二国間交流事業 共同研究報告書 - 日本学術振興会

(様式4-1)
二国間交流事業 共同研究報告書
24 年
平成
独立行政法人日本学術振興会理事長
4月
13 日
殿
共同研究代表者所属・部局 独立行政法人物質・材料研究機構
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点
(ふりがな)
職・氏 名
1. 事
業
名 相手国( ハンガリ-
)との共同研究
MANA 研究者
わかやま
ゆたか
若山
裕
振興会対応機関(ハンガリー科学アカデ
ミー材料化学研究所 )
2. 研 究 課 題 名
ZnO ナノロッドと有機半導体界面で創る光機能
3. 全 採 用 期 間
平成
22 年 4 月 1 日 ~ 平成 23 年 3
月
31 日 ( 2 年
0
ヶ月)
4. 経 費 総 額
(1)本事業により執行した研究経費総額
初年度経費 2,500,000
5,000,000
円
円、 2年度経費 2,500,000 円、 3年度経費 0
(2)本事業経費以外の国内における研究経費総額
0
円
円
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5.研究組織
(1)日本側参加者(代表者は除く)
(ふりがな)
氏
ながた
所 属・職 名
名
たかひろ
物質・材料研究機構
長田 貴弘
研 究 協 力 テ ー マ
ZnO-有機半導体界面の電子状態解析
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点
お
すんじゅん
物質・材料研究機構
呉 承俊
ZnO ナノロッドの成長と光機能評価
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点
ふ
胡
じぇんちぇん
物質・材料研究機構
建 臣
有機半導体ナノロッドの成長と光機能評価
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点
(2)相手国側研究代表者
所属・職名・氏名
ハンガリー科学アカデミー材料科学研究所・研究員・Janos Volk
(3)相手国参加者(代表者は除く)
氏
名
Robert Erdelyi
所属・職名(国名)
研 究 協 力 テ ー マ
ハンガリー科学アカデミー
高配列 ZnO ナノロッド成長法の確立
材料科学研究所
Zoltan Szabo
ブダペスト経済工科大学
ZnO ナノロッド中の光伝搬の解析
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6.研究実績概要(全期間を通じた研究の目的・研究計画の実施状況・成果等の概要を簡潔に記載してくださ
い。)
本課題では、酸化亜鉛(ZnO)ナノロッドと有機半導体といった異種材料を組み合わせて新しい光機
能素子を開発することを目的とした。n 型半導体である ZnO に p 型半導体の有機材料を接合させた pn
接合型ダイオードを基本構造とし、特に ZnO は棒状(ロッド状)の一次元構造を基板垂直方向に規則配
列させてフォトニック結晶としての機能性を持たせる。これにより特定波長を透過させる光導波路とな
り、波長選択性の高い光検出素子の開発へと繋げる。有機半導体は ZnO ナノロッド上にスピンコーティ
ングで接合させた櫛形 pn 接合素子を形成する。この様な構造にして接合界面の面積(すなわち検出素
子面積)を大幅に増大させ、同時に光の透過と吸収、キャリアの分離と輸送を効率的に促進することに
より高波長選択性と高効率を同時に達成できる光検出素子を目指した。以上の実験を両機関の技術を相
補的に活かしながら進めた。具体的にはハンガリー側が主に ZnO ナノロッドの作製およびと光伝搬に関
する理論的予測を、日本側が有機半導体の合成および素子作製とその特性評価を担った。加えて基礎物
性評価としてハンガリー側が単一 ZnO ナノロッドの電気特性評価を、日本側が ZnO/有機半導体界面の
電子状態解析を担当し、ナノ領域からマクロ領域までの解析を多面的に進めて素子の動作原理の理解と
特性向上を目指した。
これらの共同研究をもとに得られた成果としては、以下の項目が挙げられる。
1)
ZnO ナノロッドを成長させるための基板結晶性の最適化を実現し、高結晶性のナノロッドを成長さ
せるための基礎的知見とした。
2) この成果とナノインプリント法によるパターニング技術を合わせることにより高配列・高結晶性 ZnO
ナノロッドアレイを 10mmx10mm の広範囲にわたって作製する技術を確立し、現実的な素子開発へと繋
げることができた。
3) ZnO-有機半導体界面における電子状態を解析して、バンドアライメントを明らかにした。
さらに ZnO
ナノロッド表面を窒化処理することによりバンドアライメントを制御できることを明にした。
4) この結果をもとに ZnO ナノロッド-有機半導体接合体で作る太陽電池特性を評価したところ、窒化
処理によって開放電圧を向上させることに成功した。
5) ZnO ナノロッド中での光伝搬を FTDT 法で理論解析して、可視光の伝搬に優位なナノロッドの直径と
間隔を最適化し、素子向上の指針を得ることができた。ここで得られた知見はナノインプリントでの配
列制御へと発展し得る。
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