入 学 試 験 問 題 ๓ 数 学 (理科) (配点 120 点) 平成 27 年 2 月 24 日 14 時 – 16 時 30 分 注 意 事 項 1. 試験開始の合図があるまで, この問題冊子を開いてはいけません。 2. この問題冊子は全部で 20 ページあります。落丁, 乱丁または印刷不鮮明の箇 所があったら, 手を挙げて監督者に知らせなさい。 3. 解答には, 必ず黒色鉛筆 (または黒色シャープペンシル) を使用しなさい。 4. 2 枚の解答用紙が渡されますが, 青色刷りの第 1 解答用紙には, 第 1 問∼第 3 問について, 茶色刷りの第 2 解答用紙には, 第 4 問∼第 6 問について解答しな さい。 5. 解答用紙の指定欄に, 受験番号 (表面 2 箇所, 裏面 1 箇所), 科類, 氏名を記 入しなさい。指定欄以外にはこれらを記入してはいけません。 6. 解答は, 必ず解答用紙の指定された箇所に記入しなさい。 7. 解答用紙の解答欄に, 関係ない文字, 記号, 符号などを記入してはいけません。 また, 解答用紙の欄外の余白には, 何も書いてはいけません。 8. この問題冊子の余白は, 計算用紙に使用してもよいが, どのページも切り離し てはいけません。 9. 解答用紙は, 持ち帰ってはいけません。 10. 試験終了後, 問題冊子は持ち帰りなさい。 数学教育研究所 数学教育研究所 2 計 算 用 紙 (切り離さないで用いよ。) 数学教育研究所 3 第 1 問 xy 平面上に曲線 C : y = x2 と C 上の相異なる 3 点 A(1, 1), P(α, α2 ), Q(β, β 2 ) がある。ただし, α < β とする。2 点 P, Q が ̸ PAQ = 90◦ を満たしながら動くとき 以下の問いに答えよ。 (1) PQ の中点を M とするとき, M の軌跡を求めよ。 (2) 点 M の y 座標が最小のときの点 P, Q の座標を求めよ。 数学教育研究所 4 計 算 用 紙 (切り離さないで用いよ。) 数学教育研究所 5 第 2 問 数列 {an } の第 n + 1 項 an+1 は次のように第 n 項 an から決まる。 a n ( an が 3 の倍数のとき) 3 an+1 = an − 1 ( an を 3 で割ると 1 余るとき) a + 1 ( a を 3 で割ると 2 余るとき) n n また, a を正の整数として a1 = a のとき, an = 1 となる最小の自然数 n を f (a) とし, f (a) = k となる a の個数を xk とする。 (1) xk+2 を xk+1 , xk で表せ。 (2) xn を求めよ。 数学教育研究所 6 計 算 用 紙 (切り離さないで用いよ。) 数学教育研究所 7 第 3 問 xy 平面上に 4 点 P(cos θ, 0), Q(p, q), R(r, s), S(0, sin θ) を頂点とする正方形 PQRS > > > > < π がある。ただし, 0 < = θ = 2 , p = 0, q = 0, r = 0, s = 0 とする。また, θ が 0 から π まで変化したときの頂点 Q, R の軌跡をそれぞれ CQ , CR とおく。以下の問いに 2 答えよ。 (1) p, q, r, s を θ の式で表せ。 (2) CQ , CR , x 軸, y 軸で囲まれる部分を D とするとき, D の面積を求めよ。 数学教育研究所 8 計 算 用 紙 (切り離さないで用いよ。) 数学教育研究所 9 第 4 問 正六角形の頂点に 1 から 6 までの番号を順につける。また, n 個のサイコロを振り, 出た目を番号とするすべての頂点にしるしをつけるものとする。このとき, しるしの ついた三点を頂点とする直角三角形が存在する確率を pn とする。 (1) p3 , p4 を求めよ。 (2) lim n→∞ 1 log(1 − pn ) を求めよ。 n 数学教育研究所 10 計 算 用 紙 (切り離さないで用いよ。) 数学教育研究所 11 第 5 問 2 つの数列 {an }, {bn } は, a1 = b1 = 1 および, 関係式 an+1 = 2an bn , bn+1 = 2an2 + bn2 を満たすものとする。このとき次の問いに答えよ。 (1) n > = 3 のとき, an は 3 で割り切れるが, bn は 3 で割り切れないことを示せ。 (2) n > = 2 のとき, an と bn は互いに素であることを示せ。 数学教育研究所 12 計 算 用 紙 (切り離さないで用いよ。) 数学教育研究所 13 第 6 問 底面の半径 1, 高さ √ 6 の円柱がある。この円柱の上底面上に点 P, 下底面上に点 √ Q がある。2 点 PQ が PQ = 2 2 となるように動くとき線分 PQ の通過する部分の 体積を求めよ。 