「平成 28 年 1-3 月期地域経済産業調査」 (北陸地域)

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平成28年4月20日
「平成 28 年 1-3 月期地域経済産業調査」
(北陸地域)の結果の公表について
経済産業省では、各経済産業局(電力・ガス事業北陸支局、沖縄経済産業部を
含む)が企業の業況、生産、設備投資などの地域毎の経済動向を把握するため、
管内立地企業等に対して、年4回ヒアリング調査を実施しております。
当支局は、北陸地域(富山県、石川県及び福井県)について、平成28年3月
2日~3月28日に調査(企業数45社)を実施し、結果を取りまとめましたの
で、別添のとおり公表します。
なお、全国の調査結果につきましては、本日、本省において公表しております。
(お問い合わせ先)
中部経済産業局電力・ガス事業北陸支局
北陸経済調査室長 酒井
担当:田嶋、土田
TEL 076-432-5590(直通) FAX 076-443-1012
URL:http://www.chubu.meti.go.jp/e11hokuriku/index.html
北陸地域経済の動向
(ヒアリング企業数 45社)
平成28年4月20日
中部経済産業局電力・ガス事業北陸支局
1.全体の動向
北陸地域の経済は、一部に改善の動きがみられるものの、足踏み状態となっている。
製造業では、「化学」はジェネリック医薬品を中心に好調。
「電子部品・デバイス」は、ス
マートフォン部品が中国向けで減少している一方、米国向けは好調で、テレビ向けは弱い動き
がみられるものの、自動車向けは堅調。
「はん用・生産用・業務用機械」は、工作機械で、中国
向けなどが減速している。建設機械は、排ガス規制前の駆け込み需要の反動がみられるもの
の、新型機の生産が増加している。
「金属製品」は、アルミ建材を中心に底堅い動きとなってい
る。
「繊維」は、北米や中東向け衣料が好調な一方、国内衣料は低迷が続いており、自動車向け
も弱い動きがみられる。
非製造業では、百貨店は天候影響などから客単価・購買客数が低下しており、北陸新幹線開
業による利便性の向上から、地元客の流出もみられる。スーパーは一品単価が上がっている
分、買上げ点数は減っており、売上げは伸び悩んでいる。また、人口減少の中で大型商業施設
などが増えており、競合が厳しさを増している。
先行きについては、製造業では、資源価格の低下や中国の景気減速に加え、円高傾向による
厳しさを指摘する声もあった。また、非製造業では、北陸新幹線開業効果が一巡するものの、
その勢いを持続させつつ、地元客の回帰を図る動きもみられる。
前 回
平成 27 年 10-12 月期調査
今 回
平成 28 年 1-3 月期調査
期 間
全体
一部に弱い動きがみられるものの、 一部に改善の動きがみられるものの、
1期
(2期連続の下方修正)
緩やかに改善している(↓)
足踏み状態となっている(↓)
①業況
一部に弱い動きがみられるものの、 一部に改善の動きがみられるものの、
1期
(2期連続の下方修正)
緩やかに改善している(↓)
足踏み状態となっている(↓)
一部に弱い動きがみられるものの、 →
3期連続
高水準で推移している
②生産
③設備投資
高水準で推移している
→
4期連続
④雇用情勢
改善している
→
5期連続
⑤個人消費
一部に弱い動きがみられるものの、 持ち直しに足踏みがみられる(↓)
持ち直している(↓)
1期
(2期連続の下方修正)
⑥観光
(入域動向)
大幅に増加している
→
4期連続
⑦資金調達
環境
改善している
→
11期連続
注)期間は四半期毎を示す。
1
2.個別の動向
①業況
業況は、一部に改善の動きがみられるものの、足踏み状態となっている。
【製造業について】
化学は、ジェネリック医薬品を中心に好調に推移している。
電子部品・デバイスは、スマートフォン部品が中国向けで減少している一方、米国向けは好調で、テレビ向
けは弱い動きがみられるものの、自動車向けは堅調。
はん用・生産用・業務用機械は、工作機械で、中国向けなどが減速している。建設機械は、国内や北米で排
ガス規制前の駆け込み需要の反動がみられるものの、新型機の生産が増加。半導体製造装置では、海外からの
大口受注により増加。繊維機械では、中国の伸び悩み分をインドがカバーしている。
金属製品は、弱い動きが続いていたが、住宅用アルミ建材には消費税率引上げに伴う需要減の反動がみられ
ビル用も大型物件などの受注が好調で、底堅い動き。
