特 許 公 報 特許第5802646号

〔実 10 頁〕
特 許 公 報(B2)
(19)日本国特許庁(JP)
(12)
(11)特許番号
特許第5802646号
(45)発行日
(P5802646)
(24)登録日 平成27年9月4日(2015.9.4)
平成27年10月28日(2015.10.28)
(51)Int.Cl.
FI
A23L
2/38
(2006.01)
A23L
2/38
P
A23L
2/00
(2006.01)
A23L
2/00
B
A23C
9/152
(2006.01)
A23C
9/152
A23F
3/16
(2006.01)
A23F
3/16
請求項の数15 (全14頁)
(21)出願番号
特願2012-270899(P2012-270899)
(22)出願日
平成24年12月12日(2012.12.12)
株式会社
(65)公開番号
特開2014-113113(P2014-113113A)
東京都渋谷区本町3−47−10
(43)公開日
平成26年6月26日(2014.6.26)
審査請求日
(73)特許権者 591014972
(72)発明者 榎本
平成26年4月21日(2014.4.21)
伊藤園
紘也
静岡県牧之原市女神21
株式会社伊藤園
内
特許法第30条第2項適用
ウェブサイトhttp:/
(72)発明者 忌部
東洋
/www.itoen.co.jp/news/det
静岡県牧之原市女神21
ail/id=23051(平成24年12月5日)に
内
株式会社伊藤園
発表
審査官 太田
特許法第30条第2項適用
雄三
ウェブサイトhttp:/
/www.itoen.co.jp/files/Te
aBeverage.pdf(平成24年12月11日
)に発表
最終頁に続く
(54)【発明の名称】乳含有容器詰飲料
1
2
(57)【特許請求の範囲】
【請求項5】
【請求項1】
酸度に対する乳固形分の比率[乳固形分/酸度](g/
(A)乳タンパク質0.4∼0.92質量%及び(B)
100g)が27∼54であることを特徴とする請求項
茶葉由来ポリフェノール0.04∼0.1質量%を含有
1∼4のいずれかに記載の乳含有容器詰飲料。
し、pHが5.4以上6.3以下であり、乳固形分量が
【請求項6】
3%以下であることを特徴とする乳含有容器詰飲料。
乳タンパク質0.4∼0.92質量%に調整する工程と
【請求項2】
、茶葉由来ポリフェノール量を0.04∼0.1質量%
粘度が2.5∼19cPであることを特徴とする請求項
に調整する工程と、pHを5.4以上6.3以下に調整
1に記載の乳含有容器詰飲料。
する工程と、乳固形分量を3%以下に調整する工程とを
【請求項3】
10
含むことを特徴とする乳含有容器詰飲料の製造方法。
ポリフェノールに対する乳固形分量の比率[乳固形分量
【請求項7】
/ポリフェノール](g/100g)が21∼64であ
粘度を2.5∼19cPに調整することを特徴とする請
ることを特徴とする請求項1又は2に記載の乳含有容器
求項6に記載の乳含有容器詰飲料の製造方法。
詰飲料。
【請求項8】
【請求項4】
ポリフェノールに対する乳固形分量の比率[乳固形分量
ポリフェノールに対する酸度の比率[酸度/ポリフェノ
/ポリフェノール](g/100g)を21∼64に調
ール](g/100g)が0.66∼1.33であるこ
整することを特徴とする請求項6又は7に記載の乳含有
とを特徴とする請求項1∼3のいずれかに記載の乳含有
容器詰飲料の製造方法。
容器詰飲料。
【請求項9】
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4
ポリフェノールに対する酸度の比率[酸度/ポリフェノ
成分を含有する飲料を容器詰飲料、いわゆるドライ製品
ール](g/100g)を0.66∼1.33に調整す
とする場合には、風味性、保存性及び安定性の点で問題
ることを特徴とする請求項6∼8のいずれかに記載の乳
となる場合がある。
含有容器詰飲料の製造方法。
【0004】
【請求項10】
乳成分を含有する容器詰飲料において、飲料のコクや濃
酸度に対する乳固形分の比率[乳固形分/酸度](g/
厚感などを高め、風味を向上させる試みは従来から行わ
100g)を27∼54に調整することを特徴とする請
れている。例えば、特許文献1(特開2003−259
求項6∼9のいずれかに記載の乳含有容器詰飲料の製造
803)に記載の発明は、ミルクココア、ミルクコーヒ
方法。
【請求項11】
ー、ミルクティーなどに特別な加工を実施した濃縮乳を
10
添加することにより、加熱臭のない手生乳本来の風味を
(A)乳タンパク質を0.4∼0.92質量%に調整し
有する乳風味飲料を提供している。特許文献2(特開2
、(B)茶葉由来ポリフェノールを0.04∼0.1質
007−189946)に記載の発明は、ミルクココア
量%に調整し、pHを5.4以上6.3以下に調整し、
、ミルクコーヒー、ミルクティーなどにガンマー・ポリ
乳固形分量を3%以下に調整することを特徴とする乳含
グルタミン酸を添加することにより、コク及び/又は濃
容器詰飲料の風味改善方法。
厚感を増強し嗜好性を高めた飲料を製造している。
【請求項12】
乳含有飲料の安定化に関しても、種々の試みがなされて