数学教育研究所 14 計 算 用 紙 (切り離さないで用いよ。) 数学教育研究所 15 計 算 用 紙 (切り離さないで用いよ。) 数学教育研究所 16 計 算 用 紙 (切り離さないで用いよ。) 数学教育研究所 17 計 算 用 紙 (切り離さないで用いよ。) 数学教育研究所 18 計 算 用 紙 (切り離さないで用いよ。) 数学教育研究所 19 計 算 用 紙 (切り離さないで用いよ。) 数学教育研究所 20 東大入試模擬問題解答 第1問 xy 平面上に曲線 C : y = x2 と C 上の相異なる 3 点 A(1, 1), P(α, α2 ), Q(β, β 2 ) がある。ただし, α < β とする。2 点 P, Q が ̸ PAQ = 90◦ を満たしな がら動くとき以下の問いに答えよ。 (1) PQ の中点を M とするとき, M の軌跡を求めよ。 (2) 点 M の y 座標が最小のときの点 P, Q の座標を求めよ。 ᚐ‒‒ሉ (1) ̸ PAQ = 90◦ であることから, α2 − 1 β 2 − 1 · = −1 α−1 β−1 (α + 1)(β + 1) = −1 㻽 ······ ⃝ 1 αβ + α + β + 2 = 0 が成り立つ. 㻹 一方, M(X, Y ) とおくと, X= α+β α2 + β 2 , Y = 2 2 㻼 㻭 であるから, ······ ⃝ 2 α + β = 2X (α + β) − (α + β ) 2 2 (2X) − 2Y = 2 = 2X 2 − Y 2 2 2 αβ = ······ ⃝ 3 これらを ⃝ 1 に代入して, (2X 2 − Y ) + 2X + 2 = 0 ∴ Y = 2X 2 + 2X + 2 ······ ⃝ 4 数学教育研究所 また, ⃝, 2 ⃝ 3 を満たす異なる実数 α, β が存在する実数 X, Y の条件は, 2 次方 程式 t2 − 2Xt + (2X 2 − Y ) = 0 ······ ⃝ 5 が異なる 2 実数解をもつことであり, これは, 21 D = X 2 − (2X 2 − Y ) > 0 4 ∴ Y > X 2 であるが, ⃝ 4 はこれを満たす. (2X 2 + 2X + 2 = X 2 + (X + 1)2 + 1 > X 2 ) また, ⃝ \ 1, β = \ 1), 5 が 1 を解にもたないことから (∵ α = 1 − 2X + (2X 2 − Y ) = \ 0 2 Y = \ 2X − 2X + 1 である. 2X 2 + 2X + 2 = 2X 2 − 2X + 1 を解くと, X = − 1 である. 4 以上より, 点 M の軌跡は, 1 となるから, ここ 4 では X = \ − 曲線 y = 2x2 + 2x + 2 ( x= \ − 1 4 ) · · · · · · (答) である. ( )2 1 3 (2) 放物線の方程式は, y = 2 x + + となるから, 点 M の y 座標が最小 2 2 ( ) 1 3 になるのは, (x, y) = − , のときで, このとき, 2 2 ( )2 1 3 α + β = −1, αβ = 2 − − = −1 2 2 となるから, α, β は, 2 次方程式 t2 + t − 1 = 0 の 2 解である. これを解いて, √ −1 ± 5 t= 2 したがって, ( ( √ ) √ ) √ √ −1 − 5 3 + 5 −1 + 5 3 − 5 P , , Q , 2 2 2 2 · · · · · · (答) 数学教育研究所 22 第2問 数列 {an } の第 n + 1 項 an+1 は次のように第 n 項 an から決まる。 a n ( an が 3 の倍数のとき) 3 an+1 = an − 1 ( an を 3 で割ると 1 余るとき) a + 1 ( a を 3 で割ると 2 余るとき) n n また, a を正の整数として a1 = a のとき, an = 1 となる最小の自然数 n を f (a) とし, f (a) = k となる a の個数を xk とする。 (1) xk+2 を xk+1 , xk で表せ。 (2) xn を求めよ。 ᚐ‒‒ሉ (略解) (1) f (a) = k となる a の集合を Ak とし, Ak の要素で 3 の倍数である要素の個 数を yk , 3 の倍数以外の要素の個数を zk とおくと, xk = yk + zk であり, yk+1 = yk + zk zk+1 = 2yk が成り立つ。ここから, (答) xk+2 = xk+1 + 2xk を得る。 (2) xn = 2n − (−1)n 3 数学教育研究所 23 第3問 xy 平面上に 4 点 P(cos θ, 0), Q(p, q), R(r, s), S(0, sin θ) を頂点とする正方形 > > > < π > PQRS がある。