繊維は、北米や中東向け衣料は好調なものの、国内衣料は低迷が続いており、自動車向けも弱い動きがみら
れる。
【非製造業について】
百貨店は、催事効果もあって高額品は好調に推移しているものの、天候影響などから衣料品が苦戦し、客単
価・購買客数も低下しており、全体的に消費マインドの高まりはみられない。また、北陸新幹線開業により利
便性が高まったことから、地元客の県外への流出もみられる。
スーパーは、暖冬影響による冬物商材の苦戦に加え、相場高により一品単価が上がっている分、買上点数が
減っていることから、売上げは伸び悩んでいる。また、人口減少の中で大型商業施設などが増えており、競合
が厳しさを増している。
商店街は、北陸新幹線開業効果は、年明けから団体客に落ち着きがみられるものの、少人数の観光客は増え
ており、一品単価も鮮魚や飲食店を中心に上がっている。消費増税については、かなり心配しているとの声が
聞かれる。
自動車販売は、登録車の新型車は好調に推移しているものの、全体としては前年を下回っている。
家電販売は、家電需要規模自体が縮小していることに加え、購買が店舗からインターネット取引に流れてい
ることなどから、売上げは減少している。
住宅販売は、営業努力により受注は増加傾向にあるものの、まだ消費増税前の駆け込み需要はみられない。
【業況見通しについて】
製造業は、資源価格の下落や中国の景気減速に加え、円高傾向による製品価格の見直し要請もあって、見通
しは厳しいとする声が多い。
非製造業は、北陸新幹線開業効果が一巡するものの、その勢いを持続させつつ、地元客の回帰を図る動きも
みられる。
なお、マイナス金利については、住宅着工にプラスになるとの声があり、また、為替レートの変動に対して
は、今後も工場の現地化を進めていくとしている。
更に、暖冬については、建設業で除雪作業の減少から収入減となった一方、小売業などでは光熱費や除雪費
用の減少が利益につながった。
2
【個別動向の具体例:現状】
(注)要因種別は原則として ○:プラス要因 ▲:マイナス要因 □:その他
要因種別
主なコメント
業種等
ジェネリック医薬品市場は、引き続き拡大基調。
化学
○
□
新薬は、暖冬影響により一部品目で伸び悩み、病院側で後発品への切替えが
みられたこともあって、前年同期比・前期比ともほぼ横ばいの動きとなっ
た。
化学
○
スマートフォンや自動車向けは、ピーク時に比べるとやや落ち着いたもの
の、売上げは堅調。
電子部品・デバイス
▲
自動車関連はフル生産しているものの、テレビ向けは低調で、スマートフォ
ンなど情報通信関連も減少しており、売上げは前年比マイナス。
電子部品・デバイス
▲
スマートフォン・タブレット市場の低迷により、売上高・経常利益ともに前
期と比べ減少した。
電子部品・デバイス
□
スマートフォン用は、中国向けは減少しているが、それ以上に米国大口顧客
向けが好調に推移しており、売上げ・利益ともに、前期比ではほぼ横ばいで
推移している。
電子部品・デバイス
○
半導体製造装置は、海外からのスポット的な大口受注により、売上げは前期
比で増加。
はん用・生産用
・業務用機械
□
北米の産業機械向け工作機械の需要は減少し、中国市場も景気減速で落ちて
いるものの、ロボットの売上げ増でカバーしている。
はん用・生産用
・業務用機械
□
建設機械は、国内や北米で昨年度の排ガス規制前の駆け込み需要の反動がみ
られるものの、新型機の増加により、売上高はほぼ前年同期並み。
はん用・生産用
・業務用機械
□
繊維機械は、中国の伸び悩み分をインドがカバーし、工作機械は、中国EM
S関連の停滞により、いずれも前期並み。
はん用・生産用
・業務用機械
□
ビル用アルミ建材は、小型物件は弱いが大型物件の受注が好調。住宅用アル
ミ建材は、消費増税に伴う需要減の反動により微増。全体として売上げはほ
ぼ横ばい。
金属製品
▲
国内カーシートの売上げは、軽自動車市場にブレーキがかかったことなどに
より、前年同期比・前期比ともに減少。
繊維
□
北米向けのスポーツ・アウトドア関連、中東向けの民族衣装などは引き続き
好調も、国内向けは衣料を中心に低迷しており、売上げはほぼ横ばい。
繊維
▲
今期は、暖冬影響により衣料品が苦戦したことから、売上げは前年を下回っ
て推移しており、客数も若干マイナス。
百貨店
▲
今年は正月休みが1日少なかったことに加え、暖冬影響により衣料品を中心
に冬物商材の動きが悪く、売上げは前年を下回った。
百貨店
▲
