信号理論基礎 演習問題 3(解答:簡略版)

平成 27 年 4 月 24 日,1 時限目
信号理論基礎 演習問題 3(解答:簡略版)
1. 複素フーリエ級数関数の集合 {ejnω0 t }, n = 0, ±1, ±2, · · · が,区間 −
数系であることを示せ.
【解答】省略(参考:教科書 p.69, 問題 3.5)
T
T
< t < で直交関
2
2
2. 周期関数 f (t) が実関数ならば,c−n = c∗n となることを示せ.ただし,c∗n は cn の複素共役
を意味する.
【解答】 ∫
∫ π
π
1
1
−j(−n)ω0 t
f (t)e
dt =
f (t)ejnω0 t dt
c−n =
2π −π
2π −π
である.一方,
{ ∫ π
}∗
∫ π
1
1
−jnω
t
∗
0
cn =
f (t)e
dt =
f ∗ (t)(ejnω0 t )∗ dt
2π −π
2π −π
となるが,関数 f (t) が実関数で f ∗ (t) = f (t),(e−jnω0 t )∗ = ejnω0 t となることから,
c−n = c∗n である.
3. 図 1(a),(b) に示すような波形を考える.以下の問いに答えよ.
(1) f (t) を複素フーリエ級数展開せよ.
【解答】 ∫
d
1
2π
cn =
1 e−jnω0 t dt, ω0 =
=1
2π −d
T
)
1
1 ( −jnd
1
d sin(nd)
d
=
·
e
− ejnd =
sin(nd) = ·
= sinc(nd)
2π (−jn)
nπ
π
nd
π
よって,f (t) の複素フーリエ級数展開は以下のように表せる.
∞
∞
∑
d ∑
jnω0 t
f (t) =
cn e
=
sinc(nd) · ejnt
π n=−∞
n=−∞
(2) g(t) を複素フーリエ級数展開せよ.
【解答】 ∫
2d
2π
1
1 e−jnω0 t dt, ω0 =
=1
cn =
2π 0
T
)
)
1
1 ( −j2nd
1 (
1
·
e
− e0 =
·
1 − e−j2nd
=
2π (−jn)
2π (jn)
)
d sin(nd) −jnd
1
1 −jnd ( jnd
d
=
e − e−jnd = ·
·
e
e
= · sinc(nd)e−jnd
2π (jn)
π
nd
π
よって,g(t) の複素フーリエ級数展開は以下のように表せる.
∞
∞
∑
d ∑
jnω0 t
g(t) =
cn e
=
sinc(nd) · ejn(t−d)
π
n=−∞
n=−∞
1
(3) f (t) と g(t) のスペクトル比較から,周期関数の時間推移がスペクトル (振幅スペクト
ル,位相スペクトル) へ及ぼす影響を考察せよ.
【解答】
f (t),g(t) の振幅スペクトル |cn | は全く同じであり,周期関数の時間推移は振幅スペクト
ルへ影響を及ぼさない.
一方,周期 2π の関数を d だけ時間推移した場合,位相スペクトルは −nd だけずれる.
(参考:p.71∼75)
(4) f (t) のパルス幅を狭くすると振幅スペクトルはどのように変化するか,d = π/2 の場
合と d = π/4 の場合を比較することで具体的に説明せよ.
【解答】
d sin(nd)
d
(1) の結果より,f (t) のスペクトルは cn = ·
= sinc(nd) である.
π
nd
π
ここで,nd = ±kπ, k = 1, 2, ... で零値を取ることに注意すると,
d = π/2 の時は,n = ±2, ±4, ... で cn は零値を取る (図 (i) 参照).
一方,d = π/4 の時は,n = ±4, ±8, ... で cn は零値を取る (図 (ii) 参照).
したがって,パルス幅を狭くするとスペクトルは平坦になる.
(参考:p.71∼75)
2