安里 和晃 京都大学大学院文学研究科 特定准教授 外国人ケアワーカーと介護の質に関する研究:人材育成カリキュラム構築に向けて 本稿は日本の介護労働市場において多様な介護人材が存在することを前提に、その人材 育成の枠組みが多様な人材を包摂するものではないという問題を指摘したものである。特 に経済連携協定(EPA)を通じて入国する介護従事者と、新日系母子の介護従事者に焦点 をあてているが、後者についてはほとんど知られていない介護の担い手である。EPA にお ける人材育成が様々な公的支援の上に成り立っているのに対し、新日系母子の場合には、 国籍再取得、認知、養育、ビザ取得といった手続きに加え、介護職員として自立するため の人材育成のコストの負担問題が発生する。新日系人母子問題が入国管理制度を主要な原 因としている以上、EPA の支援制度、職業訓練など既存の制度で実施すること、さらに多 文化状況におけるキャリア形成の開発を検討することが必要である。介護職員として自立 するためにも債務からの解放と人材育成の強化が必要である。
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