繊維ロープウインチ等を利用した簡易集材方法の検討(H26~28) 国補:林業普及情報活動システム化(林業試験研究情報調査) 西尾起一・迫田和也 1.はじめに 本県において県産材の安定供給を図るため、効率的な作業システムとして奈良型作業道による 高密度路網とグラップルあるいはプロセッサと2t4WDダンプによる集材を推進して実績をあげつ つある一方で、小規模自伐林家については置き去りにされている。そこで零細林家、サラリーマ ン林家、定年退職した高齢者、ボランティア団体でも可能な価格の安い機械による簡易な作業シ ステムの検討を行い、簡単に木材を林道端まで搬出できるシステムが確立されれば、これまで捨 てられていた中小径木や薪炭材が安定的に搬出可能となるとともに林業収入となり地域林業の 活性化につながる。 2.方法 繊維ロープとポータブルウインチを使用する方法とグラップル(スイングヤーダ)を使用する 方法でそれぞれ地引による集材と架線による集材を実施して比較検討した。 ①地引集材 スギ55年生緩傾斜地定性間伐林分において、作業道から5~20m程度の距離にある材を地引で 短幹集材した。ウインチ付きグラップル(5tクラス)は1t引きのウインチを使用。 ②架線集材 ヒノキ40年生緩傾斜地定性間伐林分において、作業道から40m程度にある材を上荷で全木集材 した。繊維ロープウインチは主索を張るスナビング式、スイングヤーダ(6tクラス)はランニン グスカイライン式で実施した。 3.結果と考察 ①地引集材 生産性は繊維ロープウインチ1.78㎥/時、ウインチ付きグラップルが2.67㎥/時となった。 ②架線集材 繊維ロープウインチは架設撤去時間が14分41秒、集材1サイクル時間が6分8秒、1線あたり6本 集材(0.175㎥/本)した場合生産性は1.22㎥/時、スイングヤーダは架設撤去時間が24分7秒、 集材1サイクル時間が5分17秒、1線あたり6本集材した場合生産性は1.13㎥/時となった。 今回の条件下では、繊維ロープウインチの能力は、地引集材でウインチ付きグラップルの6 7%、架線集材では逆に108%と勝っていた。このことより林内の材を道端まで木寄せすること に関しては、小型軽量でグラップルより安価な繊維ロープウインチは十分使用の可能性があると 考えられる。ただ、そのあと道端まで集積した材をいかに運搬するかが問題であり、路網と使用 するその他の機械を組み合わせた搬出システムの検証が必要である。 -2- -2-
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