ノバルティス ファーマ株式会社 〒106-8618 東京都港区西麻布4-17-30 http://www.novartis.co.jp/ MEDIA RELEASE • COMMUNIQUE AUX MEDIA • MEDIENMITTEILUNG 2014年12月26日 報道関係各位 ノバルティス ファーマ株式会社 この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2014年12月16日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳 (要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については英語が優先されます。 英語版はhttp://www.novartis.comをご参照ください。 SOM230 LAR、希少で生命予後に影響を与える内分泌疾患である 先端巨大症の治療薬としてFDAで承認取得 • 先端巨大症は、成長ホルモン(GH)とインスリン様成長因子 1(IGF-1)の過剰分 泌に起因する内分泌疾患 1 • 次世代ソマトスタチンアナログ(SSA)である SOM230 は、GH/IGF-1 のコントロー ルが不十分な先端巨大症の患者さんに対する新しい治療選択肢 2 • SOM230 LAR は、薬物治療未経験の患者さんおよび標準治療でコントロール不十分 な患者さんを対象とした 2 つの第 III 相臨床試験で示された有効性に基づき承認され た2 2014年12月16日、スイス・バーゼル発― ノバルティスは本日、米国食品医薬品局(FDA) が、手術で十分な治療効果が得られない、もしくは手術が適応とならない先端巨大症の患 者さんの治療薬として、SOM230(一般名:pasireotide)の筋肉内注射用懸濁液の長時間 作用型徐放性製剤(LAR)を承認したことを発表しました。次世代SSAであるSOM230 LAR の承認によって、先端巨大症の患者さんの重要なアンメットニーズへの対応が可能になり ます。SOM230 LARは、手術歴があるかまたは手術が適応とならない薬物治療未経験の先 端巨大症の患者さん、および第一世代SSAでコントロールが不十分な患者さんに対し、有 効性が試験で示されました2。 先端巨大症は、GHおよびIGF-11,3が体内で過剰に分泌されることで生じる希少な内分泌疾 患です。先端巨大症の多くは、脳下垂体に発生する良性腫瘍に起因しています。長期にわ たりGHとIGF-1が過剰に分泌された状態のままであった場合、手、足、顔貌の変化など、 極端な身体的変化が生じる可能性があります1。先端巨大症患者さんでは、死亡率が一般人 よりも2~3倍高く、心疾患、高血圧、糖尿病、関節炎、大腸がんなど重度の合併症を招く 恐れがあります1,4,5。実際、先端巨大症患者さんの死亡の約60%は心疾患が原因です6。 「先端巨大症の治療は極めて難しく、ホルモン値を適切に正常化できなければ患者さんに とって重篤な事態を招きかねません」とリオデジャネイロ連邦大学教授であり、試験論文 の執筆者であるモニカ・ガデルハ(Monica Gadelha, professor, Federal University of Rio de Janeiro)医師は述べています。「SOM230 LARの承認により、医師は、上昇したホルモン 値を抑制する作用機序を有する新しい先端巨大症の治療法を手にすることができました。 これは大きな成果であり、先端巨大症の患者さんにとっても朗報です」 先端巨大症の有病率は世界中で人口100万人当たり60人、年間発生率は100万人当たり3~ 4人と推定されていますが1、最近の研究によると、下垂体腺腫の有病率は以前に考えられ ていたよりも高い可能性があり、先端巨大症の有病率は100万人当たり115人から295人と 1/5 考えられています3。発症から診断までには平均で6~10年かかるとされています7。先端巨 大症と診断された場合、生化学的コントロールを達成すること、すなわちGHを下げIGF-1 値を正常化することがこの疾患の主な治療目標となります8。より高感度な測定法と厳格な 評価基準を用いた最近のメタ解析では、先端巨大症の患者さんの45%が、推奨されるGH 値または正常なIGF-1値を達成できていないことが示されています9。この他、腫瘍サイズ の縮小と臨床症状の軽減も重要な治療目標です8。 FDAの承認は、C2305とC2402という2つの多施設共同第III相臨床試験のデータに基づいて います。これらの試験では、以前に手術を受けた患者さんや手術が適応とならない患者さ んを含む薬物治療未経験の患者さん、および第一世代SSAでは先端巨大症を十分にコント ロールできない患者さんについて評価が行われました。いずれの臨床試験においても、完 全な生化学的コントロール(平均GH値が2.5µg/L以下で、IGF-1値が正常化している状態と 定義)を達成した患者さんの割合は、第一世代SSAと比べてSOM230 LARで高いことが示 されました2。 「先端巨大症治療薬としてのSOM230 LARのFDAによる承認は、医師や難治性の下垂体疾 患を有する患者さんにとって重要な意味を持つとともに、患者さんの希少疾患の管理に対 する私たちの継続的なコミットメントを示しています」 と、 ノバルティス オンコロジー プ レジデントのブルーノ・ストリギニ(Bruno Strigini)は述べています。「私たちは、深刻 な影響をもたらすコントロール不十分な先端巨大症に対し、新しい治療選択肢を提供でき ることをうれしく思うとともに、近い将来、この治療を必要としている世界中の患者さん にお届けできることを願っています」 月1回の筋肉内注射によるSOM230 LARは、ソマトスタチン受容体(SSTR)と結合するこ とで薬理活性を生じるSSAです。