Semantic Transfer

Nara Women's University Digital Information Repository
Title
Semantic Transfer
Author(s)
吉村, あき子
Citation
英語青年, Vol.145, No.10, p.659
Issue Date
2000-01-01
Description
URL
http://hdl.handle.net/10935/889
Textversion
publisher
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Sem ant
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er
ある表現 の(
文脈 における)
解釈 は、その語 の
コー ド化 され た語嚢的意味の どれかに一致す る
必 要 はな く、複数 の単語 か らな る表環 の場 合
も、各単語 の語糞的意味 を足 し算 した ものに一
致す る必 要 はない。例 えば、適切 な文脈 におい
Ch l
S Wai
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ng f
or hi
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て、The ham sandwI
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i ch は 「それ を注文 し
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∵ Roma
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conた人」(メ ト二 ミ-)を意味 し、
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omance'は 「
r
omance の発音」(
メタ表示)
、
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ive は exac
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f
尺度含意)を意味す る と解釈 され るo
[
3
】は、「ある単語 が、語義 として コー ド化 さ
れてはいないがそれに何 らかの関係 がある文脈
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i
ct
r
ans
的 な意味 を獲得 す る現象」 を s
f
er と呼び、多義性 の出発点 にな るこ とを指摘
5
]も同
してい る。守備範 囲は少 し異 なるが、【
様 の現象 に注 目し、「同 じ表現 を用 いて、異 な
るカテ ゴ リーに属す るものに言及 できるよ うk
r
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す る言語 の生産的 プ ロセ ス全体 」 を t
ofmeanl
ng と呼び、概念 的 な指示 の転換 だけ
Cat
e
で な く、 言 語 メカ ニ ズ ム と して の predl
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ans
f
er分析 を提案 している。
このよ うな考 え方 に基づ くと、 これ まで メ ト
ニ ミ-や、尺度含意 を含 む一般化 され た会話 の
含 意 、 メタ表 示等 として考 察 され て きた もの
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er現 象 の一 つ で あ るこ と
は、 s
[
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er
sofmea
nl
'
ng は、伝統
になるO(
的 に 「こ とばの綾」 として分析 され てきた もの
を も含 む こ とが意 図 され てい るO
)上記 の よ う
な現象 は、人間が用 い ることばの認知的側面 を
反映す る もの として、最近 さまざまな角度 か ら
研究 が活発 に行 われている。
例 えば、伝統的 には近接性 の連想 に基づ く表
現 と分析 され るメ トニ ミ- は、認知文法 におい
【
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)
、人 の基本的認知 モデルの一つ であ
て(
る参照点構造 によって扱 われ る。即 ち、概念化
者 がある対象 に意識 を向 ける場合、それ に近接
す るよ り際立 ちの高 い別 の対象 を参照点 として
メ ンタル コンタク トを取 る認知 プ ロセ スで あ
る。従 って、例 えば、「サ ン ドイ ッチ」 の例 で
VoICXLV.
-No 1
0
は、 ウェイ ターk とっては認知的 によ り際立つ
注文 を参照点 に してそれ を 「
注文 した人」 にメ
ンタル コ ンタク トを取 るプ ロセ ス と分析 され
る。 さらに、類似性 の概念 k基 づ くメタファー
との連続性 も指摘 され てい る。
7
]が、 メ ト二 ミまた、 関連性理 論 では、[
をことばの解釈的用法 の一種 と見な し、記述的
内容 のアクセス しやす さが異 なる事例 の連続体
をな して い るこ と、 そ の慣 習化 の程 度 の違 い
や、指示的 メタファー を接点 に してメタファー
1
1
と連続性 がある こ とな どを指 摘 してい る。[
は、 メ トニ ミー解釈 の富化 の側面 と、 メタファ
oos
enl
ng の 側 面 に 注 目 し、 富 化 と
ーの l
l
oos
enl
ng が expl
i
cat
ur
e を派生す る際 に相補
的なプロセス として働 くことを示 している。 こ
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Ct
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の考 え方 に基づ くと、上記 の semant
f
erの例 (
メ トニ ミ-のサ ン ドイ ッチ、メタ表示
omance,尺度含意 の 丘ve)に関わ る解釈過
のr
i
cat
ur
e を作 り上 げ る際 の一手
程 は全 て、 expl
段 である富化 によって包摂 され ることになるo
s
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f
er とい う考 え方 は、 日常我
我 が行 ってい る コミュニケー シ ョンにおいて、
こ とば を用 いてその辞書的意味以上 の ことを伝
達す るメカニズムの、少 な くとも一つ の側面 を
明 らかに し, またそれ が慣習化 す ることによっ
て コー ド化 された ものになってい く過程、つ ま
り、 多義性 の要 因解 明 に もつ なが る もので あ
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る o た だ、 転 義 の歴 史 は古 い が 、 pr
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er をは じめ、その静知的側面 の分析 はま
だ始 まったば か りで、今後 の展 開 が期待 され
6]は最新 の論文集 である。
る。[
参考文献 :[
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