物理学試験解答例(2015 年度前期) 2015/8/27 この解説では、重力加速度 g の値は g = 9.800 m/s2 としており、また、数値は有効数字4桁で解答しております。 [問題 1 ] (1) 速度の y 方向成分 vy は任意の時間 t において、 vy = v0 sin θ − gt 最高点では速度の y 方向成分は 0 となるので最高点に到達する時間を tm とすると v0 sin θ − gtm = 0. 故に、 tm = v0 sin θ g (2) 物体が地表面に落下する時間は物体が最高点に到達する時間の2倍となる。この時間の 間に x 方向に等速度運動で移動した距離が落下点であるので、その水平距離は l = v0 cos θ × 2tm = v0 cos θ × 2v0 sin θ g ここで、214 頁 (A.2) 式において α = β = θ とおいて得られる関係式より sin 2θ = 2 sin θ cos θ であるので、 l = v0 cos θ × 2v0 sin θ v 2 sin 2θ = 0 g g (3) θ = 45◦ のとき sin 2θ = sin 90◦ = 1 の最大値をとるので、前問の l は最大値 l = v02 と g なる。 1 (4) 投げ上げた時のエネルギーは mv02 。落下直前のエネルギーはこの 92% に減っている 2 ので、落下直前の物体の速度を vs とすると、エネルギーの関係から 1 1 mv 2 = 0.92 × mv02 2 s 2 これを解いて vs = √ 0.92v0 = 0.9592v0 [問題 2 ] (1) 角速度は 1 秒間に回転する角度 (通常ラジアンで)である。1 回転は角度で 2π [rad] で あるから、ω = 8π [rad/s]。 (2) 等速円運動の加速度は a = rω 2 = 4.5 × 10−2 × (8π)2 = 28.42 m/s 。その方向は向心 2 力の方向。すなわち、常に回転中心を向く方向。 1 物理学試験解答例(2015 年度前期) 2015/8/27 (3) 張力 T を角速度を用いて表すと T = mrω 2 。従って、最大張力 Tmax となる角速度の最 2 大値 ωmax は、Tmax = mrωmax の関係式で決まる。これを ωmax について解いて、 √ Tmax ωmax = mr 限界回転数 n と ωmax とは n = ωmax /2π の関係が成り立つので √ Tmax 1 n= × mr 2π ところで、この糸は 1.3 kgW=1.3 × 9.8 = 12.74 N の力で切れる。言い換えれば、切れ る限界張力 Tmax =12.74 N。従って、これらの数値を代入して計算すると、 √ 12.74 1 n= × = 24.45 rps 0.012 × 0.045 2π 整数の回転数として最大 24 rps までは切れない。 (4) 糸が切れると物体に働く力はなくなるので、慣性の法則によりそれまでの運動方向(円 運動の軌道の接線方向)に飛んでいく。 [問題 3 ] 2π = 17.95 rad/s. T (2) バネの変位の一般式はテキスト (4.14) 式より x(t) = x0 cos ωt である。これを微分する と速度 v(t) が求まる。すなわち、 (1) 題意より 1 周期は T = 0.35 s. 従って、角速度 ω = v(t) = dx d = (x0 cos ωt) = −x0 ω sin ωt dt dt これより最大速度は vmax = x0 ω = 0.03 × 17.95 == 0.5385 m/s (3) 同様に加速度は速度を時間について微分すれば求まり、 a(t) = dv = −x0 ω 2 cos ωt dt 2 これより最大加速度は amax = x0 ω 2 = 0.03 × 17.952 = 9.666 m/s . (4) バネの復元力により、復元力 0 の自然長の位置を通過するとき重りの慣性により釣り合 いの位置を通り過ぎてしまう。そこでバネはまた自然長の位置にバネを戻そうとするが また、慣性により行き過ぎてしまう。これの繰り返しで振動現象となる。 [問題 4 ] (1) mv0 (2) 弾丸がめり込んだブロックの速度を V とすると、運動量保存則より mv0 = (m + M )V これを解いて V = 2 m v0 m+M 物理学試験解答例(2015 年度前期) 2015/8/27 (3) 衝突前の全運動エネルギー Ebef ore は Ebef ore = 1 mv 2 2 0 衝突後の全運動エネルギーは Eaf ter は Eaf ter = 1 1 (m + M )V 2 = (m + M ) 2 2 ( m v0 m+M )2 = m2 v2 2(m + M ) 0 失われたエネルギーは ∆Ek = Ebef ire −Eaf ter = ( ) 1 m2 1 m mM mv02 − v02 = mv02 1 − = v2 2 2(m + M ) 2 m+M 2(m + M ) 0 (4) 衝突後、2 物体 (弾丸とブロック) は一体となって動くので相対速度は 0。従って、定義 (P65) より, この衝突は、衝突係数 0 の完全非弾性衝突となっている.。この衝突として はエネルギー損失が最大の衝突となる。 [問題 5 ] Q [C] の点電荷から距離 r だけ離れている点における電位 φ(r) [V] は (8.14) 式で与えら れる。これを用いる。なぜ、そのような式となるかは [具体例 11] をよく読むこと。 Qa 2 × 10−12 = 8.9876 × 109 × = 3.596 × 10−2 V。 rB 0.5 Qa 2 × 10−12 (2) φC = k = 8.9876 × 109 × = 1.798 × 10−2 V。 rC 1 (1) φB = k (3) BC 間の電圧を VBC とすると、VBC = φB − φC = 3.596 × 10−2 − 1.798 × 10−2 = 1.798 × 10−2 V。 (4) 1 C の電荷が 1 V の電位差の 2 点間で有する位置エネルギーの違いは 1 J である。電子 がクーロン力により A 点に向かって C 点から B 点に向かって移動していくとき、電子 の電荷は素電荷 e = 1.6022 × 10−19 C であるので、eVBC [J] のエネルギーを得る。こ れは電子の運動エネルギーとして形をかえるので B 点を通過するときの電子の速度を v [m/s] とすると、 1 me v 2 = eVBC 2 これを v について解き、素電荷、電子の質量の数値(巻末定数表にあり。あるいは関数 電卓に記憶されている)を代入すると √ √ 2eVBC 2 × 1.6022 × 10−19 × 1.798 × 10−2 v= = = 7.952 × 104 m/s me 9.1094 × 10−31 3
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