IETCmonthly report

IETC monthly report
International Environmental Technology Centre
2015 年 9 月
ISWA 世界総会で世界廃棄物管理概況 2015 を公表
世界の廃棄物管理に関する初の報告書である世界廃
棄 物 管 理 概 況 (Global Waste Management
Outlook:GWMO)が、ベルギーのアントワープで開催さ
れた国際廃棄物協会(ISWA)世界総会2015期間中の9月7
日に公表されました。これはISWAとUNEP IETCの共著
によるもので、21世紀の世界各地における廃棄物管理
現況について包括的に概括した初めての報告書です。
現状を記したタイムリーかつ意義のある内容で、政策
立案者や国際社会による対策の必要性を訴えています。
出展:UNEP IETC / カルピンテロ
報告書では、毎年70~100億トンの都市廃棄物が発生
し、世界で30億人が適切な廃棄物処理サービスを受けていない状況にあるとしています。また不十分な
廃棄物管理が、公衆衛生、経済、環境の重大な問題になっていると指摘し、迅速な対策を求めています。
アヒム・シュタイナーUNEP事務局長は、「世界に広まりつつある廃棄物問題への早急な対応は、公衆
衛生や環境にとって必要であるのみならず、経済的に効果的な投資でもあります。対策を講じない国は、
適切な廃棄物管理への投資の5~10倍の出費を強いられます。国が3R、すなわち廃棄物の発生抑制、再
利用、リサイクルへの体系的な取組を強化することで、廃棄物問題を各国経済活動の資源へと変えるこ
とができます。当報告書では、温室効果ガスの大幅削減、数百万単位の環境関連雇用創出、数千億ドル
規模の経済効果創出を実現し得る世界廃棄物管理目標を提唱しています。これらの目標を達成すること
は、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)の達成に向けて大きく前進することにもな
ります」と述べました。
報告書では、廃棄物の収集や処理方法の迅速な改善要請、廃棄物の発生抑制、資源の再利用およびリ
サイクルの最大化など、廃棄物問題に関し世界が統合して取り組むべき解決策を提示しています。また
原材料のライフサイクルに関し、「採取-製造-使用-廃棄」という直線型の経済活動から、「廃棄物
の発生抑制-再利用-リサイクル」という循環型の活動へと大きく転換するよう求めています。
デヴィッド・ニューマン ISWA 会長は「この初の世界的な廃棄物報告書はまさに、ISWA と UNEP の専門
家が 2 年を費やし完成させた画期的な成果です」とし、「世界廃棄物管理概況は、廃棄物管理産業界の
今後十年のあり方を規定するとともに、我々の環境にいまだ投棄されている数十億トンの廃棄物の処理
を、世界規模で加速させるための投資を早急に実施するよう訴えています」と述べました。
オヨーン・サンジャスレン国連環境総会(UNEA)議長は「我々の技術力を結集すれば、世界の廃棄物問
題を解決することができます。それにもかかわらず、驚くべきことに世界で 30 億人が適切な廃棄物処
理サービスを受けていない状況にあり、結果、道路に廃棄物がまき散らされ、深刻な環境問題や健康被
害を引き起こしています」と述べました。また同氏は、「廃棄物の最小化とリサイクルを奨励する促進
政策や有効な制度を各国が実施して初めて、この状況を変えることができます。廃棄物を大量に排出す
る事業者は、自社製品のライフサイクル全体の管理に一層積極的に関与すべきです。開発途上国が有害
物質の廃棄の温床とならないようにするためには、国際協力が不可欠です」と付け加えました。
GWMO では、持続可能な開発のための 2030 アジェンダ (2030 Agenda for Sustainable Development)
に含められる世界廃棄物管理目標を定めています。また、これら目標達成に向けて邁進することが、新
たに定めた持続可能な開発目標の半数以上を達成することに必ずつながるとし、世界がなすべき 10 の
対策を列記しています。