粘度を2.5∼19cPに調整することを特徴とする請
きた。例えば、特許文献3(特表2012−51723
求項11に記載の乳含有容器詰飲料の風味改善方法。
2)は低タンパク質及び無タンパク質の液体クリーマー
【請求項13】
を用いることにより、保存安定性のある飲料を製造して
ポリフェノールに対する乳固形分量の比率[乳固形分量 20
いる。
/ポリフェノール](g/100g)を21∼64に調
特許文献4(特開2004−242670)には、乳化
整することを特徴とする請求項11又は12に記載の乳
剤と植物性タンパク質を含有する乳化安定剤を添加する
含有容器詰飲料の風味改善方法。
ことにより乳飲料を安定化させることが記載されている
【請求項14】
。
ポリフェノールに対する酸度の比率[酸度/ポリフェノ
【0005】
ール](g/100g)を0.66∼1.33に調整す
一方で、ミルクティーなどの乳成分を含む嗜好性容器詰
ることを特徴とする請求項11∼13のいずれかに記載
飲料は、一度に多量飲用する炭酸飲料やスポーツドリン
の乳含有容器詰飲料の風味改善方法。
クと比較すると、長時間にわたり少量ずつ飲用される傾
【請求項15】
向がある。そのような場合、購入当初は低温で良好な風
酸度に対する乳固形分の比率[乳固形分/酸度](g/ 30
味を有している容器詰飲料は、開封された後に長時間常
100g)を27∼54に調整することを特徴とする請
温に置かれることにより、乳成分由来の乳臭さが目立ち
求項11∼14のいずれかに記載の乳含有容器詰飲料の
、風味がもたつくようになることが問題であった。この
風味改善方法。
現象を回避すべく、乳成分を低減すると、乳含有飲料に
【発明の詳細な説明】
求められるコクが失われてしまい、茶成分などでマスキ
【技術分野】
ングしようとすると、茶成分由来の苦渋みが前面に出て
【0001】
しまう。したがって、このような飲料形態においても良
本発明は、長時間にわたって少しずつ飲用した場合であ
好な風味を保持し、安定な飲料が望まれていたが、この
っても風味が良好であり、かつ性状が安定化した乳含有
ような観点からの改善の試みは現在までなされていなか
容器詰飲料や乳含有容器詰飲料に関する。
【背景技術】
った。
40
【0006】
【0002】
【特許文献1】特開2003−259803
近年、消費者の嗜好性が多様化しており、種々の飲料が
【特許文献2】特開2007−189946
容器詰飲料として提供されている。その中でも乳成分を
【特許文献3】特表2012−517232
含有させた飲料は、コーヒーや紅茶等の抽出物に牛乳を
【特許文献4】特開2004−242670
添加したミルクコーヒーやミルクティーなどとして、年
【発明の開示】
齢や性別を問わず多くの人に愛飲されている嗜好性飲料
【発明が解決しようとする課題】
の一つである。
【0007】
【0003】
本発明の課題は、長時間にわたって少しずつ飲用した場
しかしながら、乳成分に含有される乳タンパク質は、温
合の常温下であっても乳臭さなどの不快な風味が抑制さ
度やpHによって変性する性質があるため、これらの乳 50
れて、良好な風味が保たれ、安定化した乳含有容器詰飲
( 3 )
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料や乳含有容器詰飲料の風味改善方法を提供することに
13.(A)乳タンパク質を0.4∼1.0質量%に調
ある。
整し、(B)ポリフェノールを0.04∼0.1質量%
【課題を解決するための手段】
に調整し、pHを5.4以上6.3以下に調整すること
【0008】
を特徴とする乳含容器詰飲料の風味改善方法。
本発明者らは、乳タンパク質含有量、ポリフェノール含
14.乳固形分量が3%以下に調整することを特徴とす
有量及びpHの範囲を一定範囲内に調整することにより
る13に記載の乳含有容器詰飲料の風味改善方法。
、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成す
15.粘度を2.5∼19cPに調整することを特徴と
るに至った。
する13又は14に記載の乳含有容器詰飲料の風味改善
【0009】
すなわち本発明は、以下に記載される。
方法。
10
16.ポリフェノールに対する乳固形分量の比率[乳固
1.(A)乳タンパク質0.4∼1.0質量%及び(B
形分量/ポリフェノール](g/100g)を21∼6
)ポリフェノール0.04∼0.1質量%を含有し、p
4に調整することを特徴とする13∼15のいずれかに
Hが5.4以上6.3以下であることを特徴とする乳含
記載の乳含有容器詰飲料の風味改善方法。
有容器詰飲料。
17.ポリフェノールに対する酸度の比率[酸度/ポリ
2.乳固形分量が3%以下であることを特徴とする1に
フェノール](g/100g)を0.66∼1.33に
記載の乳含有容器詰飲料。
調整することを特徴とする13∼16のいずれかに記載
3.粘度が2.5∼19cPであることを特徴とする1
の乳含有容器詰飲料の風味改善方法。
又は2に記載の乳含有容器詰飲料。
18.酸度に対する乳固形分の比率[乳固形分/酸度]
4.ポリフェノールに対する乳固形分量の比率[乳固形
