棒の影とピンホールによる 太陽像の位置の観測から 均時差の原因を探る 長野県塩尻市立丘中学校 竹村 渡村 科学部 典晃 友哉 記録面にできた5分ごとの太陽像の位置 ・影の軌跡が夏と冬 で逆向きになる。 ・春分、秋分の日は 軌跡が東西の直線 になる。 ・正午の太陽像の位 置を結んでも直線 にならず、8の字 を描く。 黒の曲線は正午の観測点を結んだもの 原点(ピンホールの真下の点)と 一日の太陽像の軌跡を用いた子午線の求め方 南中時刻の変化 南中時刻が変化している(均時差)。 青い点:棒の影を利用した観測 赤い点:ピンホールによる太陽像を利用した観測 なぜ南中時刻は変化するのか? 南中時刻が変化する原因を考える 仮説1 地軸が公転面に対し23.4° 傾いていることが原因である ←仮説を元にモデルを作った。 南中時刻が変化する原因を考える 仮説1 地軸が公転面に対し23.4° 傾いていることが原因である ←仮説を元にモデルを作った。 地軸が傾いている場合は、 「差」ができ、この差が均時差 であると考えられる。 地軸の傾きによる南中時刻の変化 地球を天の北極方向から見たところ 𝑎: 𝑏 = 𝑐: 𝑑 = 1: cos23.4○ 𝑏 = 𝑎 ⋅ cos23.4○ 𝑏 = cos𝜃 ⋅ cos23.4○ 均時差= 𝜑 − 𝜃 −1 𝜑 = tan sin𝜃 cos23.4○ ⋅ cos𝜃 (θは地軸が傾いていない場合の南中する方向 φは地軸が傾いているため、実際に南中する方向) 地軸の傾きによる南中時刻の変化 モデルを元に作成した均時差のグラフ 仮説と観測の比較 地軸による均時差と観測の結果のグラフでは、 振幅の大きさが異なっている。 - = 青い点は装置1 赤い点は装置2 公転による均時差 仮説2 太陽が地球の公転軌道の中心から ずれていることが原因である 太陽と地球の距離が近ければ 視直径が大きく、遠ければ小さくなる。 赤道からの角距離と日周運動 ← 遅い ← 速い ← 天の赤道 (春分、秋分) 正確に南中高度を求める 圭表儀 江戸時代頃まで、 暦を作るために大 切な、夏至・冬 至・春分・秋分 (二至二分)を観 測から求めるため に使われた。 圭表で「南中高度」を正確に求める 公転による均時差 太陽を望遠鏡で投影板に投影し、通過時間を計る方法で 視直径観測を行った。 視直径が変化しているので、 太陽が地球の公転軌道の中心 にないと考えられる。 視半径(秒角)= 𝑡 ⋅ cos 𝜃 − 90○ − 𝐿 × 7.5 t:太陽の通過時間 θ:南中高度 L:観測地点の緯度 太陽が地球の公転軌道の半径の0.031倍ずれて いるとした場合の均時差 均時差= 𝜑 − 𝜃 𝜑 = tan−1 sin𝜃 cos𝜃 − 0.031 (θは太陽が中心にある場合の南中する方向 φは実際の南中する方向) 公転による均時差 モデルを元にして算出したグラフ 変化が遅い 変化が速い 圭表で観測した南中高度の変化 公転速度の変化 太陽と地球の距離が 近いと速くなり、 遠いと遅くなる 仮説3 距離と速度は反比例 (である可能性) 公転速度の変化 反比例の式 𝑎 𝑦= 𝑥 𝑥𝑦 = 𝑎 x:太陽・地球間の距離 y:公転速度 定数aは図における 扇形の面積の2倍 地球と太陽が一定時間 あたりに描く面積は 一定になると考えられる。 公転による均時差 地球の公転軌道の半径を1としたとき、 E :公転による均時差 e :地球の公転軌道の中心と太陽の距離 θ:近日点と、公転速度が一定の時の任意の日の地球の位置との間の角 ′ θ:近日点と、面積速度が一定の時の任意の日の地球の位置との間の角 S :近日点を基準とした、太陽と地球の公転軌道が描く扇形の面積 d :近日点からの日数 𝑆= 𝜃′ − 𝑒sin𝜃′ 𝜋 = 𝑑 2 365 θ′が0.01°ごとのSの値の表を 作り、θ′の値を求める。 𝐻= tan−1 sin𝜃′ − 𝜃′ cos𝜃′ − 𝑒 𝐸 = 𝐻 + 𝜃 − 𝜃′ となる。 観測と計算(モデル)の比較 ・公転速度一定 ・太陽は地球軌道の中心から軌道半径の0.031倍だけずれている 観測と計算(モデル)の比較 ・太陽・地球間の距離と速度は反比例する ・太陽は地球軌道の中心から軌道半径の0.016倍だけずれている まとめ 1.太陽の影の軌跡の形が夏と冬で逆向きになり 春分と秋分の日の軌跡の形は直線になる。 2.南中時刻は季節によって変化する(均時差) 3.均時差の原因は3つある。 ①地軸の傾き ②太陽が地球の公転軌道の中心からずれてい る(地球の公転軌道半径の0.016倍) ③地球の公転速度は地球・太陽間の距離に 反比例する ある時間間隔で、太陽と地球を結んだ線分と、 地球の公転軌道が描く扇形の面積は一定になる。 (ケプラーの第二法則) 今後の課題 今まで考えていた仮定は3つあった。 ①地球の公転軌道は円軌道である。 ②地球の公転速度は一定である。 ③太陽は円軌道の中心にある。 しかし、②、③は正しくないことが分かったので、 これからも観測を続け、①が正しいのか調べていきた い。 ありがとうございました。
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