野外事例 あべはんファーム

あべはんファーム生産性向上への取組
2015年4月16日
株式会社あべはんファーム
篠山啓輔
紹介内容
会社概要
成績推移と分析
チャンキーの性能を最大限に
活かす為に取組んでいること
冬場と夏場の管理ポイント
当社の取組
(株)あべはんファームの事務所は
(株)阿部繁孝商店内にあります。
株式会社あべはんファーム 概要
㈱阿部繁孝商店の生産部門が独立。
平成25年4月から営業。
○契約農場
岩手県 77農場
青森県 39農場
計
116農場 (H27年4月1日現在)
○1農場当たり平均飼養規模 約5.3万羽
○年間出荷羽数 約3,000万羽
セミウインドレス鶏舎
97農場
鶏舎:150坪/棟(5間×30間)
鶏舎正面
(サービスルーム5坪)
排気:50㎝換気扇8台
又は1m換気扇6台(12台)
入 気:断熱カーテン
冬・・・横断、夏・・・縦吹き、横断
排気側
入気側
システム鶏舎(19農場)
鶏舎サイズ:150~350坪
鶏舎正面
両側入気
排気側
生産概要
• 銘柄:チャンキー主体
• 素雛:森孵卵場、松本鶏園、イシイ、福島エンヤ
• 給与飼料:中部飼料、日和産業、日本農産工業、
日本配合飼料
• 無鑑別飼育
• 飼養密度:通常55羽/坪、夏場47~50羽/坪
• 目標体重:3.0㎏
• 出荷日齢:46~49日齢
• 出荷回転:5.3回転/年 約69日回転
• 敷料:モミガラ、ノコクズ
現在の飼料体系
日 齢
C(%)
ME(kcal)
形状
餌 付
0~7
24
3,000
EP
前 期
8~14
22
3,050
EP&M
中 期
15~27
18.5
3,150
EP&M
(後期)
28~35
18
3,200
EP&M
仕 上
28~出荷
17.5
3,200
EP&M
※ EP エキスパンダー・ペレット飼料
※ 後期飼料から休薬(後期:使用状況45%)
直近の飼育成績
12月
1月
2月
98.49
99.43
98.57
要 求 率(FCR)
1.77
1.76
1.75
平均体重(kg)
3.04
3.08
3.08
出荷日齢
47.55
47.73
47.85
日増体(g)
63.93
64.53
64.37
坪 重 量(kg)
165.12
168.17
168.93
生産指数(PS)
355.75
360.89
362.56
育 成 率(%)
3250
(g)
2950
3150
体重指標
3150
平均体重
2650
2800
2300
若齢
3050
2700
老鶏
2159
2150
1600
2062
1650
1527
1100
1450
1150
600
650
150
日増体
○平均
67g
○老鶏380‐430日齢 69g
○若齢220日齢以下 64.5g
1028
950
200
520
490
190
7 170
14
21
28
35
優良農場 増体推移
42
47
(日齢)
(PS)
370
360
350
340
330
320
310
300
290
280
270
今年目標360点 (近い将来400点)
337
311
292
303 308 307
348
353
360
305
289
H20年 飼料原料の悪化
H22年 USCH導入
H23年 東日本大震災
H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27
PS年別推移(過去10年)
(FCR)
2.00
1.95
1.95
1.90
1.94
1.93
1.85
1.90
1.91
1.92
1.86
1.80
1.82
1.79
1.75
1.77
1.70
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
(年)
要求率 年別推移
(g/d)
65
63.3 63.3
63
61.9
60.7 60.2
61
59.1
59
57
58.1
57.9
56.9 56.7
55
H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26
日増体 年別推移
(年)
(PS)
420
400
380
360
340
底
上
げ
必
要
320
300
1.65
1.7
1.75
1.8
1.85
平成26年 PS・FCR分布図
※最高410点1.66 最低307点1.86 差PS103点 FCR 0.2
※PS340点以下30件
1.9
(FCR)
成績分析
【成績良い農場の共通点】
・五感(視覚・聴覚・嗅覚・触覚等)を用いた観察力が
優れている。
・対応が迅速で的確な管理。
・細やかな調整を行う。
・汗を流す。労力を惜しまない。(自分都合より鶏の状態優先)
・鶏舎設備が充実。(資金が豊富)
【成績低迷農場の共通点】
・感覚が鈍い、対応が遅い。
・間違った見解、不適正な管理。(鶏に合わない管理)
・面倒な仕事をやりたがらない。
・鶏舎設備が不十分。(資金難)
※農場規模の大小には関係ない。
チャンキーの性能を発揮する為に取組んでいること
換気管理が最も重要!!