(g/100g)を27∼54に調整することを特徴と
分量/ポリフェノール](g/100g)が21∼64 20
する13∼17のいずれかに記載の乳含有容器詰飲料の
であることを特徴とする1∼3のいずれかに記載の乳含
風味改善方法。
有容器詰飲料。
【発明の効果】
5.ポリフェノールに対する酸度の比率[酸度/ポリフ
【0010】
ェノール](g/100g)が0.66∼1.33であ
本発明により、長時間にわたって少しずつ飲用した場合
ることを特徴とする1∼4のいずれかに記載の乳含有容
であっても乳臭さなどの不快な風味が抑制されて、良好
器詰飲料。
な風味が保たれ、安定化した乳成分含有容器詰飲料や乳
6.酸度に対する乳固形分の比率[乳固形分/酸度](
成分含有容器詰飲料の風味改善方法を提供することがで
g/100g)が27∼54であることを特徴とする1
きる。
∼5のいずれかに記載の乳含有容器詰飲料。
【発明を実施するための最良の形態】
7.乳タンパク質0.4∼1.0質量%に調整する工程 30
【0011】
と、ポリフェノール量を0.04∼0.1質量%に調整
本発明の容器詰飲料は、(A)乳タンパク質0.4∼1
する工程と、pHを5.4以上6.3以下に調整する工
.0質量%及び(B)ポリフェノール0.04∼0.1
程を含むことを特徴とする乳含有容器詰飲料の製造方法
質量%を含有し、pHが5.4以上6.3以下であるこ
。
とを特徴とする。
8.乳固形分量を3%以下に調整することを特徴とする
【0012】
7に記載の乳含有容器詰飲料の製造方法。
(A)乳タンパク質
9.粘度を2.5∼19cPに調整することを特徴とす
本発明において乳タンパク質とは、乳に含まれる高分子
る7又は8に記載の乳含有容器詰飲料の製造方法。
化合物であってアミノ酸が重合したものをいうが、かか
10.ポリフェノールに対する乳固形分量の比率[乳固
る高分子化合物を酵素等で処理して得られた各種ペプチ
形分量/ポリフェノール](g/100g)を21∼6 40
ドや各種アミノ酸をも含む。本発明の容器詰飲料は、乳
4に調整することを特徴とする7∼9のいずれかに記載
タンパク質を0.4∼1.0重量%含有する。この範囲
の乳含有容器詰飲料の製造方法。
で含有することにより、飲料に乳成分由来のコクや風味
11.ポリフェノールに対する酸度の比率[酸度/ポリ
を適度に与えることができるからである。乳タンパク質
フェノール](g/100g)を0.66∼1.33に
は、好ましくは0.52∼0.92重量%、さらに好ま
調整することを特徴とする7∼10のいずれかに記載の
しくは0.6∼0.9重量%、最も好ましくは0.7∼
乳含有容器詰飲料の製造方法。
0.85重量%含有すると、適度な濃度感があり望まし
12.酸度に対する乳固形分の比率[乳固形分/酸度]
い。
(g/100g)を27∼54に調整することを特徴と
【0013】
する7∼11のいずれかに記載の乳含有容器詰飲料の製
乳タンパク質は、カゼインとホエー(乳清)タンパク質
造方法。
50
とにほぼ大別される。カゼインは、α−カゼイン(αs
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1−カゼイン,αs2−カゼイン)、β-カゼイン、γ-
5%含有するとよい。この範囲にあると乳成分由来の風
カゼイン、κ-カゼインにさらに分類できる。一方、ホ
味がより濃厚に感じられ、コクがより感じられる風味の
エー(乳清)タンパク質は、血清アルブミン、β−ラク
良好な容器詰飲料となる。
トグロブリン、α−ラクトアルブミン、免疫グロブリン
乳固形分量及び無脂乳固形分量の調整は、乳タンパクと
、プロテオース・ペプトン等にさらに分類できる。本発
同様、乳由来成分を適宜配合することにより調整可能で
明において、乳タンパク質中のカゼイン量は、0.23
ある。
∼2.05重量%、好ましくは0.30∼1.80重量
【0017】
%、さらに好ましくは0.45∼1.48重量%である
(B)ポリフェノール
とよい。容器詰飲料に含まれる乳成分が分散状態を形成
やすくなり、安定性の面から好ましいからである。
本発明の容器詰飲料は、ポリフェノールを0.04∼0
10
.1重量%含有することを特徴とする。ポリフェノール
【0014】
が飲用時後半に渋みを感じさせることにより、乳成分由
乳タンパク質を容器詰飲料に添加するには、各種液状乳
来の乳臭さをマスキングして、フレッシュ感を演出する
類(例えば牛乳、やぎ乳、加工乳、脱脂乳、乳飲料)や
ことができるからである。好ましくは0.05∼0.0
、粉乳類(例えば全粉乳、脱脂粉乳、調整粉乳)、練乳
9重量%、さらに好ましくは0.06∼0.08重量%
類(例えば無糖練乳、加糖練乳)、クリーム類(例えば
することにより、更に後味のキレを向上させることが可
ホイップクリーム、コーヒーホワイトナー)、発酵乳(
能となる。
例えば全脂無糖ヨーグルトや脱脂加糖ヨーグルトやドリ
本発明においてポリフェノールとは、植物に由来する物
ンクタイプ・ヨーグルト等のヨーグルト、乳酸菌飲料)
質(フィトケミカル:phytochemical)の
、チーズ類(例えば各種ナチュラルチーズ、プロセスチ
1種であり、1分子中にフェノール性水酸基を2つ以上