今期は、客単価は催事効果もあって高額品が売れていることから上がってい
るものの、暖冬影響により衣料品が振るわず、売上げは減少。
百貨店
3
▲
今期の売上高は、映画や飲食店に加え、バレンタインなどパーソナルギフト
は堅調だったものの、近隣の大型商業施設のオープン影響が続いていること
などから、前年を下回って推移している。
スーパー
▲
今期は、暖冬影響により、冬物衣料や防寒用品・除雪用具が売れなかったこ
とに加え、食料品も鍋物商材が弱く、売上げは伸びなかった。
スーパー
○
新幹線開業効果は年明けから落ち着きがみられ、再開発ビルオープン影響も
期待したほどではなかったが、少人数の観光客は引き続き増えている。
商店街
○
商品の刷新により、中食が好調に推移したことなどから、売上げは前年同期
を上回った。
コンビニ
○
登録車の新型車は好調に推移しており、納車待ちの状態が続いている。
▲
家電需要規模自体が縮小していることに加え、購買が店舗からインターネッ
ト取引に流れていることなどから、前期・前年同期と比べ、いずれも売上げ
は減少している。
家電販売
○
暖冬の影響でマスク、カイロなどが伸びなかったものの、食料品の売上げが
下支えし、売上高・経常利益ともに前年を上回った。
ドラッグストア
□
営業努力で受注が取れるようになったが、消費増税前の駆け込み需要はまだ
表れていないと思われる。
住宅販売
○
主要温泉地の宿泊客数は、北陸新幹線の開業に伴う観光客の伸びがやや鈍化
したものの、引き続き好調に推移。関東圏からの宿泊客の増加もあって、客
単価もアップし、収益の改善にも寄与している。
宿泊業
自動車販売
【個別動向の具体例:先行き】
(注)要因種別は原則として ○:プラス要因 ▲:マイナス要因 □:その他
要因種別
主なコメント
業種等
来期の売上高は、量的には若干伸びたとしても、薬価改定による引下げが見
化学
▲
込まれることから、ダウンは避けられない見通し。
▲
スマートフォン向けは、機種変更の影響が大きく、新機種の売行き次第とい
う面がある。また、為替の影響も大きく、円高が進むと厳しい。
電子部品・デバイス
▲
来期は、資源価格の下落や中国の景気減速により、見通しは厳しく、国内市
場も大きな伸びは期待できない。
はん用・生産用
・業務用機械
▲
円高傾向にあることから、顧客からは製品価格の見直し要請が出ており、今
後の受注に影響を与えることが懸念される。
はん用・生産用
・業務用機械
▲
国内衣料については、今後も低迷が続く見込みで、海外や非衣料への展開を
進める予定だが、これまで好調だった中東向け衣料については、原油価格低
迷という情勢もあり、楽観視できない状況。
繊維
○
雪の大谷は例年並みの積雪が見込まれ、北陸新幹線は勢いがあることから、
その効果は持続するとみており、来期は前年を若干上回る見通し。
運輸業
4
○
昨年は新幹線開業により観光客は増えたものの、混雑による地元客の敬遠や
県外への流出がみられたため、来期は地元客の回帰と観光客の両立を目指し
たい。
百貨店
▲
来期の売上高は、競合店のオープン影響に加え、昨年の大規模リニューアル
効果の反動もあって、厳しい状況が続くとみている。
スーパー
○
来期は、ゴールデンウイークに向けて、立山黒部アルペンルートの開通や砺
波のチューリップフェアなどの観光シーズンに入るため、観光客の呼び込み
に力を入れて、売上げを伸ばしていく予定。
小売業
○
今回のマイナス金利で、住宅ローン金利も引下げとなることから、来期の受
注はプラスになると思われる。
住宅販売
□
先行きについては、北陸新幹線開業効果が一巡することから、宿泊客数は落
ち着く見通し。
宿泊業
(注)要因種別は原則として ○:プラス要因 ▲:マイナス要因 □:その他
【個別動向の具体例:トピックス】
要因種別
主なコメント
業種等
はん用・生産用
原油等資源価格の下落は設備投資の低下につながるため、売上げにはマイナ
▲
・業務用機械
スの影響。
□
為替レート変動の影響を少なくするために、今後も地産地消(工場の現地
化)を進めていく。
はん用・生産用
・業務用機械
○
暖冬により、光熱費・除雪費用が当初予算を大幅に下回ったことから、利益
の増加につながった。
ドラッグストア
▲
今年度の公共工事の仕事量は少なく、企業の存続にかかわるギリギリの状況
と認識している。そうした中で、今年の暖冬は、山間部を中心に除雪作業を
請け負う企業にとってかなりの収入減になった。
建設業
5
②生産
生産は、一部に弱い動きがみられるものの、高水準で推移している。
