臨床研究中核病院整備事業 群馬大学医学部附属病院 多核種同時撮像可能な核医学診断機器、 医療用シリコン/テルル化カドミウム半導体コンプトンカメラの開発 プロジェクト責任者:中野隆史 発表者:酒井真理 (群馬大学 教育研究支援センター) 小動物(ラット)試験 コンプトンカメラの原理 測定対象 gamma source 1号機 Si detector 2号機 θ – Wister rat, ♂, 6週齢 (~130 g) 使用薬剤 – – CdTe detector 1 1 cos 1 me c ( ) E2 E1 E2 群馬大学で作成した コンプトンカメラ 2 2枚の検出器を用いてコンプトン散乱と光電吸収の位置とエ ネルギーを計測することによりコンプトン散乱角 θ を算出し ガンマ線源のイメージングを行う事ができる。 シリコン(Si)/テルル化カドミウム(CdTe)半導体コンプトンカ メラは宇宙科学研究所により考案されたもので、高精度イ メージャー技術 (高橋他, 2001) により高い角度分解能を持つ。 Si/CdTe コンプトンカメラの特徴 :511 keV :141 keV 6週齢のラットに18F-FDG と 99mTc-DMSAを静注し、背面 からコンプトンカメラで同時撮影した。 その結果、各薬剤の臓器への集積を可視化することができ た。また薬剤の静注直後から撮像することにより、各薬剤の 集積過程(動態)のイメージングにも成功した。 現在、実験結果を論文にまとめる作業を行っている。 臨床試験 測定対象 使用薬剤 FWHM=8.6 keV (@511 keV) の高い分解能を持っている。 ・計測エネルギー範囲が広い 100 keV ~ 2 MeV 程度の広いエネルギー範囲のガンマ線 を測定できる。 従来のSPECT薬剤とPET薬剤を同時に測定が可能。 本年度の課題・目標 開発中のコンプトンカメラを用いて複数 核種同時イメージングが可能な事を臨床 試験により実証する。 – – 18F-FDG 99mTc-DMSA :511 keV :141 keV 撮像範囲 – 腹部(右腎中心) – 228 mm(頭尾) x 342 mm (左右) コンプトンカメラ 前述のファントム試験や小動物実験を基に、最適なRI標識 薬剤の投与量を検討し、臨床試験を行った。 その結果、45分間の撮像で心臓・肝臓に集積した18F-FDG および腎臓に集積した99mTc-DMSAのイメージを得ることが できた。18Fは現在も最も一般的にPETで使用されるRIであり、 99mTcはSPECTで最も一般的に使用されるRIである。また511 keVと141 keVのイメージングが行えたことから、これらの間 のエネルギーのガンマ線を放出するSPECTの薬剤についても、 全て撮影可能であると考えられる。 現在、論文にまとめ投稿中である。 人体でのガンマ線散乱の影響確認 今後のスケジュール ・散乱によって検出器に届くガ ンマ線数が減少し、同イベント 数を得るためにより長い時間の 測定が必要になる。 水散乱無し 水散乱有り Na-22 線源から得られたスペクトル 位置分解能 (FWHM)[mm] ・角度分解能や位置分解能の低 下が見られなかった。コンプト ンカメラではEnergy Windowを 狭くできるため、散乱ガンマの 影響が小さくなっている考えら れる。 99mTc-DMSA – 健常男性 ・エネルギー分解能が高い ・Na-22線源の測定では散乱ガン マにより100 ~ 200 keVの領域 で多くのガンマ線が検出されて おり、この領域のγ線を出す SPECT薬剤を同時に使用する 場合には注意が必要である。 18F-FDG 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 コンプトンカメラシステムの臨床(具体的な症例)におけ る有用性・有効性を明らかにする。さらに、医療応用に向け、 3次元再構成プログラムの開発・医用画像インターフェース の導入・逐次再構成手法等の開発についても進めていく予定 である。 再来年度に医療用の実証機を作成し、平成30年度の医療機 器申請を目指して開発を進めている。 empty water Co‐57 Ba‐133 Na‐22 (122 keV) (356 kV) (511 keV) 250 mm 先での位置分解能 謝辞 本研究を行うに当たり、本学放射線診断核医学の中島先生、山口 先生を始め放射線診断核医学の多くの先生方にご指導・ご協力いた だきました事を感謝いたします。また臨床試験においては附属病院 核医学科の嶋田主任はじめ多くのスタッフの方々にご協力をいただ きました。重ねて感謝いたします。
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