1 GC/TOFMSを用いた環境、廃棄物中の 有害化学物質の分析に関する基礎的検討 大山 浩司 (大阪府環境農林水産総合研究所) 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 飛行時間型質量分析計(TOFMS)の特徴 2 極めて短時間で全域の質量スペクトルが得られる イオンの透過性が高く、分析計に導入されたイオンの 大部分が検出器へ到達するので高感度である 質量と飛行時間との関係が単純であり、質量校正に おける系統誤差が少ない 原理上質量測定範囲に上限がない 以上の特徴からTOFMSでは‥‥ 精密質量測定 FastGC測定 スキャンモードでの高感度測定 が可能である。 JMS-T100GC 取扱説明書より 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 3 装置写真 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 4 事例① 水中農薬の迅速分析 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 残留農薬分析の現状 5 食品衛生法、水道水質基準の改正 農薬のポジティブリスト制度の導入 農薬が原因であると思われる魚の大量死の報告 食品中の残留農薬による健康被害の報告 多成分の農薬の一斉迅速分析への需要の増加 現在広く用いられている四重極GC/MSを用いた方法は 測定時間が長い 妨害物質の影響を受けやすい 追加物質の測定メソッド作成が煩雑である 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 6 農薬分析にGC/TOFMSを用いると‥‥ 高速でのスペクトル記録が可能である。 (最速25scan/sec、四重極MSでは1scan/sec程度) ⇒短時間で多くの成分を溶出させるfastGCを 行っても精度が落ちない 高分解能(5000以上)での測定が可能である。 ⇒妨害物質の影響を低減できる。 一度に高感度に高質量範囲のスペクトル記録が可 能である。 ⇒追加物質でも煩雑な測定メソッドの作成を 行うことなく分析が可能である。 ‥‥と考えられる。 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 7 GC/MS測定条件 カラム HP-5MS,15m×0.25mm,f.t.0.25μm 70℃(1.5min)→60℃/min→130℃(0min) 恒温槽昇温条件 GC →30℃/min→300℃(3min) 注入口温度 220℃ Agilent 注入法 splitless 6890N キャリアガス He,1.0mL/min(const.flow) purge time 1.5min 注入量 1μL 分解能 5000~5500 MS スペクトル記録速度 5scan/sec スキャン質量範囲 50~400 m/z JMS-T100GC イオン化電圧 70ev "AccuTOF-GC" イオン化電流 300μA イオン源温度 250℃ 検出器電圧 2500V 測定時間 11.16min GC接続管温度 250℃ 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 8 分析方法① 標準溶液は水質分析用68種農薬混合標準液、内 標準物質としてanthracene-d10,fluoranthened10,chrysene-d12(和光純薬製)を使用 検量線は5~1000ng/mlの濃度範囲内の5点の濃 度で各濃度3回測定を行い、内標準法で作成 装置検出下限(IDL)はn=7、測定方法の検出下 限(MDL)と添加回収試験はn=5で算出 MDL、添加回収試験に使用した試料は河川水に 農薬混合標準液を添加したものを使用 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 分析方法② 9 検体(500 ml) 抽出(ジクロロメタン50 ml×2回) 抽出液 脱水・濃縮・ヘキサン転溶 濃縮液(1 ml) 内部標準添加(各50 ng) GC/TOFMS測定 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 結果と考察 10 ①測定時間 TIC[1]; / EI+ / st1000-1 x106 強度 (12153513) 12 6.268 Etfenprox 約8.5分で溶出 10 4.359 8 Fast GC 6 分析時間が約1/4に! 4 2 0 TIC[1]; / EI+ / pest68-1000ppb x103 強度 (1738458) 9.862 1500 Normal GC 7.679 Etfenprox 約34分で溶出 19.791 1000 16.493 500 0 5 10 15 20 経過時間[min] 25 30 35 40 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 結果と考察 11 ②ピーク形状 マスクロ[1];172.93000..172.98000; / EI+ / Rugged check-1 マスクロ[1];172.93000..172.98000; / EI+ / Recovery-1 強度 (5231) 強度 (2777) 7.130 4000 7.130 7.173 1 scan/sec 2000 5 scan/sec 1000 2000 0 7.20 経過時間[min] 7.40 7.20 経過時間[min] 7.40 Propiconazole(window幅:0.05 Da)のマスクロマトグラム TOFMSの高速スペクトル記録により、FastGCにより1つ のピークの幅が2~3秒になってもきれいなクロマトグラム が得られる。このことは、FastGCにおいて定量精度を確 保する点で重要である。 