DVとは 保健医療関係者のための ドメスティック・バイオレンス(DV) 気付きと介入の手引き DVとは親密な関係にある(あった) 者からの故意的な暴力または支配 的な行動を意味します。身体的な 暴力の他に、脅迫、侮辱、おどし、 経済的、精神的、または性的な暴 力を含みます。 保健医療関係者とDV 家庭内および職場における安全の重要性は、公衆衛 生に関わる問題として、社会の認識が高まってきてい ます。保健医療関係者は、DVを経験している(した)患 者に携わる機会が多いものです。特にDV被害は増加 傾向にあり、被害の程度も深刻化してきているために、 他からの援助なしに被害者が虐待を受けている状況か ら逃げるのは、非常に困難で多くの問題があります。 保健医療関係者自身が家族や友人のDV被害にも影 響されていたり、職場の同僚や患者が被害を受けてい ることがあるでしょう。また、保健医療関係者の大半 が女性であることを考えると、自らがDVの被害者と なることも考えられます(マサチューセッツ州では、 1998年にパートナーによって殺害された女性の38% が保健医療関係者であった、というデータもあります)。 DV被害者への支援は、保健医療関係者だけではで きません。様々な専門家などと連携・協働しましょう。 DV被害者の発生しやすい状況 誰でもが被害者になる可能性があります:米国マサ チューセッツ州を例にとるとDVの発生状況は以下の ようです。 MNA(マサチューセッツ看護協会) 日本DV防止・情報センター http://www.dvp-end-abuse.com/ ◎ 女性の30%が生涯で最低1度はDVを経験する ◎ ER (緊急治療室)に来る女性の30%はDVの被害者 ◎ 妊娠中の女性の25%はDVを経験している ◎ 一般的な治療が目的で訪れる女性の15%はDVの被 害者 ◎ 身体的障害を持つ女性の約90%はDVを経験してい このリーフレットは、MNA(マサチューセッツ州 看護協会)作成のリーフレットを参考にし、日本 DV防止・情報センターが作成しました。 る ◎ 被害者の5〜10%が男性である ◎ 同性間におけるDVは全体の4%である ◎ ホームレスの女性における発生の割合は高い ◎ あらゆる人種において発生率は類似している ◎ あらゆる社会・経済的階層でおこっている DVの発見 下記の症状を持つ人の中にDVの被害を受けている 人がいます。 ◎ 多様な身体的傷害・けが ◎ 原因が明らかでない慢性の病気、疲労感 ◎ 下腹部痛や婦人科系の疾患 ◎ 抑うつや薬物濫用(アルコール・麻薬の濫用など) ◎ 摂食障害(拒食症・過食症など)や睡眠障害 ◎ 自殺念慮 など、これに限定されるものではありません。 DV加害者の行動としては下記のようなものがありま す。 ◎ 暴力による脅し、凶器の使用 ◎ 相手の言動や行動を制限する ◎ 相手を危険にさらす(無謀な運転など) ◎ 性的行為の強要や望まない妊娠の強制 ◎ 常に相手を批判したりバカにする ◎ 極度な嫉妬や独占欲 ◎ 過干渉や過保護 ◎ 相手の大切なものを壊す(子どもやペットなど) ◎ 過度な経済的支配 ◎ 家族との接触を制限したり、社会的に孤立させる など。 DV被害が疑われた場合の介入 DVのスクリーニング(DVの被害を発見するための 質問):スクリーニングの際には、付き添い人から離 れて女性1人だけで安全で安心できる場所で行なう。 「DVはすごく多いので、どの患者さんにも同じ質問 をしています。」など、特別でないことを伝える表現 を用いる。 ◎ パートナーといるときに、恐いと感じたことはあり ますか? ◎ 家庭では安心できますか? ◎ 夫や恋人からおどされたことはありますか? ◎ 殴打、平手打ち、蹴られるなどの身体的暴力を、誰 かから繰り返し受けたことはありますか? ◎ あなたの意に反し性的行為を強制されたことはあり ますか? ● DVとの有効な接し方 ◎ DVについて被害者(患者さん)の気持ちを確認する。 ◎ 被害者(患者さん)が話を打ち明けた場合の対応の仕 方を考えておく。
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