ただし, 0 < = θ = 2 , p = 0, q = 0, r = 0, s = 0 とする。また, θ π が 0 から まで変化したときの頂点 Q, R の軌跡をそれぞれ CQ , CR とおく。 2 以下の問いに答えよ。 (1) p, q, r, s を θ の式で表せ。 (2) CQ , CR , x 軸, y 軸で囲まれる部分を D とするとき, D の面積を求めよ。 ᚐ‒‒ሉ y 㻾 㻿 㻽 x 㻻 㻼 ( ) − cos θ であるから, sin θ −→ −→ −→ OQ = OP + PQ ( ) ( ) cos θ sin θ = + 0 cos θ ( ) cos θ + sin θ = cos θ − → (1) PS = よって, p = cos θ + sin θ, q = cos θ 一方, · · · · · · (答) 数学教育研究所 −→ −→ −→ OR = OS + SR ( ) ( ) 0 sin θ = + sin θ cos θ 24 ( = sin θ sin θ + cos θ ) よって, · · · · · · (答) r = sin θ, s = sin θ + cos θ (2) Q(x, y) とおくと, { x = cos θ + sin θ y = cos θ である. dx dy = − sin θ + cos θ, = − sin θ dθ dθ ··· π 4 ··· dx dθ + 0 − dy dθ − θ (x, y) (0) (1, 1) ↘ (π) 2 − ( √ 1 2, √ 2 ) ↙ (1, 0) となるから, 点 Q の軌跡は次のようになる. 数学教育研究所 同様に, R(x, y) とおくと, { x = sin θ y = sin θ + cos θ 25 であるから, R の軌跡は次のようになる. したがって, 次の図の斜線部の面積を求めるとよい. π < < π < π 求める面積は, Q の軌跡の 0 < = θ = 4 の部分を (x1 , y1 ), 4 = θ = 2 の部分 を (x2 , y2 ), R の座標を (x3 , y3 ) とおくと, ∫ 1 ∫ √2 ∫ √2 y3 dx3 + y2 dx2 − y1 dx1 ∫ 0 1 π 2 = (sin θ + cos θ) cos θ dθ + 0 数学教育研究所 1 ∫ π 4 cos θ(− sin θ + cos θ) dθ 0 26 ∫ − ∫ π 2 = π 4 cos θ(− sin θ + cos θ) dθ π 2 {(sin θ + cos θ) cos θ + cos θ(− sin θ + cos θ)} dθ 0 ∫ π 2 = (1 + cos 2θ) dθ 0 = π 2 · · · · · · (答) [ 注 ] Q の軌跡の方程式は x2 −2xy+2y 2 = 1, R の軌跡の方程式は 2x2 −2xy+y 2 = 1 である. 次の図のようになる. Q の軌跡 R の軌跡 第4問 正六角形の頂点に 1 から 6 までの番号を順につける。また, n 個のサイコロ を振り, 出た目を番号とするすべての頂点にしるしをつけるものとする。このと き, しるしのついた三点を頂点とする直角三角形が存在する確率を pn とする。 (1) p3 , p4 を求めよ。 (2) lim n→∞ 1 log(1 − pn ) を求めよ。 n 1987 年第 6 問 ᚐ‒‒ሉ (1) p3 = 1 11 , p4 = 3 18 数学教育研究所 8 · 3n − 9 · 2n である。ここから, 6n 1 log(1 − pn ) = − log 2 lim n→∞ n (2) 1 − pn = を得る。 27 · · · · · · (答) 第5問 2 つの数列 {an }, {bn } は, a1 = b1 = 1 および, 関係式 an+1 = 2an bn , bn+1 = 2an2 + bn2 を満たすものとする。このとき次の問いに答えよ。 (1) n > = 3 のとき, an は 3 で割り切れるが, bn は 3 で割り切れないことを 示せ。 (2) n > = 2 のとき, an と bn は互いに素であることを示せ。 ᚐ‒‒ሉ (1) (I) a1 = b1 = 1 より, a2 = 2a1 b1 = 2, b2 = 2a12 + b12 = 3 a3 = 2a2 b2 = 2 · 2 · 3 = 12 b3 = 2a22 + b22 = 2 · 22 + 32 = 17 であるから, a3 は 3 の倍数であり, b3 は 3 の倍数ではない。 (II) ak が 3 の倍数であり, bk は 3 の倍数ではないとする。 