ーズ)、アイスクリーム類(例えばアイスクリーム、ア 20
有する化合物の総称である。ポリフェノールには、大別
イスミルク、ラクトアイス、ソフトクリーム)、シャー
して分子量が1,000以下の単量体ポリフェノールと
ベット、乳タンパク質精製物(例えばカゼインやホエー
、単量体ポリフェノールが2つ以上結合した重合ポリフ
パウダー)やこれらを含む組成物等を適宜用いることが
ェノールが存在する。重合ポリフェノールは一般にタン
できる。本発明において規定される乳タンパク量を担保
ニンとも称される。代表的な単量体ポリフェノールとし
することができれば、上記のいずれか1種又は2種以上
ては、フラボノイド類(フラボノイド類には、フラボン
を適宜割合で用いることができるが、好ましくは乳、脱
、フラバノール、アントシアニジン、イソフラボノイド
脂粉乳、生クリーム及び発酵乳を適宜組み合わせて使用
、ネオフラボノイド等を基本骨格とする化合物が含まれ
する。とりわけ発酵乳は、乳風味を付与するだけでなく
る)、クロロゲン酸、没食子酸、エラグ酸などがある。
、pHを本発明の範囲に調整する手段としても使用でき
一方、重合ポリフェノールは単量体ポリフェノールが2
るため、一定量含有させることが好ましい。ちなみに、 30
個以上結合した化合物であり、ポリフェノール同士が炭
発酵乳1gには乳タンパク質で約0.063gが含まれ
素−炭素結合により重合した縮合型タンニンと、糖等由
ており、乳固形分では0.17gにほぼ相当する。
来の水酸基とのエステル結合により重合した加水分解型
【0015】
タンニンとに大別され、それぞれ代表的なポリフェノー
乳タンパク質の測定は公知方法で行うことができ、例え
ルとして縮合型タンニンとしてはプロアントシアニジン
ばケルダール法、デュマ法及びこれらの改変型・改良型
類、加水分解型タンニンとしてはガロタンニン、エラグ
にて行うことができる(例えば、「五訂
日本食品標準
タンニンが挙げられる。ポリフェノール含有量の測定方
分析マニュアルの解説」(財団法人日本食品分
法としては、酒石酸鉄法やフォリン−デニス法(Folin-
成分表
析センター(編)、中央法規出版)を参照)。また、ケ
Denis法)などがあるが、本発明におけるポリフェノー
ルダール法に用いる分解促進剤等の試薬には市販品を適
ルの含有量とは、タンニン酸を標準物質としてフォリン
宜用いることができる。また測定機については市販品を 40
−デニス法を用いて求められる量とする。
用いることができる。
【0018】
【0016】
ポリフェノールは茶葉由来であることが好ましい。茶と
本発明の容器詰飲料の乳固形分は、飲料全体の3.0%
しては、不発酵茶、半発酵茶及び発酵茶から選ばれる少
以下、好ましくは1.0∼3.0%、さらに好ましくは
なくとも1種の茶を使用する。不発酵茶としては、Came
1.5∼3.0%とする。この範囲とすることにより、
llia属、例えば、C.sinensis、C.assamica又はそれらの
乳成分に起因する乳臭さを抑制しながらも、茶成分由来
雑種から得られる茶から製茶された、煎茶、番茶、玉露
の渋みを調和した適度なコクを出すことが可能となる。
、てん茶、釜炒り茶等の緑茶類が挙げられる。半発酵茶
乳固形分は無脂乳固形分と乳脂肪分とに分類されるが、
又は発酵茶としては、Camellia属、例えばC.sinensis、
本発明において無脂乳固形分は乳固形分の40∼95%
C.assamica若しくはそれらの雑種から得られる茶から半
、好ましくは52∼90%、さらに好ましくは70∼8 50
発酵又は発酵工程を経て製茶された、紅茶、烏龍茶、黒
( 5 )
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茶等が挙げられる。また、本発明においては、茶葉だけ
ンゴ酸、酒石酸、酢酸、乳酸、及びグルコン酸等の有機
なく、茎茶や芽茶も用いることができ、これらを混合し
酸、ならびに重曹等のアルカリ金属塩等である。これら
て用いてもよい。
はアスコルビン酸ナトリウムなどの有機酸アルカリ塩の
【0019】
形態で添加することが好ましい。また、レモン、アセロ
本発明の容器詰飲料においては、好ましくは発酵した茶
ラ及びカムカム等の果汁や発酵乳などを添加してもよい
を使用し、さらに好ましくは発酵度の高い発酵茶、すな
。
わち紅茶が使用される。発酵茶は従来よりミルクティー
【0022】
として飲用されているように、熟成された芳醇な風味と
(乳酸含有量)
乳成分との親和性が高いためである。使用される紅茶の
本発明における容器詰飲料は、乳酸を0.01∼0.1
種類は、ダージリン、ウバ、キーモン、アッサム、ニル 10
0重量%含有することを特徴とする。このように乳酸を
ギリ、ヌワラエリア、ディンブラ、インドネシア(ジャ
一定量含有することにより、常温下に長時間置かれて冷
ワ)、ケニアなど、いずれの種類の紅茶も使用可能であ
却状態ではなくなった容器詰飲料であっても、後味にわ
るが、好ましくは発酵度の高い原料と(アッサムやルフ
ずかな酸味が感じられ、さわやかな印象が残る風味の良
ナ等)と発酵度のやや低い原料(インドネシア(ジャワ
好な飲料となるからである。好ましくは0.02∼0.