生産は、化学は好調、電子部品・デバイスは高水準で推移、はん用・生産用・業務用機械は概ね横ばい、金
属製品は底堅い動き、繊維は弱含みとなっている。
先行きについては、化学や電子部品・デバイスは引き続き高水準で推移し、金属製品は消費税率引上げ前の
駆け込み需要が期待されるものの、はん用・生産用・業務用機械などで中国経済減速の影響が懸念される。
【主要業種の動向について】
化学では、ジェネリック医薬品を中心に好調も、今後、薬価改定による影響が懸念される。
電子部品・デバイスでは、中国のスマートフォン向けやテレビ向けなどで弱い動きがみられるものの、米国
のスマートフォン向けや自動車向けは高水準で堅調。
はん用・生産用・業務用機械では、工作機械は、中国市場などで減速している。建設機械は、国内や北米で
の排ガス規制前の駆け込み需要の反動がみられるものの、新型機の生産が増加。半導体製造装置は、海外から
の大口受注により増加。繊維機械は、中国の伸び悩み分をインドがカバーし、横ばいを維持。
金属製品では、弱い動きが続いていたが、住宅用アルミ建材には消費税率引上げに伴う需要減の反動がみら
れ、ビル用も大型物件などの受注が好調で、底堅い動き。
繊維では、衣料は、米国や中東向けは好調も、欧州・韓国向けや国内市場は低迷が続き、自動車向けにも弱
い動きがみられるなど、全体として弱含み。
【個別動向の具体例:現状】
(注)要因種別は原則として ○:プラス要因 ▲:マイナス要因 □:その他
要因種別
主なコメント
業種等
化学
ジェネリック医薬品が増加しているため、原薬はフル稼働状態で3交替生産
○
を行っている。
□
新薬は、暖冬影響により一部品目で伸び悩み、病院側での後発品への切替え
もあって、生産額は前年同期比・前期比ともほぼ横ばい。
化学
□
化粧品部門は、引き続きフル稼働で逼迫している。
化学
○
スマートフォンや自動車向けが堅調で、生産・受注とも高水準で推移し、
ピーク時に比べるとやや落ち着いたが、ほぼフル稼働状態。
電子部品・デバイス
▲
自動車関連はフル生産しているものの、テレビ向けは低調で、スマートフォ
ンなど情報通信関連も年明け以降更に減少している。
電子部品・デバイス
▲
タブレット・スマートフォンの市場低迷により受注が減少し、生産量・設備
稼働率ともに落ちている。
電子部品・デバイス
□
中国を中心にスマートフォン市場の伸びは鈍化しているものの、米国大口顧
客向けが好調で、生産は前期比ほぼ横ばい。
電子部品・デバイス
□
家電の新製品が出ないことや国内スマートフォンの需要が低迷するなか、電
子部品は通常稼働で生産しているため、在庫は増加傾向。
電子部品・デバイス
○
半導体製造装置の生産量は、海外からのスポット的な大口受注により、前期
比増加している。
はん用・生産用
・業務用機械
6
□
北米の産業機械向け工作機械の需要は減少し、中国市場も景気減速により落
ちているものの、ロボットの売上げ増でカバーしている。
はん用・生産用
・業務用機械
□
建設機械は、国内や北米で昨年度の排ガス規制前の駆け込み需要の反動がみ
られるものの、新型機の生産により、ほぼ前年同期並み。
はん用・生産用
・業務用機械
□
繊維機械は、中国の伸び悩み分をインドがカバーし、ほぼ前期と同水準。工
作機械は、中国EMS関連の停滞継続により、前期と同水準。
はん用・生産用
・業務用機械
□
ビル用アルミ建材は、小型物件は弱いが大型物件の受注が好調。住宅用アル
ミ建材は、消費増税に伴う需要減の反動により微増。
金属製品
○
国内衣料は不振が続いているが、海外市場や非衣料部門が順調に伸びてお
り、受注・設備稼働率は高い状態で推移。
繊維
▲
国内カーシートの生産量は、軽自動車市場にブレーキがかかったことなどに
より、前年同期比・前期比ともに減少。
繊維
□
北米向けのスポーツ・アウトドア関連、中東向けの民族衣装などは引き続き
好調も、国内向けは衣料を中心に低迷している。
繊維
□
衣料は、米国向けが堅調も、欧州・韓国向けは引き続き低迷。
繊維
【個別動向の具体例:先行き】
(注)要因種別は原則として ○:プラス要因 ▲:マイナス要因 □:その他
要因種別
主なコメント
業種等
化学
海外向け化学品・国内向け化粧品の受注増が見込まれる。
○
▲
量的に若干増えたとしても、薬価引下げが見込まれることから、生産額のダ
ウンは避けられない見通し。
化学
□
ジェネリック医薬品は、引き続き好調に推移する見込みだが、フル生産と
なっているため、現状では増産できない。
