VOL. 18 NO. CHEMOTHERAPY 5 497 セ フ ァ ロス ポ リ ン剤 に よ る直 接 クー ム ス 試 験 陽 性 に 関 す る基 礎 的 研 究 宮 川 千 恵 子 ・田沢 房 子 ・峯 島 博 子 順天堂大学中検 小酒井 望" 順天堂大学臨床 病理学教室 セ フ ァ ロ ス ポ リ ン 剤 投 与 に よ り直 接 ク ー ム ス 試 験 が 陽 性 に な る とMoLTHANら1)は (CET)に 報 告 し,特 にCephalothin つ い て試 験 管 内 に お け る クー ムス試 験 を陽 性 に す る 薬 剤 濃 度,そ うに度 解 度 の低 い もの につ い ては,イ),ロ)の な い,CET,CER,CEZの の 他 の基 礎 的 実験 を報 告 して い る。 方法で行 よ うに度 解度(の高 い もの に つ い て は 鐸)の方 法 の み を用 い た。 感 作 血 球(II)を 用い て,型 通 りの クー ムス 試験 を行 なつ た 。 わが 国 にお い て も数種 類 の セ フ ァ ロス ポ リソ剤 が 使用 さ A〕Alsever血 液(I)の 作成 れ て い る の で,Cephalexin(CEX),Cefazolim(CEZ) を 中 心 と して 数 種 の 薬 剤 に つ い て,試 験 管 内 での クー ム ス 試 験 が 陽 性 に な る薬 剤 濃 度 に つ い て 基 礎 的 実 験 を 行 な う と と も に,用 い る抗 ヒ トグ ロ ブ リ ン血 清 に よ り異 な る か ど う か も 検 討 し た 。 実 験 の 結 果,ク B〕CEX感 ー ムス 試験 が陽 性 作血 球(II)の作成 イ)高濃度CEXの 感作方法 と で た こ と に 関 して 私 ど も は セ フ ァ ロ ス ポ リ ン 剤 を 媒 介 と し て,赤 血 球 に 血 漿 蛋 白 が 結 合 し,こ ブ リ ン血 清 を 加 え る と凝 集 し,ク れ に抗 ヒ トグ ロ ー ム ス試 験が 陽 性 化 し た も の と考 え て い る。 1 実 (1) 験 材 料 抗生物質 CEX,CET,Cephaloridime(CER) , Cephaloglycim(CEG),CEZお よ びPC-G, KM,Nafcilli獄 (2) 抗 ヒ トグロ ブ リ ン 血 清 Ortho,Pfizer,東 京 標 準 血 清,ミ ド リ十 字 の 各 図1 正 常 人 血 球 にCEXを 製品 (3) Alsever溶 III 実 成 書2)に 従 つ て 作 成 し た 。 (4)生 理 食 塩液 0.85%を (5)被 感 作 す る方 法 液 1. 験 結 果 セ フ ァ ロス ポ リン剤 と赤 血 球,血 漿 蛋 白 の 結 合状 使用 態 検 血液 クー ム ス試 験 が セ フ ァ ロス ポ リン剤 に よ り陽 性 に な る 採 血 直 後 の 正 常 人 全 血 を 用 い た 。 保 存 はMolTHAN の は,セ フ ァ ロ スポ リン剤 を 介 して赤1血球 に血 漿 蛋 白 が ら1)に 従 つ た 。 II 実 結 合 す る と考 え られ る の で,ま ず 次 の実 験 を 行 な つ た 。 験 方 (a)は赤 血 球 を 生 理 食塩 液 で よ く洗 浄 した後 セ フ ァロ スポ 法 リ ン剤 を 感 作 した もの,(b)は 洗 浄 した赤 血 球 に セ フ ァ ロ 実 験 方 法 はLEYら3)とMOLTmら1)を の ご と く行 なつ た 。 す なわ ち まずA〕 参 考 と して 図1 の ご と くAlsever 血 液 を 作成 し,こ れ を 用 い てB〕 の ごと くセ フ ァ 群ス ポ リン剤 を赤 血 球 に 感 作 した 。 そ の 際CEX,CEGの よ ス ポ リン剤 を 感 作後,生 理 食 塩 液 で よ く洗 浄 し,更 に血 漿 蛋 白を 加 え て反 応 別せ た もの,(c)は 図1-B〕 に よる 方 法 で作 つ た 感 作血 球 で あ る。 これ らを用 い て,型 通 り クー ム ス試 験 を 行 なつ た のが 表1で あ る。 