)やケニヤやウバ等)のブレンドを使用する。発酵度の
08重量%、更に好ましくは0.03∼0.06重量%
高い原料のコクのある強い味わいと濃い赤褐色が乳成分
含有する。
とよく調和する上、発酵度のやや低い原料が味の重さを
【0023】
軽減し、マイルドな味わいとなるからである。
(酸度)
【0020】
本発明の飲料において、クエン酸換算した酸度は0.0
茶葉の抽出は、例えば常法に従ってニーダーと呼ばれる 20
3∼0.1に調整される。この範囲であれば、茶由来の
抽出装置を用いて、原料茶に対して5∼100倍量、1
旨みや渋みなどの滋味と乳成分由来のコクとを打ち消し
0∼100℃の水で約1分∼40分間、必要に応じて1
あうことなく、飲料に適度なやわらかな酸味を与えるこ
回∼数回攪拌して、常圧か、または適宜加圧・負圧下で
とが可能となる。好ましくは0.04∼0.085、さ
行う。適度な香味と、液色変化防止の観点から言えば、
らに好ましくは0.05∼0.082に調整されるとよ
10∼100℃、好ましくは20∼90℃、さらに好ま
りバランスの取れた、呈味の良好な飲料となる。酸度は
しくは30∼80℃、より好ましくは40∼70℃の抽
0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液を用いた電位
出温度で抽出を行うのが好ましい。但し、抽出方法及び
差滴定法により算出される、クエン酸換算での濃度(%
抽出条件等を特に限定するものではなく、例えば加圧を
)を意味する。
行うこともできる。
【0024】
抽出に用いる水は、純水、硬水、軟水、イオン交換水、 30
本発明における容器詰飲料は、酸味系フレーバーが付与
天然水などのほか、アスコルビン酸含有水溶液及びpH
されていることが好ましい。本発明はpHが低くても安
調製水等を例示することができる。抽出用液にアスコル
定な乳含有飲料であるため、酸味系フレーバーを感じる
ビン酸ナトリウム等の有機酸又は有機酸塩類を添加して
ことができるためである。本発明の容器詰飲料に適した
もよい。
酸味系フレーバーとしては、ヨーグルトフレーバーやフ
【0021】
ルーツフレーバーがあるが、好ましくはヨーグルトフレ
(pH)
ーバーである。これらのフレーバーは、ヨーグルトや果
本発明の容器詰飲料のpHは、5.4以上6.3以下と
汁をそのまま添加してもよく、希釈・濃縮などの加工手
する。pH5.4未満では容器詰飲料の殺菌後に性状安
段を施した加工品を用いても、フレーバーを添加しても
定性に問題が生じ、香味的にも酸味が強調され過ぎて不
よい。本発明において用いることができる果実としては
快に感じられる。pH5.4以上の場合であれば、液の 40
、例えば柑橘類果実(オレンジ、温州ミカン、レモン、
性状を安定的に維持することができ、pH6.3以下と
グレープフルーツ、ライム、マンダリン、ユズ、タンジ
することにより、乳成分由来の乳臭さを抑えて飲用後半
ェリン、テンプルオレンジ、タンジェロ、カラマンシー
にフレッシュ感をさらに高めることができ、全体として
等)、リンゴ、ブドウ、モモ、パイナップル、グアバ、
常温で飲用しても安定で、茶や乳成分と親和性のある爽
バナナ、マンゴー、カシス、ブルーベリー、アセロラ、
やかな容器詰飲料とすることができる。よって、かかる
プルーン、パパイヤ、パッションフルーツ、ウメ、ナシ
観点から、本発明の容器詰飲料におけるpHは5.5以
、アンズ、ライチ、メロン、西洋ナシ、スモモ類等が挙
上6.2以下であるのが好ましく、特に5.6以上6.