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 結果と考察 12 ③質量電荷比(m/z)選択性(1) m/z:194.5~195.5(1 Da) マスクロ[1];194.50000..195.50000; / EI+ / Recovery-1 強度 (2281) 5.590 2000 5.005 4.360 5.843 1000 0 4.5 5.0 5.5 経過時間[min] 6.0 6.5 7.0 6.0 6.5 7.0 m/z:194.91~194.96(0.05 Da) マスクロ[1];194.91000..194.96000; / EI+ / Recovery-1 強度 (2281) 2000 1000 0 4.5 5.0 5.5 経過時間[min] 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 結果と考察 13 ③質量電荷比(m/z)選択性(2) m/z:194.5~195.5(1 Da) マスクロ[1];194.50000..195.50000; / EI+ / Recovery-1 m/z:194.91~194.96(0.05 Da) マスクロ[1];194.91000..194.96000; / EI+ / Recovery-1 強度 (1298) x 5 6.808 強度 (1298) x 1 x 50 SN:49.4 SN:49.4 6.837 6.904 1000 x 1 SN:208.7 SN:208.7 6.831 6.904 1000 0 0 6.80 7.00 経過時間[min] 6.80 7.00 経過時間[min] Window幅の違いによるSN比の変化 TOFMSの高分解能(半値幅5000以上)により、クロマト グラムの選択性が上昇する。また高分解能により、ノイズ を軽減でき、それによってSN比が向上する。 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 結果と考察 14 ④定量精度(1.IDL) 装置検出下限(IDL) 頻度 頻度 35 30 25 20 15 10 5 0 累積 % 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 120% 100% 80% 60% 40% 20% 0% IDL(pg) 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 結果と考察 15 ④定量精度(2.添加回収試験) 添加回収試験結果 25 15 10 5 75 ~ 85 85 ~ 95 95 ~ 10 5 10 5~ 11 5 11 5~ 12 5 12 5~ 13 5 13 5~ 14 5 14 5~ 0 ~ 75 頻度 20 添加回収率(%) 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 結果と考察 16 ④定量精度(3.MDL) 0. 0.0 02 2 ~ 0. 0.0 03 3 ~ 0. 0.0 04 4 ~ 0. 0.0 05 5 ~ 0. 0.0 06 6 ~ 0. 0.0 07 7 ~ 0. 0.0 08 8 ~ 0 0. .09 09 ~ 0. 1 0. 1~ 14 12 10 8 6 4 2 0 ~ 頻度 測定方法の検出下限(MDL) MDL(mg/L) 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 結果と考察 17 ⑤GC/TOFMSの安定性 Change of Relative Sensitivity 9 2.1% Analyte Area/IS Area 8 pyriproxyfen TPN chloroneb atrazine butamifos napropamide anilofos CNP 7 2.8% 1.5% 1.6% 6 5 1.3% 4 3 2 3.0% 2.0% 5.1% 1 0 1 11 21 31 41 51 61 71 81 91 Injection number 100回連続測定時の相対感度の変動 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 まとめ 18 GC/TOFMSの高速スペクトル記録を使用すること で、分析時間を約1/4に短縮することが可能である。 GC/TOFMSでの測定は四重極MSのSIMモードで の測定と同程度の感度で定量分析できる。 TOFMSの高分解能により妨害物質の影響が減少 し、高感度で分析できる。 スキャンモードでの測定なので追加対象物質の測 定も容易に可能である。 相対感度の変動が小さいので、長時間連続測定も 十分可能である。 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 19 事例② 河川、海域底質中の PCBの迅速分析 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 PCB分析の現状 20 PCB特別措置法の施行によりPCB廃棄物の広域処 理が全国で開始されている 一方で、数百万台ともいわれているPCB汚染の疑い のある機器等の汚染の有無を迅速に判定するための分 析法への要求が高まっている。 しかし現在の公定法では分析時間、費用の点で 問題がある そこで今回、GC/TOFMSを用いて、PCB分析 の迅速化の検討を行った。 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 21 方法①(GC/MS測定条件) カラム 恒温槽昇温条件 GC 注入口温度 Agilent 注入法 6890N キャリ アガス purge time 注入量 分解能 MS スペクトル記録速度 スキャン質量範囲 JMS-T 100GC イオン化電圧 "AccuTOF-GC " イオン化電流 イオン源温度 検出器電圧 測定時間 GC接続管温度 HP-5MS,15m×0.25mm ,f.t. 0. 