ii 画像解析を用いたスラリー粘性土の乾燥過程における 体積変化の評価 平 成 26 年 2 月 石田 貴久 要旨 目的 粘性土は初期含水比によって性質が大きく異なる.しかし,スラリー粘性土の実験では ノギス等による測定は適用できず,体積変化を求めるのが困難であり,定量的な評価が十 分にされていない.本研究では,画像解析を用いてスラリー粘性土の乾燥過程における体 積変化を算定する方法を提案し,その有効性を検証する.さらに,得られた結果と圧密再 構成粘性土との結果を比較し,初期含水比の異なる場合の収縮特性を検討する. 方法 NSF(C)粘 土 (初 期 含 水 比 w 0 ≒ 85%,液 性 限 界 w L =57.5%,収 縮 限 界 w S =35.7%)と 若 里 シ ル ト (w 0 ≒ 55%, w L =44.8%, w S =19.0%)を 使 用 し た . 飽 和 ス ラ リ ー 試 料 を 収 縮 皿 に 充 填 し,その表面に測点のビーズを所定の間隔に配置して,乾燥過程を固定カメラにより 連 続 撮 影 し た . 体 積 変 化 は 画 像 解 析 よ り 得 ら れ た 鉛 直 ・水 平 変 位 に 基 づ い て 算 定 し た . また,一般的なパラフィン法を用いてある程度含水比の低下した後の体積を 1 点ずつ 直接求め,画像解析と比較した.なお,収縮試験には真空蒸発法を使用した. 結論 (1)画 像 解 析 を 用 い れ ば ス ラ リ ー 粘 性 土 の 乾 燥 過 程 の 体 積 変 化 を 連 続 的 に 測 定 す る こ と が で き る . 画 像 解 析 と パ ラ フ ィ ン 法 で 求 め た 体 積 の 誤 差 は ±5%程 度 未 満 で あ る . (2)ス ラ リ ー 粘 性 土 の 乾 燥 過 程 に お け る 収 縮 は 等 方 的 で は な い . 初 期 に 鉛 直 方 向 の 収 縮 が卓越し,遅れて水平方向の収縮が生じる. (3)圧 密 再 構 成 粘 性 土 の 含 水 比 w と 間 隙 比 e お よ び 飽 和 度 Sr の 関 係 は ,w の 低 下 と と も に Sr も 低 下 す る . 一 方 , ス ラ リ ー 粘 性 土 で は w=0.8~0.9w L ま で Sr=100%を 保 つ . そ の 後 ,圧 密 再 構 成 粘 性 土 と 同 様 に (w S ,Sr≒ 90%)付 近 ま で 直 線 的 に 減 少 す る .w S 以 下 で は w 0 に よ ら ず , w~e 関 係 は e m i n に 収 束 し , w~Sr 関 係 は 原 点 を 通 る 直 線 と な る . 指導教員 河村 隆 助教
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