げられるが、好ましくは、リンゴ、赤ブドウ、白ブドウ
1以下であるのがさらに好ましい。
、マンゴー、カシス、ブルーベリー等である。上記果実
pHの調整は、必要に応じてpH調整剤を添加すること
のいずれか単独でも2種以上混合して用いてもよい。
により行う。pH調整剤としては、例えばクエン酸、リ 50
【0025】
( 6 )
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(粘度)
を製造することができる。
本発明の容器詰飲料は、粘度が2.5∼19.0cPで
(1)[酸度(g/100g)/ポリフェノール含有量
あることが好ましく、更に3.0∼18.0cPである
(g/100g)]
ことが好ましく、特に3.5∼17.0cPであること
[酸度/ポリフェノール含有量](g/100g)を、
が好ましい。粘度がかかる範囲にあることで、乳成分の
0.66∼1.33に調整することが好ましい。0.6
濃厚感を強調することができ、さらに液体の分散性や性
6を下回ると渋みの強い不快な後味になり、1.33を
状安定化にも貢献することができる。粘度が2.5cP
上回ると渋味による酸味の抑制が効かず、きつい酸味が
未満であると、水っぽく、薄い印象が出過ぎ、沈殿も生
表れてしまうからである。好ましくは0.72∼1.3
じやすくなるため、容器詰飲料として十分でない場合が
ある。
0、更に好ましくは0.83∼1.21に調整するとよ
10
い。
【0026】
(2)[乳固形分量(g/100g)/ポリフェノール
すなわち、本発明の容器詰飲料を、性状的に安定化し、
含有量(g/100g)]
かつ風味的にも満足のいく品質とするためには、粘度が
[乳固形分量/ポリフェノール含有量](g/100g
2.5∼19.0cPとなるように、粘度を調整するこ
)を、21∼64に調整することが好ましい。21を下
とが好ましい。
回ると乳感に欠けた渋味の目立つ味となり、64を上回
【0027】
ると乳の臭みが抑制できず、不快さを感じることになる
なお、上記の粘度は、粘度計によって測定することがで
ためである。好ましくは25∼61、更に好ましくは3
きる。粘度調整は各含有成分を調整することによっても
2∼56に調整するとよい。
可能であるが、好ましくは増粘剤や乳化剤などを添加す
(3)[乳固形分量(g/100g)/酸度(g/10
ることにより調整する。増粘剤・乳化剤としては、例え 20
0g)]
ば、ゼラチン、ペクチン、寒天、カラギーナン、キサン
[乳固形分量/酸度](g/100g)を、27∼54
タンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、グア
に調整することが好ましい。27を下回ると酸味の強い
ガム、タラガム、タマリンドガム、カルボキシメチルセ
不快な乳の臭いが表れ、54を上回ると乳感が強く、ま
ルロース、アルギン酸塩、カードラン、グルコマンナン
ろやかな酸味を感じないためである。更に好ましくは3
等が挙げられ、1種を単独で又は2種以上を混合して使
2∼49、更に好ましくは36∼48に調整するとよい
用することができる。上記の中でも、乳成分や茶成分と
。
の親和性及び熱反応性の観点から、カラギーナン、キサ
【0030】
ンタンガム及びジェランガムが好ましい。
本発明の容器詰飲料とは、希釈せずに飲用可能な、いわ
【0028】
ゆるRTD飲料をいう。
(Brix)
30
本発明の容器詰飲料は、本発明の容器詰飲料には、適宜
本発明の容器詰飲料のBrix値は、7.0以上14.
酸化防止剤、各種エステル類、色素類、乳化剤、保存料
0以下とする。甘みは低温時には感じにくく、温度が上
、調味料、野菜エキス類、花蜜エキス類、品質安定剤な
昇するに従って感じやすくなるが、この範囲とすること
どの添加剤を単独、あるいは併用して配合しても良い。
により、冷却時であっても適度な甘みを感じることがで
本発明の容器詰飲料に使用できる容器は、ポリエチレン
き、常温となった場合であってもしつこくない甘さを維
テレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPE
持することができる。またこの範囲であれば、飲料の性
Tボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと
状をさらに安定化することができる。好ましくは8.0
複合された紙容器、瓶などの通常の形態で提供すること
∼13.0、さらに好ましくは8.5∼12.0とする
ができる。本発明の容器詰飲料は、例えば、金属缶のよ
。
うな容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品
ここで、Brix値とは、溶液100g中に含まれる可 40
衛生法に定められた殺菌条件で製造できる。PETボト
溶性固形分(糖類など)量をショ糖量換算値として計測
ル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについて
する単位である。Brix値は、市販の屈折率計又は糖
は、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート
度計を用いて測定することができる。
式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却
【0029】
して容器に充填する等の方法が採用できる。また無菌下
(各成分のバランス)
で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよ
長時間にわたって少しずつ飲用した場合であっても乳臭