化学
○
受注残もあり増産を予定。国内の設備投資系の補助金にも期待。
はん用・生産用
・業務用機械
▲
中国の景気減速などにより厳しい。国内市場も大きな伸びは期待できない。
はん用・生産用
・業務用機械
○
ビル用アルミ建材は底堅く推移する見込み。住宅用は、新製品が好評で、消
費増税の駆け込み需要も期待できる。
金属製品
□
住宅着工は、消費税増税前の駆け込み需要により増加が見込まれるが、住宅
用アルミ建材は樹脂の普及により横ばいで推移。ビル用では、マンション用
は減少傾向となるが、商業用は回復の見込み。
金属製品
▲
国内衣料低迷の影響が非常に大きく、受注・生産量ともに減少が予想され
る。
7
繊維
③設備投資
設備投資は、高水準で推移している。
製造業は、大型工場案件が終了した企業がみられるものの、生産能力増強や設備更新のほか、生産性向上の
ための投資が盛んに行われている。一方、増産計画を一部凍結する企業もみられる。なお、海外では、増産対
応の投資が続いている。
非製造業は、北陸新幹線開業に合わせた大規模投資が一段落したものの、一部では観光客の満足度や利便性
の向上を踏まえた投資を行う動きもみられる。
【個別動向の具体例】
(注)要因種別は原則として ○:プラス要因 ▲:マイナス要因 □:その他
要因種別
主なコメント
業種等
ジェネリック医薬品の生産能力を強化するためライン増設を行い、設備投資
化学
○
額は前年から倍増した。
▲
大型工場案件は昨年度までに全て終了したので、規模的には減少となった。
化学
○
今年度は、5月末から6月の稼働に向けて新工場を建設中であり、投資額は
石川県内では過去最大。
電子部品・デバイス
▲
増産対応の投資を計画していたが、一部凍結となり、合理化、設備更新、新
製品対応などに留めることとなった。
電子部品・デバイス
○
海外は増産・受注対応の投資が主体、国内は既存工場における生産性向上・
合理化(自動化)に向けた設備更新が主体で、過去最大規模の投資を行っ
た。
はん用・生産用
・業務用機械
○
現在は生産がやや落ちているものの、将来の受注増を見越し、新たな生産棟
の建設に着手した。このため、投資額は大幅な増加となり、生産台数はアッ
プする。
はん用・生産用
・業務用機械
○
新製品への投資により、金額は倍増となる見込み。
○
今年度の設備投資は過去最大規模。投資内容は設備の更新・改良で、小ロッ
ト化への対応や省力化・省人化等生産性の向上。
繊維
○
投資額全体のうち、海外は約7割を占め、北米などに投資する一方、国内は
設備の合理化・省エネ化を進めている。
繊維
○
北陸新幹線効果が持続するとみており、顧客の満足度や利便性向上を踏まえ
た投資を行っている。
運輸業
▲
改修工事は、経営状況により先延ばしとなり、実施時期は未定。先行きも、
緊急を要するもの以外はすべて先延ばしとなった。
百貨店
□
3年前から順次、設備投資を行ってきたが、昨年の3月で一段落した。今後
はそれらを踏まえてマーケットの動きを見ながら、新幹線効果に適合した投
資を行っていく。
百貨店
8
金属製品
▲
昨年度で大規模リニューアルを終えたので、次のリニューアルまで2~3年
は、大規模なものはない。
スーパー
▲
新店が開業したところであり、その分の投資は終了した。今後は新規出店の
予定はなく、既存店の改修のみの見込み。
スーパー
□
製造業では、円高や中国経済の減速の影響で、一部の業種では様子をみる動
きがあり、当初計画より絞っている印象を受けており、実績はやや下回る見
込み。非製造業では、観光客などが増加しているホテル・旅館や飲食業は好
調で、設備改修などの投資も行われている。
金融業
□
北陸新幹線開業に向けた改装は一段落したものの、全体的に老朽化している
こともあり、露天風呂付き客室や食事処の改修などを行う動きは続いてい
る。
宿泊業
9
④雇用情勢
雇用情勢は、改善している。
製造業では、過不足感はないとする企業が多くみられるが、生産が増加している企業では、派遣社員の増員
や正社員への登用などで対応している。
非製造業では、大型商業施設の相次ぐ開業直後の厳しい状況は落ち着いたものの、慢性的な人手不足は続い
ており、従業員の高齢化が進んでいるとの声もある。
【個別動向の具体例】
(注)要因種別は原則として ○:プラス要因 ▲:マイナス要因 □:その他
要因種別
主なコメント
業種等
新設のラインの要員が必要なことから、今年度は正社員を増やした。新採の
化学
○
