集中討論 2 アクロメガリーと薬物療法 S2-3 直腸癌術後、薬物療法でのIGF-Iコントロールに難渋している 先端巨大症の一例 二川原 健、崎原 哲、照井 健、川嶋 詳子、田辺 壽太郎、松橋 有紀、山下 真紀、近澤 真司、 須田 俊宏 弘前大学医学部附属病院 内分泌代謝感染症内科 症例は39歳、男性。31歳時先端巨大症が判明し、地元の中核病院で経蝶形骨洞手術を施行され た。33歳時γ-knife照射、bromocriptine内服開始。36歳時不妊を主訴に当院泌尿器科を受診したと ころhypogonadotropic hypogonadismを指摘され、当科紹介。IGF-I 656ng/ml(年齢基準値97-272)。 75gOGTTで のGH底 値6.02ng/ml。GH奇 異 反 応 はTRH試 験 で 陽 性、LHRH試 験 で 陰 性。Octreotide 100μg単回皮下注後GHが5.91→1.04ng/mlと反応良好。治療としてこの徐放剤(LAR)を勧めたが、経 済的に困難とのことでcabergoline(Cab)内服が選択された。Testosterone 41ng/ml。Hydrocortisoneお よびlevothyroxineの補充に加えhCG + rFSH療法が開始された。9ヶ月後妻の自然妊娠が判明し、37週 で健常児分娩。しかし本人のIGF-IはCab 2mg/日にしても500-600ng/mlとコントロール不良であった。 38歳時下血を契機に直腸癌が判明し、当院外科にて低位前方切除術を施行。T2N1M0でtegafur-uracil 内服による化学療法が導入された。再度病状説明の上39歳時LAR 20mg/月を開始した。30mg/月に 増量後もIGF-Iは500ng/ml前後に留まったため、LAR開始6 ヶ月後にpegvisomant(Peg)10mg週2回注 射を追加した。その2 ヶ月後IGF-Iは375.8ng/ml まで低下したが、GPT 74 U/lと肝障害が出現。翌月 には373 U/lまで悪化しており、LARを残してPegを中止した。以上、直腸癌の再発予防のためにも厳 格なIGF-Iのコントロールが必要不可欠と考えられる症例であるが、薬物療法に難渋している。今後 LAR 40mg/月の投与を検討している。経過を含めて報告する。 84
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