6月26日 - 伊賀市学校教育ネットワーク

2015(平成27)年6月25日
第 60 号
伊賀市立柘植小学校
校長 黒川 昌吉
柘植小学校が長年、取り組んでいる「一枚文集」
。「全学年、1年間に70号以上発行する」と、マニフェス
トにまで掲げているのは本校だけですが、なぜ柘植小は「一枚文集」を大事にしているのか、どんな効果があ
り、どこをめざしているのか、連載で取り上げたいと思います。
書き方には鉄則があります。心にしみついてはなれないことを、見たとおり、聞いたとおり、したとおり、
されたとおり、言ったとおり、感じたとおり、よく思い出して、時間をとばさずに、その順序にしたがって書
くこと。文の終わりは、
「~しました。~でした。~した。~だった。
」だけにして書くことです。
この書き方を「展開的過去形」と言っています。そして、この方法でくらしを綴
った作文を、
「生活つづり方」と呼んでいます。
4月28日
1ねん
ゆうき
どようび、だんくんのいえにあそびにいきました。
だんくんのおとうさんとおかあさんとおとうとのけんくんとだんくんとぼくで
ざりがにをつかまえにいきました。
だんくんのいえのちかくのかわまでいきました。
いしとそーせーじとはむをつけたつりざおを、だんくんのおとうさんがつくっ
てくれました。ざりがには13びきもつかまえられました。
「楽しかった」
「うれしかった」
「おもしろかった」というような「感想ことば」はできるかぎり書きません。
事実をありのままで書くことで、何に心がひかれたのか、感動したのか自然に伝わるからです。
入学したての最初は絵日記から、字がかけるようになったら一行日記を始めます。少し大きくなったら、日
記を書いたり、
「ネタ帳」にため書きしたりして、その中から題材を選びます。題材が決まったら、
「思い出し
直し」をして、
「したこと」を「なにもかも」書く練習をしていきます。
こうへい君
5年
ほたか
朝起きると、足がなぜか痛みました。お母さんに、
「足、むっちゃ痛い。
」
と言って、湿布をはってくれました。学校へ
行くときも足をひきずって歩きました。
と言うと、
(中略)
「筋肉痛ちゃう。
」
「どしたん。」
と言いました。でも、
と、こうへい君が声をかけてくれました。
「くるぶしのところやねん。
」
「足、痛いねん。
」
と言うと、
と、言いました。こうへい君は、
「去年、骨折したところやから湿布はろか。
」
「じゃあ、ぼくも付いて行くわ。」
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と言って、一緒に下まで下りてくれました。一階に
「ありがとう。
」
着いたら、
と言って、肩に手を回して二人で歩きました。
「おんぶしたるわ。
」
その後、トイレも休み時間も一緒にいてくれ
と言うので、こうへい君の上に乗ると、こうへい君は
たし、そうじ場所にも送ってくれました。
前にたおれてしまいました。
ぼくは、帰りに
「あいたた。おんぶは無理やな。
」
「今日は手伝ってくれてありがとう。」
と言って、二人で笑いました。こうへい君は
と言いました。こうへい君は、
「肩かすわ。
」
「えーねん。えーねん。
」
と言って、肩をぼくの方によせてくれました。
と言ってくれました。
こうへいさんの声かけやしぐさにさりげないやさしさを、ほたかさんが感じています。このように、先生が、
“これはクラスのみんなで読み合いたいな”と思う作品は、先生と「思い出し直し」をして、推敲して作品を
仕上げ、それが「一枚文集」になります。
(
「一枚文集」にはならないけれど、みんなで読み合う作品もありま
す)
マニフェストには、
「一枚文集を読み合い、暮らしの交流を通して互いを知り合い、一人ひとりの居場所づく
りに・・」と掲げています。お互いのくらしぶりを知り合うことは、互いの経験をシェアし合い、共鳴・共感
するひとときを過ごすということです。
「生活つづり方」のパイオニアである国分一太郎先生は、次のように述べています。
『過ぎ去った生活経験を思い出させる。よく思い出させる。それを文字で表現させる。ていねいに、ていねい
に叙述させる。ことがらのすじみちがよくわかるように書かせる。時・所・物・事のようすがハッキリするよ
う具体的に書かせる。この事実にぶつかり、こういうことであったからと、考えや感じが出てきたもとのとこ
ろをハッキリさせて書かせる。書かれたもののなるべく多くを、学級のみんなに協同吟味させる。鑑賞させる。
よく思い出させたのは、よく見ていたせいだと気づかせる。五感とからだ、魂をよくはたらかせたところだと
気づかせる。そこから共鳴共感できるものをたしかめさせる。こうして、過去の生活事実をもとに、自我の確
立と連帯感をつちかっていく。いまなぜ、これを大切にするか?過去の経験をおもいだして、たしかめ直しを
できないような人間は、自覚的な人間にそだっていくことができないからだ。また、たがいの経験をわかちあ
うことのできない学級集団は、人間のやさしさや願い、美意識などをもととする共存感・連帯感を共有するこ
とができないからだ。
』
国分先生は、大正生まれで山形県出身。戦前からつづり方に取り組み、1985年になくなられました。昔
の文ですが、その精神は現代にも全く通用すると思います。次回は、
「一枚文集」には、どんな題材を選ぶのか、
共有したい題材とは?について書きます。
(つづく)
6月10日夜、関係団体のみなさんにお集まりいただき、
「柘植小にこにこフェス
タ2015実行委員会」が開催されました。6年生の全員が出席し、児童会の企画
委員がパワーポイントで趣旨説明をしたり、たくさんの質問に答えたりしました。
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「タイム」をとって、子どもたちが頭を寄せ合い相談するシーンも。
その後、着々と準備を進めているようです。バザー品をご提供頂いたみなさん、ありがとうございます!バ
ザー品は、ぎりぎりまで受付するそうです。7月3日当日は、売切御免です!
