジー事業部 CEO であるブルーノ・ストリジニ (Bruno Strigini)は次のように述べています。「EU におけるこの承認により、難治 性てんかんの部分発作という最も身体を衰弱させる TSC 症状に苦しむ患者さんのア ンメットニーズを満たす、新しい治療選択肢を提供することができます。これは、 このような患者さんの治療を改善するという私たちの継続的な取り組みにおいて喜 ばしい前進であり、重要なマイルストーンです」 「アフィニトール」の EU 承認の根拠となったのは、ピボタル第 III 相試験(EXIST3: EXamining everolimus In a Study of TSC)の有効性および安全性データでした。 同試験から、「アフィニトール」を併用治療薬として使用した場合、TSC に伴う難 治性てんかん部分発作の頻度が、プラセボと比較して有意に軽減されることが示さ *欧州連合(EU)およびスイスにおいて、 Votubia® (エベロリムス)は結節性硬化症(TSC)に伴う上衣下巨細胞性星細胞 腫(SEGA)および腎血管筋脂肪腫の治療薬として知られています Page 2 of 5 れました。「アフィニトール」は 2 つのトラフ濃度、3~7 ng/mL(低用量、LE 群) および 9~15 ng/mL(高用量、HE 群)で、その有効性と安全性を評価しました。す べての投与群の患者が、治験の主要期間(18 週間)に 1~3 種類の抗てんかん薬 (AED)を併用投与していました。最年少患者は 2 歳でした。発作頻度が 50%以上 減少した患者さんの割合は、LE 群(28.2%、95%信頼区間 20.3~37.3、P=0.008) および HE 群(40.0%、95%信頼区間 31.5~49.0、P<0.001)の方がプラセボ群 (15.1%、95%信頼区間 9.2~22.8)より有意に高くなりました。ベースラインから の発作減少率(中央値)は、LE 群(29.3%、95%信頼区間 18.8~41.9、P=0.003) および HE 群(39.6%、95%信頼区間 35.0~48.7、P<0.001)の方がプラセボ群 (14.9%、95%信頼区間 0.1~21.7)より有意に高くなりました。主要期間において、 LE/HE 群で最も発現頻度の高かった(>15%)全グレードの有害事象は、口内炎、下 痢、鼻咽頭炎、上気道感染、発熱でした 3。 結節性硬化症は稀な遺伝性疾患であり、患者数は世界で最大 100 万人です 4。TSC の 患者さんの約 85%がてんかんを合併しており、コントロールできない TSC に伴うて んかん発作は患者さんの体を衰弱させます 1。「アフィニトール」は、TSC 患者さん の良性の脳腫瘍である上衣下巨細胞性星細胞腫(SEGA)および腎血管筋脂肪腫(腎 AML)の治療を適応とする唯一の非外科的治療選択肢です。EXIST-3 は、難治性て んかんの部分発作に苦しむ TSC 患者さんを対象に「アフィニトール」併用療法の臨 床的なベネフィットを検証する、初めての第 III 相試験です 2,5。これらのデータは、 様々な国の規制当局への承認申請に用いられる予定です。 「アフィニトール」は、複数の細胞機能を調節するタンパク質である哺乳類ラパマ イシン標的タンパク質(mTOR)の働きを阻害します。TSC は、TSC1 遺伝子または TSC2 遺伝子の変異によって引き起こされ、mTOR 経路のシグナル伝達が異常に活 発になり、細胞の成長および増殖の増大、神経細胞の興奮性亢進、皮質構造および ネットワーク機能の異常、およびシナプス可塑性の異常へとつながります 6,7。前臨 床試験では、異常に活発な mTOR 活性が、TSC における脳でのてんかん発症プロセ スに寄与するてんかん原性の種々のメカニズムに影響を与える可能性があることが 示唆されています 8。 EXIST-3 (EXamining everolimus In a Study of TSC)について EXIST-3試験は、難治性てんかん部分発作**が認められたTSC患者さんを対象とする 併用療法として、高用量および低用量の「アフィニトール」の有効性および安全性 を検討する、無作為化二重盲検プラセボ対照三群比較第III相試験で、欧米各国の他、 日本も参加した試験です。本試験では、無作為化前のベースライン期間(2カ月間) の少なくとも4週間前から1~3種類のAEDを固定用量にて継続して服用していた、 TSCと診断された男女の患者(2.2~56.3歳)を組み入れました2,3。 本試験の主要目的は、TSCに伴う難治性てんかん患者の部分発作の減少を指標とし て、併用薬としての「アフィニトール」の有効性をプラセボと比較して評価するこ とでした。副次目的には、治療期間に発作が消失した患者さんの割合や発作頻度の 変化、安全性評価が含まれていました。 ** AED の単独療法/多剤療法による 2 種類以上の継続的な治療を実施したにもかかわらず、十分なコントロールができない発 作として定義 Page 3 of 5 「アフィニトール」 LE/HE群とプラセボ群で最も多く認められた(発現率10%以上) 全グレードの有害事象は、口内炎(54.7%/63.8% vs 9.2%)、下痢(17.1%/21.5% vs 5.0%)、鼻咽頭炎(13.7%/16.2% vs 16.0%)、上気道感染(12.8%/15.4% vs 12.6%)、発熱(19.7%/13.8% vs 5.0%)、嘔吐(12.0%/10.0% vs 9.2%)、咳 (11.1%/10.0% vs 3.4%)、発疹(6.0%/10.0% vs 2.5%)でした。