中国の発行体格付A+/AA-[安定的]を維持

NEWS RELEASE
2016年04月13日
【格付維持】
中華人民共和国
外貨建発行体格付: A+ [格付の方向性:安定的]
自国通貨建発行体格付: AA- [格付の方向性:安定的]
外貨建短期債務: a-1
格付投資情報センター(R&I)は上記の格付を公表しました。
【格付理由】
一時期の高成長から減速したが、世界第2位の経済大国としては高い水準の成長率を保つ見通しだ。1
人当たり国内総生産(GDP)は8000米ドルを超える水準まで高まってきた。リーマンショック前後にみら
れた過度な投資活動の副作用で産業部門の調整が続く中でも、サービス部門の堅調さを後ろ盾に、経済
は緩やかな減速基調を保つとみている。今後の安定成長のための課題は政府によって的確に把握されて
いると判断している。積みあがった企業債務の動向には引き続き注意が必要だが、銀行部門の耐久力に
大きな不安は無く、財政余力もある。これらを勘案し、外貨建及び自国通貨建発行体格付を維持した。
ただ、経済成長への潜在的な下押し圧力は低下していない。過度の減速は金融システム、ひいては財
政面での負担を高める恐れがある。そうなれば安定的としている格付の方向性にも影響しよう。財政・
金融政策を通じて景気を下支えしつつ、国有企業改革や農村改革、金融市場整備など中長期的な安定成
長のための制度改革をしっかりと進められるか見守りたい。
投資効率の低下や緩やかな産業構造の変化、さらには環境問題・格差の拡大など社会問題がもたらす
成長率の鈍化圧力を受けながら、雇用創出を支えに安定成長を目指す。共産党指導部は、質や効率性を
重視した経済発展に向け、経済構造や制度の改革を進める構えだ。向こう5年間の実質GDP成長率の目標
は平均6.5%以上とするが、経済実態からすると自然体での達成は難しいだろう。財政・金融政策を通じ
た景気の下支えと、鉄鋼や石炭といった過剰設備業界の整理など景気には逆風となる構造改革を同時進
行で進める、難しい政策の舵取りが続く。
資本収支は2014年第2四半期以降、赤字(資本輸出)になっており、外貨準備はピーク時と比較して2
割近く減っている。人民元の先安観を抑えるべく当局による元買い介入が続けられているが、国内で必
要な金融緩和の効果を相殺してしまう副作用を伴う。経済が安定的に推移し、人民元市場の安定感が増
すことが必要だ。
現時点で金融システムの安定性に不安があるわけではないが、債権の質の実態に不透明な部分がある
のは否めない。将来、経済成長率がもう一段、低下する局面に備え、金融制度改革の持続は必須だ。い
わゆるシャドーバンキングの伸張は、大企業への融資を中核に据えた、厳しく規制された金融制度の限
界を示している。すでに形式上、貸出・預金金利ともに自由化されたが、実際に信用リスクに応じた市
場金利が形成され、資源配分の効率性向上及び金融システムの健全性強化に寄与するにはまだまだ時間
がかかろう。
一般政府ベースでみた財政赤字は抑制されており、狭義の財政運営は比較的手堅い。ただ、土地売却
益が大きく減った地方政府財政の財源として地方債の発行が急増しており、国際通貨基金(IMF)推計で
は、一般政府債務残高は2016年末でGDP比47%に高まるなど、やや伸びが急だ。第三セクターの資金調達
会社を通じた高利借り入れから地方債への移行は、債務構造の透明性が高まる点で評価できるものの、
最終的には国家財政への潜在的負担となる点に注意が必要だ。今後も、こうした金融リスクの財政化が
様々な形で行われる可能性は高いとR&Iではみている。
懸案を抱えながらも、中国共産党の一党指導体制に変化はみられない。習近平国家主席、李克強首相
を筆頭とする指導部が打ち出した改革の方向性はおおむね評価されている。有言実行となるか、真価は
絶えず問われよう。
■お問合せ先 :インベスターズ・サービス管理部 TEL.03-3276-3511 E-mail [email protected]
■報道関係のお問合せ先 :経営企画室(広報担当) TEL.03-3276-3438
株式
会社
格付投資情報センター
〒103-0027東京都中央区日本橋1-4-1 日本橋一丁目三井ビルディング http://www.r-i.co.jp
信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ
ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に
際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ
き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。
ⓒRating and Investment Information, Inc.
NEWS RELEASE
【格付対象】
発行者:中華人民共和国
名称
格付
格付の方向性
外貨建発行体格付
A+(維持)
安定的
自国通貨建発行体格付
AA-(維持)
安定的
名称
格付
外貨建短期債務
a-1(維持)
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ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に
際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ
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NEWS RELEASE
信用格付に関わる事項
信用格付業者
登録番号
株式会社格付投資情報センター
金融庁長官(格付)第6号
直近一年以内に講じられた監督上の措置は、ありません。
主任格付アナリスト
関口 健爾
信用格付の付与について
代表して責任を有する者
細田 弘
信用格付を付与した日
2016年04月06日
主要な格付方法
ソブリンの格付の考え方 [2012.03.16]
上記格付方法は、格付を行うにあたり考慮した他の格付方法とともに以下のウェブサイトに掲載して
います。
http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/methodology/index.html
評価の前提は、以下のウェブサイトの格付付与方針に掲載しています。
http://www.r-i.co.jp/jpn/ratingpolicy/index.html
格付符号とその定義は、以下のウェブサイトに掲載しています。
http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/definition/index.html
格付関係者
中華人民共和国
注 格付関係者は、金融商品取引業等に関する内閣府令第三百七条に基づいて、R&Iが判断したものです。
利用した主要な情報 政府を含む公的機関が作成した財政・経済資料
品質確保のための措置 政府を含む公的機関が作成した、またはそれに準じた信頼性が確保さ
れている資料であること。
情報提供者 -
信用格付の前提、意義及び限界
R&Iの信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定
通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見です。R&Iは信用格付によって、個々の債務等
の流動性リスク、市場価値リスク、価格変動リスク等、信用リスク以外のリスクについて、何ら意見
を表明するものではありません。信用格付は、いかなる意味においても、現在・過去・将来の事実の
表明ではありません。また、R&Iは、明示・黙示を問わず、提供する信用格付、又はその他の意見に
ついての正確性、適時性、完全性、商品性、及び特定目的への適合性その他一切の事項について、い
かなる保証もしていません。
R&Iは、信用格付を行うに際して用いた情報に対し、品質確保の措置を講じていますが、これらの
情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。R&Iは、必要と判断した場合に
は、信用格付を変更することがあります。また、資料・情報の不足や、その他の状況により、信用格
付を保留したり、取り下げたりすることがあります。
利息・配当の繰り延べ、元本の返済猶予、債務免除等の条項がある債務等の格付は、その蓋然性が
高まったとR&Iが判断した場合、発行体格付又は保険金支払能力とのノッチ差を拡大することがあり
ます。
信用格付に関わる留意事項
当該信用格付は、格付関係者からの依頼によるものではありません。
格付関係者から信用評価に重要な影響を及ぼす非公開情報は入手していません。
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