授業科目名

授業科目名
ロボティクス
英訳
Robotics
担当者氏名
配当学年
修士
単位数
2
開講期
後期
曜時限
松野文俊
月2
授業形態
講義
[授業の概要・目的]
生物は巧みな技を持っている。この地球という重力場で自然淘汰されて、現在生き残っている生物は
それぞれの個体に合った巧みな運動を獲得しているはずであり、その根源を力学系として理解するこ
とで運動知能を説明することができる。本講義では、生物や人間がもっている運動知能を力学と制御
の観点から理解することを目的とする。具体的には、まず、人間のダイナミクスを含む一般的な剛体
多体系の動力学モデルの導出について説明する。次に、得られた剛体多体系のモデルに典型的な非線
形制御理論を適用した場合に得られる、非線形制御系の問題点について説明する。そして、その問題
点がシステムのもつ力学的特徴を無視していることに起因することを説明する。最後に、重力場で運
動する剛体多体系のもつ力学的特徴をエネルギーに着目して導出し、その力学的本質を突いた設計を
行えば、非常にシンプルでロバストな制御系が導出できることを説明する。システムのエネルギー構
造をデザインすることが運動知能の本質であることを説明する。
[授業計画と内容]
本講義の概要を説明する.制御のルーツであるサイバネティクスや
ロボティクスの歴史を概観し,本講義の目的が「生物の運動知能の
1. 導入 (1 回)
力学的理解とエネルギー構造に着目した制御系のデザイン」にある
ことを明確にする.
物体の位置と姿勢の表現、関節変数と手先位置の関係、リンクパラ
メータといった運動学の基礎知識を説明する。関節変数と手先座標
2. 運動学 (4 回)
の幾何学的関係である運動学について説明し、逆運動学についても
解説する
関節速度と手先速度を関係づけるヤコビ行列について説明し、冗長
システムの解析手法について説明する。また、手先力と関節トルク
3. ヤコビ行列(2 回)
力の静力学的な関係がヤコビ行列を用いて表現できることを説明
する.
動力学の定式化手法としてラグランジュの運動方程式とニュート
4. 動力学(3 回)
ン・オイラー法を説明する。
非線形制御理論に基づいた厳密な線形化手法に関して説明し、それ
を剛体多体系に適用した場合の制御系設計について述べる。リアプ
ノフの定理やラサールの定理などの非線形制御について説明する。
物理系にとって最も本質的であるエネルギーに着目し、システムの
5. 制御系設計(4 回)
持つ力学的な構造を明らかにする。システムのエネルギー構造をデ
ザインすることにより、システムの力学的本質を捉えた設計を行う
ことが可能となり、非常にシンプルでロバストな制御系が導出でき
ることを説明する。
学習した内容を評価し、理解度を計る。
6. 学習達成度の評価(1 回)
[履修要件]
特になし。(力学の基礎、線形代数、解析などの数学の基礎的知識は前提とする。)
[成績評価の方法・基準]
レポート課題と定期試験の成績
[教科書]
特になし。
[参考書等]
「ロボット制御基礎論」
,コロナ社,吉川恒夫著、「ロボットの力学と制御」,朝倉書店,有本卓著
[その他(授業外学習の指示・オフィスアワー等)]
特になし。