ほか、派遣社員から正規社員への登用とキャリア採用により賄った。
▲
中途採用も厳しく、不足感が続いており、特に製造現場が足りない。
□
新工場分も含め過不足感はなく、技術者の不足も解消された。
電子部品・デバイス
□
過不足感はない。稼働率が落ちている他部門の人員を振り向けるなど調整
し、最適化を図っている。
電子部品・デバイス
▲
生産調整を行っているため、正社員の一部を他社への応援に回している。
はん用・生産用
・業務用機械
□
前期より生産が増加したことから、派遣社員の増員や関連会社からの応援で
対応している。技術者も経験者を何人か採用したが、人材の不足感は継続し
ている。
はん用・生産用
・業務用機械
▲
派遣社員の数は増えていないが、商業施設などに人が流れ、単価が上昇して
いる。なお、新卒の採用だけでは追いつかないので、優秀な人材は派遣から
正社員に登用している。
金属製品
▲
生産現場で雇用不足感あり。派遣社員などの募集も行っているが、不足感は
解消していない。
繊維
▲
人件費を上げることができないこともあり、アルバイトの採りにくさは増し
ており、不足分はシフトの組み方などで対応している。
百貨店
▲
人手不足感が続いており、販売員を置けない売場もあって、近くの売場の販
売員が対応している。
百貨店
□
近隣に大型商業施設の出店が相次いだので、人手不足となっていたが、ここ
にきて、大量ではないものの、計画通り採用ができた。
百貨店
▲
常時募集をかけているが、正社員、パートともに不足状態が続いている。不
足分は、超過勤務や業務内容の見直し、派遣社員により対応しており、従業
員の平均年齢は上がっている。
スーパー
▲
慢性的な人手不足は続いているが、近隣の大型商業施設開業時ほどのひどい
状況ではない。この時期、飲食関係は学生アルバイトで何とか賄っており、
アパレル関係は、他店舗からの応援でしのいでいる。
スーパー
10
化学
▲
人手不足が続いており、改善していない。パートやアルバイトを募集しても
集まらないため、賃金アップや定年退職者の再雇用などで、なんとかしのい
でいる。
スーパー
□
オープン当時の人員不足は収束した。開店当時に各店舗が応援要員として本
社から呼んだスタッフは本社に戻り、地元スタッフのみで対応できている。
小売業
▲
人手不足感が続いているうえ、引き抜きなどもみられることから、厳しい状
況となっている。人材をつなぎとめる観点から、アルバイト等の賃金も上げ
ざるを得ない。
商店街
▲
正規社員の過不足感はないが、アルバイトは継続的に不足している。ネット
上で応募できるシステムを導入し、一定の成果が出ているものの、前期と比
べ不足感がある。
コンビニ
▲
求人しても集まりが良くない。店が回らないほどではないが、社員、パー
ト、アルバイトなど全体的に不足感があり、特に薬剤師は他店との取り合い
になっている。
ドラッグストア
▲
稼働率の高まりから客室係の足りない状況が続いており、全ての予約を受け
ることができず、サービスが行き届かない事例も発生してきている。客室係
の雇用確保がままならないことから、従業員の疲労度は更に高まっており、
高齢化も進んでいる。
宿泊業
11
⑤個人消費
個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。
百貨店では、催事効果もあって高額品は好調に推移しているものの、天候影響などから衣料品が苦戦し、客
単価・購買客数も低下しており、全体的に消費マインドの高まりはみられない。また、北陸新幹線開業により
利便性が高まったことから、地元客の県外への流出もみられる。
スーパーでは、暖冬影響による冬物商材の苦戦に加え、相場高により一品単価が上がっている分、買上点数
が減っていることから、売上げは伸び悩んでいる。また、人口減少の中で大型商業施設などが増えており、競
合が厳しさを増している。
商店街では、北陸新幹線開業効果は、年明けから団体客に落ち着きがみられるものの、少人数の観光客は増
えており、一品単価も鮮魚や飲食店を中心に上がっている。消費増税については、かなり心配しているとの声
が聞かれる。
コンビニエンスストアでは、プレミアム商品が好調で、買上点数も伸びており、良いものを作れば売れる傾
向にある。
自動車販売では、登録車は新型車が好調に推移しているものの、全体では前年を下回って推移している。
家電販売では、店頭で説明を求め、商品を確認するものの、結局はインターネットで購入する傾向が強く
なっている。