い。更に、酸性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを中性に
さなどの不快な風味が抑制されて、良好な風味が保たれ
戻すことや、中性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを酸性
、安定化した乳含有容器詰飲料である。このような飲料
に戻すなどの操作も可能である。
とするためには、飲料に含まれる特定成分の比率を指標
【実施例】
として以下の範囲に調整することにより、本発明の飲料 50
【0031】
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以下に本発明を実施例によってさらに具体的に説明する
た。得られた紅茶抽出液をステンレスメッシュ(20メ
が、本発明は実施例に限定されるものではない。
ッシュ)で濾過し、更にステンレスメッシュ(80メッ
【0032】
シュ)で濾過した。その濾液を、15℃まで冷却した後
<実施例1∼実施例10及び比較例1∼比較例6>
、ネル濾過して、紅茶抽出液2を得た。
調合量1000gに対し、表1に記載の配合に基づき、
<紅茶抽出液3>
茶抽出液、乳成分、糖、乳化剤及び増粘剤等を添加した
インドネシア産紅茶葉50gと、スリランカ産ウバ紅茶
(単位
g)。次いで、pH調整剤を用いてpHを所定
葉50g、スリランカ産ルフナ紅茶葉16gを、85℃
の値に調整し、所定の調合量に調整した。調整後、所定
に加熱したイオン交換水2320gに加えて、最初の1
の殺菌方法にて透明PET容器に充填し、容器詰飲料を
調製した。
80秒間撹拌しながら7分間抽出した。得られた紅茶抽
10
出液をステンレスメッシュ(20メッシュ)で濾過し、
【0033】
更にステンレスメッシュ(80メッシュ)で濾過した。
【表1】
その濾液を、15℃まで冷却した後、ネル濾過して、紅
茶抽出液3を得た。
<紅茶抽出液4>
スリランカ産ブレンド紅茶葉40gと、インドネシア産
紅茶葉30gを、30℃に加熱したイオン交換水210
0gに加えて、最初の60秒間、2分後に40秒間撹拌
しながら6分間抽出した。得られた紅茶抽出液をステン
レスメッシュ(20メッシュ)で濾過し、更にステンレ
20
スメッシュ(80メッシュ)で濾過した。その濾液を、
15℃まで冷却した後、ネル濾過して、紅茶抽出液4を
得た。
【0035】
<実施例1>
紅茶抽出液1を985g、牛乳を1300g、脱脂粉乳
を110g、発酵乳(脱脂粉乳を22%配合しており、
乳酸酸度を1.2%に調整したもの)1を20g、生ク
リームを20g、グラニュー糖を700g、ステビアを
0.12g、結晶セルロースを0.8g、ショ糖脂肪酸
30
エステルを3.84g、脂肪酸グリセリンエステルを5.
92g、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルを
12g、カラギナンを14g、ジェランガムを2g、乳
酸を3.74g、クエン酸を2.5gを加えて希釈後、p
Hが6.0になるように重曹とアスコルビン酸Naを添
加し、更に香料を添加し、そして全量が10000gに
【0034】
なるように純水でメスアップした。
表1における抽出液1∼4の製造方法は以下のとおりで
このように調合した紅茶飲料を、139℃、60秒でU
ある。
HT殺菌した後、PETボトル容器に充填し冷却して、
<紅茶抽出液1>
容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。※1発酵乳は、脱
アッサム産紅茶葉40gと、インドネシア産紅茶葉40 40
脂粉乳22%を使用しており、乳酸酸度1.2%のもの
gを、85℃に加熱したイオン交換水1600gに加え
を使用。
て、最初の90秒間撹拌しながら5分間抽出した。得ら
【0036】
れた紅茶抽出液をステンレスメッシュ(20メッシュ)
<実施例2−10、比較例1−6>
で濾過し、更にステンレスメッシュ(80メッシュ)で
実施例1のサンプル作成方法を基準とし、表1に示すよ
濾過した。その濾液を、15℃まで冷却した後、ネル濾
うに、紅茶抽出液1乃至4、および各種添加物の添加量
過して、紅茶抽出液1を得た。
を変更して、乳含有容器詰飲料(サンプル)を作製した
<紅茶抽出液2>
。
スリランカ産ブレンド紅茶葉60gと、インドネシア産
【0037】
紅茶葉5gを、55℃に加熱したイオン交換水1170
表1の配合に基づいて作製された実施例及び比較例サン
gに加えて、最初の60秒間撹拌しながら5分間抽出し 50
プルの成分を、下記方法に基づいて分析・測定した。結
( 8 )
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果を表2に示す。
3時間以上放置した後、冷蔵時と同様の手法で各飲料を
<成分の測定方法>
評価した。ただし、性状については「〇」「△」「×」
(ポリフェノールの測定方法)
の3段階で評価した。
フォーリン・デニス法(五訂 日本食品標準成分表 分析
【0040】
マニュアルの解説)により、タンニン酸を標準物質とし
なお、「乳のコク」とは、乳の程良い濃さと、乳由来の
て測定した。
甘味・うま味が感じられる呈味を示す。「風味のもたつ
(酸度の測定方法)
き」とは、飲用時に感じられる乳の臭いや、口の中に残
平沼産業社製 自動滴定装置COM―1750を用い、
る不快感を示す。「心地よい酸味」とは飲料を含んだ時
水酸化ナトリウムによる中和滴定法(電位差滴定)にて
測定した。
に感じられる、爽やか且つ刺激の強すぎない酸味を示す
10