このとき, ak = 3l, bk = 3m ± 1 (l, m は整数) とおくと, ak+1 = 2ak bk = 2 · 3l(3m ± 1) = 6l(3m ± 1) bk+1 = 2ak2 + bk2 = 2(3l)2 + (3m ± 1)2 = 18l2 + (9m2 ± 6m + 1) = 3(6l2 + 3m2 ± 2m) + 1 (以上, 複号同順) より, ak+1 は 3 の倍数で bk+1 は 3 の倍数ではない。 以上より, 数学的帰納法から, 3 以上のすべての自然数 n に対して, an は 3 の倍数であり, bn は 3 の倍数ではない。 ■ 数学教育研究所 (2) b1 = 1 は奇数, bk+1 = 2ak2 + bk2 より bk が奇数であれば bk+1 も奇数である。 したがって, 数学的帰納法より, すべての自然数 n に対し, bn は奇数である。 次に, n > = 2 のとき an と bn が互いに素であることを数学的帰納法で示す. 28 (I) a2 = 2, b2 = 3 より a2 と b2 は互いに素である. (II) ak と bk は互いに素であるとする。 ここで, ak+1 と bk+1 は互いに素でないとする。このとき, ak+1 と bk+1 は素 数の公約数をもつから, それを p とおくと, bk+1 は奇数であることから p > =3 であり, ak+1 = pa, bk+1 = pb (a, b は整数) とおける. これを ak+1 = 2ak bk に代入すると, pa = 2ak bk となるから, p > = 3 も考えて ak , bk の少なくとも一方は p の倍数である. 仮に ak が p の倍数であるとして, ak = pc (c は整数) とおくと, bk+1 = 2a2k + b2k よ り pb = 2(pc)2 + bk2 bk2 = p(b − 2pc2 ) より, bk2 は p の倍数 p は素数だから, bk は p の倍数 となり, これは ak と bk が互いに素であることに反する。 次に, bk が p の倍数であるとする bk = pd (d は整数) とおくと bk+1 = 2ak2 + bk2 より, pb = 2ak2 + (pd)2 ∴ 2ak2 = p(b − d2 ) よって, 2ak2 は p の倍数であるが, p は p > = 3 を満たす素数であったから, ak が p の倍数となる. しかしこれは, ak と bk が互いに素であることに反する。 以上より, ak+1 と bk+1 は互いに素である。 これで, 数学的帰納法より n > = 2 を満たすすべての自然数 n に対し, an と bn が互いに素であることが示された。 ■ [注] 数学教育研究所 (2) では, n = 1 でも an と bn は互いに素であるから, 「n > = 1 に対し an と bn は 互いに素である」ことを示してもよい。 29 底面の半径 1, 高さ √ 第6問 6 の円柱がある. この円柱の上底面上に点 P。下底面上に √ 点 Q がある。2 点 PQ が PQ = 2 2 となるように動くとき線分 PQ の通過す る部分の体積を求めよ。 ᚐ‒‒ሉ 点 P から下底面におろした垂線の足を P′ とすると √ √ √ √ QP′ = (2 2)2 − ( 6)2 = 2 である。 [1] 下底面の中心を O とすると π ̸ QOP′ = 2 である. したがって線分 PQ の通過部分を K とおくと K の外側の面は xyz 空間に おいて 2 点 √ A(1, 0, 0), B(0, 1, 6) を両端とする線分 AB を z 軸のまわりに回転させたときに通過する曲面と一致する。 √ 6 で囲まれた部分の体積を V1 とする。 ( ) k k 線分 AB と平面 z = k の交点を R 1 − √ , √ , k とおくと R と z 軸の距離 6 6 は √( )2 ( )2 k k 1− √ + √ 6 6 この曲面と 2 平面 z = 0, z = であるから ∫ V1 = 0 = √ 6 {( )2 ( )2 } k k π 1− √ + √ dk 6 6 √ 2 6 π 3 となる。 [2] 数学教育研究所 30 線分 PQ が円柱の中心軸を含む平面上にある とき, 右の図の太線内は通過しない。 √ √ √ この太線内は, 底円の半径 2−1, 高さ 6− 3 の円すいであるから, この円すい一つあたりの 体積 V2 は √ √ 1 √ π( 2 − 1)2 × ( 6 − 3) 3 √ 3 √ = π( 2 − 1)3 3 √ 3 √ = (5 2 − 7)π 3 V2 = である。 以上より, 求める体積を V とおくと ) ( 14 √ 8√ 6+ 3 π V = V1 − 2V2 = − 3 3 · · · · · · (答) 数学教育研究所 31
© Copyright 2025 ExpyDoc