脳活動を用いた動画像編集に関する研究 富山大学大学院理工学研究部(工学) 富山大学大学院理工学教育部修士課程 准教授 参沢 匡将 宮崎 雅 概要 : 近年,非侵襲的脳機能計測技術が発展し,脳機能の解明及び応用が進んで いる.そこで,本研究では,脳波を用いて動画像編集を行うことを目的とする.具体的 には従来の画像特徴ではなく,脳波からハイライトシーンを抽出することを試みる. 背景・目的 近年の脳機能計測技術の発展を受け,マルチメディア分野へ の応用に挑戦する.マルチメディア分野における脳科学の応用 は評価が主であり,具体的なアプリケーションへの応用が行われ ていない.そこで,本研究では,脳活動により動画像を編集する システムの構築を目的とする.具体的には動画像編集機能の1 つであるハイライトシーン抽出に着目する.ハイライトシーンは多 くの人が興味をもつシーンであるため,複数人の動画像閲覧時 の脳活動を計測し,分析することで,ハイライトシーン自動抽出手 法の基礎的研究を行う.また,本研究では脳活動として,脳波を 用いる. これまでのマルチメディアへの応用 映像,画像メディアの評価-像メディア評価学の勧め-,電子情報通信学会誌,2013.4 評価 ・きれい・汚い ・興味の有無 など 脳活動計測 応用 本研究 ハイライトシーンの自動抽出 実験 多くの人が興味をもつシーン(ハイライト シーン)を脳活動から自動で抽出する。 計測機器:EEG(Thought Technology社製 ProComp Infiniti)(サンプリングレート:256Hz) 計測部位:国際10-20法におけるCz,Fz,O1,O2 動画像:Youtubeからダウンロードした,50本のCM動画像. 実験タスク: Step1(レスト) : 画面中央に”X”を表示し,それを注視することで脳活動を安定させる. Step2(動画像の閲覧) : CM動画像を30秒間閲覧する. Step3(アンケート) : 動画像の内容に関して,「面白い」,「面白くない」の2択の回答を行う. 結果 解析手法 本研究では,周波数領域に変換し,α波(8~13Hz)に着目し,個人ではなく集団のデータから推定すること が望ましいため,全被験者のα波の時系列を加算平均し,ローパスフィルタの処理を行った. 解析結果 赤丸箇所は少女が頭突きで瓦を割るシーンであり,特徴的シーンである.そのため,ハイライトシーンとして 捉えられると考えられ,α波が最も高いシーンをハイライトとして抽出することとした. 評価結果 ハイライトシーンを第3候補まで選ぶアンケートを行い,脳波から抽出されたハイライトシーンと比較した. その結果,動画像によって80%以上の精度で抽出可能であることが分かった. 今後の展望 上記研究成果をもとに,ハイライトシーン抽出精度の向上と共に,シーン分割や動画像符号化へ応用していく 予定である. 連絡先:富山大学 知財・リエゾンオフィス [email protected] ℡076-445-6392 Fax 076-445-6939
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