表 か ら明 らか CHEMOTHERAPY 493 表1 SEPT.1970 抗 生 物 質 の 結 合 状 態 な よ うに,(a)の ご と く血 漿 蛋 白 の 存 在 しない 場 合 は クー グ ロ ブ リ ン血 清 を 用 い た 場 合,CEX,CET,CER,CEG ム ス試 験 は 陽 性 に な ら ない が,(b)の ご と く後 に 血 漿 蛋 白 簡 を 作用 別せ る と陽 性 に な る 。 この こ と よ り,血 漿 蛋 白 の 0.666mg/m1と で はOrtho1.67∼7.5mg/m1,ミ 存在 な しで も,セ フ ァ ロス ポ リン剤 が赤 血 球 に 吸 着 す る 血 清 で はCERで こ とがわ か る。 また,(b),(C)で は い ずれ も血 漿 蛋 白 が 存 0.333∼6.66mg/ml,0.167∼3.33mg/mlと 在 す る が,感 作 時 に血 漿蛋 白が 存 在 す る 方 が反 応 が 強 か い る 。CEZの つ た。 度 が 高 い 。 ま たMOLTHAら1)と 2. 直接 クー ム ス 試 験 を陽 性 に す るセ フ ァ ロスポ リン 多 少 最 低 濃 度 が 低 い が,そ 京標準 れ ぞ れ 近 似 して み 他 の セ フ ァ ロスポ リン 剤 に 比 べ 最低 濃 の 成 績 の比 較 で は 私 た ち の方 が 最 低 濃 度 が高 い。 3. 直 接 ク ー ム ス 試 験 を 陽 性 に す る 他 の 抗 生 物 質 の 濃 剤 の最 低 濃 度 私 た ち は まず 直 接 クー ムス 試験 を陽 性 に す るCEXの 度 最 低 濃 度 に つ い て実 験 した。 表2は 多 数 の 正常 人 に つ い て実 験 した うち の6人 の成 績 を示 した が,CEXに よ り直 接 クー ムス試 験 が 陽 性 に な る 最低 濃 度 は3.33∼7.5mg/ m1の ド リ十 字0.167∼ 近 似 値 の 範 囲 に あ り,Pfizer,東 範 囲 で多 少 個 人 差 が み られ る。 これ らを表3の ご と く市 販 別れ てい る抗 ヒ トグロ ブ リン血 清 の2種 類 を 用 ∼ て 比 較 した とこ ろ,抗 ヒ トグロ ブ リン血 清 に よ りか な セ フ ァ ロス ポ リン剤 に よ る直接 クー ム ス試 験 の対 照 と し て 同 様 の 実 験 をPC-G,KM,Nafcillinに あ る 。 こ れ ら の 最 低 濃 度 はMOLTHAN ら の 成 績 と 同 様,セ フ ァロ ス ポ リ ン 剤 に 比 し て ず つ と高 い 。 抗 ヒ トグ 癖 ブ リ ン 血 清 に よ る 最 低 濃 度 の 差 は セ フ ァ ロ ス ポ リ ン剤 の 場 合 と 同 様 で あ る 。 り差 が み られた 。 考 別 らに4種 類 の市 販 抗 ヒ トグ 戸ブ リソ血 清 を 用 い て, 5種 類 の セ フ ァ ロ スポ リン剤 に よ る直接 クー ム ス試 験 を つ い て行 な つ た 結 果 が 表5で 察 セ フ ァ ロス ポ リン剤 の媒 介 で 赤血 球 と血 漿 蛋 白 が結 合 陽 性 にす る最 低 濃 度 に つ い て繰 返 し実験 した 結 果 が 表4 す る こ とに よ り,直 接 クー ム ス試 験 が陽 性 に な るが,試 で あ る。 抗 ヒ トグ β ブ リン血清 の 種 類 に よ り最 低 濃 度 に 験 管 内 で陽 性 に な るセ フ ァ ロス ポ リン剤 の最 低濃 度 は, 差 の み られ る のは 表3と 同様 であ る。しか し,同一 抗 ヒ ト 正 常 人 の血 液 で も多少 個 人 差 が み られ,使 用 す る抗 ヒ ト 表2 直 接 クー ム ス試 験 を 陽性 にす るCEXの 濃度 VOL. 18 NO. 表3 CHEMOTHERAPY 5 499 2種 の抗 ヒ トグロ ブ リ ン血 清 に よ る直 接 クー ム ス試 験 を陽 性 に す るCEXの 表4 直 接 クー ム ス試 験 を陽 性 に す るセ フ ァ ロスポ リン剤 の最 低 濃 度 グロ ブ リン血 清 の種 類 に よつ てか な り の 差 が 生 じる。 