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PF研究会「PFからERLへ ~ 私の実験はどうなる?」
PF懇談会からUGへのアンケート
[アンケートを採る理由]
皆さんもご存じの通り、2年後にはPFもいよいよ30年を迎えようとしております。
加速器の寿命は20年ともいわれていますから、いつPFが動かなくなっても、 あるいは、性能維持が難
しくなっても不思議ではありません。
したがって、次世代光源の議論はPF懇談会にとって最も重要な議題と思っております。
10年前くらいから後継機の議論が本格化し、ERLをPFの次世代光源とすること がPF懇談会でも了承
されました。
この次世代光源の実現には技術的な面や資源の面でまだ難問を抱えており、 PFやKEKの皆さんのご
尽力にお願いするところが大でありますが、PFやKEKに 任せておけば、自然にできあがってくるもの
ではありません。
KEKは共同利用機関ですから、ユーザ一人一人のサポートと強い熱意があっ て、次世代光源は初め
て実現するものだと思います。
まだ遠い将来の夢の光源のように感じていて、私たちが実感として、ERLを建 設するのだという気持ち
になっていないのも事実だとは思いますが、第1歩と してもっとERLについて、知っておかなければなら
ないと思います。
確かに、すでに多くのERLの研究会があり、そのなかで、ERLのすばらしい可 能性が提案され、それ
でできるまったく新しいサイエンスがとりあげられて いるわけですが、今私たちが行っている実験はど
んなに高度化し、やり易く なるのかといった身近な話題で研究会が開かれたことはありません。
最先端と汎用性を兼ね備えているからERL計画が選ばれた経緯を考えますと、 汎用性の面も議論を
開始しておく必要があると思います。
多くの人は、ERLができたら、そのままPFで行っていた実験を引き継げるのだ ろうと考えています。
でも本当にそうでしょうか? もちろん、最先端の施設を作るわけですから、 そこでしかできない最先端
の実験は優先されるべきです。
また、第2世代光源でできるものをわざわざERLでやるなんてという議論も説 得力があります。
でも現在のPFのユーザが最先端の研究をしているのも事実であります。
そうした最先端の研究はERLができたときにはどうなるのか?ERLで私たちの 実験はできるの?
といった素朴な疑問があるとおもいます。
こうした素朴な疑問を元にして、この冬にPF研究会を開きたいと考えています。
その下準備としては、ERLに関する質問内容をアンケートするというものです。
ERL計画でご尽力いただいている河田さん、足立さんにUGで集めた質問を見て いただき、あらか
じめ答えを用意していただこうというものです。
UG代表者の皆様にはUGの方々にアンケートを取って質問したい内容をまとめ ておいていただき
たくお願いする次第です。
また、できましたら、MUGを代表して2、3人講演者をご推薦いただければと思います。
[質問の項目・形式]
自由ですが例えば、XAFSはできますかという漠然としたのではなく、 XAFSは、fluxとして現在
10^(9-10)s-1のフォトンが必要ですが、1mm角のサン プルにはどくらいの fluxがくると予想されて
いますか?
通常XAFSはいろいろな元素をとるため、200eV-40 keV程度までのエネルギー がほしいのです
が、最高のエネルギーは何eVですか?
あるいは、アンジュレータを光源とした場合1000eV程度の範囲にわたって、 強度が一定の光を得
ることはできますか?
といった皆さんが現在やっている実験のスペックを具体的に示していただけ ればと思います。
[期限]
10月31日(日)です。
[研究会にご推薦いただく講演]
ERLならではの期待を述べていただいてもよいですが、各分野の立場から、今 ホットな話題そして、
将来ホットになりそうな話題を述べていた
だき、私たちが必要とする汎用光源のスペックを提示していただくというも のにしたいと思います。
高圧UG(1/2)
質 問
高圧UGは、現在PFとARで行っている高圧実験がERLでも継続できるのかどうかに最
大の関心を持っています。具体的には以下の通りです。
1. 高圧プレスでは白色X線を使った回折実験やイメージングが一般的だが、ERLで白色
光は利用できるか?
2. 高圧プレスでは、比較的大きなビーム(水平方向100〜500ミクロン、鉛直方向50〜
100ミクロン)を使うことが多い。また融体の密度・粘度測定のためのイメージング実験で
は、ビームサイズを水平方向10mm、鉛直方向4mm程度まで大きくする必要がある。
ERLでこのように「大きな」ビームは使えるのか?
