数学 4 A ノート 1 2015 年 4 月 8 日 Masato Kurihara 1. (n 次元ベクトルと行列の積) n 次元実ベクトル全体を Rn と書く x1 x2 Rn = { ... | x1 ,...,xn は実数 }. ... xn a11 a12 ..... a1n a21 a22 ..... a2n に対して、 n 次行列 A = ... ..... ... ... an1 an2 ..... ann x1 a11 x1 + a12 x2 + ... + a1n xn x2 a21 x1 + a22 x2 + ... + a2n xn A = ... ... xn an1 x1 + an2 x2 + ... + ann xn と行列とベクトルの積を定義する. 2. (線型写像と一次変換) 写像 (関数) f : Rn −→ Rn が すべての x, y ∈ Rn について f (x + y) = f (x) + f (y) すべての x ∈ Rn , 実数 c について f (cx) = cf (x) をみたすとき、f は線型写像である、または Rn の一次変換である、と 言う. 定理. f を Rn の一次変換とするとき、n 次行列 A が存在して、 f (x) = Ax と書くことができる. このとき、A を f に対応する行列とよぶ. 1 3. (行列の積と写像の合成) A, B を n 次の行列とし、fA (x) = Ax, fB (x) = Bx と一次変換 fA , fB を定義する. 定理. 写像の合成 fA ◦ fB は一次変換である. この一次変換に対応する 行列は、行列の積 AB である. 0 0 1 1 ... 0 , e = 0 ,..., en = というのは、e1 = 0 ... 2 ... 1 0 0 fB (e1 ) = b1 ,...,fB (en ) = bn とおくと、B = (b1 ...bn ) であり、 とおき、 (fA ◦ fB )(ei ) = fA (fB (ei )) = fA (bi ) となっている. 一方、AB = (Ab1 ...Abn ) であり、fAB (ei ) = Abi = fA (bi ) = (fA ◦ fB )(ei ) となる. fAB を AB に対応する一次変換とすると、以上により、 fAB = fA ◦ fB がわかる. このように、もともと行列の積というものは、写像の合成と対応するよ うに定義されているのである. 4. (結合法則) 上の 3 を使うと、n 次行列 A, B, C に対して、結合法則 (AB)C = A(BC) がすぐに確かめられる. というのは、写像の合成 には結合法則が成立するので、(fA ◦ fB ) ◦ fC = fA ◦ (fB ◦ fC ) は直 ちにわかるからである. 上の写像の合成に対応する行列を考えれば、 (AB)C = A(BC) がわかる. —————————————- ( 問題 1. A, B を 2 次行列とする. A+B = 3 3 −1 0 ) ( , A−B = −1 −3 1 −2 ) のとき、A2 − B 2 を計算せよ. 問題 2. 28 ページ問 2.1.5 を解け. ( ) 2 1 とするとき、正の整数 n に対して、An を計算せよ. 問題 3. A = 0 2 ( ) a b 問題 4. A = (ad − bc ̸= 0) とするとき、A に対応する一次変換 c d により、 直線は必ず直線に移されることを証明せよ. 問題 5. e1 ,...,en を上の通りとする. Rn から Rn への一次変換 f を f (e1 ) = e2 , f (e2 ) = e3 ,..., f (en−1 ) = en , f (en ) = e1 となるように定める. f に対応する行列 A を求めよ (f = fA となる行列 A を求めよ). 提出 以上の問題を解いて、4 月 15 日のこの授業のときに提出すること (A4 レポート用紙に名前、学籍番号、語学の組 を書いて提出すること) 2
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