糖尿病の大半を占める2型糖尿病の発症原因は、大きく遺伝因子と環境因子 に分けられます。遺伝因子とは、両親や兄弟が 糖尿病であるという遺伝体質 のことです。 また環境因子とは、肥満、過食、高脂肪食、 運動不足、スト 薬局だより 2015 年第 2 号 ケーアイ調剤薬局 2015 年 9 月 1 日発行 レス、喫煙などです。これらの因子が重なって、糖尿病は発症すると考えら れています。 メタボリックシンドロームとは、内臓のまわりに脂肪がつくことに加えて、 高血糖・高血圧・脂質異常の危険因子を2つ以上あわせ持った状態のことで 糖尿病 す。糖尿病患者さんは、メタボリックシンドロームの危険因子を複数有する ことが多く、これらの危険因子が動脈硬化を進展させるので注意が必要です 日本人の糖尿病は年々増え続けています。2012年の国民健康・栄養調査で は、「糖尿病が強く疑われる人」は950万人にまで増加しています。また、お よそ4人 に1人が糖尿病または糖尿病予備軍であると言われています。 糖尿病は、自覚症状がなくても気づかないうちに進行していきます。血糖 値が高い状態が続き、血管が障害されて、様々な合併症を引き起こす“全身 をむしばむ病気”が糖尿病なのです。 血糖値は、インスリンというホルモンによって調節されています。インス リンは膵臓から分泌され、血糖値を下げる働きがあります。食事によって体 糖尿病の発症早期には、自覚症状はあまりありません。そのため、空腹感 内に入った糖質は、ブドウ糖に分解されます。ブドウ糖はインスリンによっ が強く食欲旺盛である、トイレが近い、異常に喉が渇く、手足がしびれると て処理され、エネルギー源として利用され、一部は貯蔵されます。 インスリ いうような自覚症状が現れたときには、かなり病気が進んでしまっています。 ンの分泌や働き方に問題が生じると、血糖値が上がって糖尿病を発症します。 糖尿病を早い段階で発見するためには、 定期的に健康診断を受け、血糖値や 尿糖でチェックすることが大切です。 その問題とは、次のようなことが考えられています。①インスリンの働き が悪くなる(インスリン抵抗性)、②インスリンの分泌が遅れたり、分泌量 が少なくなる 、③インスリンが十分に分泌されない、などです。 また、糖尿病と診断されても、血糖値を安定させることで、合併症を予防 することができるので、慌てず、落ち込まずに、処方された飲み薬、注射を 医師の指示通り使用することが大切です。 糖尿病には大きく分けて2つのタイプがあります。 インスリンを作る膵臓の細胞が破壊されてインスリンが分泌されなくなる1 型糖尿病と、インスリンの分泌に問題が生じ、働きが悪くなることによって 起こる2型糖尿病です。ほかに、特定の原因や疾患、あるいは妊娠が原因で起 こる糖尿病があります。 高血糖が続くと起こる糖尿病の主な3大合併症は以下のとおりです。 http://www.jds.or.jp/modules/senmoni/で全国の糖尿病専門医を検索でき ① 網膜症 ます。ご参考までに。 網膜の毛細血管に障害が起きます。進行すれば失明の原因になります。末期 になるまで自覚症状はほとんどありませんから、定期的な眼底検査がとても 重要です。 持っていて良かった、お薬手帳。 ② 腎症 糸球体に障害が起きます。初期には尿アルブミンが、障害が進むにつれ尿蛋 かゆみがひどくなって受診された患者さん。 白が増加します。新規に人口透析を始める人の約半数は糖尿病腎症が原因で 患者さん: 「かゆみがひどくなってしまったよ。」 す。 ③ 神経障害 薬剤師: 「かゆみ止めのお薬セレスタミンが追加になっていますね。お薬手帳の 神経の働きが障害され、主に下記のような障害が発生します。 記載では、緑内障の目薬をつかっていらっしゃるようですが、先生にはお話し 末梢神経障害 :足のしびれ、冷え、つり ていますか?」 自立神経障害 :立ちくらみ、排尿障害、便秘、下痢、勃起障害 患者さん: 「前回は手帳を忘れて・・、今使っているお薬は目薬だけだし、特に 足部 :足の感覚低下、足潰瘍、足壊疽 必要とは思わなかったから手帳は病院では出してないよ。」 足壊疽を防ぐには・・・ 日常フットケア10カ条 薬剤師: 「セレスタミンは、緑内障患者さんに対して眼圧に影響を与える相性の 1.毎日、足をよく観察しましょう。 悪いお薬となっています。先生に確認の連絡をいれますのでお待ちください 2.毎日、足を洗い清潔に保ちましょう。 ね。」(セレスタミンは削除となり、別のかゆみ止めのお薬になる。) 3.風呂の湯でやけどをしないように。 4.こたつや電気カーペットはやけどの原因です。他の暖房器具を用いまし ょう。 お薬手帳を薬局に持参していただいたおかげで、眼圧に影響を与えるお薬セレ 5.裸足で歩かないようにしましょう 。 スタミンが削除になり、別のかゆみ止めのお薬になりました。お薬手帳は、お 6.タコやウオノメは病院で処置を。 薬とお薬の飲み合わせだけではなく、病気と相性の悪いお薬を見つけるのに薬 7.爪は少しずつ一直線に切った後は、ヤスリを使用して爪の変形に気をつ 剤師は参考にします。目薬や貼り薬しかもらってないから伝えないのではなく、 けましょう。 お薬から患者さんの状態を推察してチェックするので、ぜひ病院・薬局に手帳 8.視力障害があれば、爪切りは家族に。 を持参しましょう。 9.足に合った靴を履きましょう。 10.足に傷ができたら消毒して、ただちに受診。 (国立病院機構 京都医療センターHP 参照)
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