化膿性関節炎

2016/4/13
化膿性関節炎とは
関節内に病原菌が侵入し、関節滑膜に感染を
起こした状態
化膿性関節炎
名称が紛らわしい疾患
• 骨髄炎
• 化膿性脊椎炎
• 反応性関節炎
• ウイルス性関節炎
2016年4月8日
救急部カンファレンス
リウマチ科
山崎 仁志
発症頻度
年間 4~10人/10万人
⇒松山市で年間20~50人くらい?
罹患部位
80% 単関節炎
20% 多関節炎
リスク因子
80歳以上、糖尿病、関節リウマチ、人工関節、最近の関節手術、皮膚疾患
薬物注射、アルコール、関節内ステロイド注射
罹患関節
感染経路
72%は血行性感染
咬傷、外傷、関節注射、手術など直接経路もある
40%が関節リウマチ、変形性関節症などの関節基礎疾患あり
→構造破壊があると感染しやすい
予後
死亡率 11%
多関節型では50%
グラム陽性球菌
グラム陰性桿菌
8%
40%
股関節
15%
足関節
9%
肘関節
8%
手関節
6%
肩関節
5%
静注薬物使用者
若年者
スポーツ選手
⇒胸鎖関節炎
⇒仙腸関節炎
⇒恥骨結合炎
15%
6%
40%
9%
整形外科 8例
頻度
黄色ブドウ球菌
44.0%
溶連菌
14.8%
肺炎球菌
6.5%
インフルエンザ菌
4.3%
大腸菌
3.8%
緑膿菌
頻度
膝関節
当院における2015年4月~2016年3月の症例
起因菌
起因菌
5%
1.5%
• 高齢者・免疫抑制患者ではグラム陰性桿菌が多くなる
• 人工関節では表皮ブドウ球菌が重要
• 淋菌性は、菌血症期→化膿性関節炎期の2相性
年
齢
性
別
基礎疾患
86
M
両膝OA
79
M
71
F
両膝OA
74
F
76
76
リスク因子
罹患
部位
G
染
培
養
血
培
起因菌
抗生剤
左肩
-
+
+
E.coli
CEZ、LVFX、MINO、
CTRX
あり
関節注射
左肩
+
+
-
MSSA
CEZ、MEPM、
CTRX
あり
関節注射
右膝
+
+
未
MSSA
CEZ、ABPC、
CLDM
あり
右膝OA
関節注射
右膝
+
+
未
MSSA
CEZ、GM、CLDM、
RFP、CEX
あり
M
両膝OA
関節注射
左膝
+
+
未
溶連菌
CEZ、CLDM、RFP
あり
F
腹膜透析
右肩
-
-
-
不明
VCM、CEZ
あり
75
M
多発性
骨髄腫
化学療法
右膝
+
+
+
E.Coli
(AmpC)
DRPM、MEPM
あり
76
F
両膝OA
関節注射
人工関節
右膝
-
+
-
緑膿菌
GM、PIPC、LVFX、
RFP
あり
外科的
ドレナー
ジ
1
2016/4/13
当院における2015年4月~2016年3月の症例
症状・検査所見
リウマチ科 7例
年
齢
性
別
基礎疾患
リスク因子
罹患部位
G
染
培
養
血
培
起因菌
抗生剤
外科的ド
レナージ
73
M
RA
DM
皮膚疾患
右肩
左手
+
+
+
MSSA
CEZ、CTRX、
CLDM、CEX
あり
68
F
RA
人工関節
右股
+
+
+
E.Coli
(ESBL)
MEPM
あり
64
M
RA
肝硬変
人工関節
皮膚疾患
右手
右膝
+
+
+
MSSA
CEZ、LVFX、
CEX
なし
85
F
両膝OA
人工関節
皮膚疾患
右膝
+
+
+
MRSA
VCM
あり
80
F
両膝OA
人工関節
右膝
-
+
-
Candida
parapsilosis
FLCZ、VRCZ
あり
28
M
アトピー性
皮膚炎
皮膚疾患
左胸鎖
+
+
+
MSSA
VCM、CEZ、
VFX、CEX
なし
30
M
右胸鎖
-
-
-
不明
CEZ、CLDM
なし
症状
関節の腫脹・発赤・疼痛・可動域制限
発熱を認めるのは34%との報告あり
血液検査
WBC上昇、CRP上昇、PCT上昇
(関節リウマチでアクテムラ®など投与中は注意が必要)
画像検査
レントゲン ⇒偽痛風、関節リウマチの診断には有用
CT
⇒関節以外の感染巣の検索
MRI
⇒骨髄炎の有無など
急性単関節炎の鑑別疾患
•
•
•
•
偽痛風 レントゲン
化膿性関節炎
結晶誘発性関節炎(偽痛風、痛風)
外傷
関節リウマチ
膝関節:関節軟骨石灰化あり
関節穿刺
• 膝関節の穿刺は容易
• 手関節、手指などは関節腔が狭く、検体採
取が困難
手関節:三角靭帯の石灰化あり
関節液
正常
非炎症性
炎症性
感染性
外観
透明、明瞭
透明、黄色
不透明~半透明、黄色
不透明、黄色か緑色
粘稠度
高い
高い
低い
種々
白血球数
/μL
<200
<200
5,000~75,000
>50000,しばしば
>100,000
変形性関節症
外傷
関節リウマチ
結晶性関節炎(痛風、偽痛風)
細菌感染
関連疾患
• 人工関節は手術室など無菌操作が好まし
い
• グラム染色 →50%で起因菌を同定可能
• 培養
→67%で起因菌を同定可能
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2016/4/13
治療
抗生剤投与+ドレナージ
抗生剤の投与期間
2週間 点滴 ⇒2~4週間 経口
救急での対応
• 理学所見のみで化膿性関節炎を疑うことがで
きる
• CT等で全身性炎症性フォーカスがない場合は、
血液・尿培養提出に加えて、関節液穿刺培養
すべきである
• リウマチ科・整形外科へコンサルト
Take Home Message
• 化膿性関節炎は急性関節炎におけるエマージェ
ンシー!
• 化膿性関節炎を疑ったときは関節穿刺!
• 速やかな抗生剤投与、ドレナージが必要!
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