◆ 新泉地紀行 その七十 宮城県東鳴子温泉（１） 湯老人・佐藤哲治 鳴子(なるこ)温泉郷とは、鳴子･東鳴子･川渡(かわたび)･ 中山平(なかやまだいら)･鬼首(おにこうべ)の五つの温泉 地の総称である。筆者はこの内、鳴子･川渡･中山平の 3 温 泉地に足を運んだことがある。鳴子では湯守をつとめた由 緒ある“ゆさや旅館”に泊って有名な＊｢うなぎ湯｣を堪能、 川渡では風格ある木造建築の“藤島旅館”で脚気治療に特 効のある名湯を楽しんだ。中山平の“仙庄館”に泊った時 はｼｰｽﾞﾝｵﾌの 3 月下旬だったせいか客は少なく、念願の鳴子 峡を歩くこともできず誠に残念であった。 今回登場する東鳴子温泉は鳴子温泉の東約 2KM.に位置し、 JR 陸羽東線の橋上駅･鳴子御殿湯が同温泉のほぼ中心とな る。荒雄(江合)川の左岸で鳴子温泉に上る丘陵地に沿った 一本道の左右に、南北 1KM.程度にわたって十数軒の旅館が 点在する。一部温泉街らしき所もあるが、まわりは田んぼ、 歓楽色の全くない静かな湯治場である。東鳴子といえば美 人湯･重曹泉の里として有名である。重曹泉でも源泉毎に含 有成分が異なるので様々な病いに効果を発揮、万病に効く といっても過言ではなかろう。東鳴子温泉観光協会のﾎｰﾑﾍﾟ ｰｼﾞで紹介されている重曹泉系統の泉質(旧泉質名)は次の 通りである。含食塩･芒硝-重曹泉、重曹硫化水素泉、含重 曹-硫黄泉、含土類-重曹泉、純重曹泉。 １．“高友旅館” ２．温泉ファンに評判の黒湯 ３．ひょうたん風呂 東鳴子では自家源泉を持つ旅館が多く、筆者の如き温泉ﾌｧ ﾝはどこに泊るか目移りして困る。様々な角度から検討した 結果、4 種類の源泉と七つの湯壷を持つ“高友(たかとも) 旅館”に決めた。8 種類の源泉を持つ北海道･然別峡管野(し かりべつきょうかんの)温泉の“管野温泉旅館”ほどではな いが、4 種類の源泉、豪勢なものだ。しかも全て天然温泉 掛け流しである。但し、客が熱さに負けて水をうめない限 り。偉そうなことを言う筆者も、一人で入浴中熱さに耐え 切れず何度か水でうめた。他人と同浴の場合、他人が熱さ を我慢していれば当然筆者もやせ我慢せざるをえない。我 慢できなければあがるしかない。尚、全ての源泉を体験す るため 2 泊することにした。 それでは“高友旅館”の 4 種類の源泉をご説明する。 1.含重曹-硫黄泉:大浴場｢黒湯｣(混浴、宿泊客は女性ﾀｲﾑあり)、婦人風呂 “高友旅館”いちおしの黒湯。鉄分やﾗｼﾞｳﾑを含む。黒いというより暗緑(黄緑?)色の濃厚な湯で湯上り後 ずっとぽかぽか。微硫化水素臭に加え油臭が強い。この湯を求めて全国から温泉ﾏﾆｱが駆け付ける。温泉を 愛する者、生涯一度は入浴すべし。ちと大袈裟か。 2.重曹硫化水素泉:ﾗﾑﾈ風呂(女性用)、ひょうたん風呂(男性用) ﾗﾑﾈ風呂では時折気泡が発生するとのこと、炭酸泉ではないのか。適温なので、筆者はひょうたん風呂に 3 禁無断転載 …掲載内容に関するお問合せは、弊社営業担当又は "[email protected]" までどうぞ。… MLG CARGO WEEKLY DIGEST 商船三井ロジスティクス株式会社 1 回入った。いつも一人きり。硫化水素臭強し。掘立小屋のような湯小屋の雰囲気抜群。夜間一人で入浴し ていると少々不気味。 3.含土類-重曹泉:ﾌﾟｰﾙ風呂(混浴、宿泊客は女性ﾀｲﾑあり)、もみじ風呂(貸切風呂) もみじ風呂は相当熱い。ﾌﾟｰﾙ風呂は大浴場の隅にあるが、子供の水遊び用位の湯船。子供向けなので温度 を低くしてある(ひょっとしたら加水か)。 4.純重曹泉:家族風呂(貸切風呂) 非常に分りにくい場所にある宿泊客専用の風呂。筆者は 2-3 度迷った。風呂場が狭く、湯気もうもうで撮 影困難。 ＊ 肌にぬるぬるのｱﾙｶﾘ度の高い温泉。湯の中で体がもまれているような不思議な感触がある。“ゆさ や旅館”大浴場の片隅に小さな浴槽(確か丸かったと思うが)があって、一人入れば一杯。････これ は昔の話で、今は大分変っているようである。 ＊続く＊ ■ ■■ ■ MLG CARGO WEEKLY DIGEST VOL. 306 MLG CARGO WEEKLY DIGEST のバックナンバーは URL: http://www.mol-logistics.co.jp でご覧になれます。 ・ 記事に関するお問い合わせは、弊社営業担当 または [email protected] までどうぞ。 ・ 恐れ入りますが、発行者の許可無く転載されることはご遠慮願います。 禁無断転載 …掲載内容に関するお問合せは、弊社営業担当又は "[email protected]" までどうぞ。… MLG CARGO WEEKLY DIGEST 商船三井ロジスティクス株式会社 2
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