冬場
・寒冷感作を最小限に換気
(鶏を冷やさずに換気する)
・敷料管理(以下、床面管理)
・鶏舎設備の改善
夏場
・細霧使用方法の見直し
・低温時(夜間)の対応
・いかに鶏を立たせるか
冬場の管理ポイント
冷やさずに換気する為に
• 隙間風対策
• 陰圧管理
• 入気角度(風向)
• 換気扇の稼働率
• 床面管理
• 鶏舎設備の改善
隙間風対策
・⽬的:温度確保と換気しやすい
状況をつくる
・⼊雛時:適温帯30℃(25℃)
ガード設置
・床⾯温度 29〜32℃⽬安
・ブルーダー 800-1000⽻/台
・温度確保できると初期増体良い
換気扇
優良事例
入気カーテン
ハネ戸
陰圧目安
単位:wc(水柱圧)
間口
陰圧(wc)
入気風速
(m/秒)
4間
0.03
3m
4m
5間
0.03-0.04
3.5m
5m
7間
0.04-0.05
4m
6m
(冬・夏 共通) 表記以上にする
空気到達
距離
陰圧が低い状態(引っ張る⼒弱い) 0.00〜0.01wc
撹拌されない
排気
入気
結果として・・・
・入気側冷気落下
・中央部分淀み
・撹拌されない
よどみ
換気ムラが発生し雛
を冷やし調子を崩す
改善必要!!
不良事例(横断換気例)
暖かい空気
排気
入気
適正な陰圧(横断換気例)
陰圧低い状態(0.02~0.03wc)
不良事例(システム鶏舎・縦断換気)
暖かい空気
良い状態 0.05~0.1wc
適正例(システム鶏舎・縦断換気)
週令毎の陰圧実例
週令
1w
2w
3w
4w
5w
6w
横断
換気
0.00
0.01
0.02
0.03
0.04
0.04
シス
テム
0.1
0.09
0.08
0.07
0.06
0.05
鶏舎
陰圧計
固定式
鶏舎にかかっている空気圧を測定
サービスルームから測定
持ち運び便利
入気角度
陰圧かけていても冷気が下に落ちる
横断換気例(悪い状況)
鶏舎中央まで確実に入気を飛ばす
冷気が下に落ちにくい → 鶏が冷えない → 換気しやすくなる → 増体アップ
セミウインドレス鶏舎
入気開口部上から10㎝
ウインチで上下調整
横断換気改善後 風向カーテン
陰圧0.11wc
インレットを閉め過ぎていると入気が飛ばない
雛を冷やす原因となり、増体低下や大腸菌症の原因となる
システム鶏舎(悪い状況)
システム鶏舎
インレット上部に板を取り付け
角度斜めの状態から開く工夫
※その他の方法
角度確保する為
インレットを1つおきに開ける
改善後
枠常備
換気方法
鶏を冷やさずに換気を行う 為に細く入気して長く排気する
サーモ主体で換気扇を稼働させている
【間欠換気】
○2~3分運転:2~3分停止の5~6分サイクル
運転と停止を繰り返す換気方法(稼働率50%目安)
停止中
運転中
伏せる
動く
間欠換気から連続換気の
換気方法
43日齢 システム鶏舎
間欠換気の様な活発さはない
42日齢 セミウインドレス鶏舎
常に動いて餌を食べている
35日齢までは間欠運転、35日齢以降は連続運転(停止時間作らない)
1月出荷 PS:システム402点、セミウインドレス380点
20~30%の鶏が動いている状態
鶏の動きを観察
餌皿の円が見えない状態
床面管理
モミガラ準備
敷料補充(モミガラ)
補充前
補充後
モミガラ補充が一番効果的。当たり前のことを忠実に実行!
湿度管理
床の湿り具合を確認
・体感湿度
・結露の状態
・湿度計
・1~3週令 60‐70%
・4~出荷 50‐60%
換気で調整を行う
結露の状態確認
湿度計設置
ニップルの高さ
メスに合わせる
低いと
ボタ落ち発生→床湿気る
鶏舎設備の改善・設備投資紹介
有効な設備投資
暖房器具:舎内温度の安定化と均一化
燃料費節約
ヤマモト(HH)
電気着火式ブルーダー
サーモ制御
日工コントロールユニット
鶏舎の機密性向上対策
改善前
補修後
老朽化が進み傷んだ鶏舎
天井へ防火・防湿シート
断熱効果向上
天井裏断熱:ブローイング
・初期の温度確保
・換気改善
費用対効果抜群!