後 の血 中 濃 度 は21mcg/m1で しか し,同 一 抗 ヒ トグ ロ ブ リン血 清 で 行 な うと,CEX, 1000mg筋 CET,CER,CEGは 濃 度 の 比較 近 似 した 最 低 濃 度 に な り,CEZ のみ 高 い 濃 度 で 陽性 で あ る。MOLTmら1)は,CETを で あ る とのべ,こ の 際6∼12時 投 あ る と し,QuINN6)はCER 注 した 時 の1時 間 値 は23.4∼55.7mcg/ml 度 は1.5∼2倍 間毎 に筋 注 す る と血 中濃 に 上 が る とのべ て い る。5種 類 の セ フ ァ 与 別れ た 多 くは直 接 クー ムス試 験 が 陽 性 とな り(55人 中 ロ スポ リソ 剤 に よ りクー ムス 試 験 が 陽 性 に な る濃 度 は 41人75%),輸 Ortho 血 を 困 難 に した とのべ,ま たCET投 与 1.67∼16.7mg/m1で,Orthoの 抗 ヒ トグロ ブ 後 で は31人 中25人 が直 接 クー ムス試 験 が 強 陽性 に なつ た リン血 清 を用 い た 場 合 に は クー ム ス試 験 が 陽 性 に で る と との べ て い る。GRら4)も20人 は 考 え られ ない 。 しか し,東 京 標 準 血 清,ミ の 患者 にCETを 投与 ド リ十 字 の した と ころ8人 が 直 接 クー ム ス試 験 が 陽 性 で あつ た が, 製 品 を用 いれ ば,注 射 直 後 や,注 射 部 位 で は 血中濃 度 が これ ら8人 は全 て窒 素血 症 患 者 で,CETを 高 くな る の で直 接 クー ムス試 験 が 陽 性 に な る こ とが あ ろ た とのべ てい る。 金 沢 ら5)はCET1000mg静 表5 多量に投与 し 注1時 間 う。 特 に ミ ドリ十 字 の 抗 ヒ トグロ ブ リン血 清 で は0.167 直 接 ク ー ムス試 験 を陽 性 にす る他 の 抗 生 物 質 の濃 度 CHEMOTHERAPY 500 ∼0.666mg/m1で SEPT.1970 あ るか ら陽 性 に で る可 能性 が強 い 。 tests これ ら抗 ヒ トグロ ブ リン血 清 は製 品 に よ り最低 濃 度 が 異 な るの で,抗 2) ヒ トグ ロブ リン血 清 の 性 質 や 力価7)につ 鈴木 い て 検討 を行 ない 別 に 報 告8)した 。 なお 本 現 象 の 本態, 3) セ フ ァ ロス ポ リ ン剤 に よ り直接 クー ム ス試 験 が 陽 性 に 4) ヒ トグ ロブ リン血 清 の 相違 に よ りか な りの 開 5) 金 沢 か な り大 きな 値 を 示 した 。 以 上 の 成 績 か ら使 用 す る抗 血 濃 度 の高 くな る注 射薬 の場 合),直 6) 7) 献 FUNDAMENTAL direct Clinical observed by which CET We has carried (CEX),and 物 学 的 薬剤 生 省,1967 販 ク ー ム ス 試 薬 の 検 討,現 THE TO CEPHALOSPORINS Laboratories, Climica POSITIVE Juntendo 在 to be caused COOMBS Hospital KOSAKAI Umiversity the considered DIRECT HIROKO MINESHIMA University lPathology,Jumtemdo MoLTHAN et al.that is ー ム ス 血 清 基 準,生 Agents 宮 川 千 恵 子,他:市 ON DUE Nozomu been evaluation. Antimicr. 