グレード3また は4の有害事象がプラセボ群の13例(10.9%)、LE群の21例(17.9%)、HE群の31 例(23.8%)に認められました3。 結節性硬化症について 結節性硬化症(TSC:Tuberous sclerosis complex)により、脳、腎臓、心臓、肺およ び皮膚などの重要な器官に良性の腫瘍が形成されるほか、てんかん、自閉症、認知 障害、行動障害および精神障害などの症状が生じる場合があります。TSCの多くの 患者さんが、生後1年で疾患の兆候を示しますが、その兆候は人によって異なり、発 症するまで数年かかる場合があるため、多くの子どもたちが後年、発作、皮膚病変、 精神遅滞などの重大な症状が認められて初めて診断されます。TSCは生涯にわたる 疾患であるため、2012年に発行された最新の専門的診断ガイドラインでは、腫瘍の 増大や新しい症状を早期に特定するため、この疾患について経験を有する医師が患 者さんを観察するよう提言しています6,9。 「アフィニトール」(欧州名:Votubia、一般名:エベロリムス)について 欧州連合(EU)において、エベロリムスは、合併症のリスク(腫瘍の大きさや動脈 瘤の有無、多発性または両側性腫瘍の有無などの因子に基づく)はあるが早急に手 術を必要としないTSCに伴う腎血管筋脂肪腫(腎AML)の成人患者さんの治療薬 Votubia®錠として承認されています。またEUにおいてVotubia錠および分散錠は、治 療的介入を必要とするが手術に適していない、TSCに伴う上衣下巨細胞性星細胞腫 (SEGA)の患者さんの治療も適応としています。Votubia分散錠はEUでも、2歳以 上のTSCに伴う難治性てんかん患者さんの部分発作(二次性全般化発作を含む)の 併用治療を適応としています。 米国において、エベロリムスは、早急に手術を必要としない腎血管筋脂肪腫 (腎 AML)およびTSCの成人患者さんの治療薬「アフィニトール®」として承認されてい ます。また米国では、「アフィニトール」錠およびAfinitor Disperz™(分散錠)は、 治療的介入を必要としているが根治切除不能なTSCの小児患者さんおよび成人患者 さんの上衣下巨細胞性星細胞腫(SEGA)の治療を適応としています。 さらに「アフィニトール」錠は、血管内皮増殖因子(VEGF)標的療法薬による治療 中または治療後(米国ではスニチニブおよびソラフェニブによる治療後)に進行し た転移性腎細胞がん治療薬として、膵臓原発の局所進行性、転移性または切除不能 の進行神経内分泌腫瘍(NET)治療薬として、またHR+/HER2-転移性乳がんに対す る内分泌療法後のエキセメスタンとの併用療法として、米国およびEUなど110を超 える国々で承認されています。また、消化管(GI)または肺原発の局所進行性、転 移性または切除不能の高分化型(グレード1または2)の進行性非機能性神経内分泌 腫瘍(NET)の成人患者の治療薬としても、米国およびEUなど40を超える国々で承 認されています。 日本国内では、「アフィニトール®錠」の販売名で、2010年1月に根治切除不能また は転移性の腎細胞がん、2011年12月に膵神経内分泌腫瘍、2012年11月に結節性硬化 Page 4 of 5 症に伴う腎血管筋脂肪腫および結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫、2014 年3月に手術不能または再発乳がん、2016年8月に神経内分泌腫瘍を効能または効果 として承認を取得しています。また、「アフィニトール®分散錠」については、2012 年12月に結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫を効能または効果として承認 されています。 エベロリムスは、「アフィニトール」、Votubia®、サーティカン®、Zortress®などの 製品名で、がん患者さんや臓器移植患者さんの治療薬としてもノバルティスから販 売されており、また薬剤溶出性ステントの用途に関する独占的販売権がアボットに、 サブライセンスがボストン・サイエンティフィックに供与されています。 適応症は国によって異なり、すべての適応症がすべての国で承認されているわけで はありません。承認されている適応症以外では、エベロリムスの安全性と有効性の プロファイルは確立されていません。また、エベロリムスが世界のどこかの国でさ らなる適応症の治療薬として効能追加されるという保証はありません。 重要な安全性情報 Votubia/「アフィニトール」は、肺・呼吸器障害、感染症(敗血症を含む)、腎不全 など、死亡の可能性のある重篤な副作用を引き起こすことがあります。ACE阻害剤 を服用している患者さんでは血管性浮腫のリスクが高まることがあります。よく見 られる副作用には、口腔内潰瘍および口内痛があります。