従来ハネ戸
断熱材入りの壁へ
換気タイマーの設置(システムとセミウインドレス鶏舎)
サーモと連動のリセット式タイマー
サーモで稼働しない場合の補助で使用
強風対策
塀を設置
強風のリスクを軽減させる
その他
強風時には入気を閉めて対応
強風低温時に換気扇の稼働率が低下し大腸菌症と腹水症が発生!
【対策前】
換気扇 2分運転:4分以上停止
陰圧0.03wc
陰圧0.05wc
【対策後】
換気扇 4分運転:2分停止
0.06wc
0.1wc
冬場のまとめ
•
•
•
•
陰圧をかけてムラの無い換気
入気角度を確保。理想の風の流れを作る
鶏の動きに応じた換気方法
換気扇の稼働率(稼働時間)を確保
【好成績の方程式】
陰圧×入気角度×稼働率×鶏の動き
どれか一つでも欠けるとダメ!
夏場の管理
昨年8月の最高最低気温(二戸)
36
34
32
30
28
26
24
22
20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
6件1,500羽熱死
5件2,100羽熱死
最高
急激な温度上昇注意
1
3
5
7
9
最低
11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31
遮光幕
入気
目的
・直射日光を防ぐ
・ジャストイン出荷の為に
舎内を暗くする
・外傷性皮膚炎対策
入気
排気側
縦吹き換気
改善前:換気扇9-10台/棟
換気ムラ発生
中盤:風を嫌がる
終盤:換気扇前や鶏舎手前に寄る
改善後:1m換気扇12台
インバータ2回路(前6台35Hz、後6台45Hz)
手前への寄りない
システム鶏舎46日令 陰圧0.06wc
両側カーテン入気、なるべく均等に入気
死角へ1mファン設置
風向カーテン
細霧ノズル交換
以前は水をかけ過ぎて苦戦した為、水量が少なく粒度が細かいノズルへ交換。
ノズルの数を増やし、温度ムラを防ぐ対応。
耐圧ホース使用:水圧10~30k
例
「いけうち8020」
鶏を濡らす
から
「80125」へ
空気を冷やす
温度差への対応
• 日中30℃以上になるが夜間15℃前後まで下がる。
• 風速が強いままだと、外温が下がる時間に鶏が寒
がって餌を食べなくなる。
• 日中こもった熱を放熱させることも大事だが、
鶏が伏せってきたら、鶏に風を強く当てないよう
に注意する。
夜間にいかに食べさせるかが、夏場で体重をのせる
ポイント!
縦吹き鶏舎 41日齢
やませの影響で外気温が安定しない
鶏の活発性重視で入気とヘルツを調整する
横断換気鶏舎
外気温20℃前後になると伏せる
日中:風向カーテンを下げて風を当てる
風を当てないよう風向カーテン上げる
鶏が活発に動く
システム鶏舎 暑さのピークを過ぎ鶏が伏せっている場合
換気扇フル回転のまま風向カーテンを上げる
立ち上がって餌を食べる
夏場の管理のポイント
換羽が終わるまで直接細霧や強い風を鶏に当てない。
細霧のかけ過ぎ注意。鶏の動きを重視した管理。
風向カーテンで風速を昼夜で微調整。
換気ムラや死角を作らない。
片寄を作らない。
縦吹きでは、台数の増設やヘルツ調整。
システム鶏舎ではカーテンの開け方均等にすること。
• 陰圧0.04-0.06wcを目安にする。
•
•
•
•
•
異常鶏の低減へ向けて
• 胸筋変性の発生(浅胸筋症・深胸筋症)
むね肉が白くなりカチカチに固い
ササミ緑色に変色
契約生産農場の特徴
• 換気管理が上手
• 費用対効果が高いものには惜しまず投資
• チャレンジ。常に新しい設備・方法を研究
• 優れた観察力と迅速な対応
あべはんファームでの取組
•
•
•
•
•
•
•
現場主義・・・農場巡回重視
異常発生への迅速で的確な対応
優良生産者の情報収集・技術提供
設備の改善
鶏舎建設。生産性を優先した鶏舎構造を追究
他インテ様との情報交換
コスト低減
生産者の利益確保
とにかく儲かって頂く!
現場主義
朝9時会社出発 1日5-6農場巡回
ご清聴ありがとうございました。