報告書全文は http://unep.org/ietc/ourwork/wastemanagement/GWMOにてご覧いただけます。
IETC
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2015 年 9 月
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進捗状況: ネパール地震の災害廃棄物
JICA 研修
ネパール政府は6月上旬 にUNEPに書簡を送付
し、地震により悪化の一途をたどる廃棄物管理の
課題に関し、これまでうまく機能してこなかった
同国公共部門への援助を要請しました。この要請
に応えるべく、IETCは日本政府の支援のもと、6
月下旬にカトマンズで第1回目のワークショップ
を開催し、関係者全員で協働して同国の廃棄物管
理を見直しました。その結果、30以上の様々な政
府機関の協力を得て、検討調査を実施しました。
本多俊一 IETC 企画官は、国際協力機構
(JICA)研修に招聘され、2015 年 9 月 25 日
7月下旬、日本政府とIETCは技術現地調査を実
施しました。当ミッションの結果は、ネパール政
府主催のワークショップにて共有されました。
IETCは、8月25日から27日にかけて廃棄物に関
する各国の法令上の枠組策定を支援するワークシ
ョップを開催しました。ネパールから参加した当
局者およびプロジェクトチームは、災害廃棄物の
管理政策案を討議し、専門家のフィードバックを
受けました。
ネパール政府は、10 月 29 日と 30 日に全国規模
のワークショップを開催し、災害廃棄物に加え、
持続可能な廃棄物管理のための長期的な能力構築
に向けた話し合いを行う予定です。
出展:GEC
に水銀廃棄物管理に関する講義を行いまし
た。アルゼンチン、ボリビア、キューバ、
エクアドル、パラグアイ、ペルー、ウルグ
アイから 22 人が来阪し、鉱業や製造業が引
き起こす廃水汚染への規制を学ぶ 1 か月の
コースに参加しました。参加者は自国の水
銀汚染を説明し、水銀問題に関する世界お
よび地域レベルの課題を整理しました。
大阪 ECO 縁日 2015
レバノン: ごみの危機的状況
レバノン政府はベイルートで発生している「ご
みの危機的状況」に対処すべく、UNEPに当政府へ
の援助を要請しました。ベイルートで続く「おま
え は 臭 い (you stink) 」 と 称 す る 抗 議 運 動 に よ
り、この危機的状況への注目が集まっています。
ごみの危機的状況は、ナーメにあるレバノン最大
のごみ処理場が7月に閉鎖したことに端を発し、
その後ごみは道路に残されたままになっていま
す。
IETC は、UNEP 西アジア地域事務局が 10 月 19
日から 21 日にかけて行う第 1 回ミッションへの
技術支援を行う予定です。また、この危機現状の
迅速なアセスメントを実施すると共に、ごみの危
機的状況の管理方法を提案し、今後レバノンが同
様の危機的状況に陥らないための廃棄物管理戦略
を策定する予定です。
2015 年 9 月 22 日、大阪市環境局は大阪
市鶴見緑地公園で「ECO 縁日 (エコロジー
見本市)」 を開催しました。エコライフ、
エネルギー、ネイチャー、エコ屋台マルシ
ェの 4 つのエリアにて、大阪市、地元企
業、NGO、ボランティア団体が参加・体験型
イベントを提供し、エコロジーへの関心を
高 め ま し た 。 IETC と 地 球 環 境 セ ン タ ー
(GEC)が共同出展したブースではクイズを出
題し、IETC のミッションに加え、全体論的
な廃棄物管理のための環境上適正な技術に
関し、IETC が世界各地で展開している活動
を来場者に伝えました。
国際環境技術センター(IETC)は、国連環境計画 (UNEP)技術・産業・経済局(DTIE)の一部門です。IETC は主に、開発途上国と移行期の国
における環境上適正な技術(EST)の普及促進に取り組んでいます。最近は廃棄物管理問題に重点を置き、各種活動を実施しています。
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