25μm 110℃(1min)→40℃/min→300℃ 300℃ splitless He,1.5mL/min(const.flow) 1min 1μL 5000~5500 5scan/sec 50~550 m/z 70ev 300μA 250℃ 2500V 8.75min 250℃ 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 22 方法② 標準物質はWellington社製PCB Window混合液BPWD、内標準物質としてWellington社製13C標識PCB 混合液MBP-MXCを使用、各塩素化体ごとに定量。 検量線は1~250ng/mlの濃度範囲内の8点の濃度で 各濃度3回測定を行い、内標準法で作成 装置検出下限(IDL)はn=7で算出 測定方法の検出下限(MDL)はブランクが検出されな い底質約10gに、標準物質に含まれる各PCB異性体 を300pg添加、通常の前処理を行ったものを測定し 算出、n=5。 回収率はブランクが検出されない底質約10gに、標準 物質に含まれる各PCB異性体を10ng添加、通常の 前処理を行ったものを測定し算出、n=5。 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 23 方法③前処理方法 底質試料(乾泥、約10g) ソックスレー抽出(トルエン、16時間) 内部標準添加 通常処理 硫酸処理 簡易処理 DMSO/n-ヘキサン抽出 シリカゲルカラム処理 多層シリカゲルカラム処理 濃縮、転溶(ノナン、100μL) 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 結果と考察 24 ①クロマトグラム HeptaCBs HexaCBs PentaCBs TetraCBs TriCBs Kanechlor混合液の3~7PCBsのマスクロマトグラム(Window幅:0.05Da) 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 結果と考察 25 ①クロマトグラム HRMS Column:HT-8PCB 60m×0.25mm Oven:120℃(2min)-20℃/min160℃-5℃/min-320℃(9min) マスクロ[1];325.85000..325.90000; / EI+ / kanecrol x103 強度 (63283) 4.638 4.817 4.937 50 TOFMS (FastGC) 4.531 0 4.2 4.4 4.6 4.8 経過時間[min] 5.0 5.2 HRMSとTOFMS(FastGC)のクロマトグラムの比較(Kanechlor mixture,5CBs) 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 結果と考察 26 ①クロマトグラム マスクロ[1];325.85000..325.90000; / EI+ / Kanechlor x103 強度 (84097) 80 4.677 1scan/sec 4.861 4.577 4.977 20 4.2 4.4 4.6 4.8 経過時間[min] 5.0 5.2 マスクロ[1];325.85000..325.90000; / EI+ / kanecrol x103 強度 (63283) 4.638 5scan/sec 4.817 4.937 50 4.531 0 4.2 4.4 4.6 4.8 経過時間[min] 5.0 5.2 スペクトル記録速度の違いによるクロマト形状の変化(Kanechlor mixture,5CBs) 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 結果と考察 27 ②GC/TOFMSの定量精度 Isomer #1 #3 #10 #15 #19 #37 #54 #77 #104 #126 #155 #169 #188 #189 #202 #205 #208 #206 #209 Retension time(min) 2.94 3.20 3.33 3.82 3.69 4.36 3.99 4.84 4.32 5.24 4.62 5.60 5.04 5.76 5.42 5.95 5.83 6.11 6.28 correlation coefficient 0.9996 0.9999 0.9993 0.9998 0.9997 0.9992 0.9988 0.9998 0.9998 0.9993 0.9994 0.9984 0.9998 0.9989 0.9999 0.9996 0.9997 0.9998 0.9999 IDL(pg) RSD(%) MDL(pg) RSD(%) Recovery(%) RSD(%) n=5 0.2 0.3 0.2 0.7 0.3 0.2 0.2 0.2 0.3 0.3 0.2 0.3 0.3 0.1 0.1 0.3 0.5 0.4 0.4 91 100 85 101 85 104 74 107 89 117 73 106 85 99 86 91 125 98 95 7.0 7.9 6.8 16 9.8 5.6 6.2 5.9 7.8 6.8 6.7 7.7 9.1 3.3 3.1 8.3 12 13 12 2.7 0.6 0.7 1.5 0.8 1.2 0.8 0.9 0.8 1.5 0.7 0.9 0.9 1.1 1.1 0.9 1.8 0.8 1.1 15 5.6 6.6 9.6 8.2 10 8.4 6.2 7.4 9.5 7.4 7.1 8.8 8.8 12 8.2 14 7.4 10 2.3 2.5 2 1.2 1.9 3.2 4.3 2.3 2.2 1.3 1.9 2 2.1 2 2.3 1.8 2.9 1.3 2.4 標準物質のPCBの定量に関する各種データ 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 結果と考察 28 ②GC/TOFMSの定量精度 TOFMS測定値/HRMS測定値 (%) TotalPCBs 160 140 120 100 80 60 40 0.01 0.1 1 10 100 HRMS測定値(ng/g-dry) 1000 10000 TOFMSとHRMSの底質中のPCBの定量結果の比較(全PCBs) 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 結果と考察 29 ②GC/TOFMSの定量精度 DiCBs TOFMS測定値/HRMS測 定値(%) TOFMS測定値/HRMS測 定値(%) MonoCBs 200 150 100 50 0 0.0001 0.001 0.01 0.1 HRMS測定値(ng/g-dry) 1 10 160 140 120 100 80 60 40 0.001 0.01 TOFMS測定値/HRMS測 定値(%) TOFMS測定値/HRMS測 定値(%) 160 140 120 100 80 0.1 1 10 100 HRMS測定値(ng/g-dry) 100 1000 1000 10000 TetraCBs TriCBs 60 40 0.01 0.1 1 10 HRMS測定値(ng/g-dry) 1000 10000 160 140 120 100 80 60 40 0.01 0.1 1 10 100 HRMS測定値(ng/g-dry) TOFMSとHRMSの底質中のPCBの定量結果の比較(1~4PCBs) 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 結果と考察 30 ②GC/TOFMSの定量精度 HexaCBs 160 140 120 100 80 60 40 0.01 0.1 1 10 100 1000 TOFMS測定値/HRMS測 定値(%) TOFMS測定値/HRMS測 定値(%) PentaCBs 160 140 120 100 80 60 40 0.01 0.1 HRMS測定値(ng/g-dry) 160 140 120 100 80 60 40 0.001 0.01 0.1 1 HRMS測定値(ng/g-dry) 100 1000 OctaCBs 10 100 TOFMS測定値/HRMS測 定値(%) TOFMS測定値/HRMS測 定値(%) HeptaCBs 1 10 HRMS測定値(ng/g-dry) 160 140 120 100 80 60 40 0.0001 0.001 0.01 0.1 HRMS測定値(ng/g-dry) 1 10 TOFMSとHRMSの底質中のPCBの定量結果の比較(5~8PCBs) 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 結果と考察 ③前処理の簡略化の可能性 31 マスクロ[1];255.50000..256.50000; / EI+ / sed-Shinmikunibashi x103 強度 (85505) 3.856 Mass Window:255.5~256.5 4.228 5.887 50 0 マスクロ[1];255.94000..255.99000; / EI+ / sed-Shinmikunibashi x103 強度 (85505) 80 3.856 Mass Window:255.94~255.99 0 3.0 4.0 5.0 経過時間[min] 6.0 7.0 簡易前処理を行った河川底質検体のマスクロマトグラム (3CBs、Mass window 上:1Da,下:0.05Da) 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 結果と考察 ③前処理の簡略化の可能性 32 マスクロ[1];255.50000..256.50000; / EI+ / sed-Shinmikunibashi x103 Mass Window:255.5~256.5 強度 (85505) 3.856 80 4.228 夾雑物の影響で、PCBの ピークが確認できない 0 3.5 4.0 経過時間[min] 4.5 マスクロ[1];255.94000..255.99000; / EI+ / sed-Shinmikunibashi x103 強度 (85505) 3.856 80 Mass Window:255.94~255.99 0 3.5 4.0 経過時間[min] 4.5 簡易前処理を行った河川底質検体のマスクロマトグラム (拡大、3CBs、Mass window 上:1Da,下:0.05Da) 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 結果と考察 ③前処理の簡略化の可能性 33 マスクロ[1];255.94000..255.99000; / EI+ / sed-Shinmikunibashi x103 強度 (85505) 3.856 80 TriCBsのマスクロマトグラム (Mass Window: 255.94~255.99) 0 3.5 4.0 経過時間[min] MS[1];3.908; / EI+ / sed-Shinmikunibashi x103 このピークのマススペクトル 夾雑物由来のピーク 強度 (39210) 30 PCB由来のピーク 4.5 257.24837 255.98324 256.24059 258.25616 257.98050 259.26371 0 255.0 256.0 257.0 質量電荷比(m/z) 258.0 259.0 簡易前処理を行った河川底質検体のマススペクトル 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 まとめ 34 GC/TOFMSの高速スキャンモードを使用す ることで、PCBのクロマト形状を大きく変える ことなく分析時間を大幅に短縮することが可 能である。 底質のMDLで0.7~2.7pgの範囲内にあり、簡 易測定としては十分な感度がある。 HRGC/HRMSの測定値との比較ではよい相 関が得られており、十分な定量精度を有して いる。 