SOM230 LARは、GHおよびIGH-1の分泌阻害に関連する 受容体サブタイプであるSSTR2とSSTR5の両方を活性化させる可能性があることから、現 在先端巨大症に対して使用されている他のSSAと比べて、より有効な治療となります2。 米国では、SOM230 LARは先端巨大症を対象にオーファンドラッグとして指定されていま す。オーファンドラッグは、米国では患者さんの数が20万人未満の疾患の治療薬に対して 指定されます10,11。2014年11月、欧州医薬品庁(EMA)は、手術が適応とならない、もし くは手術で根治不能で、第一世代SSAによる治療では適切に管理できない先端巨大症の成 人患者さんの治療薬として、SOM230を承認しました。その他の各国においても現在、 SOM230 LARの承認審査が世界各国の規制当局で進行中です。 C2305試験について C2305試験は、手術で根治不能か、手術が適応とならない患者さんを含む薬物治療未経験 で活動性の先端巨大症患者さんを対象とする多施設共同、無作為化、二重盲検試験です。 患者さんは、SOM230 LAR投与群(開始用量40mg、60mgまで漸増する可能性あり)また は実薬対照群のどちらかに無作為化割り付けされました2。 本試験では12カ月時点におけるGHおよびIGF-1値の生化学的コントロールを達成した患 者さんの割合がエンドポイントとして設定され、有効性が示されました。具体的には、 SOM230 LAR投与群で31.3%、実薬対照群で19.2%の患者さんが生化学的コントロールを 達成しました(P<0.01)。本試験では、SOM230 LAR投与群の患者さんの30.1%で早期に (3カ月目)生化学的コントロールが達成されました2。 12カ月時点の磁気共鳴画像法(MRI)による評価では、SOM230 LARの治療を受けた患者 さんの98%で、試験開始時点と比べて腫瘍サイズが減少したか、または変化がありません でした。加えてリングサイズおよび先端巨大症の症状スコア(頭痛、疲労、発汗、感覚異 常または四肢の打診痛知覚、および骨関節痛または関節痛)も追跡調査されました。12カ 2/5 月時点では、治療開始時点と比べ、リングサイズおよび症状重症度スコアの減少が両方の 治療群で認められました2。 実薬対照群と比べて、SOM230 LAR群で最も多く観察された有害事象(AE)は、下痢(39% vs. 45%)、胆石症(26% vs. 36%)高血糖(29% vs. 8%)糖尿病(26% vs. 4%)でし た2。 C2402試験について C2402試験は、疾患コントロールが不十分な先端巨大症の患者さん198人を対象に、二重 盲検下のSOM230 LAR(40mgあるいは60mg)の有効性・安全性を、試験組み入れ前から 投与されていたSSAを継続して非盲検下で最大投与量または最大投与量に近い用量を投与 した場合と比較した無作為化試験です。GHの平均値が2.5 µg/L以上、かつ性別および年齢 調整後のIGF-1値が正常上限値の1.3倍以上を疾患コントロール不良と定義しました2。 6カ月時点の生化学的コントロール(GH値およびIGF-1値の抑制と定義)を達成した患者 さんの割合がエンドポイントとして設定され、SOM230 LAR 40mgまたは60mgとSSA継続 療法との比較において、有効性がSOM230 LARの両投与群において示されました。具体的 には、SOM230 LAR 40mgおよび60mgで治療を受けた患者さんのそれぞれ15.4%と20.0% が、6カ月時点でGHおよびIGF-1値の生化学的コントロールを達成したのに対し、SSA継続 投与療法群では0%でした。また、3カ月時点においてもSOM230 LAR 40mgおよび60mg 投与群の15.4%と18.5%で生化学的コントロールを達成しました2。 6カ月時点のMRIによる評価で、SOM230 LAR 40mgおよび60mgで治療を受けた患者さん のそれぞれ81%と70%では、試験開始時と比較して腫瘍サイズが減少したか、または変化 がありませんでした2。 SOM230 LAR 40mg、60mgおよびSSA継続療法群で最も多く観察された有害事象は、高血 糖(各々33%、30%、14%)と糖尿病(21%、31%、9%)でした2。 SOM230 LARについて SOM230(一般名:pasireotide)の筋肉内注射用懸濁剤・長時間作用型徐放性製剤(LAR) は、現在、手術で根治が不能、もしくは手術が適応とならない先端巨大症の患者さんの治 療薬として米国食品医薬品局(FDA)で承認されています。 先端巨大症の患者さんにおけるSOM230 LARの安全性と有効性プロファイルは、現在、米 国またはEU以外の国々では確立されていません。臨床試験の不確実性などを含むさまざま な理由から、SOM230 LARが世界中のすべての国において、先端巨大症の適応症で発売さ れるという保証はありません。 日本では、現在、クッシング病を対象に第III相臨床試験、先端巨大症を対象に第II相臨床 試験を実施しています。 医療従事者の皆様は、ノバルティスのpasireotideに関する臨床試験情報を www.clinicaltrials.gov.で入手できます。 SOM230 LARについての重要な安全性情報 SOM230 LARは高血糖などの重篤な副作用を引き起こすことがあります。多渇、多尿、体 重減少を伴う食欲増大、疲労といった徴候および症状が発症した患者さんはすぐに担当医 に報告する必要があります。患者さんは血糖値を測定することが求められ、必要に応じて 血糖値を下げる薬を投与されることもあります。 SOM230 LARは、徐脈や、心臓の電気システムに問題を生じさせることがあります。これ らの徴候である可能性があるため、脱力、めまい、または失神を発症した患者さんはすぐ 3/5 に担当医に報告してください。