MRI - 富山大学

体内深層部の細胞観察を実現させる超精細次
世代型MRI組み込み技術の開発
富山大学大学院理工学研究部(工学)
廣林 茂樹
富山大学大学院理工学教育部
長谷川 昌也
-概要-富山大学発の次世代信号解析技術NHAを用いて、低磁場でも鮮明な断層
画像を実現するソフトウェア技術の開発を行った。任意の微小空間の観察に関する
基礎検討と理想環境を想定したシミュレーション実験から、従来のMRIでは観察でき
なかった微小空間を可視化できる可能性を示す。
背 景
MRIで血管像を可視化する撮像方法はMRA(MR Angiography)と呼ばれており、造影剤を使用せず血管の状態を観察
できる技術として注目されている。現在のMRAでは、梗塞や
狭窄、動脈硬化の診断や血栓・プラークの有無を判断するた
めに利用されている。
従 来 研 究
実 験
実際に計測されたデータを用いて磁場強度軽減実験
を行った。実験に使用した計測データは、共同研究を行
っている東芝メディカルシステムズより提供して頂いたデ
ータである。実験では、提供データを基にコンピュータ上
で磁場強度を1/8に低減し、FFTとNHAによる解析を行っ
た。高磁場計測データを削除した低磁場計測データを利
用することで、FFTの分解幅以下の断層画像を解析し画
像再構成を行い、低磁場MRIでのNHAとFFTの分解能
に関して検討した。
MRIは、内部で主に2次元FFTを用いて画像を再構成してい
る。このFFTに代わって、高精度信号解析法であるNHA(Nonharmonic analysis)を応用すれば、これまで以上の空間分解
能を実現できる可能性がある。本研究では、特にMRA計測デ
ータをより正確に解析し、従来では観察することの出来なかっ
た、微細な血管の変化を可視化できる可能性に着目し、既存
のハードウェア性能を極限まで発揮し、より高精細な血管像の
提供に不可欠な技術の開発を目的とする。
実 験 結 果
実験に使用したデータは画像サイズ38.4×38.4 [cm]
であり、脳血管を撮像した画像である。
実験結果より、低磁場環境を想定した場合、FFTでは
MRI計測データの縮小に起因する分解能不足が発生
し、画像全体が平滑化されていることがわかる。一方
NHAは、FFTに比べ平滑化が抑制されており、血管の
太さがFFTよりもオリジナルに近い結果となっている。
なお、NHAは手法の特性により解析結果が点状に散
布するので、低次補間による後処理を行い画像再構成
している。
3テスラ→0.375テスラ
FFT
NHA
ま と め
MRIで血管像を可視化する技術はMRAと呼ばれており、画像再構成にはFFTが使用されている。
FFTに代わり、高精度信号解析法NHAを用いることで、高精細な断層画像の提供を目指した。
磁場強度を低減する実験をコンピュータ上で行い、FFTに比べ高精細な再構成画像を提供できる可能性を示した
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