高分解能での測定により夾雑物の影響を低 減できるので、前処理の簡略化が可能である 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 35 事例③ 環境、廃棄物中の POPsの一斉分析 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 36 はじめに GC/HRMS法を用いたPOPsの分析は高感度、高選択性で ある。その一方で多成分の測定の際は・・・ グルーピング等の測定メソッド作成が必要である。 1検体で複数回の測定を必要とする。 など、やや煩雑な面がある。 これまでにGC/TOFMSを用いることで、スキャンモードで農 薬等の高感度一斉分析が可能であることがわかった。これ らの経験から、GC/TOFMSを用いてPOPsを分析することで、 GC/HRMS法より簡便にかつ短時間に分析が可能であると 考え、検討を行った。 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 方法①(GC/MS測定条件) column oven GC injection temperature Agilent injection type 6890N carrier gas splitless period injection volumn resolution MS scan speed mass range JMS-T100GC ionization voltage "AccuTOF-GC" ionization current ion source temperature detector voltage measurement time transfer line temperature 37 DB-5MS,15m×0.25mm,f.t.0.25μm 110℃(1.5min)→40℃/min→300℃ 300℃ splitless He,1.0mL/min(const.flow) 1.5min 1μL 5000~5500 5scan/sec 100~550m/z 70ev 300μA 250℃ 2500V 9.25min 250℃ 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 38 方法②(抽出、前処理方法) 底質試料(湿泥、約10g) 内部標準添加 ソックスレー抽出(アセトン3時間→トルエン18時間) 酸化処理 フロリジルカラム処理 DMSO/n-ヘキサン抽出 濃縮、転溶(ノナン、100μL) 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 結果と考察 (クロマトグラム①) 39 TIC[1]; / EI+ / PCBPOPs x103 強度 (3892139) 3.266 4.603 5.185 3000 3.825 4.277 5.670 4.111 2000 1000 0 3.0 4.0 5.0 6.0 経過時間[min] 7.0 8.0 9.0 Total ion chromatogram of Kanecrol and chlorinated organic pesticides 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 40 結果と考察(クロマトグラム②) HeptaCBs HexaCBs PentaCBs HCB TetraCBs HexaCBs TriCBs PentaCBs 3~7CBs chromatogram of Kanecrol and chlorinated organic pesticides (mass window: 0.1Da) 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 41 結果と考察(クロマトグラム③) a-HCH b-HCH g-HCH a-HCH Aldrin transChlordane cisChlordane HCH Dieldrin Endrin Drins Chlordane 4,4’-DDD DDD,DDT 2,4’-DDD 2,4’-DDT 4,4’-DDT Mass chromatogram of chlorinated organic pesticides (mass window: 0.1Da) 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 42 結果と考察(検量線の評価①) 13C Monitor ion: 289.8303 4 y = 0.7432x 2 R = 0.9896 Native area/IS area 3.5 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 0 1 2 3 4 5 6 Native conc/IS conc Calibration curve of HCB [Internal standard(13C-HCB) monitor ion: 289.8303] 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 43 結果と考察(検量線の評価②) JMS-700D 13C 35Cl 37Cl 6 5 JMS-T100GC MS[1];4.188; / EI+ / POPs-st1000 3 x10 強度 (46430) 289.82550 C635Cl237Cl4 40 C635Cl237Cl4と 13C 35Cl 37Cl 6 5 が分離されずに、1つの合成 されたピークとなる。 