第 章 ベクトルの外積

第
章 ベクトルの外積
ベクトルの外積
本節においては
次元ユークリッド空間
のベクトルのつく
において 任意の二つのベクト
る 次元計量数ベクトル空間
に対し, と の外積とよばれる第 のベクトルを対応させ
ル
る演算を定義し 外積の性質のいくつかを考察する
いま
の標準基底
が正の系であるような基
底の向き付けを
に与えられているものとする.
定義
の二つのベクトル
に対し ベクトル
を
と
であると定義し ベクトル と の外積であるという また 外積を
ベクトル積であるということもある
例
が成り立つ
の基本ベクトル
に対し,
の外積は次の性質をもつ
定理
に対して 次が成り立つ
.
.
.
である
ここで,
.
であることと
が
次従属であることは同値
.
はベクトル
に対し 行列式
を表す.
証明 ベクトルの外積の定義より明らかである
定理
の
より
であっても
が 次従
属であれば
となる このとき
はゼロ因子であると
いう
一般には結合律
は成り立たないが,ヤコビの恒等式
が成り立つ これはラグランジュの公式
より従う
定理
に対し 次
が成り立つ
.
特に等号が成り立つのは
属である場合に限る.
が 次従
を
辺とする平行四辺形の面積 .
証明 は定理
より明らか.なぜならば 次の
が成り立つからである
についても同様である ゆ
えに
特に等号が成り立つ
のは
のときである このとき
は 次従属である
の証明より
は明らかである 後半の証明は次のように行われる
と
のなす角を
であるとすると
ゆえに
であるから,
.ゆえに
を 辺とする平行四辺形の面積
が 次独立であるとき
は
を
の一つの基底となる これは さらに 指定
成り立たせるから
された
の基底の向き付けに関して正の系であることがわかる
ベクトル
の外積
は
の標準基底を一つ固定して定
義された 実はこの定義は正の完全正規直交系の採り方に依存しな
が成り立つ
いことが示される なぜならば 次の定理
まず次の補題
を準備する
補題
次の直交行列
たすとする このとき
を行列
次の等式が成り立つ
の
は条件
を満
余因数であるとすると
証明 直交行列の定義より明らかである.
定理
にはその標準基底
が正の系と
なる向き付けが与えられているとする このとき
を
の任意の正の完全正規直交系であるとする 基底を から
へ変換する直交行列を
であるとすると
で
ある.このとき,基底 と に関するベクトル
の成分をそれ
および
である
ぞれ
とすると 等式
が成り立つ
証明 行列 が
このとき 基底を から
のように変換される
となる直交行列であることは明らか
へ変換するとき ベクトルの成分は次
したがって 補題
の式
を用いて ベクトル
外積
の成分は次のように変換される
と の
同様に 等式
が示される ゆえに 式
が成り立つ.
ゆえに ベクトル と の外積
は定義
によって定理
の
を満たすベクトルとして完全に決定される した
がって これを外積の幾何学的定義として採ることもある
注意
のベクトル と の外積
の定義は
の標準基底
が負の基底となるような
の基底
の向き付けが与えられているとしても全く同様に行われることを注
意しておく
例
面体の体積は
の三つのベクトル
を 稜とする平行六
に等しい
証明 が 次従属のときは 平行六面体の体積は であ
る また
であるから,上の主張は正
しい したがって
が 次独立である場合を考えればよい こ
のとき
と のなす角を であるとすると
または
で 等式
が成り立つ
は定理
る平行四辺形の面積であり
体の高さに等しい ゆえに
は
を
によって
を 辺とす
はいま考えている平行六面
稜とする平行六面体の体積に等しい.
例
六面体の体積を
の三つのベクトル
であるとすると 等式
が成り立つ
証明 例
の
により
を 稜とする平行
ゆえに 等式
が成り立つことが証明される
問
例
問
定理
問
ラグランジュの公式を証明せよ.
問
ヤコビの恒等式を証明せよ.
を確かめよ
を証明せよ.
のベクトルの外積
次元ユークリッド空間
のベクトルのつくる 次元計量数ベク
トル空間
において 任意の
個のベクトル
に対し
の外積とよばれる第 番目のベクトルを
対応させる演算を定義し,外積の性質のいくつかを考察する ただ
し
とする
いま
において標準基底
が正の系で
あるような基底の向き付けが与えられているとする
定義
の
個のベクトル
に対し,
と表すとき,ベクトル
を
の外積であると定義し
と表す また これをベクトル積であるということもある
の外積の性質を次の定理
にまとめておく
定理
に対して 次の
次の等式が成り立つ
次の等式が成り立つ
と
が成り立つ
次の等式が成り立つ
が成り立つことと
が 次従属でであることは同値である
次の等式がなりたつ
ここで ベクトル
に対し,
と表す
証明 ベクトルの外積の定義より明らかである.
定理
が成り立つ
に対し 次の
次の関係式が成り立つ
次の不等式が成り立つ
特に 等号が成り立つのは
合に限る
が
次従属の場
次の等式が成り立つ
の張る平行多面体の体積
証明 等式
は定理
より明らかである なぜならば
が成り立つ
次の関係式が成り立つ
.
特に 等号が成り立つのは
このとき
は 次従属である
の証明より 等式
のときである
が成り立つことは明らかである.
後半の等式は定義式と思えばよい.
が 次独立であるとき
は 条件
を満たすから
の一つの基底となる さらに これは指定され
た
の基底の向き付けに関して正の系であることがわかる
ベクトル
の外積
は
の標準基底を一つ固定して定義された 実はこの定義は正の完全正
規直交系の採り方に依存しないことが示される なぜならば 次の
定理が成り立つからである
定理
の証明のために次の補題を用意する
補題
次の直交行列
とする このとき
を行列 の
の等式が成り立つ
補題
は
を満たす
余因数であるとすると 次
の証明 直交行列の定義より明らかである
定理
にはその標準基底
が
正の系となる向き付けが与えられているとする このとき
を
の任意の正の完全正規直交系であるとす
る
基底を から へ変換する直交行列を
とすると
である このとき 基底 と
に関するベクトル
の成分をそれぞれ
であるとする このとき
および
と表すとき 等式
が成り立つ.
証明 行列 が
である このとき 補題
になる直交行列であることは明らか
によって 等式
が成り立つ
このとき ベクトル
れる
したがって ベクトル
の成分は次のように変換される
成り立つ
の成分は次のように変換さ
の外積
に対し 次の等式が
ゆえに 式
が成り立つ
ゆえに ベクトル
の外積
は定義
によって 定理
を満たすベクトルとして完全に
決定される したがって これを外積の幾何学的定義として採るこ
ともある
注意
のベクトル
の外積
の定義は
の標準基底
が
負の基底となるような
の基底の向き付けが与えられていると
しても全く同様に行われることを注意しておく