ドラッグストアでは、食料品の品揃え充実に伴い客層が増え、ついで買いの増加や、健康食品にも動きがみ
られるが、景気が良くなったとは感じていない。
消費者志向としては、必要なものは高くても購入するが、必要なものしか買わず+αの購入は少ない。また
価格にシビアになっている一方で、プレミアム商品などには動きがあり、二極化が進んでいる。
【個別動向の具体例:販売状況】
(注)要因種別は原則として ○:プラス要因 ▲:マイナス要因 □:その他
要因種別
主なコメント
業種等
百貨店
入店客数・購買客数ともに微減。客単価は、消費増税以降1~2%減が続き、
▲
暖冬影響による冬物衣料の苦戦などもあり低下。大型商業施設開業に伴い地域
マーケットが変わった影響は大きい。消費増税はマイナス要素でしかなく、前
回ほどの駆け込み需要もないとみられる。
▲
観光客増加などで来店客数は伸び、購買客数は例年並み。暖冬影響による冬物
衣料不振などから買上点数・客単価は低下。消費増税前には駆け込み需要が見
込まれるが、その後は反動減がある。
百貨店
▲
北陸新幹線開業に伴う観光客数増加により入店客数は増えたが、地元客の県外
流出や、近隣の観光地が混雑したため地元客に敬遠されるなど、百貨店にとっ
てはマイナス影響が大きい。
百貨店
□
入店客数は、店だけでなく地域を挙げての取組もあり増加しているものの、購
買客数は減少。一方、客単価は催事効果もあって高額品が売れていることから
上昇しており、また当店は近隣に競合する大型商業施設がなく、今度オープン
する再開発ビルも周辺地域の賑わい創出に繋がり、相乗効果を期待。
百貨店
▲
大型商業施設開業影響により客数は微減。買上点数に大きな変化はないが、暖
冬影響もあって一品単価が下がり、モノ関係を中心に客単価は落ちている。映
画や飲食店は好調も、衣料品は暖冬で、食料品は競合店の影響により苦戦。
スーパー
12
▲
客単価はほぼ前年並みとなったものの、大型商業施設など競合店の影響を受け
ている店舗の売上げは大幅に減少。
スーパー
▲
客数は、競合店や人口減少の影響などから減少傾向。相場高により一品単価は
上がっているが、買上点数が1点程度減っており、客単価はほぼ横ばい。
スーパー
□
暖冬で冬物が売れ残り、底値がついた冬物の在庫が多く入り、2月でも冬物が
売れている。消費増税に伴うファッション関係の駆け込み購入は、直前3か月
と考えている。
小売業
□
新幹線開業効果は、年明けから団体客に落ち着きがみられるものの、少人数の
観光客は増えており、一品単価も鮮魚や飲食を中心に上がっている。消費増税
はかなり心配。
商店街
○
客数は微増。客単価は、キャンペーン効果や商品の品質向上に伴う値上げの影
響により上昇。買上点数も伸びている。消費増税は軽減税率により、トータル
でプラス影響が見込まれる。
コンビニ
○
登録車の新型車は好調に推移しており、納車待ちの状態が続いている。
□
来店客数は前期比横ばいも、前年同期比では減少。携帯電話の販売量が大幅に
ダウンし、パソコンも下がっている。消費増税は、前回ほどの影響はないと考
えている。
○
客数は前年を上回った。また食料品の品揃え充実に伴い客層が増え、ついで買
いが増加したことや、必要以上に値引きしていた商品の価格是正により客単価
も上回ったが、景気が良くなったとは感じていない。
□
営業努力で受注が取れるようになったが、消費増税前の駆け込み需要はまだ表
れていないと思われる。
自動車販売
家電販売
ドラッグストア
住宅販売
【個別動向の具体例:消費動向】
(注)要因種別は原則として ○:プラス要因 ▲:マイナス要因 □:その他
要因種別
主なコメント
業種等
百貨店
株価が下がったこともあり、逆資産効果で消費マインドは低下気味。
▲
▲
消費マインドは良くないとみられる。欲しい物は高くても買うが、安くても必
要なものしか買わない傾向があり、買上点数も下がっている。
百貨店
□
消費意欲は、モチベーション需要があり、必要なものにはお金を使っている傾
向がみられるが、価格にはシビアになっている。流行に飛びつくことも少な
く、前もって準備せず、必要になってから購入する傾向もみられる。
百貨店
□
嗜好性の高い商品は、気に入れば高くても買われるし、気に入らなければ安く
ても買われないので、売れ筋価格帯といったものはない。
百貨店
□
消費者志向としては、時計などの高額品は動いているが、アパレルは高価か安
価かの二極化が定番化し、中間体の動きが良くない。
スーパー
□
衣料などが落ち込んだのは暖冬影響によるものであり、消費者マインドが下
