平常試験,中間試験および解答

解析序論 2 期末試験
(2015 年度)
森 真,立井博子
2
1. D = {(x, y) : 0 ≤ x ≤ 1, x2 ≤ y ≤ x} とするとき
∫
log y dxdy
D
を累次積分で求めてください.
注意:x と y の積分をどちらが先が簡単かよく考えましょう.ちゃんと
落とし穴がありますよ.
解
∫
(∫
1
)
x
log y dy
x2 /2
0
∫
(
1/2 ∫
√
log y dx
0
1
0
)
2y
=
=
∫
dx =
x
[−y + y log y]x2 /x dy =
∫
1
(∫
)
1
dx +
y
log y dx
1/2
1
(−17 + 6 log 2)
36
dx
y
1
1
(−23 − 30 log 2) + (−5 + 6 log 2)
144
16
2. f (x, y) = x2 − xy + y 2 + 2x − y + 7 とします.このとき,f の特異点
を求め,そこでのヘッセ行列を求めてください.その特異点はどのよう
な点ですか.
(
解 (1) (−1, 0), H =
2
−1
がって,極小値である.
)
−1
2
なので,固有値は 3,1 である.した
3. 連続な関数 f が f (a) > 0 をみたすとする.このとき,ある δ > 0 が存
在して (a − δ, a + δ) で f (x) > 0 であることを示してください.
解 連続性より ε =
f (a)
2
ととると
∃δ > 0 s.t. |x − a| < δ ⇒ |f (x) − f (a)| <
f (a)
2
であるから,この領域で f (x) > 0 である.
4. C は単位円を左回りに (1, 0) から 1 周する曲線とするとき
∫
x
y
dy − 2
dx
2
2
x + y2
C x +y
を求めてください.
解 x = cos θ, y = sin θ とおけば
∫ 2π
cos θ cos θ + sin θ sin θ dθ = 2π
0
解析序論 2 中間試験その 2 (2015 年度)
森 真,立井博子
1. レムニスケート
r2 = cos 2θ
の囲む面積を求めてください.
ヒント: θ の範囲は − π4 ≤ θ ≤
π
4
でとって 2 倍するとよい
解
∫
∫
dxdy
π/4
√
∫
cos 2θ
= 2
r drdθ
−π/4
D
∫
0
π/4
cos 2θ
dθ
2
−π/4
[
]π/4
sin 2θ
= 2
4
−π/4
= 2
= 1
2. 次の数列の収束を ε–δ 法で示してください.
(a) limn→∞ e−1/n = 1
∑∞ 1
(b)
n=1 n2 が収束することを示してください.
∑N
∑N
1
ヒント:SN = n=1 n12 とおいて, n=1 n(n+1)
と比較し,コー
シー列になることを示します,
解
(a)
∀ε > 0
n≥−
1
⇒ e−1/n − 1 < ε
log(1 − ε)
(b)
∀ε > 0
n, m ≥
1
⇒ |Sn − Sm | < ε
ε
3. 次の関数の連続性を ε–δ 法で示してください.
(a) x = 2 での f (x) = x2
(b) x = 1 での log x
(c) 上の 2 つの関数の [1, ∞) における δ の最小値は存在するか,存在
するならばいくつになるかを求めてください.
解
(a)
∀ε > 0 |x − 2| <
√
4 + ε − 2 ⇒ |x2 − 22 | < ε
(b)
∀ε > 0 |x − 1| < 1 − e−ε ⇒ | log x| < ε
(c) y = x2 は存在しない.y = log x は 1.
4. 有界単調数列の収束と区間縮小法が同値であることのうち「有界単調
数列の収束を仮定して区間縮小法を示す」部分を証明してください.
解 {In } を単調減少で長さが 0 になる区間の列とします.In = (an , bn )
とおくと,{an } は単調増加列,{bn } は単調減少列で,an ≤ b1 , bn ≥ a1
であるから有界である.したがって,それぞれに極限が存在するので,
a, b とおく,
• a > b ならば,∃n0 s.t. n ≥ n0 について
|an − a| <
a−b
a−b
, |bn − b| <
2
2
となるが,an > bn となるので矛盾
• a < b ならば,a < ∀c < b は ∀n について c ∈ In となるので,In
の長さが 0 に収束することに矛盾
より a = b である.∀n について an ≤ a = b ≤ bn より,a ∈ In である.
∩∞
これより n=1 In = {a}
解析序論 2 中間試験その1 (2015 年度)
森 真,立井博子
1.
D = {(x, y) : 2x ≤ y ≤ 2x + 1, 0 ≤ x ≤ 1}
とするとき,
∫
f (x, y) dxdy
D
を
∫ (∫
)
)
∫ (∫
· · · dx dy と
· · · dy dx
の 2 種類の累次積分に表現してください.
解
)
f (x, y) dy dx
0
2x
)
∫ 1 (∫ y/2
∫
=
f (x, y) dx dy +
∫
∫
f (x, y) dxdy
1
(∫
2x+1
=
D
0
0
∫
3
(∫
)
1
+
f (x, y) dx
2
2
(∫
)
y/2
f (x, y) dx
1
(y−1)/2
dy
(y−1)/2
2. カーディオイド (x2 + y 2 − 2x)2 = 4(x2 + y 2 ) に囲まれる領域の面積を
求めてください.
