次世代太陽電池用酸化物膜の湿式作製

★現在、太陽電池の広範な普及に向けて、従来のような結晶シリコンを用いない、色素増感太陽電池
(DSSC)、有機薄膜太陽電池(OSC)、酸化物太陽電池などの次世代太陽電池が研究されています。
★大阪市立工業研究所では、次世代太陽電池に必要な酸化物膜を、低コストで低環境負荷なプロセ
スである、水溶液からの電解析出によって作製しています。本発表では、こうした様々な酸化物膜の作
製例を紹介します。
TiO2膜使用DSSCの電流-電圧曲線
1)
酸化チタン膜
安定・安全なチタン-乳酸
錯体(TALH)と、硝酸アンモ
ニウムを含む水溶液から、
電解還元によって、TiO2膜
を作製した。
–
O
OH
O
O
2NH4+
H3C
電流密度/ mA cm-2
14
CH3
Ti
O
O
O–
OH
TALH
膜は焼成して、DSSCの電極として利用可能(変換効率
5.15%) ←電析TiO2を用いたセルでは、最高値
12
TiO2膜
10
短絡電流密度:
12.2 mA cm−2
開放電圧: 0.721 V
曲線因子: 0.580
変換効率: 5.15 %
8
6
4
2
0
0.2
ナノロッド
ピラミッドテクスチャ
1 μm
-
Zn
硝酸亜鉛水溶液を電解還元
硝酸イオンから水酸化物イオ
ンが生成し、水溶液中の亜鉛
イオンと反応することで酸化
亜鉛が析出
2+
H2O
Zn(NO3)2 水溶液
3)
酸化モリブデン膜
Au
Cu2O
N719/ZnO
ZnO
ZnO
FTO
ITO
FTO
DSSC
OSC
酸化物太陽電池
Hole Block Layer
Active Layer(P3HT/PCBM)
Electron Block Layer
電流密度/mA cm-2
電析MoO3薄膜による有機薄膜太陽電池(OSC)の耐久性向上
酸化モリブデン(MoO3)薄膜を電解析出法で作製
し、OSCに電子ブロック層として導入することで、
セルの耐久性を向上させることができた。
Aluminum
Au
P3HT/PCBM
Pt
I-/I3-
電流-電圧特性
MoO3薄膜なし
10
8
6
MoO3薄膜あり
4
変換効率
2.88 %
2
0
0
ITO
変換効率
3.47 %
0.2
0.4
電圧 / V
0.6
変換効率相対値 / %
ZnO
0.8
製膜メカニズム
対極
基板
OH
0.6
各太陽電池に適した膜構造
e-
0.4
電圧 / V
ウニ状
NO3
FTO基板
0
2)
酸化亜鉛ナノ構造体膜
- 電解装置 +
10 μm
変換効率の経時変化
120
100
80
MoO3薄膜あり
60
40
20
MoO3薄膜なし
0
0
500
1000
1500
2000
経過時間 / h
2500