がっているとは思っていないが、売上げを伸ばすには何かきっかけになるもの
が必要。
スーパー
13
□
必要なものは購入するが、+αを買わない傾向に変化はなく、安いときにまと
め買いする傾向もみられる。
スーパー
□
牛肉は相場高により、価格が上がっているが、高ければ買わない、もしくは安
いときにまとめ買いしている。
スーパー
○
年明けに中心商店街で使える独自のプレミアム商品券を発行したところ盛況
で、消費意欲も悪くないと感じている。
○
プレミアム商品が売れており、良いものを作れば売れる傾向にある。節約に疲
れた感があるのかもしれない。
コンビニ
▲
最近の家電の消費者は、店頭で説明を求めて商品を確認し、結局はインター
ネットで購入する傾向が強くなっている。
家電販売
□
洗剤などの生活必需品に関して購入者の判断はシビアで、他店と価格を比較
し、良く吟味している。一方で、健康食品などはプレミアム商品が売れてお
り、二極化が進んでいると感じる。
ドラッグストア
14
商店街
⑥観光(入域の動向)
北陸地域への入り込み客数は、大幅に増加している。
北陸新幹線開業効果により入り込み客数は引き続き増加しており、開業2年目以降も効果は続くとみられる。
また、春節の影響もあってインバウンド需要は伸びており、中国・台湾からの観光客が多いが、温泉地など
においては、このところ欧米からの観光客が目立って増えている。
【個別動向の具体例】
(注)要因種別は原則として ○:プラス要因 ▲:マイナス要因 □:その他
要因種別
主なコメント
業種等
運輸業
訪日外国人観光客は増加している。また北陸新幹線は開業2年目となり、メ
○
ディアに露出する機会は減るが、利便性は変わらないので、今後も効果は続
くとみられる。
○
春節の影響もあってインバウンド需要は伸びているが、全体の売上げに占め
る割合は微々たるものとなっている。ショッピング目的の中国系富裕者層が
多く、化粧品や時計・工芸品などの購入が多い。欧米からの観光客も増えて
いるが、自国にもブランド品があるので購入量は少ない。
百貨店
○
銀聯での決済金額に変化はないが、春節の時期は台湾からの観光客が増えた
一方、中国大陸からの観光客は少なかった。
小売業
○
北陸新幹線開業2年目に入ったが、少人数の観光客は引き続き増えている。
商店街
□
観光客数は特に増減はないが、レンタカーを利用する客が富山・石川を観光
した足で、福井にも流れているもよう。
コンビニ
○
中国をはじめとするアジア系の外国人観光客が多かったが、このところ欧米
の観光客が目立って増えている。一方国内は、北陸新幹線開業に伴い、関東
方面からの観光客が引き続き増えている。
宿泊業
15
⑦資金調達環境
資金調達環境は、改善している。
運転資金については、企業によっては需要が継続しており、自己資金や借入れで対応している。
設備資金については、新工場建設等を行っているが、自己資金の範囲内で賄うケースが多く、資金繰りに懸
念はない。
また、金利が下がっており、借入れが容易になっているとの声も聞かれる。
【個別動向の具体例】
(注)要因種別は原則として ○:プラス要因 ▲:マイナス要因 □:その他
要因種別
主なコメント
業種等
化学
今年度は、新工場建設のため大型投資を行い、そのうち約8割は地銀を中心
○
に金融機関からの借入れで賄ったが、金利は低かった。なお、生産性向上税
制も利用した。
□
現状では問題ないが、受注の少ない状態が長引くと、資金繰りに問題が出て 電子部品・デバイス
くる。
□
前期後半の実入りが今期に反映されるので、現状の業況が続けば幾分キャッ
シュフローは改善される方向になると思われ、借入金の水準も落とせること
となる。
□
新工場棟建設のための設備資金は、全額自己資金により対応した。
○
運転資金需要はあるものの、自己資本比率も高く、資金は潤沢にあり、銀行
との関係は従来どおり特に問題ない。
運輸業
○
運転資金は27年シーズンの観光客増加により収益が上がったこともあり、
余裕がある。設備資金は来年度の設備投資額増加を見込んでおり、金融機関
から融資を受けることとなっているが、問題はない。
運輸業
○
ドミナント化出店を進めているが、金利も下がっているので、今後、資金が
借りやすくなることを期待している。
ドラッグストア
○
引き続き、運転資金等の需要が継続しており、
「地域建設業経営強化融資制
度」
、
「下請債権保全支援事業」などを利用している。
建設業
16
はん用・生産用
・業務用機械
電気機械