SOM230 LAR治療の開始前と治療期間中は心電図(ECG) 検査を行ってください。 SOM230 LARは肝機能に影響する場合があるため、治療中は患者さんの肝機能を定期的に 観察してください。 SOM230 LARは患者さんの胆嚢に影響を与える場合があります。定期的に胆嚢の検査を行 ってください。 下垂体ホルモンに影響を与える場合があります。SOM230 LARによる治療中は下垂体ホル モン(例えば、甲状腺、副腎、性腺)の観察が必要な場合があります。また、副腎不全に 関連した症状を引き起こすことがあります。 SOM230 LARの副作用には、下痢、胆石、高血糖、糖尿病などがあります。 SOM230 LARはある種の薬剤と相互作用する場合があるため、患者さんはすべての薬物治 療について担当医に報告する必要があります。SOM230 LARと相互作用する可能性のある 薬剤には、心拍をコントロールする薬剤(抗不整脈薬)、心臓の電気システムに影響を与 える薬剤、血圧をコントロールする薬剤(ベータ・ブロッカーまたはカルシウムチャネル 遮断薬)、血中の電解質値をコントロールする薬剤、シクロスポリン(Gengraf®, Neoral®, Restasis®, Sandimmune®)、およびブロモクリプチン(Cycloset®, Parlodel®)などがありま す。 SOM230 LARに関する情報は添付文書全文をご覧ください。 上記記載のブランドは、それぞれの所有者の商標または登録商標であり、ノバルティス社 の商標または登録商標ではありません。 参考文献 1. Acromegaly. National Institutes of Health. National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. 2008 May; 8(3924): 1-10. 2. Signifor® LAR Prescribing Information. East Hanover, New Jersey, USA: Novartis Pharmaceuticals Corporation; December 2014. 3. Rosario P.W. Frequency of Acromegaly in Adults with Diabetes or Glucose Intolerance and Estimated Prevalence in the General Population. Pituitary. 2011; 14: 217-221. 4. Holdaway I.M. et al. Factors Influencing Mortality in Acromegaly. J Clin Endocrin Metab. 2004; 89(2): 667-674. 5. Holdaway I.M. et al. A Meta-Analysis of the Effect of Lowering Serum Levels of GH and IGF-1 on Mortality in Acromegaly. European Journal of Endocrinology. 2009; 159: 89-95. 6. Colao, et. al. Systemic Complications of Acromegaly: Epidemiology, Pathogenesis, and Management. Endocrine Reviews. 2004; 25:102-152. 7. Schneider H et al. A Novel Approach to the Detection of Acromegaly: Accuracy of Diagnosis by Automatic Face Classification. 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FDA Website. “Pasireotide Orphan Designation.” Available at: http://www.accessdata.fda.gov/scripts/opdlisting/oopd/OOPD_Results_2.cfm?Index_Number=288609 Accessed December 2014. 免責事項 本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その 内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどに 4/5 より、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳細につきましては、 ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。 ノバルティスについて ノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。革新的な新薬、アイケア(眼 科用医療機器、コンタクトレンズなど)、高品質かつ安価なジェネリック医薬品、予防の ためのワクチン、OTC医薬品、動物用医薬品など、幅広い分野の製品を提供しています。 ノバルティス グループ全体の2013年の売上高は579億米ドル、研究開発費は99億米ドル (減損・償却費用を除くと96億米ドル)でした。スイス・バーゼル市に本拠を置くノバル ティスは、約133,000人の社員を擁しており、世界150カ国以上で製品が販売されています。 詳細はホームページをご覧ください。http://www.novartis.com/ 以上 5/5
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