∫
Hint:カーディオイドの領域を D として D dxdy を求めればよいが,極
座標に変換して
∫
∫
∫
∗∗
2π
dxdy =
D
dθ
0
∗
· · · dr
とすればよい.
解 カーディオイド
(r2 − 2r cos θ)2 = 4r2
は r = 2(cos θ + 1) であるから
∫
2π
∫
∫
2(cos θ+1)
0
2π
2(cos θ + 1)2 dθ
)
∫ 2π (
1 + cos 2θ
=2
+ 2 cos θ + 1 dθ
2
0
= 6π
r drdθ =
0
0
dy
3. D = [−2, 2] × [−2, 2] で
f (x, y) = x2 − xy + y 2 + 2x − y + 7
を考える.このとき
(a) 特異点の位置
(b) 特異点での Hessé 行列とその対角化した行列
(c) f の最大値と最小値
を求めてください.
解
(a) (−1, 0)
(
(b) H =
2
−1
)
−1
2
(
の対角化は U =
√1
2
1
1
−1
1
)
により
(
3
0
0
1
)
(c) 特異点では極小値 6 をとる.残りは境界にあるので,f (2, 2) =
f (−2, 2) = 13,f (2, −2) = 25, f (−2, −2) = 9 に注意
• x = 2 では f (2, y) = y 2 − 3y + 15 なのでこの線上では y =
で最小値 51
4
3
2
• x = −2 では f (−2, y) = y 2 + y + 7 なので,y = − 12 で最小値
27
4
• y = 2 では f (x, 2) = x2 + 9 なので,x = 0 で最小値 9
• y = −2 では f (x, −2) = x2 + 4x + 13 なので x = −2 で最小値
9
以上により,最小値 6,最大値 25
4. x2 + y 2 = 1, 2x + z = 1 のもとで,f (x, y, z) = x + y + z の最大値と最
小値を求めてください.
解
F = x + y + z − λ(x2 + y 2 − 1) − µ(2x + z − 1)
とおいて
∂F
∂x
∂F
∂y
∂F
∂z
x2 + y 2 − 1
2x + z − 1
= 1 − 2λx − 2µ
= 1 − 2λy
= 1−µ
=
0
= 0
の 5 つが 0 に等しいことから
√
1
1
y = ± √ , z = 1± 2, λ = ± √ ,
2
2
√
√
より最大値 1 + 2, 最小値 1 − 2
1
x = ∓√ ,
2
µ=1
(複合同順)
復習試験
1. f (x, y) = x2 + x + 2y とします.v = (1, 1) とするとき,方向微分
f (hv) − f (0, 0)
h→0
h
Dv f (0, 0) = lim
を求めてください.
解 Dv f (0, 0) = 3
2. f (x, y) = x2 + 2xy + y 2 が (0, 0) で全微分可能であることを示してくだ
さい.
解
∂f
= 2x + 2y
∂y
∂f
= 2x + 2y,
∂x
なので,(0, 0) の偏微分はともに 0 である.
∂f
∂f
x+
y + R(x, y)
∂x
∂y
f (x, y) = f (0, 0) +
とすると,R(x, y) = f (x, y) = (x + y)2 ,したがって
f (x, y) − f (0, 0) √ 2
√
= x + y2
x2 + y 2
であるから lim(x,y)→0 で 0 になる.
3. D を第一象限とする
∫
e−x
2
−y 2
dxdy
D
を極座標への置換積分を用いて求めてください.
解
∫
e−x
2
−y 2
∫
dxdy
π/2
(∫
∞
=
D
0
=
=
π
2
π
4
∫
∞
)
2
e−r r dr dθ
0
re−r dr
2
0
4. 次の積分の順序を交換してください.
)
∫ 2 (∫ 2x
f (x, y) dy dx
0
x
解
∫
2
(∫
)
2x
f (x, y) dy
0
∫
2
(∫
)
y
dx =
x
f (x, y) dx
0
∫
dy+
4
(∫
f (x, y) dx
2
y/2
)
2
y/2
5. 3 次元の単位球の体積を求めてください.
解 D を 2 次元の単位円とし,x = r cos θ, y = r sin θ とするとヤコビア
ンは r であるので,
∫ √
2
1 − x2 − y 2 dxdy
∫
(∫
1
2π
= 2
D
0
)
√
2
1 − r r dθ dr
0
∫
π/2
cos2 θ sin θ dθ
= 4π
9
=
4π
3
極座標
x = r sin θ cos ϕ
y
= r sin θ sin ϕ
z
= r cos θ
0 ≤ r ≤ 1,0 ≤ θ ≤ π,0 ≤ ϕ ≤ 2π とおくとヤコビアンは
∂x ∂x ∂x sin θ cos ϕ r cos θ cos ϕ −r sin θ sin ϕ
θ
∂ϕ r
∂y ∂y ∂y =
r
sin
θ
sin
ϕ
r
cos
θ
sin
ϕ
r
sin
θ
cos
ϕ
= r sin θ
θ
∂ϕ ∂z ∂z ∂z cos θ
−r sin θ
0
r
θ
∂ϕ
したがって
∫
∫
1
0
ともできる.
∫
π
dr
0
[
2π
dθ × r sin θ = 2π
dϕ
0
1 3
r
3
]1
π
[− cos θ]0 =
0
4
π
3
dy