論文要約 - 日本経済研究センター

日経アジアスカラシップ
研究活動報告 要約
公益社団法人
日本経済研究センター
Japan Center for Economic Research
2015年2月24日
中国の国内人口移動が都市・農村部の高齢化
に与える影響:日本との比較:
ヤン・グ
中国社会科学院人口・労働経済研究所助理研究員
中国では改革解放政策が始まってから、大量の若い労働者が中・西部の農村地帯か
ら東南部の沿海地域の都市へ移動し、沿海部の経済発展を促進しただけでなく、各省
レベルの地域における高齢化のパターンにも影響を与えた。
本論文の目的は2つあり、1つは中国における国内人口移動と各省レベルでの地域
の高齢化について分析することである。人口移動は中・西部、特に農村部の高齢化を
加速した。もう1つは人口移動が地域における高齢化に与える影響を計算することで、
以下のような結果が得られた。
東南部の沿海地域は労働力の流入により、高齢化のスピードが緩やかになったが、
中・西部の高齢化は人口流出によって、より深刻となった。特に、安徽省、江西省、
四川省、重慶市、湖南省がそうである。こうした地域の農村部では高齢者を家族でケ
アするという伝統的なやり方が、若年層の流出により維持できなくなっている。発展
が遅れて経済的に恵まれない農村部の高齢者福祉という問題に対処するために、中国
は準備をできるだけ急ぐことが求められる。
そのため、本論文では、高齢化問題への対処という点に着目して日本との比較も行
っており、地域ごとの高齢化の差異や、国内人口移動と地域における高齢化の関係、
さらには高齢化の解決策として日本の皆保険・年金制度について詳述する。中国は日
本の蓄積された経験から学ぶべきである。
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