物理学演習 IIB 問題 No.7 (物理数学 II) 2014 年 12 月 1 日 1. ルジャンドル陪関数 Pl m (x) と球面調和関数 Yl m (θ, ϕ) は, 1 1 dl+m (1 − x2 ) 2 m l+m (x2 − 1)l , l! dx √ 2l + 1 (l − m)! m Pl (cos θ) eimϕ Yl m (θ, ϕ) = (−1)m 4π (l + m)! Pl m (x) = 2l (1) (2) (l = 0, 1, 2, · · · ; m = −l, −l + 1, · · · , l − 1, l) によって定義される。 (a) l = 0, 1 の場合の Plm (x) と Yl m (θ, ϕ) をすべて求めよ。 (b) 3 次元ベクトル r = (x, y, z) の成分は, 極座標 (r, θ, ϕ) を使って, x = r sin θ cos ϕ, y = r sin θ sin ϕ, z = r cos θ (3) と表せる。x, y, z を, 球面調和関数 Ylm (θ, ϕ) (l = 1; m = −1, 0, 1) の線形結合として 表せ。 2. 球面調和関数の性質 Ylm (θ, ϕ)∗ = (−1)m Yl−m (θ, ϕ) Ylm (π − θ, ϕ + π) = (−1)l Ylm (θ, ϕ) (4) を証明せよ。 3. ルジャンドル陪関数の漸化式 [ ] √ 2 d (1 − x ) 1 − x2 Pl m+1 (x) + mx Pl m (x) = dx [ ] √ 2 d (1 − x ) − mx Pl m (x) = −(l + m)(l − m + 1) 1 − x2 Pl m−1 (x) dx (5) から, 微分方程式 [ (1 − x2 ) ] d m2 d2 − 2x + l(l + 1) − Pl m (x) = 0 dx2 dx 1 − x2 (6) を導け。 4. ルジャンドル陪関数の漸化式 (5) を使って, 球面調和関数が漸化式 ( ) √ ∂ ∂ iϕ (l − m)(l + m + 1) Yl m+1 (θ, ϕ) e + i cot θ Yl m (θ, ϕ) = ∂θ ∂ϕ ( ) √ ∂ ∂ e−iϕ − + i cot θ Yl m (θ, ϕ) = (l + m)(l − m + 1) Yl m−1 (θ, ϕ) ∂θ ∂ϕ (7) を満たすことを示せ。また, ルジャンドル陪関数の微分方程式 (6) を使って, 球面調和関数が微 分方程式 [ ] ∂2 ∂ 1 ∂2 + cot θ + + l(l + 1) Ylm (θ, ϕ) = 0 ∂θ2 ∂θ sin2 θ ∂ϕ2 を満たすことを示せ。 1 (8) ˆ = rˆ × p ˆ = −iℏ r × ∇ で表される。その成分は, 5. 量子力学における角運動量は, 演算子 L ( ( ( ) ) ) ˆ x = −iℏ y ∂ − z ∂ , L ˆ y = −iℏ z ∂ − x ∂ , L ˆ z = −iℏ x ∂ − y ∂ L ∂z ∂y ∂x ∂z ∂y ∂x (9) である。 ˆ± = L ˆ x ± iL ˆ y とおくとき, L ˆ+, L ˆ−, L ˆ z を極座標 (r, θ, ϕ) を使って表わせ。 (a) L (b) 球面調和関数 Yl m (θ, ϕ) が ˆ + Yl m (θ, ϕ) = L ˆ − Yl m (θ, ϕ) = L √ √ (l − m)(l + m + 1) ℏ Yl m+1 (θ, ϕ), (l + m)(l − m + 1) ℏ Yl m−1 (θ, ϕ), ˆ z Yl m (θ, ϕ) = mℏ Yl m (θ, ϕ) L (10) を満たすことを示せ。 ˆ 2 = (L ˆ x )2 + (L ˆ y )2 + (L ˆ z ) 2 が, 6. (a) 量子力学における角運動量の大きさの 2 乗 L ( ) ˆ2 = 1 L ˆ+L ˆ− + L ˆ−L ˆ + + (L ˆ z )2 L 2 (11) と書けることを示せ。 (b) (11), (10) を使って, ˆ 2 Yl m (θ, ϕ) = l(l + 1)ℏ2 Yl m (θ, ϕ) L (12) が成り立つことを示せ。 [補足] ˆ 2 の具体的な形を求めると, 問題 6 (a) の結果を使って, L [ 2 ] 2 ∂ 1 ∂2 2 ∂ ˆ L = −ℏ + cot θ + ∂θ2 ∂θ sin2 θ ∂ϕ2 (13) となり, (12) は (8) と同じ式である。また, 極座標で表したラプラシアン ∆ は, ∆= ∂2 2 ∂ 1 1 ˆ2 + − L ∂r2 r ∂r r2 ℏ2 (14) と書ける。 7. 3 次元球対称ポテンシャル中の量子力学的粒子を考える。束縛状態のエネルギー固有関数は, 3 次元極座標 (r, θ, ϕ) (0 ≤ r < ∞, 0 ≤ θ ≤ π, 0 ≤ ϕ < 2π) を使って, ψ(r) = R(r) Ylm (θ, ϕ) (15) と表すことができる。ここで, R(r) は動径座標 r を変数とするある関数であり, Ylm (θ, ϕ) (l = 0, 1, 2, · · · ; m = −l, −l + 1, · · · , l − 1, l) は角度座標 θ, ϕ を変数とする球面調和関数である。波 動関数 (15) に対する位置ベクトル r = (x, y, z) = (r sin θ cos ϕ, r sin θ sin ϕ, r cos θ) の期待値 ∫ ( 3 ) ⟨r⟩ = d3 r r |ψ(r)|2 d r = drdθdϕ r2 sin θ (16) を求めよ。ただし, ∫ a≡ ∞ 0 とおく。 (ヒント:(4) の下の式を使え。) 2 dr r3 |R(r)|2 (17)
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