Votubia/「アフィニトール」 は、血球数、腎・肝機能、血糖・コレステロール・トリグリセリド値に影響を及ぼ すことがあります。Votubia/「アフィニトール」は、妊娠中の女性に重大な害を及ぼ すことがあります。Votubia/「アフィニトール」を服用中または服用終了後8週間以 内で、妊娠の可能性がある女性は、効果の高い方法で避妊することが推奨されます。 また、Votubia/ 「アフィニトール」を服用中の女性は授乳を避けてください。 Votubia/「アフィニトール」の服用によって、男性および女性の妊孕性に影響が出る ことが考えられます。 最もよくみられる副作用(発現率10%以上)は、感染症(のどの痛み、鼻水、上気 道感染、肺炎、副鼻腔炎、尿路感染症)、口腔内潰瘍、発疹、疲労感、下痢、発熱、 嘔吐、吐き気、咳、食欲減退、赤血球減少、頭痛、味覚異常、無月経、にきび、肺 組織の炎症、月経周期不規則、四肢または他の部位のむくみ、血糖値の上昇、脱力 感、掻痒感、体重減少、コレステロール値の上昇、鼻出血です。最もよく見られる グレード3~4の副作用(発現率2%以上)は、口腔内潰瘍、感染症(肺炎を含む)、 赤血球減少、血糖値の上昇、疲労感、無月経、下痢、白血球減少、肺組織の炎症、 脱力感、発熱、突発的な出血やあざです。B型肝炎ウィルスの再活性化、肺または下 肢の血栓、ニューモシスチス・イロベチー肺炎(PJP)が報告されています。血液学 的および生化学的な検査値異常も観察されています。 免責事項 本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、 その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリ スクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳 細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けております Form20-F をご参照ください。 Page 5 of 5 ノバルティスについて ノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。革新的な新薬、アイケ ア(眼科用医療機器、コンタクトレンズなど)、高品質かつ安価なジェネリック医 薬品など、幅広い分野の製品を提供しています。ノバルティス グループ全体の 2016 年の売上高は 485 億米ドル、研究開発費は 90 億米ドル(減損・償却費用を除くと 84 億米ドル)でした。スイス・バーゼル市に本拠を置くノバルティスは約 118,000 人の社員を擁しており、世界約 155 カ国で製品が使われています。詳細はホームペ ージをご覧ください。https://www.novartis.com 参考文献 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. Chu-Shore C.J., et al. The natural history of epilepsy in tuberous sclerosis complex. Epilepsia. 2010: 51(7): 12361241. Votubia Summary of Product Characteristics. January 2017. French. J.A., et al. Adjunctive everolimus therapy for treatment-resistant focal-onset seizures associated with tuberous sclerosis (EXIST-3): a phase 3, randomised, double-blind, placebo-controlled study. Lancet. Available at http://dx.doi.org/10.1016/S0140-6736(16)31419-2. Accessed January 2017. Budde, K. and Gaedeke, J. Tuberous sclerosis complex-associated angiomyolipomas: focus on mTOR inhibition. American Journal of Kidney Diseases. 2012:276-283. Afinitor (everolimus) Prescribing information. East Hanover, New Jersey, USA: Novartis Pharmaceuticals Corporation; February 2016. National Institute of Neurological Disorders and Stroke fact sheet. 2010. Wong, M. Mammalian target of rapamycin (mTOR) pathways in neurological diseases. Biomed Journal. 2013; 36(2): 1-17. 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