高機能化をめざした酸化亜鉛量子ドット形成の研究 Liquid-Phase Laser Ablation of ZnO Quantum Dots with Various Functions 電気通信大学 ○ 先進理工学専攻 奥野剛史([email protected]),川端圭輔 香月大祉,佐藤哉元,七井靖,木村誠二 1(電気通信大学 研究設備センター1) ○ T. Okuno, K. Kawabata, The University of Electro-Communications D. Katsuki, T. Sato, Y. Nanai, S. Kimura 【はじめに】 液相レーザーアブレーション法によるナノ粒子形成においては、金属ターゲットがしばしば用 いられ、生成物は金属やその酸化物であることが多い。一方気相のレーザーアブレーションを用 いた薄膜形成では、焼結体ターゲットを用いることにより多元系の様々な機能性物質が得られて いる。そこで本研究においては、ナノ粒子に磁性イオンや発光イオンを導入するなどして高機能 化を実現するための手法として、酸化物ターゲットを用いた液相レーザーアブレーションを試み た。ZnO をターゲットに用い、ナノ粒子形成の界面活性剤依存を報告する。アブレーションの光 源としては、Nd:YAG レーザー(355nm, 5ns , 50mJ/pulse)を用いた。 【陰イオン性界面活性剤】 陰イオン性界面活性剤である sodium dodecyl sulfate (SDS) を用いることにより、直径 30nm 程度 の ZnO ナノ粒子を作製することができた (Fig. 1) [1]。最適な SDS 濃度は 1mM で、Zn ターゲット を用いた場合と同様であった。発光およびラマン散乱スペクトル測定から、ZnO ターゲットを用 いた場合の方がナノ粒子中の酸素欠陥が少ないことがわかった。 【直径 6nm の ZnO ナノ粒子】 lauryl dimethylaminoacetic acid 溶液(LDA, 両イオン性界面活性剤)および octaethyleneglycol mono dodecyl ether (OGM, 非イオン性界面活性剤)を用いた場合には、粉末X線回折の回折線の幅が 増大しており (Fig.2) 、直径 6nm の ZnO ナノ粒子が形成された。cetyltrimethylammonium bromide (CTAB, 陽イオン性界面活性剤)では直径は 20nm 程度であった。弱い陰イオン性を持った分子で ZnO 表面が覆われることにより 6nm のナノ粒子が形成されたと考えられる。 【ZnO:Eu】 ZnO と Eu2O3 の混合粉末をペレットにしたものをターゲットに用いた。加熱蒸発法[2]、ゾルゲ ル法など様々な方法が試みられているが、Eu3+を導入した ZnO の形成は一般に容易ではない。カ ソードルミネッセンス測定などにより本手法で、一部の Eu3+が ZnO ナノ粒子に導入されているこ と、および、ZnO から Eu3+にエネルギー移動して赤色発光が生じることが確認された。 [1] K. Kawabata, Y. Nanai, S. Kimura, T. Okuno, submitted. [2] K. Ebisawa, T. Okuno, K. Abe, Jpn. J. Appl. Phys. vol47, 7236 (2008). ZnO_CTAB:0.01M 250℃ 5min ZnO_OGM:0.01M 250℃ 5min ZnO_LDA:0.01M 250℃ 5min ZnO Fig. 2 Fig. 1 transmission Intensity (a.u.) 20 nm CTAB OGM x-ray electron microscope diffraction image pattern LDA 10 15 20 25 30 35 2θ(°) 40 45 50 55 60
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