。「香りのキレ」とは、酸味や渋味のバランスがよく、
(乳酸含有量の測定方法)
すっきりとした後味の風味を示す。「性状(安定性)」
次に示す条件にて、ポストカラム法による有機酸定量を
とは、サンプル作成後、常温保存の状態で、分離・沈澱
行い、乳酸含有量を求めた。
等の有無を示す。
分析用カラム:陽イオン系カラムSHODEX
AK
KC―811
RSP
【0041】
2本連結直結(φ8mm、30c
<評価基準>
m)
<乳のコク>
カラム条件:40℃恒温
移動相:3mM
流速0.5mL/min
5:十分に感じる
過塩素酸水溶液
4:感じる
サンプル投入量:20μL
反応液:0.2mM
BTB含有15mMリン酸水素二
3:わずかに感じる
20
ナトリウム水溶液
検出:測定波長
2:あまり感じられない
1:全く感じられない
445nm
<風味のもたつき>
(乳タンパク・乳固形分・無脂乳固形分の測定方法)
5:感じられない
乳及び乳製品の成分規格等に関する省令記載の方法に基
4:あまり感じられない
づき測定した。
3:わずかに感じる
(粘度測定)
2:感じる
粘度は、東機産業株式会社製「TVB−10形粘度計(
1:強く感じる
TVB−10M)」を用いて測定した(回転速度:60
<心地よい酸味>
rpm)。
5:十分に感じる
(糖度)
30
4:感じる
デジタル屈折計を使用して測定した。糖度(%)は、示
3:わずかに感じる
差濃度計「DD−7」(アタゴ社製)で測定した。
2:あまり感じられない
(pH)
1:全く感じられない
堀場製作所F―52型・卓上pHメーターにて品温20
<香りのキレ>
度にて測定した。
5:非常にある
【0038】
4:十分にある
<評価>
3:ある
実施例1∼10及び比較例1∼6の各容器詰飲料を用い
2:わずかにある
て、液温5℃における官能(冷蔵時評価)と液温25℃
1:ない
における官能・性状評価(常温時)を実施し、風味及び 40
<性状>
外観の変化を評価した。結果を表2に示す。
○:分離・沈澱などの問題は見られない
【0039】
△:少量の分離・沈澱などが見られるが、分散性が良く
<冷蔵時評価>
問題にならない
各飲料を恒温槽で液温5℃とし、熟練した審査官5名に
×:分離・沈澱が発生しており、分散性もない
少量ずつ試飲してもらい、乳のコク、風味のもたつき、
【0042】
心地よい酸味、香りのキレ、について官能評価をした。
<総合評価>
各項目について、以下の評価基準に従い、5名の合議で
各評価項目を総合的に勘案して、長時間にわたって少し
「5」∼「1」の5段階で評価した。
ずつ飲用した場合においても良好な風味が得られる商品
<常温時評価>
としての適性を評価した。
5℃で冷蔵していた各飲料を開封し、25℃の常温下で 50
◎:総合点33点以上かつ性状が△以上であり、商品と
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しての適性が非常に優れている飲料
【0044】
○:総合点25点以上かつ性状が△以上であり、商品と
以上より、(A)乳タンパク質0.4∼1.0質量%、
しての適性が優れている
かつ(B)ポリフェノール0.04∼0.1質量%であ
△:総合点20点を以上かつ性状が△以上であり商品と
り、pHが5.4以上6.3以下に調整された容器詰飲
しての適性がやや低い飲料
料は、冷蔵保存していた飲料を開封して3時間以上常温
×:総合点20点未満又は性状が×であり、商品として
においた後であっても、乳臭さや風味のもたつきが感じ
不適格な飲料
られず、後味にわずかな酸味が感じられる、風味の良好
【0043】
な容器詰飲料であり、液自体においても乳成分が分離・
【表2】
沈殿することなく安定性が保たれた、良好な容器詰飲料
10
であった。乳固形分量が3%以下であり、粘度が2.5
∼19cPである乳含有容器詰茶飲料は、濃厚感が感じ
られ、風味が更に良好であった。
────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
特許法第30条第1項適用
ウェブサイトhttp://www.itoen.co.jp/products
/list/products_detail/=23053(平成24年12月11日)に発表
特許法第30条第1項適用
ウェブサイトhttp://www.teastea−ny.jp/lineup
/drink/(平成24年12月11日)に発表
早期審査対象出願
(56)参考文献
特開2014−110782(JP,A)
国際公開第2011/010204(WO,A1)
四訂食品成分表1994,1994年,p. 196
国民生活センター
ポリフェノール含有食品の商品テスト結果[online],2000年
5月
8
5月
8
日,p. 32,URL,http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20000508_1.html
国民生活センター
ポリフェノール含有食品の商品テスト結果[online],2000年
日,p. 32,URL,http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20000508_1.html
(58)調査した分野(Int.Cl.,DB名)
A23L
2/00
A23C
9/152
A23F
3/16
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
( 10 )
CiNii
DWPI(Thomson
Innovation)
JP
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