物理学演習 IIB 問題 No.7 (物理数学 II) 2015 年 11 月 16 日 1. ルジャンドル陪関数 Pl m (x) と球面調和関数 Yl m (θ, ϕ) は, 1 1 dl+m (1 − x2 ) 2 m l+m (x2 − 1)l , l! dx √ 2l + 1 (l − m)! m Yl m (θ, ϕ) = (−1)m Pl (cos θ) eimϕ 4π (l + m)! Pl m (x) = 2l (1) (2) (l = 0, 1, 2, · · · ; m = −l, −l + 1, · · · , l − 1, l) によって定義される。 (a) l = 0, 1, 2 の場合の Plm (x) と Yl m (θ, ϕ) をすべて求めよ。 (b) ベクトル r = (x, y, z) の成分は, 極座標 (r, θ, ϕ) を使って, x = r sin θ cos ϕ, y = r sin θ sin ϕ, z = r cos θ (3) と表せる。x, y, z を, Ylm (θ, ϕ) (l = 1; m = −1, 0, 1) の線形結合として表せ。 [補足] 2 階のテンソル 1 Tij = ri rj − δij r2 3 (i, j = 1, 2, 3) (r1 = x, r2 = y, r3 = z, r2 = x2 + y 2 + z 2 ) は, Tij = Tji , ∑3 i=1 (4) Tii = 0 を満たすので, その独 立な成分は 5 個である。問 (b) のベクトルの場合と同様に, この 5 個の独立な成分を, Ylm (θ, ϕ) (l = 2; m = −2, −1, 0, 1, 2) の線形結合として表すことができる。 2. 球面調和関数の性質 Ylm (θ, ϕ)∗ = (−1)m Yl−m (θ, ϕ) Ylm (π − θ, ϕ + π) = (−1)l Ylm (θ, ϕ) (5) を証明せよ。 3. ルジャンドル陪関数の漸化式 [ ] √ d + mx Pl m (x) = (1 − x2 ) 1 − x2 Pl m+1 (x) dx [ ] √ d (1 − x2 ) − mx Pl m (x) = −(l + m)(l − m + 1) 1 − x2 Pl m−1 (x) dx (6) から, 微分方程式 [ (1 − x2 ) ] d2 d m2 − 2x + l(l + 1) − Pl m (x) = 0 dx2 dx 1 − x2 を導け。 1 (7) 4. ルジャンドル陪関数の漸化式 (6) を使って, 球面調和関数が漸化式 ( ) √ ∂ ∂ iϕ e + i cot θ Yl m (θ, ϕ) = (l − m)(l + m + 1) Yl m+1 (θ, ϕ) ∂θ ∂ϕ ( ) √ ∂ ∂ e−iϕ − + i cot θ Yl m (θ, ϕ) = (l + m)(l − m + 1) Yl m−1 (θ, ϕ) ∂θ ∂ϕ (8) を満たすことを示せ。また, ルジャンドル陪関数の微分方程式 (7) を使って, 球面調和関数が微 分方程式 [ ] ∂2 ∂ 1 ∂2 + cot θ + + l(l + 1) Ylm (θ, ϕ) = 0 ∂θ2 ∂θ sin2 θ ∂ϕ2 (9) を満たすことを示せ。 5. 量子力学における角運動量は, 演算子 L̂ = r̂ × p̂ = −iℏ r × ∇ で表される。その成分は, ( ) ( ) ( ) ∂ ∂ ∂ ∂ ∂ ∂ L̂x = −iℏ y −z , L̂y = −iℏ z −x , L̂z = −iℏ x −y (10) ∂z ∂y ∂x ∂z ∂y ∂x である。 (a) L̂± = L̂x ± iL̂y とおくとき, L̂+ , L̂− , L̂z を極座標 (r, θ, ϕ) を使って表わせ。 (b) 球面調和関数 Yl m (θ, ϕ) が L̂+ Yl m (θ, ϕ) = L̂− Yl m (θ, ϕ) = √ √ (l − m)(l + m + 1) ℏ Yl m+1 (θ, ϕ), (l + m)(l − m + 1) ℏ Yl m−1 (θ, ϕ), L̂z Yl m (θ, ϕ) = mℏ Yl m (θ, ϕ) (11) を満たすことを示せ。 2 6. (a) 量子力学における角運動量の大きさの 2 乗 L̂ = (L̂x )2 + (L̂y )2 + (L̂z )2 が, ) 1( L̂+ L̂− + L̂− L̂+ + (L̂z )2 2 (12) L̂ Yl m (θ, ϕ) = l(l + 1)ℏ2 Yl m (θ, ϕ) (13) 2 L̂ = と書けることを示せ。 (b) (11), (12) を使って, 2 が成り立つことを示せ。 2 [補足] 問題 5 (a) の結果を使って, L̂ の具体的な形を求めると, [ 2 ] 2 ∂ ∂ 1 ∂2 L̂ = −ℏ2 + cot θ + ∂θ2 ∂θ sin2 θ ∂ϕ2 (14) となり, (13) は (9) と同じ式である。また, 極座標で表したラプラシアン ∆ は, ∆= ∂2 2 ∂ 1 1 2 + − L̂ ∂r2 r ∂r r2 ℏ2 と書ける。 2 (15) 7. 3 次元球対称ポテンシャル中の量子力学的粒子を考える。束縛状態のエネルギー固有関数は, 3 次元極座標 (r, θ, ϕ) (0 ≤ r < ∞, 0 ≤ θ ≤ π, 0 ≤ ϕ < 2π) を使って, ψ(r) = R(r) Ylm (θ, ϕ) (16) と表すことができる。ここで, R(r) は動径座標 r を変数とするある関数であり, Ylm (θ, ϕ) (l = 0, 1, 2, · · · ; m = −l, −l + 1, · · · , l − 1, l) は角度座標 θ, ϕ を変数とする球面調和関数である。波 動関数 (16) に対する位置ベクトル r = (x, y, z) = (r sin θ cos ϕ, r sin θ sin ϕ, r cos θ) の期待値 ∫ ( 3 ) ⟨r⟩ = d3 r r |ψ(r)|2 d r = drdθdϕ r2 sin θ (17) を求めよ。ただし, ∫ a≡ ∞ 0 とおく。(ヒント:(5) の下の式を使え。) 3 dr r3 |R(r)|2 (18)
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