荒井 一歩教授

この人
究
この研
Profile
神奈川県出身。駒場東邦高等学校卒業後、東邦大学
医学部医学科に進学し1979 年に卒業。1981 年に米
国へ留学、1983 年まで米国イーストカロライナ大学医
学部の血液腫瘍学教室で研究生活を送る。1984 年、
東邦大学大学院医学研究科
(内科学専攻)
修了、医学
博士。同大学医学部内科学第 1 講座助手・講師歴任
後の1999 年、中島病院
(現 大森山王病院)
の副院長
を務める。2002年より東邦大学医学部看護学科教授。
2011 年より同大学看護学部看護学科教授。
●看護学部 疾病医療学研究室
荒井 一歩教授
ライフワークは『 抗血栓、抗動
脈硬化 』の研究
。今後は 高度な専門職として
の看護師育成に力を注ぎたい
。
血栓性疾患を防ぐ
研究・臨床・講義で多忙な日々を送る
「私がメインで関わってきた研究は、
さまざまな血栓性疾患を防ぐための
取り組み、いわゆる “ 血液サラサラ
診療も担当するという多忙な日々
を担うセクションです。そしてこの
栓を防ぐのだろう?」
という示唆を提
を送っている。
診療が、学生たちを指導するうえで
示した。
高度な医療専門職としての
看護師を育てたい
「私が関わる総合診療科は “ 何でも
非常に役立っています。それは、多
「これに我々が注目し、
ウサギを使っ
系 ” の研究です。
」
診る ” セクション。初めて来院され
種多様な症状に触れられるため、学
た実証実験を行ったのです。当時の
荒井一歩教授は本学医学部を卒
た患者さんを診療して病気を特定
生たちに最新の医療情報を届けら
第1内科の血液グループと、医学部
「もちろん研究は継続していきます。
年々高まってきている。看護師の存
業後、2年間の米国留学を経験。帰
し、最適な科へ患者さんを送る役割
れるからです。」
臨床生理機能学研究室との共同研
しかし、今後は教育活動に従来以上
在感は、今後ますます重みを増して
国後は本学や他の医療機関で医師・
究でした。」
の力を傾けていきたいと考えていま
いくだろう。
研究者として活動し、2002 年に現
荒井教授らのチームはウサギを
す。単なる医師のアシスタントでは
「医療のスペシャリストとして臨床
3グループに分け、それぞれに、①
なく、高度な知識・技術を有する専
に携わるだけでなく、研究・教育活
普通のエサ ②動脈硬化食 ③動脈硬
門職としての看護師を育てていきた
動に携われる人材も育ってほしいと
化食にEPAを加えたエサを150日間
いと思います。
」
思います。事実、そうした方面を志
にわたり与え続けるという実験を
自ら注射を施せる(医師の指導の
す学生が少しずつ増えているので
行った。
もと)
ようになるなど、
チーム医療の
す。
」
と話す荒井教授。それは医師で
一員として看護師が果たす役割は
はなく、教育者のまなざしだった。
職に就いた。ライフワークとして現
在も継続しているのが、
「抗血栓、抗
動脈硬化に関する研究」だ。それと
並行して「毛髪ミネラル分析」や大
青魚に含まれる物質『EPA』
に
抗血栓作用があることを実証
学保健管理関連など、これまで数多
荒井教授がターゲットにし、関連
北 極 圏に住む原 住 民の人々は脂
くの研究に携わってきた。現在はこ
の研究によって成果を上げたのが、
肪を多く摂る食生活を送っているの
「結果は、
②を与えたグループの血管
うした研究活動とともに、看護学
エイコサペンタエン酸(EPA)とい
に、 心 筋 梗 塞の発 生 率が極めて低
壁は組織がボロボロ。
エラスチン
(弾
部・大学院看護学研究科のほか、医
う物質だった。EPA はイワシなど
い。そして彼らは日常的に海の動物、
力繊維)
は破壊され、
余分なコレステ
学部でも講義を担当し、自身の専門
青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸
魚やアザラシを食している。かつて
ロール、カルシウムが多く付着して
分野をベースとした教育活動を展
で、血栓や動脈硬化を防ぐ機能を持
欧州の研究者がこの2つの事実に着
いました。一方、③の場合、血管壁
開。さらに週2回、大森病院で外来
つことが現在明らかになっている。
目し、
「 なぜ 魚に含まれる EPA が 血
はほぼ正常のままで、エラスチンも
保たれ、コレステロールなどの付着
看護学部4年
石渡 温乃さん
子どもの頃に入院を経験し、
そのときケアしてくれた看護師
の方に憧れて看護の道を選択しました。研究対象は「発
達障害」
です。研究する過程で病の実相だけでなく、
それ
で苦しむ方々の思いにも触れられるので、大きな経験を得
ながら学びを進めています。荒井先生の授業は、
ご自身
の臨床での経験を踏まえ、具体的な事例を挙げて解説し
てくれるので、難解な知識もすんなりと頭に入ってきます。
10 TOHONOW 2015.January
看護学部4年
古池 みね子さん
私は長期留学経験があり、
大学卒業後は英語力を生かして外資
系航空会社のCA(客室乗務員)
を6年間務めていました。実は
国際線では看護の機会が頻繁に発生するのです。
フライトで急
病人が出たり、
ときには出産に立ち合ったこともありました。
こうした
経験が、
もともと医療分野に興味があった私を触発し、
看護の道
を選ぶきっかけになりました。荒井先生は“自然体”
の方で、
私たち
学生のリードの仕方も非常に巧みで、
尊敬できる先生です。
もわずかだったのです。
」
しかも③では PWW 値(動脈の硬
さを示す)
やフィブリノーゲン値
(血
栓準備状態で高値を示す)も良好と
いうデータを得た。こうしてEPAの
抗動脈硬化作用機能も実証され、現
在この物質は医薬品やサプリメント
の成分として実用化されている。
泉となる
“ 気づき ” の源
につけるために
身
を
識
知
な
高度
んでほしい。
励
に
学
勉
々
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日
しいタイプが多
女子も、心やさ
、看
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男子も
傾向でしょう。た
ってくる学生は
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野だけに当然の
看護学部に入
てほしいと思い
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January.2015
TOHONOW 11