20 0 289.5 290.0 質量電荷比(m/z) Mass spectrum of 1000ppb HCB(C635Cl237Cl4) and 100ppb 13C-HCB(13C635Cl537Cl) 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 44 結果と考察(検量線の評価③) 13C Monitor ion: 293.8244 16 Native area/IS area 14 y = 2.9738x R 2 = 0.9999 12 10 8 6 4 2 0 0 1 2 3 Native conc/IS conc 4 5 6 Calibration curve of HCB [Internal standard(13C-HCB) monitor ion: 293.8244] 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 45 結果と考察(検出下限値) Isomer #1 #3 #10 #15 #19 #37 #54 #77 #104 #126 #155 #169 #188 #189 #202 #205 #208 #206 #209 HCB# Retension time(min) 3.45 3.74 3.85 4.39 4.22 4.93 4.53 5.41 4.87 5.80 5.17 6.16 5.58 6.32 5.96 6.50 6.37 6.66 6.84 4.12 IDL(pg) n=7 0.2 0.3 0.2 0.7 0.3 0.2 0.2 0.2 0.3 0.3 0.2 0.3 0.3 0.1 0.1 0.3 0.5 0.4 0.4 0.2 RSD(%) Isomer 7.0 7.9 6.8 16 9.8 5.6 6.2 5.9 7.8 6.8 6.7 7.7 9.1 3.3 3.1 8.3 12 13 12 5.0 a-HCH# b-HCH# g-HCH# d-HCH Aldrin# Dieldrin# Endrin# trans-Chlordane# cis-Chlordane Oxychlordane# trans-Nonachlor# cis-Nonachlor Heptachlor# Heptachlor-exo-epoxide# 2,4'-DDT 4,4'-DDT# 2,4'-DDE 4,4'-DDE# 2,4'-DDD 4,4'-DDD# Retension time(min) 4.09 4.23 4.28 4.43 4.88 5.39 5.50 5.19 5.25 5.09 5.27 5.56 4.69 5.07 5.57 5.73 5.19 5.34 5.38 5.55 IDL(pg) n=7 0.4 0.8 0.7 0.9 1.7 5.5 8.7 0.1 0.3 5.8 0.6 0.3 1.6 0.7 0.4 0.4 0.3 0.3 0.3 0.4 RSD(%) 5.1 11 9.3 12 7.4 16 7.4 3.6 9.0 17 16 7.4 8.8 7.7 13 12 7.1 4.8 7.3 11 Retension time and IDL of POPs 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 46 結果と考察(実試料測定①) Mass window: 255.91~256.01 3CBsのピーク Mass window: 255.7~256.7 夾雑物(油分?)の影響 3CBs chromatogram of river sediment 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 47 結果と考察(実試料測定②) Mass window: 234.95~235.05 4,4’-DDD 2,4’-DDD Mass window: 234.7~235.7 DDD chromatogram of river sediment 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 48 結果と考察(HRMS法との比較) 6 25 y = 0.9918x - 0.0171 R2 = 0.9471 y = 1.0231x - 0.0048 2 R = 0.9835 5 20 TOFMS(ng/g) TOFMS(ng/g) 4 15 3 10 2 15 00 00 1 5 2 10 3 15 HRMS(ng/g) HRMS(ng/g) 4 20 5 25 6 Relativity of TOFMS method and HRMS method (Concentrations of POPs in river sediment) 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 49 まとめ GC/TOFMSを用いることで、POPsを簡便か つ迅速に分析を行うことが可能である。 検量線作成時には、内部標準物質のモニ ターイオンの設定に注意を払う必要がある。 GC/HRMSと比較して、検出感度は劣るが同 程度の前処理で分析が可能である。 実試料の定量結果は、GC/HRMSとの結果と ほぼ良好な相関を示しており、信頼性のある ものであった。 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 50 最後に‥‥ TOFMSを用いることで‥‥ 高速でのスペクトル記録による精度の高いFastGCが 可能である。 高分解能の特徴を生かした分析(前処理の省略など) 簡単に高分解能でのスキャン測定が行えることにより、 より精度の高い定性分析が可能である。 今後のTOFMSに必要と思われるもの ダイナミックレンジの向上 TOFMSの性能を存分に活かせる解析ソフトの開発 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」 51 ご清聴ありがとうございました。 なお、本研究の一部は環境省受託事業である、 循環型社会形成推進科学研究費(K22037)の 助成を受けて実施したものである。 2010年12月11日 第10回e-シンポ「環境及び食品の分析技術の現状」
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