理事長 鷲 尾 圭 司 卒業生、修了生の皆さん、ご卒業おめでとう。 水産大学校での学生生活を締めくくり、実社会に旅立つ皆さ んの前途を心から祝福いたします。また、この日を心待ちにし ておられたご家族、支援者の皆さまにも、あわせてお祝い申し 上げます。 皆さんが水産大学校で身につけられたものは、単なる卒業証 書や修了証という資格だけではありません。技術者として物事 に対して問を立て、仮説を設けて検証し、周囲の環境や社会と の関係性を考慮しながら改善を図るというPDCAサイクルの 回し方です。 大学を出れば勉強も終わりなどと思っていませんか? 皆さ んそれぞれの学びの検証は、社会に出てから始まります。社会 に 出 た 先 輩 方 が よ く 口 に さ れ る の は 、「 学 生 時 代 に も っ と 勉 強 しておけば良かった」という反省の弁です。しかし今、皆さん は慌てる必要はありません。やがて出てくる反省の弁は、検証 から改善に意識が向けられた証しでもあります。皆さんが身に つけられたものは、まさに生涯にわたって学び続ける方法です。 その学びの姿勢を維持して、水産大学校の人脈ネットワークを 活用されることを期待しています。 水産の世界は宝の山です。担い手や水揚げが減って、心細い 話が出回っていますが、時や場所によって資源は偏在していま す。私の知り合いには 1 千万円プレーヤーの漁師らが何百人も います。それぞれの地の宝物を見いだし、それを磨いて価値を 持たせるには、日々の勉強と研鑚が大事です。いまから実社会 での学びと技の洗練を意識して一層の能力向上をはかり、地域 社会の役に立つ人材として活躍して行かれることを願っており ます。 4 月からは独立行政法人水産大学校は、国立研究開発法人 水産研究・教育機構の水産大学校と名前の冠は変わりますが、 これからも変わらず皆さんの後輩を送り出しますので、皆さん にはしっかりつなぎの役割を担って欲しいと思います。 最後になりましたが、ご多用中にもかかわらず、ご臨席頂き ました水産庁からは佐藤一雄水産庁長官、下関市からは中尾友 昭市長、はじめご来賓、保護者の皆さまに心より感謝の意を表 し、皆さまのご多幸をお祈りしてお祝いの辞とさせて頂きます。
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