1966 : 88-95, 1967 基 準:191∼195,厚 CHIEKO MIYAKAWA, FUSAKO TAZAWA and has laboratory Coombs STUDIES TEST It 剤 の 基 礎的 臨 投稿中 MOLTHAN, L., et al. : Positive Cephalothim(CET).This 1967 黒 川 正 身,他:ク 8) of MCGINNISS, associatei J. A. M. A. 裕,他:CephalosporinC製 and clinical & Chemoth. した。 Departmemt reaction therapy. E. L. QUINN,et al.: Cephaloridine, 接 クー ム ス 試 験 が 陽 本 研 究 の要 旨 は第18回 日本 化 学 療 法 学 会 総 会 に て発 表 1) 127 : 1118--1119, 床 的 検 討 。Jap.J.Amtibiotics21:1∼9,1967 くに 血 中 性 に な り得 る こ とを 知 つ た。 文 Science directed WRIGHT, L. D. & 199 : 725-726, 他 の セ フ ァ ロス ポ リン剤 と比 べ フ ァ ロス ポ リン剤 使用 中(と Pe nicillin. antibody M. H.: Coombs' positive with sodium Cephalothin 同一 抗 ヒ トグ ロブ リン血 清 を 用 い る と近 似 値 を 清 に よつ ては,セ HARRIS, J. P., BRINKLEY, M. & GRALNIK,H. R.; な る最 低 濃 度 を 検 討 した と ころ,CET,CER,CEG, 清 学; 原 出 版,1965 against 1958 論 J. Med. 床 検 査 技 術 講 座(第2集)血 LILES, B. : Circulating 結 きが み られ た 。CEZは New Engl. 1967 LEY, A. B.; は 今 後 の 検討 を要 す る。 と るが,抗 鑑3臨 63∼64,金 直 接 クー ムス試 験 を 陽 性 に す る血 漿 蛋 白の 分 画 に つ い て CEXは due to Cephalothin. 277 : 123-125, direct by Coombs School test plasma is of Medicine positive protein inpatiemts binding to the receiving erythrocyte to adhered. out in vitro experimets Cefazolin(CEZ)to with CET,Cephaloridime(CER),Cephaloglycim(CEG),Cephalexin determine the concemtrati on of each antibiotic at which the direct Coombstestwaspositive. Four Cephalosporins according four 1.67 showed CEZ to the exceptCEZ kiad of Cephalosporims,we showed antig1obulin had a to7.5mg/m1.However,when the showed values a ramging ratherhighvalue similar serum.When positive direct Green from 0.167 values,but these values Ortho'samtig1obulin Coombs Cross's test at antiglobulin similar serum were serum somewhat was concentrations was different used for ranging used,four Cephalosporins to0.666mg/m1。 than other Cepha1osporins,ranging from 0.666 to 16.7mg/m1. these from
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