「古紙回収の収益金を寄付させていただきます。わずかな金額で
すが子どもたちの教育活動費に役立てて下さい」と、スグリ新聞舗
さん、摂津商事(株)さんから95,600円の寄付金をちょうだい
致しました。
昨年度までの寄付金で各教室に「空気清浄加湿器」をそろえさせ
ていただきました。今年は、それこそ子どもたちの活動である「に
こにこフェスタ」を中心に使わせていただきます。本当にありがと
うございます。
【なお、育友会や児童会で取り組んでいる古紙回収やアルミ缶回収と
↑学校で咲いた「月下美人」
は全く別に、二社独自で取り組まれているものです】
校内・校外問わず活躍を紹介します。
集会で表彰伝達もします。遠慮なくお知らせ下さい。
体操
4年
西尾力輝さん
5月5日西日本ジュニア体操選手権大会代表選考会を通過し、7月22
~25日に佐賀県で行われる大会に出場が決定しました。
(相好体操クラブ所属)
よい歯のコンクール
優秀賞
6年 渡辺崇利さん
柘植からつばさ学園に通う同学年のお友達と交流しました。つ
ばさ学園から見た言い方では、
「居住地校交流」と言います。
3年生になった下町の倉下よしひろさん、3年生のお友達が大
歓迎したので、びっくりして少しひいてしまうぐらいでしたが、
慣れてきたのでしょうか、しっかり自己主張して我を発揮する場
面も見られたようです。
また、別の日には小林の1年生、町田いっせいさんがやってきま
した。自分たちで作った魚をブルーシートの海に放流?し、魚釣り
を楽しんでいました。いっせいさんの作ってきた魚は人気で争奪戦
が起こったようです。入学式でも言いましたが、同じ柘植に住む仲
間として、育って行ってほしいと思います。
休みの日など、遊びに誘ったりする姿が見られるように願ってい
ます。
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柘植小学校代表として出場しました。
4年生担任松原先生は、青山にお住まいで、今年松阪から伊賀に
帰ってこられました。教職員8年目。松阪にいた6年間のうち、3
回6年生を担任されたそうです。ご専門は体育です。
小さい頃から野球づくめの生活で、読書は大の苦手です。
小学校3年生からスポ少で野球をはじめ、大学までやり続けました。
ほとんど、土日のない生活でした。野球の成績ですか?青山中学校時代
は伊賀大会でいつも名張にやられていました。一応小6と中3のときにキ
ャプテンでした。ポジションは一応「エースで4番」というやつです。
久居高校ではショートを守り、一応県大会ベスト8までいきました。
日体大では軟式野球をやったんですが、部員が100人以上で、ひとつ
のポジションに10人ぐらいのライバルがいました。ベンチ入りするのが
精一杯でした。一応1年生と4年生の時に全国大会で優勝しました。そう
です。一応日本一です。それで、一応生まれて初めてビールかけをしまし
た。もちろんアマチュアですから、お金がなくて、一応3ダースしか買え
なくて、すぐに終わりました。
(笑)
というわけで、読んだ本って、野球のテクニックやトレーニングの月刊
誌ぐらいです。チームのみんなでお金を出し合って買いました。野球の漫
画ですか?もちろん、水島新司『ドカベン』やあだち充『タッチ』は全巻
買いそろえて読みました。あだち充の『H2』が大好きでした。
教師になって、松阪でも「朝の読書」の時間がありました。子どもと一
緒に読書するんですが、読んだ本を学級文庫において、子どもたちにも読
んでもらいました。
“松原文庫”は6年間で20冊ぐらいになりました。
J.K.ローリングの『ハリーポッター』シリーズや、エミリー・ロッダの
『デルトラクエスト』などです。ブックオフに勤める友人の紹介で、中古を
安く手に入れました。読んだ中では、田村裕『ホームレス中学生』が印象に
残っています。こんなこともあるのかと、衝撃を受けました。
岩崎夏海『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメン
ト』を読んだら』を、6年の子どもたちが読んで話題にしていたのには、驚
きました。「なんでマネージャーが読もうとおもったんやろ?」とか、「ちょ
っとはまりすぎちゃう?」とか、しゃべっていましたね。
自分が読書が苦手なので、読書の苦手な子どもの気持ちはすごくわかりま
す。それを指導に生かしていこうと思います。
(この連載つづく)
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