3. PFおよびARの高圧実験では、アンビルやガスケットを透過し、限られた散乱角で多く
の回折線を測定できるように、主に20~30keVのX線を使っている。さらに広い波数領域
の散乱データを得る目的で50 keV のX線を使った回折実験も行いつつある。ERLの場
合、高エネルギーX線はどれくらいのエネルギーまで利用できるか?ARとくらべて高エ
ネルギー側のX線は現在よりも弱くなるのか?
4. 高圧実験では、高圧下の微少試料(数10ミクロン)からの回折を得るために、高フラッ
クスのX線を必要とする。たとえばAR で30 keV のX線を集光して直径50ミクロンに切り
出した場合とくらべ、ERL のフラックスはどの程度になるか?(集光光学系に依存する
が)
高圧UG(2/2)
意 見
1. 高圧UGでは、ERLの性能を踏まえた提案を行うべく、将来光源を使ったサイエンス
の検討を開始している。一方で、これまでの研究を継続させ、また様々な実験に対応
できるような汎用ビームラインを残すことも大変重要であると認識している。
2. ERLとLCの共存計画があると聞いている。しかし、素粒子との相乗りになることで
KEK-Xの二の舞にならない保証はあるのか?
3. SPring-8 でも次世代光源への改造計画が進んでおり、ERLとほぼ同じ頃に利用が開
始されるようだが、ERLとの相違点は何か?
X線トポグラフィーUG(1/1)
ERLのような光源ができたらX線トポグラフィーにおいても新しい展開の可能 性がある
かもしれませんが、今のところ不明です。アンケートのご主旨は、今 の実験がどうなる
か、ということだと思いますので、その場合の気になる点を 列記いたしました。
---------------------------------------------------------X線トポグラフィーの基本的な観察は、ある程度面積の広いビームを使ってX 線回折
の投影像を撮ることになります。
そこで、ビームをどの程度広げることができるのでしょうか?単純には、光源 でのビー
ムの発散角がどのくらいか、および、実験ステーションを光源からど のくらいの距離の
ところに作る予定か、ということだと思います。また、その ときのフォトン密度はどのくら
いになるでしょうか?
ビーム幅は、現状では、PFで50mm (BL15C)、SPring-8で300mm (BL20B2)などと
なります。
X線トポグラフィーでは、実験に応じて、ビームの単色性/単色性、および波 長を選択
することになります。
ERLのビームはコヒーレント光と言うことですが、スペクトルはどのようなも のでしょう
か?白色ビームは使えるでしょうか?また、適度に波長幅の広いピ ンクビームを作る
ことは可能でしょうか?また、波長はどの程度まで短いもの が使えるのでしょうか?
ERLからのビームの時間的な安定性はどのようなものでしょうか?PFのトップ アップ
運転時のように安定でしょうか?
----------------------------------------------------------
構造物性UG(1/2)
[構造物性ユーザグループのPF実験実施のために必要とされる光源のスペック]
エネルギー: 6-18keV
フラックス: 1011-1013 photon/sec
輝度: ERLの輝度は十二分
[添付されたERLに関する質問表に新たに加えたい質問]
・PFで使えるフラックスと、ERLを比較すると?
・ERLでの、運転時間とビームラインの数
ユーザーとしては、PFでのマシンタイムをERLで
どの程度カバーできるのか知りたい。
・コヒーレンスがメインの説明になっていますが、
共鳴散乱などに関連して、
エネルギー可変性とエネルギーの幅、高調波の有無が気になります。
・各BLである程度自由に光子エネルギーが選択できるのかどうか
光子エネルギーの幅、あるいは DeltaE/E はどのくらいか
構造物性UG(2/2)
・光源と実験ハッチとの間にベリリウム窓を置くことが可能なのかどうか
(可能なのでしょうが、窓のためにどれくらいコヒーレンスが劣化するか)
はどの程度分かっているのでしょうか。
・コヒーレンスがあるための、既存の実験への影響、デメリットは?
・バンチに構造は作れるのかどうか。
例えば1μ秒の連続バンチの後に4μ秒電子無し、とか。
逆に完全な均等バンチ運転ができるかどうか。
・ERLでは毎回入射を行うと理解していますが、
その場合、各バンチの時間軸の揺らぎ(ジッター)はあるのか。
各バンチの強度の揺らぎはあるのか。