第3回

3.放射性同位体の利用
不安定な原子核
(放射性核種)
より安定な原子核 + 電磁波 または 粒子
放射線
α線
α壊変
(例)
226
88
Ra
222
Rn
86
β壊変(β−壊変)
90
(例)
38
Sr
90
39
+
4
2
「放射能」は,
放射線を出す性質のこと。
従って,
He
β線
Y + e- + -

γ壊変
α壊変やβ壊変直後の原子核は、
エネルギーの高い状態(励起状態)
中性子を
衝突させる
エネルギー差が電磁波(γ線) 59
として放射される
Co
エネルギーの低い状態(基底状態)
「放射能漏れ」は、
「放射線漏れ」または
「放射能を持つ物質がもれた」が,
より正確な表現。
60
Co
60
β壊変
Ni *
γ壊変
励起状態
60
Ni
半減期
1.2
放射壊変
娘核種
親核種
放射性核種の壊変は,自発的に起こる
N  N 0 exp(  t )
1
0.8
0.6
半減期
0.4

: 壊変により個数が半分に
なるのに要する時間
0.2
0
0
核種によって異なり,1秒以下の短いものから
何十億年というようにその値には幅がある。
5
10
15
20
25
30
35
40
45
グラフのような減り方をする
自然の中の放射壊変
40
19 K
40
19 K
14
6C
223
87 Fr
40
Ca(β壊変,半減期:12億7千万年) 89.3%
EC(電子捕獲)壊変
Ar (EC壊変,半減期:12億7千万年) 10.7%
陽子 + 電子
20
40
18
14
7N
223
88 Ra
(β壊変,半減期:5730年)
(β壊変,半減期:22分)
中性子 + ニュートリノ
原子力発電
n
+
235
90
U
熱中性子
(速度が遅い)
Kr +
143
Ba + 3 n +
ウラン1kgは石炭2500 t
に相当する膨大なエネルギー
β壊変
90
Zr
143
熱
Nd
減速剤
(H2O,グラファイト)
(高)速中性子 235Uに対して
(速度が速い) ぶつかり難い
同時に中性子をある程度吸収(10B, 113Cd, 157Gd, 177Hfでできた制御棒を使う)
1個の中性子を吸収し,k個が次ぎの反応に使われるとき,kを増倍率という
k>1
反応が爆発的に進む(核爆弾)
k = 1 連鎖反応が穏やかに進む(臨界状態にある原子炉 )
k < 1 連鎖反応が起こらない
235U
: 238U = 0.72 : 99.28 天然存在比
238Uでは核分裂が
起き難い
3%位まで
235U を濃縮
17億年前の天然原子炉
(当時は,235U が3%位存在)
アフリカ・ガボン共和国の
ウラン鉱床
プルサーマル
n
+
238
239
U
U
β−壊変
23.5分
239
Np
β−壊変
2.35日
239
Pu 核分裂を
起こす
235Uが核燃料として消費されると同時に,新たな核燃料239Puが生成している。
235U
235U
原子力発電
238U
239Pu
238U
核分裂生成物
(高レベル放射性廃棄物)
MOX燃料として
再利用可能
MOX:Mixed Oxide
PuO2とUO2
高速増殖炉
高速とは、高速中性子のことで、
高速中性子を使うと239Puへの
変換効率が高くなる。
うまく行くと、消費される燃料よりも
多くの燃料が生成される。(増殖)
中性子を減速しないようにするため
Naが使用されている。
プルサーマル
「プルトニウムを熱中性子原子炉で
再び利用する」を意味する和製英語
Plutonium use in thermal reactor
を略した名称。
年代測定
14
7N
(上層大気中で)
14
6C
+ 中性子
+
太陽宇宙線や銀河宇宙線に
よる核破砕反応で生じる。
(成層圏で)
14
6C
14
6
CO2
プロトン
(陽子)
12
化学的性質は 6 CO2
とほとんど同じ
光合成により,植物に取り込まれる
14Cの減少は,下式に従う
14
6C
12
C
6
=
t
14
6C
12
C
6
exp(  t )
0
動物に取り込まれる
植物や動物が死ぬと14Cは,
取り込まれなくなるので
減少していく。
14
6C
14
7N
+ β線
シンチグラフィ
ごく微量の放射性物質を含む検査薬を投与し、出てくるγ線の分布を画像にする
γ線
67Ga
123I
NaI(Tl)結晶
410nmの蛍光
クエン酸ガリウムが悪性腫瘍組織に集積する
ことを利用して、診断薬として使われている
クエン酸
ヨウ素が甲状腺に特異的に摂取されることを
利用して、甲状腺疾患の診断薬として使われている
201Tl
カリウムとイオン半径がほとんど同じため
Na-K ATPアーゼにより心筋細胞に取り込まれる。
99mTc
骨のイメージング剤
PET(ポジトロン断層法)
脳や癌組織では,
ブドウ糖代謝が活発
陽電子β壊変する核種を投与し,
電子との対消滅により生じるγ線の分布を画像にする
18
9F
18
8O
陽電子
+ (positron)
+ ニュートリノ
2-deoxy-2-[18F]fluoro-D-glucose
互いに反対の方向に
進む2 本のγ線(消滅γ線)
e− + e+
水分子の電子
2つの検出器による
同時検出
ポジトロニウム(Ps)
e−
e+
電子と陽電子の間に結合ができる。(質量数0の水素原子と見なせる)
寿命は10−7から10−10秒
BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)
天然存在比
10
5B
+ 中性子
11
5B
4
2 He
+
7
3
Li
10
5B
20%
11
5B
80%
は,中性子をあまり吸収しない
1.癌細胞によく集まるようなホウ素化合物を投与
PETで集積度をチェック
2.中性子を照射すると,癌細胞のみに吸収される
3.生成する4He(α線)と7Liは,
癌細胞のみにダメージを与える。
(細胞1個程度の距離しか,飛ぶことができない)